Word文書を作成していて、「ここに矢印があったらもっとわかりやすいのに」と思ったことはありませんか?プレゼン資料やマニュアル、レポートなどで、矢印を使って流れを示したり、重要な部分を強調したりできれば、読み手にとってずっとわかりやすい文書になります。
でも、「矢印ってどうやって出すの?」「いろんな種類があるみたいだけど、どれを使えばいいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
実は、Wordには矢印を表示する方法がたくさんあり、それぞれに特徴や使いどころがあります。この記事では、初心者の方でもすぐに使える矢印の出し方を、用途別に詳しく解説します。一度覚えてしまえば、文書作成がもっと楽しく、効果的になりますよ。
矢印を使う場面と効果

矢印が活躍する場面
矢印は、文書の様々な場面で活用できます:
手順や流れの説明
「ステップ1 → ステップ2 → ステップ3」のように、作業の順序を明確に示すことができます。
注意点の強調
重要な部分に矢印を向けることで、読み手の注意を引くことができます。
関係性の表現
「原因 → 結果」「問題 → 解決策」のような関係性を視覚的に表現できます。
図表の補足説明
グラフや図に説明を追加するときに、矢印で該当箇所を指し示すことができます。
矢印を使うメリット
視覚的にわかりやすい
文字だけで説明するよりも、矢印があることで内容がひと目で理解できます。
読み手の目線をガイド
矢印があることで、読み手がどの順番で情報を読めばいいかがわかります。
プロフェッショナルな印象
適切に矢印を使った文書は、整理されていてプロフェッショナルな印象を与えます。
方法1:図形で矢印を挿入する(デザイン性重視)
図形矢印の特徴
図形で作る矢印は、最も自由度が高く、見た目も美しく仕上がります。色や太さ、長さを自由に調整できるので、文書のデザインに合わせてカスタマイズできます。
詳細な操作手順
ステップ1:挿入タブを開く
- Wordの画面上部にある「挿入」タブをクリックします
- リボンメニューが表示されます
ステップ2:図形を選択する
- 「図」グループの中にある「図形」ボタンをクリックします
- 図形のメニューが表示されます
ステップ3:矢印の種類を選ぶ
図形メニューには、いくつかの矢印カテゴリがあります:
ブロック矢印
- 太くて目立つ矢印
- 強調したいときに効果的
- 様々な方向や形状を選択可能
線矢印
- シンプルで細い矢印
- 文書に溶け込みやすい
- 直線だけでなく曲線も選択可能
ステップ4:矢印を描く
- 使いたい矢印をクリックして選択します
- 文書上でドラッグして矢印を描きます
- マウスを離すと矢印が完成します
ステップ5:矢印をカスタマイズする
矢印を選択すると、「図形の書式」タブが表示されます:
色の変更
- 「図形の塗りつぶし」で矢印の内部の色を変更
- 「図形の枠線」で矢印の輪郭の色を変更
太さの調整
- 「図形の枠線」から「太さ」を選択して線の太さを調整
効果の追加
- 「図形の効果」から影やグローなどの視覚効果を追加
図形矢印の活用例
フロー図の作成
開始 → 処理1 → 判断 → 処理2 → 終了
強調ポイントの指示
重要な段落や図表に太い矢印で注意を引く
関係図の作成
複数の要素間の関係を矢印で結んで表現
方法2:記号として矢印を入力する(手軽さ重視)
記号矢印の特徴
記号として挿入する矢印は、文字と同じように扱われるため、文章の中に自然に組み込むことができます。手軽に入力でき、文字と一緒に編集できるのが特徴です。
詳細な操作手順
ステップ1:記号の挿入を開く
- 「挿入」タブをクリックします
- 「記号と特殊文字」グループの「記号と特殊文字」をクリックします
- 「その他の記号」を選択します
ステップ2:矢印記号を探す
- 記号ダイアログが表示されます
- 「種類」で「矢印」を選択します
- 様々な矢印記号が表示されます
ステップ3:矢印を選択して挿入
- 使いたい矢印記号をクリックして選択します
- 「挿入」ボタンをクリックします
- 文書に矢印が挿入されます
よく使われる矢印記号
基本的な矢印
- → 右向き矢印(最も一般的)
- ← 左向き矢印
- ↑ 上向き矢印
- ↓ 下向き矢印
太い矢印
- ⇒ 太い右向き矢印(強調用)
- ⇐ 太い左向き矢印
- ⇑ 太い上向き矢印
- ⇓ 太い下向き矢印
双方向矢印
- ↔ 左右双方向矢印
- ⇔ 太い左右双方向矢印
- ↕ 上下双方向矢印
特殊な矢印
- ⤴ 右上向き矢印
- ⤵ 右下向き矢印
- ↩ 左にカーブする矢印
- ↪ 右にカーブする矢印
フォントによる違い
