パソコンを使っていると、「ファイルサイズが大きすぎてメールで送れない」「ストレージの容量が足りない」といった悩みに直面することがありますよね。
そんなときに役立つのがファイル圧縮ソフトです。
その中でもWinZip(ウィンジップ)は、30年以上の歴史を持つ、世界で最も有名なファイル圧縮・解凍ソフトの一つです。
この記事では、WinZipの基本から、機能、使い方、メリット・デメリット、代替ソフトまで、わかりやすく解説していきます。
WinZipとは

基本情報
WinZip(ウィンジップ)は、ファイルを圧縮・解凍するためのユーティリティソフトウェアです。
開発元: WinZip Computing(旧Nico Mak Computing)
現在の販売元: Corel Corporation(コーレル)
初登場: 1991年4月
最新バージョン: WinZip 30(2025年時点)
対応OS: Windows、macOS、iOS、Android
価格体系: シェアウェア(試用版無料、継続利用は有料)
WinZipの歴史
1991年: WinZip 1.0リリース
- Windows 3.0向けのGUIアプリケーション
- PKZIPとPKUNZIPのフロントエンド
2003年: AES暗号化対応
- 銀行レベルの暗号化機能を搭載
2006年: Corelに譲渡
- ベクターキャピタルからCorelへ
2010年: マルチプラットフォーム展開
- Mac OS X版リリース
2012年: モバイル対応
- iOS版、Android版リリース
2019年: 日本での販売体制変更
- ソースネクストが独占販売契約
ファイル圧縮とは?
ファイル圧縮の仕組み
ファイル圧縮とは、ファイルのデータ量を小さくする技術のことです。
例え話:
- 衣類を旅行カバンに入れるとき、圧縮袋を使うと小さくなるのと同じ原理
- データの中にある「無駄」や「重複」を見つけて削減
圧縮の種類
1. ロスレス圧縮(可逆圧縮)
- データを完全に元に戻せる
- ZIP形式はこのタイプ
- 品質の劣化なし
2. ロッシー圧縮(非可逆圧縮)
- データの一部を削除して圧縮
- JPEG画像、MP3音声など
- 品質は多少劣化するが、大幅に小さくなる
WinZipが使う圧縮方式: ロスレス圧縮(主にZIP形式)
なぜファイルを圧縮するのか?
1. ストレージ容量の節約
- ハードディスクやSSDの空き容量を増やせる
2. ファイル送信の効率化
- メールの添付ファイルサイズ制限を回避
- アップロード・ダウンロード時間の短縮
3. ファイルの整理
- 複数のファイルを1つにまとめられる
- 関連ファイルをセットで管理しやすい
4. セキュリティ
- パスワード保護で情報を守れる
WinZipの主な機能
1. ファイル圧縮
対応する圧縮形式(作成):
- ZIP
- ZIPX(WinZip独自の高圧縮形式)
- 7Z
- TAR
- GZIP
- XZ
- VHD
特徴:
- ドラッグ&ドロップで簡単に圧縮
- 圧縮レベルを選択可能(速度優先か、圧縮率優先か)
- 大容量ファイルも高速処理
2. ファイル解凍
対応する解凍形式:
- ZIP
- RAR
- 7Z
- TAR
- GZIP
- BZ2
- CAB
- ISO
- IMG
- LHA/LZH(日本で人気の形式)
- その他多数
特徴:
- ほぼすべての主要圧縮形式に対応
- 圧縮ファイルを開かずに中身をプレビュー可能
3. 暗号化・パスワード保護
暗号化方式:
- AES-256ビット暗号化(銀行レベル、軍事レベル)
- AES-128ビット暗号化
- 標準ZIP 2.0暗号化(旧形式)
特徴:
- ZIPファイル作成時にパスワードを設定
- ファイルごとに異なるパスワードも設定可能
- PDFや画像にウォーターマーク追加
4. クラウド連携
対応クラウドサービス:
- Dropbox
- Google Drive
- OneDrive
- Box
- Amazon S3
- Microsoft Azure
- その他多数
できること:
- クラウドから直接ファイルを圧縮・解凍
- クラウドへ直接アップロード
- クラウドファイルへの共有リンク作成
5. ファイル共有
共有方法:
- メール添付
- SNS(Facebook、Twitterなど)
- インスタントメッセージング
