Rubyを使っているとよくある悩みがこちら:
- 「プロジェクトごとにRubyのバージョンが違う…」
- 「複数のRubyバージョンを切り替えたい!」
- 「rbenvやRVMがWindowsで使えない!」
そんなWindowsユーザーの救世主となるのが、「uru(ウル)」というツールです。
この記事では、Windowsで使える軽量Rubyバージョン切り替えツール「uru」について、初心者向けにわかりやすく解説します。
uruとは?

uru
は、複数のRubyバージョンを簡単に切り替えることができるWindows用ツールです。
主な特徴
- WindowsとUnix系の両方で動作する(クロスプラットフォーム)
- rbenvやRVMの代替として軽量
- シェル環境ごとにRubyバージョンを切り替えられる
- RubyInstallerでインストールしたRubyと相性抜群
- PATHを自動的に調整してRubyのバージョンを切り替える
LinuxやMacではrbenvやRVMが人気のRuby管理ツールですが、Windows環境ではuruが最適な選択肢の一つです。
uruが必要になる場面とは?
こんなときに便利!
- Ruby 2.7と3.2のプロジェクトを同時に管理したい
- グローバルに古いバージョンを入れているが、新しいプロジェクトには最新版を使いたい
- rbenvやRVMがLinux専用で困っていたWindowsユーザー
- 古いgemやフレームワークが最新のRubyでは動かない
- 複数のRuby on Railsプロジェクトでバージョンの依存関係が異なる
具体的な例
例えば、あなたが以下のような状況にある場合:
- 会社のプロジェクトではRuby 2.7.6が必要
- 個人開発では最新のRuby 3.2.2を使いたい
- オープンソースに貢献するためにRuby 3.0.5も必要
uruがあれば、コマンド一つでこれらのバージョンを簡単に切り替えられます!
uruのインストール方法(Windows編)

ステップ1:GitHubからダウンロード
公式ページ(Bitbucket)にアクセスし、Windows用のuru-win.exe
をダウンロードします。
または PowerShell で:
Invoke-WebRequest -Uri https://bitbucket.org/jonforums/uru/downloads/uru-0.8.4-win.zip -OutFile uru.zip
Expand-Archive uru.zip -DestinationPath C:\uru
ステップ2:環境変数にパスを追加
C:\uru
をPath環境変数に追加します。
手動で追加する場合:
- スタートメニュー → 「環境変数」と検索 → 「システム環境変数の編集」
- 「環境変数」ボタンをクリック
- 「ユーザー環境変数」の「Path」を選択し「編集」
- 「新規」をクリックして、
C:\uru
を追加 - 「OK」を押して閉じる
コマンドプロンプトまたはPowerShellで有効化:
C:\uru\uru_rt admin install
ステップ3:インストールの確認
uru --version
バージョン情報が表示されればインストール成功です。
Rubyを登録・切り替える方法

ステップ1:インストール済みのRubyをuruに登録
まず、複数のRubyバージョンをインストールします:
- RubyInstallerのサイトから複数バージョンをダウンロード(例:Ruby 2.7.6, 3.0.5, 3.2.2など)
- それぞれをデフォルトの場所にインストール(例:
C:\Ruby27-x64\
,C:\Ruby32-x64\
など)
次に、インストールしたRubyをuruに登録します:
uru admin add C:\Ruby32-x64\bin\ruby.exe
Rubyのパスは where ruby
などで確認可能です。
複数のRubyを登録する例:
uru admin add C:\Ruby27-x64\bin\ruby.exe
uru admin add C:\Ruby30-x64\bin\ruby.exe
uru admin add C:\Ruby32-x64\bin\ruby.exe
ステップ2:登録済みのRubyを確認
uru ls
出力例:
1) 270p415 : ruby 2.7.0p415 (2020-01-15) [x64-mingw32]
2) 305p470 : ruby 3.0.5p470 (2023-09-19) [x64-mingw32]
* 3) 322p100 : ruby 3.2.2p100 (2023-05-12) [x64-mingw-ucrt]
*
マークが付いているのが現在使用中のRubyです。
ステップ3:Rubyの切り替え
識別子(例:322など)を使って切り替えます:
(識別子)
uru 270
または完全な識別子を使います:
uru 270p415
バージョンを確認:
ruby -v
これで、Ruby 2.7.0に切り替わっているはずです!
よく使うuruコマンド一覧
コマンド | 説明 |
---|---|
uru admin add <path> | Rubyを登録 |
uru ls | 登録済みRuby一覧を表示 |
uru 識別子 | Rubyバージョン切り替え(識別子で選ぶ) |
uru_rt admin install | uruの実行環境をシェルに統合(初回のみ) |
uru | 現在の状態を確認 |
uru --help | ヘルプを表示 |
uru admin rm <tag> | 登録済みRubyを削除 |
uru auto | .ruby-versionに基づき自動切り替え |
uruの高度な使い方

プロジェクトごとのRubyバージョン自動切り替え
プロジェクトディレクトリに.ruby-version
ファイルを作成し、Rubyの識別子を書き込みます:
# .ruby-version ファイルの内容
270p415
そして、そのディレクトリに移動したときに:
uru auto
を実行すると、指定されたRubyバージョンに自動的に切り替わります。
一時的なRuby環境の作成
現在のコマンドプロンプトまたはPowerShellだけで有効なRuby環境を作成できます:
uru 270 --
この設定は現在のシェル環境だけで有効で、新しいウィンドウでは元のRubyバージョンが使われます。
よくあるトラブルと対処法

「’uru’ is not recognized」というエラーが出る
→ Path環境変数にuruのインストールディレクトリが追加されていない可能性があります。
Path環境変数を確認し、必要であればC:\uru
を追加してください。
Rubyの切り替えが反映されない
→ 新しいコマンドプロンプトまたはPowerShellを開いて試してみてください。
また、uru ls
で現在のRubyバージョンを確認し、切り替え後にruby -v
で確認してみてください。
「Permission denied」エラーが出る
→ 管理者権限でコマンドプロンプトまたはPowerShellを実行して試してみてください。
まとめ
uru
は、Windows環境で複数のRubyバージョンをスマートに管理・切り替えるための軽量ツールです。
uruのポイントまとめ
- rbenvやRVMのような役割をWindowsで実現
- RubyInstallerと相性が良い
- 複数プロジェクトのRuby切り替えがラクになる
- コマンド一つで異なるRubyバージョンを使い分けられる
- プロジェクトディレクトリごとに自動でバージョンを切り替えられる
Rubyを日常的に使うWindowsユーザーにはぜひ導入をおすすめします!
特に複数のプロジェクトを同時に進行している開発者にとって、uruは貴重な時間と労力を節約してくれる強い味方となるでしょう。
現代のRuby開発では、プロジェクトごとに適切なバージョンを使い分けることが当たり前になっています。
uruを使えば、Windowsでも快適なRuby開発環境を構築できます!
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