「あれ、このサーバーのパスワードって何だったっけ?」
ネットワークドライブに接続しようとして、こんな経験はありませんか?
実は、Windowsにはパスワードやユーザー名を自動で保存してくれる便利な機能があります。それが「Windows資格情報マネージャー」です。
この記事では、資格情報マネージャーの基本的な仕組みから使い方、そして知っておきたいセキュリティの注意点まで分かりやすく解説します。
Windows資格情報マネージャーって何?

資格情報マネージャーは、Windowsに標準で搭載されているパスワード管理ツールです。
簡単に言うと、「あなたのログイン情報を記憶してくれる便利な金庫」のようなもの。
一度ログイン情報を保存すれば、次回から自動でパスワードを入力してくれます。
どんな情報が保存されるの?
資格情報マネージャーが保存する情報は、大きく分けて2種類あります。
1. Web資格情報
Webサイトへのログイン情報が保存されます。
例えば、Microsoft EdgeやInternet Explorerで保存したIDやパスワードがここに入っています。
2. Windows資格情報
Windowsのシステムやネットワークに関する情報が保存されます。
具体的には以下のような場面で使われます。
- ネットワークドライブへの接続
- 社内サーバーへのアクセス
- リモートデスクトップ接続
- 共有フォルダへのアクセス
資格情報マネージャーはどこにある?開き方を解説
資格情報マネージャーを開く方法はいくつかあります。
自分に合った方法を選んでください。
方法1:検索ボックスから開く(一番簡単!)
- タスクバーの検索ボックスに「資格情報マネージャー」と入力
- 「資格情報マネージャー コントロールパネル」をクリック
これが最も簡単な方法です。
方法2:コマンドで直接開く
少し上級者向けですが、こちらの方が早いです。
- 「Windowsキー + R」を同時に押す
- 表示されたウィンドウに以下を入力:
control /name Microsoft.CredentialManager
- Enterキーを押す
これでダイレクトに資格情報マネージャーが開きます。
方法3:コントロールパネルから開く
従来のやり方がお好きな方はこちら。
- エクスプローラーを開く
- アドレスバーに「コントロールパネル」と入力
- 「資格情報マネージャー」を探してクリック
保存されたパスワードを確認する方法
「保存したはずのパスワードを確認したい」という時もありますよね。
資格情報マネージャーなら簡単に確認できます。
確認の手順
- 資格情報マネージャーを開く
- 確認したい項目の右側にある「▼」(矢印ボタン)をクリック
- 情報が展開されるので、「パスワードの表示」をクリック
- 本人確認のため、Windowsアカウントのパスワード入力を求められる場合があります
- 入力後、パスワードが表示されます
注意点:
パスワードを表示するには管理者権限が必要な場合があります。
また、セキュリティソフトの設定によってはブロックされることもあります。
資格情報の追加・編集・削除の方法
自分で手動で資格情報を管理することもできます。
新しい資格情報を追加する
- 資格情報マネージャーを開く
- 「Windows資格情報」または「Web資格情報」を選択
- 「Windows資格情報の追加」または「Web資格情報の追加」をクリック
- 必要な情報を入力
- インターネットまたはネットワークのアドレス
- ユーザー名
- パスワード
- 「OK」をクリック
資格情報を編集する
- 編集したい資格情報の右側にある「▼」をクリック
- 「編集」をクリック
- 必要な情報を修正
- 「保存」をクリック
資格情報を削除する
使わなくなった資格情報は削除しましょう。
- 削除したい資格情報の右側にある「▼」をクリック
- 「削除」をクリック
- 確認メッセージが表示されるので「はい」をクリック
資格情報のバックアップと復元
パソコンを買い替える時や、再インストールする前には、資格情報をバックアップしておくと便利です。
バックアップの手順
- 資格情報マネージャーを開く
- 「Windows資格情報」を選択
- 「資格情報のバックアップ」をクリック
- 保存先を選んでファイル名を入力(.crd形式で保存されます)
- 「保存」をクリック
- バックアップファイルを保護するためのパスワードを設定
- 「Ctrl + Alt + Delete」を押してパスワードを入力
- 「次へ」→「完了」をクリック
重要:
バックアップファイルには必ずパスワードを設定しましょう。
これがないと、誰でもあなたのログイン情報にアクセスできてしまいます。
復元の手順
- 資格情報マネージャーを開く
- 「資格情報の復元」をクリック
- 「参照」をクリックしてバックアップファイル(.crd)を選択
- 「開く」→「次へ」をクリック
- バックアップ時に設定したパスワードを入力
- 「次へ」→「完了」をクリック
デスクトップにショートカットを作る方法

よく使う場合は、デスクトップにショートカットを作っておくと便利です。
ショートカット作成手順
- デスクトップの空いている場所を右クリック
- 「新規作成」→「ショートカット」を選択
- 以下のコマンドを入力:
control /name Microsoft.CredentialManager
- 「次へ」をクリック
- 分かりやすい名前を付ける(例:「資格情報マネージャー」)
- 「完了」をクリック
これで、ダブルクリックするだけで資格情報マネージャーが開けるようになります。
Credential Managerサービスとは?