- クラウドリンク共有
WinZip SafeShare機能:
- パスワード保護された暗号化ファイルを共有
- 有効期限の設定
- ファイルの自動削除
6. PDF管理(WinZip PDF Express)
PDF関連機能:
- PDFの作成
- PDFをWordや画像に変換
- 複数PDFの結合
- PDFページの並び替え、追加、削除
- ウォーターマークの追加
- コメント機能
7. その他の機能
画像管理:
- 画像のリサイズ
- 形式変換
- ウォーターマーク追加
重複ファイル検出:
- 重複ファイルを自動検出
- ストレージを最適化
自動バックアップ:
- 定期的な自動バックアップ
- クラウドやローカルドライブへ保存
ウイルススキャン:
- 圧縮ファイルを開く前にウイルスチェック
- マルウェアやランサムウェアから保護
WinZipの使い方
ファイルを圧縮する方法
方法1:ドラッグ&ドロップ
- WinZipを起動
- 圧縮したいファイルをWinZipウィンドウにドラッグ
- 「Zip に追加」をクリック
- 保存先を選択
- 「保存」をクリック
方法2:右クリックメニュー
- 圧縮したいファイルを右クリック
- 「WinZip」にマウスカーソルを合わせる
- 「ここに圧縮」または「メールで圧縮」を選択
方法3:WinZipインターフェース
- WinZipを起動
- 左側のファイルパネルでファイルを選択
- 「Zip に追加」をクリック
- 圧縮設定(パスワード、暗号化など)を選択
- 「保存」をクリック
ファイルを解凍する方法
方法1:ダブルクリック
- ZIPファイルをダブルクリック
- WinZipが自動的に開く
- 右側のパネルで「解凍先」を選択
- 「解凍」をクリック
方法2:右クリックメニュー
- ZIPファイルを右クリック
- 「WinZip」にマウスカーソルを合わせる
- 「ここに解凍」を選択
パスワード付きZIPを作成
- WinZipでファイルを選択
- 「暗号化」タブをクリック
- 暗号化方式を選択(AES-256推奨)
- パスワードを入力
- 「Zip に追加」をクリック
WinZipのメリット

1. 使いやすいインターフェース
特徴:
- 直感的なデザイン
- ドラッグ&ドロップ対応
- 初心者でも簡単に使える
2. 強力な暗号化機能
特徴:
- AES-256ビット暗号化
- 銀行レベルのセキュリティ
- ビジネス用途でも安心
3. 幅広い形式対応
特徴:
- ほぼすべての主要圧縮形式に対応
- 異なる環境から送られたファイルも開ける
- 文字化けしにくい
4. クラウド連携
特徴:
- 主要クラウドサービスに対応
- クラウドから直接操作可能
- ファイル共有が簡単
5. 多機能
特徴:
- PDF管理
- 画像編集
- 重複ファイル検出
- 自動バックアップ
- オールインワンソリューション
6. マルチプラットフォーム
特徴:
- Windows、Mac、iOS、Android対応
- デバイス間でシームレスに使える
7. 企業向け機能
特徴:
- エンタープライズ版あり
- 一括管理可能
- カスタマイズ可能なインストールパッケージ
WinZipのデメリット
1. 有料ソフト
問題点:
- 無料試用版は期間限定(通常30日)
- 継続利用にはライセンス購入が必要
- 価格:約4,000~6,000円(バージョンやエディションによる)
2. 無料ソフトで十分な場合も
問題点:
- 基本的な圧縮・解凍だけなら無料ソフトでも可能
- Windows標準機能でZIP圧縮・解凍は可能
- 7-ZipやLhaplusなどの無料ソフトもある
3. 機能が多すぎる
問題点:
- 初心者には複雑に感じる可能性
- 使わない機能が多い
- インターフェースが混雑して見える
4. アクティベーションが必要
問題点:
- インターネット接続によるアクティベーションが必須
- オフライン環境では使いづらい
5. 類似名称の迷惑ソフトに注意
注意:
- 「WinZip Driver Updater」という名前の偽物ソフトが存在
- これはWinZipとは無関係のPUP(迷惑ソフト)
- ウイルスやアドウェアの可能性
- 公式サイト以外からのダウンロードは危険
WinZipの代替ソフト
1. 7-Zip(無料)
特徴:
- 完全無料、オープンソース
