「卒業論文やレポートに目次を作りたいけれど、どうすればいいか分からない」「手動で目次を作ったら、ページ番号がずれて大変だった」「目次を更新する方法が分からない」
このような経験をしたことはありませんか?実は、Microsoft Wordには目次を自動で作成・更新する便利な機能があります。一度設定すれば、文書の内容を変更しても簡単に目次を最新の状態に保てます。
この記事では、Word初心者の方でも迷わずに目次を作成できるよう、基本的な作成手順から応用テクニック、よくあるトラブルの解決方法まで詳しく解説します。
自動目次とは?手動作成との違い

まず、Wordの自動目次機能がどのようなものかを理解しましょう。
自動目次の特徴
見出しスタイルとの連携 Wordの自動目次は、「見出し1」「見出し2」「見出し3」などの見出しスタイルを基に自動的に作成されます。
階層構造の反映 見出しレベルに応じて、自動的に階層構造(インデント)が設定されます。
ページ番号の自動取得 各見出しが何ページにあるかを自動で検出し、ページ番号を表示します。
リンク機能 目次の項目をクリックすると、該当ページに自動でジャンプできます。
手動目次との比較
手動目次の問題点
更新の手間
- 内容を変更するたびに手動で修正が必要
- ページ番号のずれを一つずつ確認
- 項目の追加・削除作業が煩雑
ミスの発生
- ページ番号の間違い
- 項目の抜け漏れ
- レイアウトの崩れ
自動目次のメリット
効率性
- ワンクリックで最新の状態に更新
- 項目の追加・削除が自動反映
- ページ番号の自動修正
正確性
- 人的ミスの防止
- 常に最新の情報を反映
- 一貫した書式で表示
自動目次を作るための準備
自動目次を作成する前に、まず見出しスタイルを設定する必要があります。
見出しスタイルの概念
見出しレベルの使い分け
見出し1
- 最上位の見出し(章レベル)
- 例:「第1章 研究の背景」「1. はじめに」
見出し2
- 中レベルの見出し(節レベル)
- 例:「1.1 研究の目的」「1.2 研究の意義」
見出し3
- 詳細レベルの見出し(項レベル)
- 例:「1.1.1 先行研究の分析」「1.1.2 問題の設定」
見出しスタイルの設定方法
基本的な操作手順
- 見出しにしたい文字を選択 目次に表示したい項目の文字列を選択します
- ホームタブを開く 画面上部のリボンで「ホーム」タブをクリックします
- 適切な見出しスタイルを選択 「スタイル」グループから「見出し1」「見出し2」「見出し3」のいずれかを選択します
効率的な設定のコツ
文書全体の構成を先に決める
- どの部分が大見出し、中見出し、小見出しかを事前に計画
- 一貫した階層構造を心がける
見出しスタイルの外観をカスタマイズ
- フォントサイズや色を調整
- 統一感のある見た目に設定
見出しの確認方法
ナビゲーションウィンドウでの確認
- 表示タブを開く リボンの「表示」タブをクリックします
- ナビゲーションウィンドウを表示 「ナビゲーションウィンドウ」にチェックを入れます
- 見出し構造を確認 左側に表示されるウィンドウで階層構造を確認できます
自動目次の作成手順
見出しスタイルの設定が完了したら、いよいよ目次を作成します。
ステップ1:目次挿入位置の設定
一般的な配置場所
文書の先頭
- 表紙の次のページ
- 最も一般的な配置
- 読み手が最初に確認できる
本文の前
- はじめにや序論の前
- 学術論文でよく使用される配置
カーソル位置の設定
- 目次を挿入したい位置をクリック 通常は文書の先頭部分
- 改ページの挿入(必要に応じて) 「挿入」→「改ページ」で独立したページを作成
- タイトルの入力(任意) 「目次」「Contents」などのタイトルを入力
ステップ2:目次の挿入
基本的な挿入方法
- 参考資料タブを開く 画面上部のリボンで「参考資料」タブをクリックします
- 目次ボタンをクリック 「目次」グループの「目次」ボタンをクリックします
- 目次スタイルを選択 表示されるギャラリーから好みの目次スタイルを選択します
利用可能な目次スタイル
自動作成の目次1
- シンプルなデザイン
- ページ番号が右端に表示
- 点線リーダー付き
自動作成の目次2
- 少し装飾されたデザイン
- 見出しレベルごとに異なる書式
カスタム目次
- 詳細な設定が可能
- レベル数、デザイン、書式を自由に調整
