Windowsの検索機能を使って探しても、確実に存在するはずのファイルが検索結果に出てこない——こんな経験はありませんか?
あるいは、検索が異常に遅い、検索結果が明らかに間違っているということも。
これらの問題の多くは、検索インデックス(グローバル検索データベース)の破損や不具合が原因です。
今回は、Windows検索インデックスの仕組みから、再構築の方法、トラブルシューティングまで、すべてを詳しく解説します。
検索インデックス(グローバル検索データベース)とは?

インデックスは「目次」のようなもの
検索インデックスとは、Windowsがファイルを素早く検索するために作成する「デジタルな目次」です。
本の目次に例えると:
- 本文: パソコン内の実際のファイル
- 目次: 検索インデックス
- ページをめくって探す: インデックスなしの検索(遅い)
- 目次で探す: インデックスありの検索(速い)
インデックスに記録される情報
検索インデックスには、以下の情報が格納されています:
ファイルの基本情報:
- ファイル名
- ファイルの場所(パス)
- ファイルの種類(拡張子)
- 作成日時
- 更新日時
ファイルのプロパティ:
- 作成者
- タグ
- 評価
ファイルの中身(設定による):
- テキストファイルの内容
- Word文書の内容
- PDFの内容
- メールの本文
インデックスファイルの場所と名前
Windows 10:
C:\ProgramData\Microsoft\Search\Data\Applications\Windows\Windows.edb
Windows 11:
C:\ProgramData\Microsoft\Search\Data\Applications\Windows\Windows.db
サービス名: Windows Search(Searchindexer.exe)
なぜインデックスの再構築が必要なのか
【理由1】インデックスの破損
症状:
- ファイルが存在するのに検索結果に出ない
- 検索が途中で止まる
- 検索サービスが応答しない
原因:
- 強制終了やクラッシュ
- ディスクエラー
- システムアップデートの失敗
- ウイルス感染
【理由2】インデックスが古くなっている
症状:
- 最近作成したファイルが検索できない
- 削除したファイルが検索結果に残る
- ファイル名を変更したのに古い名前で検索される
原因:
- インデックスの自動更新が追いついていない
- インデックスサービスが停止していた
- 大量のファイルを一度に追加した
【理由3】検索が異常に遅い
症状:
- 検索結果が表示されるまで数分かかる
- 検索中にパソコンが重くなる
原因:
- インデックスデータベースが肥大化
- 断片化
- インデックスが正しく動作していない
【理由4】Windows Updateやアップグレード後
症状:
- アップデート後から検索がおかしい
- スタートメニューの検索が機能しない
原因:
- アップデートによるインデックス設定の変更
- インデックスファイルの破損
再構築前の確認事項
【確認1】Windows Search サービスが動作しているか
確認手順:
Windows + Rを押して「ファイル名を指定して実行」を開くservices.mscと入力してEnter- 「Windows Search」を探す
- 「状態」が「実行中」になっているか確認
もし停止していたら:
- 右クリック→「開始」
【確認2】インデックス対象の場所を確認
手順:
- スタートメニューから「設定」を開く
- 「検索」(または「プライバシーとセキュリティ」→「Windows検索」)
- インデックスの対象場所を確認
【確認3】ディスクの空き容量
必要な空き容量:
- 最低でも数GB以上の空き容量が必要
- インデックスデータベースは数百MB~数GBになる場合がある
検索インデックスの再構築方法【3つの方法】
【方法1】設定画面から再構築(推奨・初心者向け)
最も簡単で安全な方法です。
Windows 11の手順:
- 設定を開く
Windows + I- またはスタートメニュー→「設定」
- 検索設定を開く
- 「プライバシーとセキュリティ」をクリック
- 「Windows検索」(または「検索」)をクリック
- 詳細設定を開く
- 下にスクロールして「詳細インデックス オプション」をクリック
- インデックスのオプション画面が表示される
- 「詳細設定」ボタンをクリック
- 再構築を実行
- 「インデックスの設定」タブを選択
- 「トラブルシューティング」セクションの「再構築」ボタンをクリック
- 確認メッセージ
- 「インデックスの再作成には時間がかかる場合があります」と表示される
- 「OK」をクリック
- 再構築開始
- バックグラウンドでインデックスの再構築が始まります
Windows 10の手順:
- 設定を開く
Windows + I
- 検索設定を開く
- 「検索」をクリック
- 左側のメニューから「Windows検索」を選択
- 詳細設定を開く
- 「詳細検索インデクサーの設定」をクリック
- 以降はWindows 11と同じ
- 「詳細設定」→「再構築」
【方法2】コントロールパネルから再構築(すべてのWindows対応)
手順:
- コントロールパネルを開く
Windows + Rを押すcontrolと入力してEnter
- 表示方法を変更