矢印記号の見た目は、選択するフォントによって変わります:
MS UI Gothic
日本語環境でよく使われ、多くの矢印記号に対応しています。
Arial Unicode MS
幅広い記号に対応している英語フォントです。
Segoe UI Symbol
Windows標準の記号フォントで、美しい矢印記号が使用できます。
方法3:キーボード入力で矢印を出す(効率重視)

日本語変換を使った入力
日本語入力システム(IME)の変換機能を使うと、文字を入力するのと同じ感覚で矢印を出すことができます。
基本的な変換方法
「やじるし」の変換
- 「やじるし」と入力します
- スペースキーまたは変換キーを押します
- 変換候補に様々な矢印が表示されます:
- → ← ↑ ↓
- ⇒ ⇐ ⇑ ⇓
- ⤴ ⤵ ↩ ↪
方向別の変換
より具体的に方向を指定して変換することもできます:
右向き矢印
- 「みぎやじるし」→ →
- 「みぎ」→ →(短縮入力)
左向き矢印
- 「ひだりやじるし」→ ←
- 「ひだり」→ ←
上向き矢印
- 「うえやじるし」→ ↑
- 「うえ」→ ↑
下向き矢印
- 「したやじるし」→ ↓
- 「した」→ ↓
IME辞書の活用
ユーザー辞書への登録
よく使う矢印は、IMEのユーザー辞書に登録することで、さらに効率的に入力できます:
- よく使う矢印記号をコピーします
- IMEの設定を開きます
- 「辞書ツール」を選択します
- 「登録」をクリックして、読み方と矢印記号を登録します
便利な登録例
- 「やじ」→ →
- 「おおやじ」→ ⇒
- 「りょうほう」→ ↔
方法4:SmartArtで構造的な矢印を作成する(プロ仕様)
SmartArtの特徴
SmartArtは、複雑な図表を簡単に作成できる機能です。矢印を含んだ構造図やフロー図を、プロフェッショナルな見た目で作成できます。
詳細な操作手順
ステップ1:SmartArtの挿入
- 「挿入」タブをクリックします
- 「図」グループの「SmartArt」をクリックします
- SmartArtのギャラリーが表示されます
ステップ2:適切な図表を選択
SmartArtには、矢印を含む様々なカテゴリがあります:
プロセス
手順や流れを表現するのに適した図表です:
- 基本プロセス:シンプルな流れ図
- 詳細プロセス:詳しい説明付きの流れ図
- 連続ブロックプロセス:ブロック状の流れ図
階層
組織図や構造を表現するのに適した図表です:
- 組織図:会社の組織構造
- 階層図:情報の階層関係
関係
要素間の関係を表現するのに適した図表です:
- 基本ベン図:集合の関係
- 放射図:中心から放射状に広がる関係
ステップ3:テキストの入力
- 選択した図表が文書に挿入されます
- 「ここにテキストを入力」と表示されている部分をクリックします
- 内容を入力すると、自動的にレイアウトが調整されます
ステップ4:デザインの調整
SmartArtを選択すると、専用のタブが表示されます:
SmartArtのデザインタブ
- レイアウト:図表の構造を変更
- 色:全体の色調を変更
- SmartArtのスタイル:見た目のスタイルを変更
書式タブ
- 図形の塗りつぶし:個別の図形の色を変更
- 図形の枠線:枠線の色や太さを変更
- 図形の効果:影やグローなどの効果を追加
SmartArtの活用例
業務フロー図
受注 → 製造 → 検査 → 出荷 → 納品
組織図
社長
↓
部長 → 課長 → 係長 → 担当者
意思決定フロー
問題発生 → 情報収集 → 分析 → 判断 → 実行
よくある問題と解決方法
矢印が文字に重なってしまう問題
原因
図形で作成した矢印は、通常「行内」という設定で挿入されるため、文字と重なってしまうことがあります。
解決方法
文字列の折り返し設定を変更
- 矢印を右クリックします
- 「文字列の折り返し」を選択します
- 以下のオプションから適切なものを選択します:
- 前面:矢印が文字の前に表示される
- 背面:矢印が文字の後ろに表示される
- 四角:文字が矢印の周りを回り込む
位置の微調整
- 矢印を選択します
- 「図形の書式」タブをクリックします
- 「配置」グループで位置を細かく調整します
矢印のサイズを正確に調整したい場合
比率を維持した拡大・縮小
- 矢印を選択します
- Shiftキーを押しながら、角のハンドルをドラッグします
- 縦横の比率を維持したまま、サイズが変更されます
数値による精密調整
- 矢印を右クリックして「図形の書式設定」を選択します
- 「サイズとプロパティ」タブを開きます
- 幅と高さを数値で指定します
矢印の向きを変更したい場合