ステップ3:目次の外観確認
確認すべきポイント
階層構造
- 見出しレベルが正しく反映されているか
- インデントが適切に設定されているか
ページ番号
- 各項目のページ番号が正確か
- 点線リーダーが適切に表示されているか
リンク機能
- 項目をクリックして該当ページにジャンプできるか
目次の更新方法

文書の内容を変更した後は、目次を更新する必要があります。
更新が必要な場面
内容変更時
見出しの文言変更
- 章のタイトルを変更した場合
- 項目名を修正した場合
見出しの追加・削除
- 新しい章や節を追加した場合
- 不要な項目を削除した場合
ページ番号の変更
- 文書の長さが変わった場合
- 図表の追加により ページ構成が変わった場合
目次更新の具体的手順
方法1:目次上部のボタンから更新
- 目次をクリック 目次の任意の部分をクリックして選択します
- 更新ボタンをクリック 目次の上部に表示される「目次の更新」ボタンをクリックします
- 更新方法を選択 以下の2つの選択肢から適切なものを選びます:
- ページ番号のみを更新:見出しの文言は変えず、ページ番号のみ更新
- 目次をすべて更新:見出しの追加・削除・変更とページ番号の両方を更新
方法2:右クリックメニューから更新
- 目次を右クリック 目次部分で右クリックします
- フィールドの更新を選択 コンテキストメニューから「フィールドの更新」を選択します
- 更新範囲を選択 ページ番号のみか、すべてかを選択します
方法3:ショートカットキーでの更新
F9キー
- 目次を選択してF9キーを押す
- 最も手軽な更新方法
更新後の確認ポイント
項目の過不足
- 新しく追加した見出しが反映されているか
- 削除した項目が目次からも消えているか
ページ番号の正確性
- 各項目のページ番号が正しいか
- 全体的な番号の流れに問題がないか
レイアウトの確認
- 目次のレイアウトが崩れていないか
- 改ページが適切に行われているか
目次のカスタマイズ方法
標準的な目次では物足りない場合、詳細な設定でカスタマイズできます。
カスタム目次の設定画面
ユーザー設定の目次を開く
- 参考資料タブを開く 「参考資料」タブをクリックします
- 目次のユーザー設定を選択 「目次」→「ユーザー設定の目次」を選択します
- 設定画面で詳細調整 目次ダイアログボックスで様々な設定を調整します
主要な設定項目
全般設定
ページ番号を表示する
- チェックありなしでページ番号の表示を制御
- 通常はチェックありを推奨
ページ番号を右揃えにする
- ページ番号の配置を調整
- 美しいレイアウトのためにはチェック推奨
タブリーダー
- 項目名とページ番号をつなぐ線の種類
- なし、点線、破線、下線から選択
詳細設定
アウトラインレベル
- 目次に表示する見出しレベルの範囲
- 1~3レベルが一般的
書式
- 目次全体のデザインスタイル
- フォーマル、シンプル、クラシック、モダンなど
見出しレベルの調整
レベル数の変更
1~2レベルのみ表示
- 大項目と中項目のみを表示
- シンプルな構成の文書に適している
1~4レベル表示
- より詳細な階層まで表示
- 複雑な構成の文書に適している
カスタムレベルの設定
特定のスタイルを目次に含める
- 「オプション」ボタンをクリック
- 目次に含めたいスタイルを指定
- レベル番号を設定
デザインのカスタマイズ
フォント設定
見出しレベル別の書式設定
- 「変更」ボタンをクリック
- 各レベルの書式を個別に設定
- フォント、サイズ、色、スタイルを調整
間隔とインデント
階層間の間隔調整
- 見出しレベル間のインデント幅
- 行間隔の調整
- 段落前後の間隔設定
よくあるトラブルと解決方法

目次作成でよく遭遇する問題と対処法をご紹介します。
トラブル1:目次に見出しが表示されない
原因分析
見出しスタイルが未設定 最も多い原因です。手動で文字サイズを大きくしただけでは、目次には反映されません。
見出しレベルの設定ミス 見出し4以下のレベルを使用していて、目次の設定で表示レベルに含まれていない場合があります。
解決方法
ステップ1:見出しスタイルの確認
- 表示されない項目を選択
- 現在適用されているスタイルを確認
- 適切な見出しスタイル(見出し1~3)を適用
ステップ2:目次設定の確認
- 「ユーザー設定の目次」を開く
