Wordでレポートやマニュアルを作るとき、「段落番号を手動で付けるのが面倒」「章番号がズレて困る」と感じたことはありませんか?
そんなときに活用したいのが、Wordの自動番号機能です。段落、見出し、図表などに番号を自動で付ければ、効率よく整った文書が作れます。
この記事では、Wordの番号を自動で付ける方法を目的別にわかりやすく解説します。
自動番号機能のメリット

Wordの自動番号機能を使うことで、以下のようなメリットが得られます:
- 作業効率アップ:手動で番号を振る手間が省ける
- ミス防止:番号の重複や抜けがなくなる
- 自動更新:内容を追加・削除しても番号が自動で調整される
- 統一感:文書全体で一貫した番号付けができる
- 目次連動:目次や図表目次と自動で連携
よく使われる場面
- レポートや論文:章・節の構造化と図表の管理
- マニュアルや手順書:ステップの順序管理
- 提案書や企画書:項目の整理と参照管理
- 議事録:議題や決定事項の番号管理
- 技術文書:仕様や要件の体系的な整理
自動番号が使える主な場所
Wordでは以下のような項目に番号を自動で設定できます:
基本的な番号付け項目
- 段落番号:1. 2. 3.…の連続番号
- アウトライン番号:1章、1.1節、1.1.1項などの階層構造
- 図表キャプション:図1、表2、グラフ3などの説明文
- 数式番号:(1)、(2)などの数式への連番
- 脚注・文末脚注:注釈への自動番号
高度な番号付け機能
- 相互参照:「図1を参照」などのリンク付き参照
- 目次・図表目次:番号付きの見出しや図表の一覧
- 索引:キーワードとページ番号の自動管理
- ページ番号:ヘッダー・フッターでの自動ページ管理
段落に番号を自動で付ける方法
箇条書きや手順書に便利な機能です。
基本的な段落番号の設定
手順
- 番号を付けたい段落を選択(複数段落の場合はドラッグして選択)
- 「ホーム」タブ →「段落」グループの「段落番号」ボタン(1.2.3アイコン)をクリック
- 番号付きのリストが自動的に作成される
番号の種類を選ぶ
段落番号ボタンの右側にある▼をクリックすると、以下の形式から選択できます:
- 1. 2. 3.(数字とピリオド)
- 1) 2) 3)(数字と括弧)
- a. b. c.(小文字アルファベット)
- A. B. C.(大文字アルファベット)
- i. ii. iii.(小文字ローマ数字)
- I. II. III.(大文字ローマ数字)
段落番号のカスタマイズ
番号形式の詳細設定
- 「段落番号」の▼をクリック
- 「新しい番号書式の定義」を選択
- 以下の項目を設定:
- 番号のスタイル:数字、文字、ローマ数字など
- 番号書式:括弧、ピリオド、ハイフンなどの記号
- 番号の配置:左揃え、中央揃え、右揃え
- インデント:番号と本文の間隔
開始番号の変更
- 番号付きリストを右クリック
- 「番号の設定」→「番号の値の設定」
- 開始したい番号を入力
段落番号の操作テクニック
番号の追加と削除
- 新しい段落の追加:Enterキーで自動的に次の番号が付く
- 番号の削除:Backspaceキーで番号のみ削除
- 全体の番号解除:段落番号ボタンを再度クリック
レベルの変更
- レベル下げ:Tabキーまたは「インデントを増やす」ボタン
- レベル上げ:Shift+Tabまたは「インデントを減らす」ボタン
見出しに章番号を自動で付ける方法
章・節構造のある文書におすすめです。
見出しスタイルの設定
基本の見出し設定
- 章のタイトルを選択
- 「ホーム」タブ →「スタイル」グループから「見出し1」を選択
- 節のタイトルには「見出し2」、項のタイトルには「見出し3」を適用
アウトライン番号の設定
- 「ホーム」タブ →「段落」グループの「マルチレベル リスト」ボタンをクリック
- 「見出しと連動した番号付きリスト」を選択
- 好みの番号形式を選択(例:1、1.1、1.1.1 など)
章番号の形式例
一般的な章番号形式
- 第1章、第1節、第1項:論文や学術文書
- 1. 1.1 1.1.1:技術文書やマニュアル
- 1章 1-1 1-1-1:ビジネス文書
- I. A. 1.:英語圏の文書形式
カスタム番号形式の作成
- 「マルチレベル リスト」→「新しいマルチレベル リストの定義」
- 各レベルごとに以下を設定:
- 番号のスタイル
- 番号書式(「第」「章」などの文字を追加)
- 番号の開始
- 番号の位置とインデント
見出し番号のメンテナンス
番号の更新
- 自動更新:見出しを追加・削除すると自動で番号が調整される
- 手動更新:Ctrl+Aで全選択後、F9キーでフィールド更新
番号のリセット
- リセットしたい見出しを右クリック
- 「番号の設定」→「番号の値の設定」
- 「1から開始」または任意の番号を指定
図や表に自動で番号を付ける方法(キャプション)

図解・表の説明文を整理したいときに有効です。
キャプションの基本設定
手順
- 図や表を選択(クリックして選択状態にする)
- 図や表を右クリック →「キャプションの挿入」を選択
- キャプション ダイアログボックスが表示される
- 以下を設定:
- ラベル:「図」「表」「グラフ」などを選択
- 位置:図の上または下
- キャプション:説明文を入力
- 「OK」をクリック
自動キャプションの設定
- 「参考資料」タブ →「キャプション」グループ →「キャプションの挿入」
- 「自動キャプション」ボタンをクリック