- 右上の「表示方法」を「小さいアイコン」または「大きいアイコン」に変更
- インデックスのオプションを開く
- 「インデックスのオプション」をクリック
- 詳細設定を開く
- 「詳細設定」ボタンをクリック
- 再構築
- 「インデックスの設定」タブ
- 「トラブルシューティング」の下にある「再構築」をクリック
- 確認して実行
- 「OK」をクリック
ショートカット:
以下を「ファイル名を指定して実行」(Windows + R)で実行すると、直接「インデックスのオプション」が開きます:
control /name Microsoft.IndexingOptions
または
control.exe srchadmin.dll
【方法3】コマンドプロンプトで再構築(上級者向け)
この方法の特徴:
- インデックスを完全に削除してから再構築
- より徹底的なリセット
手順:
- コマンドプロンプトを管理者として実行
- スタートメニューで「cmd」と検索
- 「コマンドプロンプト」を右クリック
- 「管理者として実行」
- Windows Searchサービスを停止
net stop wsearch
- インデックスファイルを削除 Windows 10の場合:
del "%ProgramData%\Microsoft\Search\Data\Applications\Windows\Windows.edb"
Windows 11の場合:
del "%ProgramData%\Microsoft\Search\Data\Applications\Windows\Windows.db"
del "%ProgramData%\Microsoft\Search\Data\Applications\Windows\Windows-gather.db"
- Windows Searchサービスを再起動
net start wsearch
注意: 1回で起動しない場合があります。その場合は2~3回繰り返してください。
バッチファイルで実行:
以下の内容を「メモ帳」にコピーして、rebuild_index.bat として保存(拡張子を必ず.batにする):
@echo off
net stop wsearch
del "%ProgramData%\Microsoft\Search\Data\Applications\Windows\Windows.edb"
:wsearch
net start wsearch
IF NOT %ERRORLEVEL%==0 (goto :wsearch) ELSE goto :END
:END
保存したファイルを右クリック→「管理者として実行」
インデックスを完全リセットする方法(レジストリ使用)
注意: この方法は、インデックスの設定もすべて初期化されます。
レジストリを編集する手順
- レジストリエディタを開く
Windows + Rを押すregeditと入力してEnter- ユーザーアカウント制御で「はい」
- 以下のキーに移動
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows Search
- 値を変更
- 右側のペインで「SetupCompletedSuccessfully」を探す
- ダブルクリック
- 「値のデータ」を
1から0に変更 - 「OK」をクリック
- レジストリエディタを閉じる
- パソコンを再起動
この操作の効果:
- インデックス対象の場所が初期値に戻る
- インデックスが完全に再構築される
トラブルシューティングツールを使う方法

Windowsには専用のトラブルシューティングツールがあります。
Windows 11の手順
- 設定を開く
Windows + I
- トラブルシューティングを開く
- 「システム」→「トラブルシューティング」
- 「その他のトラブルシューティング ツール」
- 検索とインデックス作成を実行
- 「検索とインデックス作成」の「実行」をクリック
- 問題を選択
- 該当する問題にチェック
- 「次へ」
Windows 10の手順
- 設定を開く
Windows + I
- トラブルシューティングを開く
- 「更新とセキュリティ」
- 「トラブルシューティング」
- 検索とインデックス作成
- 「検索とインデックス作成」をクリック
- 「トラブルシューティング ツールの実行」
コマンドで直接起動
msdt.exe -ep SystemSettings_Troubleshoot_L2 -id SearchDiagnostic
再構築中の注意事項
所要時間
インデックスの再構築にかかる時間は、状況によって大きく異なります:
少量のデータ:
- 数千ファイル → 10分~30分
中程度のデータ:
- 数万ファイル → 1時間~3時間
大量のデータ:
- 10万ファイル以上 → 数時間~数日
特に時間がかかる例:
- インデックス対象が40万項目を超える場合
- ファイルの中身もインデックス化している場合
再構築中の動作
インデックス作成中:
- バックグラウンドで動作
- CPU使用率が上がる(最大15%程度)
- ディスク使用率が上がる
ユーザーの操作を検知すると:
- インデックス作成速度が自動的に低下
- パソコンの動作に影響を与えないよう配慮
アイドル状態(何も操作していない)では:
- インデックス作成速度がフルスピードに戻る
実行するタイミング
推奨:
- パソコンをあまり使わない時間帯に実行
- 夜間や週末など
- 再構築中は検索結果が不完全になる可能性がある
やってはいけないこと
再構築中に避けるべき操作:
- ❌ パソコンの強制終了
- ❌ インデックスサービスの強制停止
- ❌ インデックスファイルの手動削除(コマンド以外で)
進行状況の確認方法
【方法1】インデックスのオプションで確認
- 「インデックスのオプション」を開く
- 上部に進行状況が表示される
- 例:「インデックスを作成しています… 12,345 個の項目をインデックス化しました」
- 完了すると「インデックスの作成は完了しました」
【方法2】設定画面で確認
Windows 11:
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windows検索」
- 「インデックス作成の状態」を確認
- 完了すると「完了」と表示
Windows 10:
- 「設定」→「検索」→「Windows検索」
- インデックス作成状況が表示される
よくある問題と解決法
Q1:再構築がいつまでも終わらない
原因:
- インデックス対象が多すぎる(40万項目以上)
- ファイルサイズが大きい
- ディスクが遅い
対処法:
- インデックス対象を減らす
- 「インデックスのオプション」→「変更」
- 不要なフォルダのチェックを外す
- ファイルの中身のインデックス化を無効にする
- 「詳細設定」→「ファイルの種類」タブ
- 「インデックスのプロパティとファイルのコンテンツにインデックスを付ける」のチェックを外す
- 一度中断して再実行
- サービスを再起動
Q2:再構築後も検索結果がおかしい
対処法:
- 完全リセットを試す
- レジストリを使った完全リセット
- または完全削除してから再構築
- トラブルシューティングツールを実行
- Windows Updateを実行
- 最新の更新プログラムを適用
Q3:スタートメニューの検索が動かない
原因:
- インデックス作成中
- Windows Searchサービスが停止
対処法:
- サービスを再起動
services.mscを開く- 「Windows Search」を右クリック→「再起動」
- Windowsを再起動
Q4:「インデックスのオプション」が開けない
対処法:
- 設定画面から開く
- 前述の方法1を使用
- コマンドで開く
control.exe srchadmin.dll
Q5:Windows.edb / Windows.dbが見つからない
原因:
- インデックスがまだ作成されていない
- 隠しファイルが表示されていない
対処法:
- 隠しファイルを表示
- エクスプローラーで「表示」タブ
- 「隠しファイル」にチェック
- ProgramDataフォルダは隠しフォルダ
- 通常は見えない
インデックスの最適化のヒント
【ヒント1】インデックス対象を厳選
推奨:
- 頻繁に検索するフォルダだけを対象にする
- システムフォルダ、外付けドライブは対象外にする
対象から外すべきフォルダの例:
- プログラムファイル
- Windows フォルダ
- 一時ファイル
- 大量の動画・音楽(検索しない場合)
【ヒント2】ファイルの種類を限定
手順:
- 「インデックスのオプション」→「詳細設定」
- 「ファイルの種類」タブ
- 不要な拡張子のチェックを外す
【ヒント3】定期的なメンテナンス
推奨頻度:
- 3~6か月に1回程度、再構築を実行
- 大量のファイルを追加・削除した後
【ヒント4】SSDの場合
SSDでは:
- インデックス作成が高速
- ただし書き込み回数が増える
- 適度に対象を絞る
検索を速くする他の方法
Everything(サードパーティツール)
特徴:
- 超高速ファイル検索ツール
- Windowsインデックスより圧倒的に速い
- ファイル名のみの検索に特化
ダウンロード:
- 公式サイトから無料でダウンロード可能
エクスプローラーの検索オプション
設定:
- エクスプローラー→「表示」→「オプション」
- 「検索」タブ
- 検索方法をカスタマイズ
まとめ:検索インデックスを健全に保つために
Windows検索インデックスは、ファイル検索を高速化する重要な機能ですが、破損や不具合が起きることもあります。
覚えておきたいポイント:
- インデックスは「目次」
- ファイルを素早く見つけるための索引
- 再構築の方法は3つ
- 設定画面から(簡単・推奨)
- コントロールパネルから
- コマンドプロンプトから(完全削除)
- 所要時間
- 数分~数日(データ量による)
- 夜間など使わない時間に実行
- 定期的なメンテナンス
- 3~6か月に1回の再構築
- 問題が起きる前の予防
- トラブルシューティング
- Windows標準ツールを活用
- サービスの再起動で解決することも
すぐに試せる対処法:
【手順】
1. Windows + I(設定)
2. 検索 → Windows検索
3. 詳細インデックス オプション
4. 詳細設定 → 再構築
5. OK
検索インデックスを正しくメンテナンスすることで、Windowsの検索機能が快適に使えるようになります。
「ファイルが見つからない」というストレスから解放されて、効率的なパソコン作業を実現しましょう!

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