Windows資格情報マネージャーは、バックグラウンドで「Credential Manager」というサービスが動いています。
このサービスが正常に動作していないと、資格情報の保存や取得ができなくなります。
サービスの確認方法
- 「Windowsキー + R」を押す
- 「services.msc」と入力してEnterキーを押す
- 一覧から「Credential Manager」または「VaultSvc」を探す
- ダブルクリックしてプロパティを開く
- スタートアップの種類と状態を確認
推奨設定:
- スタートアップの種類:手動
- 状態:必要な時に自動起動
注意:
このサービスを無効にすると、資格情報の保存や自動ログインができなくなります。
基本的には無効にしないでください。
よくあるトラブルと解決方法
資格情報マネージャーを使っていると、時々トラブルが発生することがあります。
ここでは代表的な問題と解決策を紹介します。
ネットワークドライブに接続できない
原因:
保存された資格情報が使えなくなっている可能性があります。
解決策:
- 資格情報マネージャーを開く
- 該当する資格情報を削除
- もう一度ネットワークドライブに接続して資格情報を保存し直す
資格情報が保存されない
原因:
Credential Managerサービスが停止しているかもしれません。
解決策:
- 「services.msc」を開く
- 「Credential Manager」を探す
- サービスが停止している場合は「開始」ボタンを押す
自動入力が機能しない
原因:
資格情報が破損している可能性があります。
解決策:
- コマンドプロンプトを管理者として実行
- 以下のコマンドを入力して破損ファイルをチェック:
sfc /scannow
- スキャンが完了したらパソコンを再起動
資格情報が削除できない
原因:
他のアプリケーションが使用中の可能性があります。
解決策:
- すべてのアプリケーションを閉じる
- パソコンを再起動
- もう一度削除を試みる
セキュリティについて知っておきたいこと
資格情報マネージャーは便利ですが、セキュリティについても理解しておく必要があります。
暗号化の仕組み
Windows資格情報マネージャーは、DPAPI(Data Protection API)という暗号化技術を使っています。
この技術により、保存された情報は暗号化されて守られています。
保存場所は以下のフォルダです:
%Systemdrive%\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Microsoft\[Vault/Credentials]\
セキュリティ上の注意点
1. 管理者権限があれば見られる
パソコンに管理者権限でログインできる人は、資格情報を見ることができます。
つまり、家族や同僚など、同じパソコンを使う人には要注意です。
2. マルウェアのリスク
悪意のあるプログラム(マルウェア)がパソコンに侵入すると、資格情報が盗まれる可能性があります。
例えば以下のような攻撃ツールが知られています:
- LaZagne:パスワードを抜き取るツール
- PowerSploit:Windowsシステムを攻撃するモジュール
- Turla:高度な標的型攻撃(APT)
3. Windowsアカウントのパスワードが重要
資格情報マネージャーのセキュリティは、Windowsアカウントのパスワードの強度に依存します。
弱いパスワードを使っていると、簡単に突破されてしまいます。
安全に使うためのポイント
✅ 強力なWindowsアカウントパスワードを設定する
簡単なパスワードは絶対に避けましょう。
✅ Windowsを常に最新の状態に保つ
セキュリティパッチを適用することで脆弱性を防げます。
✅ 信頼できるウイルス対策ソフトを使う
マルウェアからパソコンを守ります。
✅ 定期的に保存内容を見直す