- 高圧縮率(7Z形式)
- シンプルなインターフェース
向いている人:
- 無料ソフトを探している
- 基本的な圧縮・解凍だけでよい
向いていない人:
- クラウド連携が必要
- PDF編集などの付加機能が欲しい
2. WinRAR(有料)
特徴:
- RAR形式の作成・解凍に対応
- 高い圧縮率
- WinZipと同じくらい有名
向いている人:
- RAR形式を使いたい
- 高圧縮率を重視
価格: WinZipと同程度
3. Lhaplus(無料・日本製)
特徴:
- 完全無料
- 日本語対応
- LZH形式に強い
- シンプル
向いている人:
- 日本語環境重視
- LZH形式を使う
4. Bandizip(無料・一部有料)
特徴:
- 無料版でも多機能
- 高速処理
- モダンなインターフェース
向いている人:
- 無料で多機能なソフトが欲しい
- 高速処理を重視
5. PeaZip(無料)
特徴:
- オープンソース
- 200以上の形式に対応
- セキュリティ機能も充実
向いている人:
- オープンソースソフトを好む
- 多様な形式に対応したい
WinZipは安全?
公式版は安全
結論: 公式サイトからダウンロードしたWinZipは安全です。
安全性:
- Corel社の正規製品
- ウイルスやマルウェアは含まれていない
- 世界中で使用されている実績
注意点
1. 偽物ソフトに注意
危険なソフト:
- WinZip Driver Updater(偽物・PUP)
- WinZip System Utilities Suite(偽物・PUP)
- WinZip Registry Optimizer(偽物・アドウェア)
これらはCorelとは無関係で、悪意のあるソフトです。
2. 公式サイトからのみダウンロード
安全なダウンロード先:
- WinZip公式サイト(winzip.com)
- Corel公式サイト
- ソースネクスト(日本の正規代理店)
避けるべき:
- 不明なダウンロードサイト
- 「無料フルバージョン」などの怪しい広告
- P2Pファイル共有
3. ZIPファイル自体のウイルスに注意
WinZip自体は安全ですが、ZIPファイルの中身にウイルスが含まれている可能性があります。
対策:
- 信頼できない送信元のZIPファイルは開かない
- WinZipのウイルススキャン機能を使う
- ウイルス対策ソフトを常駐させる
WinZipの料金
WinZip 30(2025年時点)
Standard版:
- 価格:約4,000~5,000円
- 基本的な圧縮・解凍機能
- 暗号化機能
- クラウド連携
Pro版:
- 価格:約6,000~7,000円
- Standard版の全機能
- PDF管理機能
- 画像管理機能
- バックアップ機能
Enterprise版:
- 価格:問い合わせ(ボリュームライセンス)
- Pro版の全機能
- 一括管理
- カスタマイズ可能
無料試用版
期間: 通常30日間(評価版)
制限:
- 機能制限なし
- 期間終了後は購入が必要
- 購入しないとポップアップが頻繁に表示
よくある質問(FAQ)
Q1. WinZipは無料で使える?
A: 30日間の無料試用期間がありますが、継続利用には購入が必要です。
基本的な圧縮・解凍だけなら、無料ソフト(7-Zip、Lhaplusなど)でも十分です。
Q2. Windows標準機能とWinZipの違いは?
A: Windows標準機能でもZIP形式の圧縮・解凍はできますが、WinZipには以下の利点があります:
- パスワード保護(Windows標準はパスワード設定不可)
- 多様な形式対応(RAR、7Zなど)
- 暗号化機能
- クラウド連携
- PDF編集などの付加機能
Q3. WinZipをアンインストールするには?
A: Windowsの場合:
- 「設定」→「アプリ」→「アプリと機能」
- 「WinZip」を探して選択
- 「アンインストール」をクリック
- 画面の指示に従う
完全削除:
- C:/Users/ユーザー名/AppData/Local内のWinZipフォルダを削除
- C:/Users/ユーザー名/AppData/Roaming内のWinZipフォルダを削除
- C:/ProgramData内のWinZipフォルダを削除
Q4. WinZipで圧縮すると、どれくらい小さくなる?