- 「アウトラインレベル」の設定を確認
- 必要に応じてレベル数を増やす
ステップ3:目次の更新
- 目次を選択してF9キーを押す
- 「目次をすべて更新」を選択
トラブル2:ページ番号がずれている
原因分析
目次が更新されていない 文書を編集した後に目次を更新していない場合に発生します。
セクション区切りの影響 文書内にセクション区切りがある場合、ページ番号の計算に影響することがあります。
解決方法
即座に試すべき対処
- 目次を選択してF9キーを押す
- 「ページ番号のみを更新」を選択
- ページ番号が正しく更新されるか確認
根本的な解決
- 「表示」→「ナビゲーションウィンドウ」で見出し位置を確認
- 実際のページ番号と照合
- セクション設定に問題がないか確認
トラブル3:目次のレイアウトが崩れる
原因分析
長い見出しによる改行 見出しが長すぎて複数行にわたる場合、レイアウトが崩れることがあります。
カスタム書式の競合 手動で書式を変更した部分と自動書式が競合している場合があります。
解決方法
見出しの調整
- 長すぎる見出しを適切な長さに調整
- 必要に応じて副題を別の見出しレベルに分割
書式のリセット
- 目次を選択して削除
- 「参考資料」→「目次」から新しい目次を挿入
- カスタマイズは目次設定画面から行う
トラブル4:目次のリンクが機能しない
原因分析
PDF変換時の問題 WordファイルをPDFに変換する際に、リンク機能が失われる場合があります。
目次の書式変更 目次を手動で編集した場合、リンク機能が無効になることがあります。
解決方法
Word内でのリンク確認
- Word文書内で目次項目をCtrl+クリック
- 該当ページにジャンプするか確認
PDF変換時の設定
- 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSの作成」
- 「オプション」で「ブックマークを作成する」にチェック
- 「ハイパーリンクを含める」にチェック
効率的な目次管理のテクニック
大規模文書での活用
複数レベルの見出し管理
一貫したレベル設定
- 文書全体で統一されたレベル使用
- 章・節・項の明確な区別
- 番号付き見出しの活用
ナビゲーション機能の活用
- ナビゲーションウィンドウで全体構成を把握
- 見出しクリックで素早い移動
- 文書構造の視覚的確認
チーム作業での注意点
スタイル設定の共有
- テンプレートファイルの活用
- スタイル設定の統一
- 作業手順の文書化
自動化の応用
マクロを使った自動更新
定期的な目次更新
- 文書保存時に自動更新
- 特定の操作と連動した更新
- エラーチェック機能の組み込み
テンプレート化
再利用可能な設定
- よく使う目次設定をテンプレート化
- スタイル設定込みのテンプレート作成
- 新規文書作成時の効率向上
目次作成の応用テクニック
図表目次の作成
図の目次
図表番号の設定
- 図を選択して「参考資料」→「図表番号の挿入」
- ラベルを「図」に設定
- 自動的に番号が振られる
図の目次挿入
- 「参考資料」→「図表目次の挿入」
- 「図」を選択して目次作成
表の目次
同様の手順で表の目次も作成できます。学術論文や技術文書で特に有用です。
複数文書の統合目次
マスター文書機能
複数ファイルの統合
- 「表示」→「アウトライン表示」
- 「サブ文書の挿入」で関連ファイルを統合
- 統合した文書全体で目次作成
まとめ
Wordの自動目次機能は、一度仕組みを理解すれば非常に便利で強力なツールです。手動での目次作成と比べて、圧倒的な効率性と正確性を実現できます。
この記事のポイント
- 見出しスタイルの設定が自動目次作成の基礎
- 目次作成は「参考資料」タブから簡単に実行
- 文書変更後は必ず目次を更新(F9キー)
- カスタマイズで目的に応じた目次を作成可能
- トラブルの多くは見出しスタイルの設定ミス
効率的な目次作成のコツ
- 文書構成を事前に計画
- 一貫した見出しレベルの使用
- 定期的な目次更新の習慣化
- ナビゲーションウィンドウでの構造確認
よくあるトラブルの予防
- 見出しスタイルを正しく適用
- 文書編集後は必ず目次更新
- カスタマイズは設定画面から実行
- PDF変換時はリンク設定を確認
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