回転ハンドルを使用
- 矢印を選択します
- 矢印の上に表示される回転ハンドル(円形の矢印)をドラッグします
- 好きな角度に回転させます
正確な角度指定
- 矢印を右クリックして「図形の書式設定」を選択します
- 「サイズとプロパティ」タブを開きます
- 「回転」の欄に角度を入力します
矢印の色が変更できない場合
図形として挿入した矢印の場合
- 矢印を選択します
- 「図形の書式」タブをクリックします
- 「図形の塗りつぶし」または「図形の枠線」で色を変更します
記号として挿入した矢印の場合
- 矢印を選択します
- 「ホーム」タブの「フォント」グループで文字色を変更します
用途別おすすめ矢印選択ガイド

文書の種類別推奨方法
ビジネス文書・プレゼン資料
- SmartArt:組織図や業務フロー
- 図形矢印:強調や図解
- 記号矢印:簡単な補足説明
学術論文・レポート
- 記号矢印:因果関係の表現
- 図形矢印:図表の説明
- 日本語変換:簡単なメモ書き
マニュアル・手順書
- SmartArt:全体の流れ図
- 図形矢印:ステップ間の移行
- 記号矢印:注意点の指示
カジュアルな文書
- 日本語変換:手軽で素早い入力
- 記号矢印:シンプルな強調
矢印の太さと印象
細い矢印(記号・細線図形)
- 上品で落ち着いた印象
- 学術的・技術的文書に適している
- 情報が多い文書でも邪魔にならない
太い矢印(ブロック図形・太線図形)
- インパクトがあり、注意を引く
- プレゼン資料や広告に適している
- 重要なポイントの強調に効果的
デザインのコツとベストプラクティス
色の選び方
文書全体との調和
矢印の色は、文書全体のカラーテーマに合わせることが重要です:
- ビジネス文書:ネイビー、グレー、ダークブルーなど落ち着いた色
- プレゼン資料:コーポレートカラーやテーマカラーに合わせる
- 教育資料:明るく親しみやすい色(ただし、読みやすさを優先)
コントラストの確保
矢印が背景から浮き出るよう、十分なコントラストを確保しましょう:
- 白い背景:濃い色の矢印
- 濃い背景:明るい色の矢印
- カラフルな背景:モノトーンの矢印
サイズとバランス
文字サイズとの関係
矢印のサイズは、周囲の文字サイズとバランスを取ることが重要です:
- 本文の文字:矢印は同じかやや大きめ
- 見出しの文字:矢印はやや小さめ
- 図表のキャプション:矢印は控えめなサイズ
余白との関係
矢印の周りには適切な余白を確保し、窮屈にならないよう注意しましょう。
一貫性の重要性
スタイルの統一
同じ文書内では、矢印のスタイルを統一することが重要です:
- 同じ種類の矢印を使用
- 色調の統一
- サイズの統一
用途別の使い分け
異なる用途には、異なる矢印を使い分けることで、情報の整理ができます:
- フロー:一般的な矢印
- 強調:太い矢印
- 補足:細い矢印
まとめ
Wordでの矢印の使い方をマスターすることで、文書の表現力と読みやすさが大幅に向上します。それぞれの方法には特徴があり、用途に応じて使い分けることが重要です。
各方法の特徴まとめ
図形矢印
- メリット:デザイン性が高く、自由度が大きい
- 適用場面:プレゼン資料、図解、視覚的インパクトが必要な場面
- 注意点:文字列の折り返し設定に注意
記号矢印
- メリット:文字と同じように扱える、手軽に入力できる
- 適用場面:文章中の簡単な指示、リストの項目
- 注意点:フォントによって見た目が変わる
日本語変換矢印
- メリット:最も手軽で素早い入力が可能
- 適用場面:メモ書き、カジュアルな文書
- 注意点:フォーマルな文書では適さない場合がある
SmartArt矢印
- メリット:プロフェッショナルな見た目、構造的な表現が可能
- 適用場面:業務フロー、組織図、プロセス説明
- 注意点:編集がやや複雑
効果的な活用のために
目的を明確にする
矢印を使う前に、何を表現したいのかを明確にしましょう:
- 流れや順序を示したい
- 重要な部分を強調したい
- 関係性を表現したい
読み手の立場で考える
矢印が読み手にとって分かりやすいかを常に意識しましょう:
- 情報の流れが自然か
- 矢印の意味が明確か
- 視覚的に邪魔になっていないか
練習と改善
最初は思うようにいかないかもしれませんが、様々な方法を試しながら、自分のスタイルを見つけていきましょう。
矢印を効果的に使いこなして、より分かりやすく、魅力的な文書を作成してください。読み手に伝わりやすい文書作りの強力なツールとして、ぜひ活用してみてくださいね。
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