A: ファイルの種類によります。
圧縮効果が高いファイル:
- テキストファイル:50~90%削減
- Office文書(Word、Excel):30~70%削減
- プログラムファイル:40~80%削減
圧縮効果が低いファイル:
- JPEG画像:ほとんど変わらない(すでに圧縮済み)
- MP3音声:ほとんど変わらない
- MP4動画:ほとんど変わらない
Q5. ZIPファイルのパスワードを忘れた場合は?
A: WinZipにはパスワード回復機能はありません。
対策:
- パスワード解析ソフトを使う(有料ツールが多い)
- 例:iMyFone Passper Proなど
- ただし、強力なパスワードは解析困難
予防策:
- パスワードを記録しておく
- パスワード管理ソフトを使う
Q6. WinZipとWinRARはどちらが良い?
A: 用途によります。
WinZipが向いている:
- クラウド連携を使いたい
- PDF編集などの付加機能が欲しい
- ZIP形式をメインで使う
WinRARが向いている:
- RAR形式を作成したい
- より高い圧縮率を重視
- シンプルな機能でよい
どちらも:
- 有料(価格は同程度)
- 高機能
- 信頼性が高い
Q7. Macでも使える?
A: はい、WinZip for Macがあります。
対応OS: macOS 10.12以降
機能: Windows版とほぼ同じ
Q8. スマホでも使える?
A: はい、iOS版とAndroid版があります。
できること:
- ファイルの圧縮・解凍
- クラウドファイルの管理
- ファイル共有
価格: 無料版と有料版あり
Q9. ビジネスで使っても大丈夫?
A: はい、企業向けのEnterprise版があります。
企業向け機能:
- ボリュームライセンス
- 一括管理
- FIPS 140-2準拠の暗号化(政府・金融機関レベル)
- カスタマイズ可能
Q10. WinZipは買う価値がある?
A: 用途次第です。
買う価値がある人:
- パスワード保護されたZIPを頻繁に作る
- クラウドサービスとの連携を使いたい
- PDF編集などの付加機能が必要
- ビジネスで使う
無料ソフトで十分な人:
- 基本的な圧縮・解凍だけでよい
- パスワード保護は不要
- 付加機能は使わない
まとめ
WinZipについて、重要なポイントをまとめます。
1. WinZipとは:
- ファイル圧縮・解凍ソフトの定番
- 1991年登場、30年以上の歴史
- Corelが販売
2. 主な機能:
- ファイル圧縮・解凍
- AES暗号化・パスワード保護
- クラウド連携
- PDF管理
- 画像編集
- 重複ファイル検出
3. 対応形式:
- 圧縮:ZIP、ZIPX、7Z、TAR、GZIPなど
- 解凍:ZIP、RAR、7Z、LZH、ISOなど多数
4. メリット:
- 使いやすいインターフェース
- 強力な暗号化(AES-256)
- 幅広い形式対応
- クラウド連携
- 多機能(PDF、画像編集など)
5. デメリット:
- 有料(約4,000~6,000円)
- 基本機能だけなら無料ソフトでも十分
- 偽物ソフトに注意が必要
6. 代替ソフト:
- 7-Zip(無料)
- WinRAR(有料)
- Lhaplus(無料・日本製)
- Bandizip(無料・一部有料)
7. 安全性:
- 公式版は安全
- 偽物ソフト(WinZip Driver Updaterなど)に注意
- 公式サイトからのみダウンロード
8. 価格:
- Standard版:約4,000~5,000円
- Pro版:約6,000~7,000円
- 30日間の無料試用版あり
9. 向いている人:
- パスワード保護が必要
- クラウド連携を使いたい
- PDF編集などの付加機能が欲しい
- ビジネス用途
10. 向いていない人:
- 基本的な圧縮・解凍だけでよい
- 無料ソフトで十分
- シンプルな機能を好む
最終的な選択:
WinZipは高機能で使いやすいソフトですが、有料です。
基本的な圧縮・解凍だけなら、7-ZipやLhaplusなどの無料ソフトで十分です。
一方、パスワード保護、クラウド連携、PDF編集などの機能が必要なら、WinZipは非常に便利です。
まずは無料試用版で試してみて、自分に必要かどうか判断するのがおすすめです!

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