- 対象とするオブジェクト(Excelワークシート、画像など)にチェック
- 「OK」をクリック
キャプション番号のカスタマイズ
ラベルの変更・追加
- キャプション ダイアログで「新しいラベル」をクリック
- 「写真」「イラスト」「チャート」などの独自ラベルを作成
- 番号形式も「1-1」「(1)」などに変更可能
章番号を含むキャプション
- キャプション ダイアログで「番号付け」をクリック
- 「章番号を含める」にチェック
- 「章の開始スタイル」で見出しレベルを選択
- 区切り文字を設定(例:図1-1、図1.1など)
キャプション番号の管理
番号の更新
- 自動更新:図表を追加・削除すると番号が自動調整
- 手動更新:Ctrl+Aで全選択後、F9キーでフィールド更新
図表目次の作成
- 「参考資料」タブ →「図表目次の挿入」
- キャプション ラベルを選択(図、表など)
- 「OK」をクリックして図表目次を挿入
相互参照で番号を活用する方法
文書内で「図1を参照」「表2に示す」などのリンク付き参照を作成できます。
相互参照の設定
手順
- 参照したい箇所にカーソルを置く
- 「参考資料」タブ →「相互参照」をクリック
- 相互参照 ダイアログで以下を設定:
- 参照する項目:見出し、図、表、数式など
- 相互参照の内容:番号のみ、キャプション全体、ページ番号など
- 参照先:対象となる項目を選択
- 「挿入」をクリック
相互参照の種類
- 見出し参照:「第3章で説明した」
- 図表参照:「図5に示すように」
- ページ参照:「15ページを参照」
- 数式参照:「式(3)より」
相互参照のメンテナンス
リンクの更新
- 自動更新:参照先の番号が変わると自動で更新
- 手動更新:Ctrl+Aで全選択後、F9キーでフィールド更新
- 印刷前の更新:「ファイル」→「オプション」→「表示」で「印刷前にフィールドを更新」にチェック
よくある問題と解決法
番号がずれる・消える場合
手動番号の問題
問題:手動で入力した番号と自動番号が混在している 解決方法:
- 手動で入力した番号をすべて削除
- 段落番号機能を使って一括で自動番号を設定
- 必要に応じて番号の開始値を調整
スタイルの不整合
問題:段落の一部が別スタイルになっていて番号が飛ぶ 解決方法:
- 「ホーム」タブ →「編集」→「検索と置換」→「高度な検索」
- 「書式」→「スタイル」で統一したいスタイルを検索
- すべて同じスタイルに統一
番号の中断・再開
番号の中断:
- 中断したい箇所で右クリック
- 「番号の設定」→「番号を新たに開始する」
番号の再開:
- 再開したい箇所で右クリック
- 「番号の設定」→「前のリストから継続」
キャプション番号の問題
番号の重複
問題:同じ番号のキャプションが複数ある 解決方法:
- Ctrl+Aで文書全体を選択
- F9キーを押してフィールドを更新
- 重複が解消されない場合は、キャプションを再挿入
キャプションの位置
問題:キャプションが図表と離れてしまう 解決方法:
- 図表とキャプションを選択
- 「挿入」→「テキストボックス」で囲む
- または「レイアウト」→「位置」で「文字列と一緒に移動する」を設定
アウトライン番号の問題
レベルの混乱
問題:見出しレベルと番号レベルが一致しない 解決方法:
- 「表示」タブ →「アウトライン」表示に変更
- 各見出しのレベルを確認・調整
- マルチレベル リストの設定を見直し
番号形式の変更が反映されない
解決方法:
- 「ホーム」→「段落」→「マルチレベル リスト」
- 「新しいマルチレベル リストの定義」で詳細設定
- 既存の番号付けをいったん解除してから再適用
高度な活用テクニック
法的文書の番号付け
条文番号の設定
第1条(目的)
第2条(定義)
1. 本契約において...
2. 前項に定める...
第3条(責任)
この形式は、マルチレベル リストのカスタマイズで実現可能です。
技術文書の階層番号
ISO文書形式
1. 適用範囲
2. 引用規格
3. 用語及び定義
3.1 一般用語
3.2 技術用語
3.2.1 基本概念
3.2.2 応用概念
4. 要求事項
複数章にわたる図表番号
章別図表番号
- 第1章の図表:図1-1、表1-1
- 第2章の図表:図2-1、表2-1
この設定により、章ごとに図表番号をリセットできます。
テンプレートの活用
文書テンプレートの作成
番号付きテンプレート
- 完成した番号設定を含む文書を作成
- 「ファイル」→「名前を付けて保存」
- ファイルの種類で「Wordテンプレート(*.dotx)」を選択
- 次回から同じ番号設定で文書作成が可能
組織標準テンプレート
- 提案書テンプレート:標準的な章構成と図表番号
- 報告書テンプレート:決まった見出し構造
- マニュアルテンプレート:手順書用の番号設定
まとめ
Wordの自動番号機能を使えば、整った文書をスムーズに作成できます。
重要なポイント
- 段落・見出し・図表すべてに自動番号を付けられる
- 自動更新されるので修正がラクになる
- キャプションや目次とも連動可能
- 相互参照で文書内のリンクも自動管理
使い分けのコツ
- 段落番号:手順書や箇条書きに最適
- アウトライン番号:章・節構造のある長文書に最適
- キャプション:図表の管理と説明に最適
- 相互参照:読者の理解を助けるリンク機能
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