使わなくなった資格情報は削除しましょう。
✅ 共有パソコンでは使わない
複数人が使うパソコンでは、資格情報を保存しない方が安全です。
他のパスワード管理ツールとの違い
「LastPassやBitwardenのようなパスワード管理ツールとはどう違うの?」
そんな疑問を持つ方もいるでしょう。
Windows資格情報マネージャーの特徴
メリット:
- Windowsに標準搭載(追加インストール不要)
- Windowsシステムと完全に統合
- 無料で使える
デメリット:
- Windowsでしか使えない(クロスプラットフォーム非対応)
- セキュリティ機能が限定的
- ブラウザの拡張機能がない
- マスターパスワードがない
専用パスワード管理ツールの特徴
メリット:
- Windows、Mac、スマートフォンで使える
- より強力なセキュリティ機能
- マスターパスワードで二重に保護
- パスワード生成機能が充実
- 家族やチームでの共有機能
デメリット:
- 別途インストールが必要
- 有料版が多い(無料版は機能制限あり)
どちらを使うべき?
Windows資格情報マネージャーが向いている人:
- Windowsパソコンだけを使っている
- 主にネットワークドライブやWindows機能で使いたい
- シンプルで手軽なツールが好き
専用パスワード管理ツールが向いている人:
- パソコン、スマホ、タブレットなど複数デバイスを使う
- より高いセキュリティを求める
- 多くのWebサービスのパスワードを管理したい
実は、両方を併用するという選択肢もあります。
Windows専用の機能は資格情報マネージャー、Webサービスは専用ツールと使い分けると便利です。
よくある質問(FAQ)

Q1:資格情報マネージャーは安全ですか?
A:暗号化されているので基本的には安全ですが、完璧ではありません。
強力なWindowsパスワードを設定し、ウイルス対策ソフトを使うことで安全性が高まります。
Q2:資格情報が勝手に保存されるのを止めたい
A:保存するかどうかは、ログイン時に表示されるポップアップで選択できます。
「保存しない」を選べば保存されません。
Q3:別のパソコンに資格情報を移行できますか?
A:できます。バックアップ機能を使って.crdファイルを作成し、新しいパソコンで復元してください。
Q4:スマートフォンやMacでも使えますか?
A:いいえ、Windows専用の機能です。
他のデバイスでも使いたい場合は、クロスプラットフォーム対応のパスワード管理ツールを検討してください。
Q5:削除した資格情報は復元できますか?
A:バックアップを取っていなければ復元できません。
重要な資格情報を削除する前は、必ずバックアップを取りましょう。
まとめ
Windows資格情報マネージャーは、パスワードやログイン情報を便利に管理できる標準機能です。
この記事のポイント:
✅ 資格情報マネージャーはWindowsに標準搭載されたパスワード保管機能
✅ Web資格情報とWindows資格情報の2種類がある
✅ 検索ボックスから「資格情報マネージャー」と入力すれば簡単に開ける
✅ 追加、編集、削除、バックアップ、復元がすべて可能
✅ 暗号化されているが、管理者権限があれば閲覧可能
✅ 強力なWindowsパスワードとウイルス対策ソフトで安全性を高める
✅ Windowsだけで完結する人には便利、複数デバイスを使う人は専用ツールも検討
ネットワークドライブへの接続や社内サーバーへのアクセスなど、日常的にWindowsを使う場面では大変便利な機能です。
ただし、セキュリティには十分注意して、適切に管理しながら活用しましょう。
特に、共有パソコンや会社のパソコンでは、使い終わったら資格情報を削除するなど、セキュリティ意識を持つことが大切です。

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