「共有フォルダにいちいちアクセスするのが面倒…」 「NASのデータをローカルドライブのように使いたい…」 「リモートワークでも会社のファイルサーバーに簡単にアクセスしたい…」 「チームでファイルを共有する最適な方法は?」
そんな悩みを解決するのがネットワークドライブです。
この記事では、Windowsでネットワークドライブを設定する方法から、トラブルシューティング、セキュリティ対策まで、実践的に解説します。初心者でも迷わず設定できるよう、画面付きで丁寧に説明していきます!
ネットワークドライブとは:クラウドより便利な共有方法

一言で説明すると
ネットワークドライブは、ネットワーク上の共有フォルダをWindowsのドライブレター(C:、D:など)として割り当て、ローカルドライブのように使える機能です。
身近な例えで理解する
ネットワークドライブ = 自宅の別の部屋への扉
通常のアクセス:
家(PC)→ 廊下(ネットワーク)→ 別の部屋(共有フォルダ)
毎回長い道のりを歩く必要がある
ネットワークドライブ:
自分の部屋に別の部屋への直通ドアを設置
ドアを開けるだけですぐアクセス可能
メリットとデメリット
メリット:
✅ エクスプローラーから直接アクセス
✅ ドライブレターで簡単管理(Z:ドライブなど)
✅ アプリケーションから直接開ける
✅ 自動接続で毎回の手間なし
✅ オフラインファイル機能で高速化
デメリット:
❌ ネットワーク接続が必要
❌ 速度はネットワークに依存
❌ セキュリティ設定が必要
❌ ドライブレターに制限(A-Z)
基本的な接続方法:3つのアプローチ
方法1:エクスプローラーから接続(最も簡単)
手順:
1. エクスプローラーを開く(Windows + E)
2. 左側の「PC」を右クリック
3. 「ネットワークドライブの割り当て」を選択
4. 設定画面で以下を入力:
- ドライブ:空いている文字を選択(例:Z:)
- フォルダー:\\サーバー名\共有フォルダ名
5. 「サインイン時に再接続する」にチェック
6. 「完了」をクリック
フォルダーパスの例:
\\192.168.1.100\Share # IPアドレス指定
\\FileServer\Documents # コンピュータ名指定
\\NAS-HOME\Public # NAS装置
\\DESKTOP-ABC123\Users # 別のWindows PC
方法2:「ネットワークドライブの割り当て」ダイアログ
Windows 11/10での手順:
1. エクスプローラーを開く
2. 上部メニューの「...」(その他)をクリック
3. 「ネットワークドライブの割り当て」を選択
または
1. 「PC」を開く
2. リボンメニューの「コンピューター」タブ
3. 「ネットワークドライブの割り当て」をクリック
方法3:コマンドプロンプト/PowerShellから接続
コマンドプロンプト(net use):
# 基本的な接続
net use Z: \\192.168.1.100\Share
# ユーザー名とパスワード指定
net use Z: \\FileServer\Documents /user:username password
# 永続的な接続(再起動後も維持)
net use Z: \\NAS\Public /persistent:yes
# 資格情報を保存して接続
net use Z: \\Server\Share /savecred
PowerShell:
# New-PSDrive を使用
New-PSDrive -Name Z -PSProvider FileSystem -Root "\\192.168.1.100\Share" -Persist
# 資格情報付き
$cred = Get-Credential
New-PSDrive -Name Z -PSProvider FileSystem -Root "\\Server\Share" -Persist -Credential $cred
詳細設定:より便利に使うための設定
自動接続の設定
起動時に自動接続:
エクスプローラーでの設定:
☑ サインイン時に再接続する
コマンドでの設定:
net use Z: \\Server\Share /persistent:yes
スクリプトで自動化:
@echo off
:: startup_network.bat
echo ネットワークドライブを接続中...
:: 既存の接続を削除
net use Z: /delete /y 2>nul
:: 新規接続
net use Z: \\192.168.1.100\Share /persistent:yes
:: 接続確認
if exist Z:\ (
echo 接続成功!
) else (
echo 接続失敗。ネットワークを確認してください。
pause
)
資格情報の管理
Windows資格情報マネージャー:
1. コントロールパネル → ユーザーアカウント
2. 「資格情報マネージャー」
3. 「Windows資格情報」
4. 「Windows資格情報の追加」
5. 以下を入力:
- インターネットまたはネットワークのアドレス: \\ServerName
- ユーザー名: domain\username または username
- パスワード: ********
異なる資格情報での接続
同じサーバーに複数アカウントで接続:
# 既存接続を切断
net use * /delete /y
# 別の資格情報で接続
net use Z: \\Server\Share1 /user:user1 password1
net use Y: \\Server\Share2 /user:user2 password2
NAS(Network Attached Storage)との接続

Synology NAS
接続手順:
1. Synology DSMにログイン
2. コントロールパネル → ファイルサービス
3. SMBサービスを有効化
4. Windows側で接続:
\\SynologyNAS\共有フォルダ名
または
\\192.168.1.x\共有フォルダ名
最適な設定:
DSM側:
- SMB3を有効化(高速・セキュア)
- 最大SMBプロトコル:SMB3
- 最小SMBプロトコル:SMB2
Windows側:
- SMB1を無効化(セキュリティ向上)
- SMB3を使用
QNAP NAS
接続パス:
\\QNAP-NAS\Public
\\192.168.1.x\share
推奨設定:
- SMB 3.0有効化
- NetBIOS有効化(名前解決用)
Buffalo LinkStation/TeraStation
接続パス:
\\LinkStation\share
\\LS-WXLXXX\share
注意点:
- 初期設定でSMB1が有効な場合あり
- Windows 10/11では要SMB1有効化
トラブルシューティング:よくある問題と解決法
エラー1:ネットワークパスが見つかりません
原因と対策:
確認項目:
□ pingでサーバーに到達できるか
ping 192.168.1.100
□ ファイアウォールの設定
- Windows Defender ファイアウォール
- ファイルとプリンターの共有を許可
□ ネットワーク探索の有効化
設定 → ネットワークとインターネット
→ ネットワークと共有センター
→ 共有の詳細設定
→ ネットワーク探索を有効にする
エラー2:アクセスが拒否されました
解決方法:
1. 資格情報の確認
- 正しいユーザー名/パスワード
- ドメイン名の指定(DOMAIN\username)
2. 資格情報のリセット
cmd管理者権限:
net use * /delete
3. 資格情報マネージャーのクリア
コントロールパネル → 資格情報マネージャー
→ 該当する資格情報を削除
エラー3:同時に複数のユーザー名での接続
エラーメッセージ:
「同じユーザーによる、サーバーまたは共有リソースへの複数のユーザー名での複数の接続は許可されません」
解決方法:
# すべての接続を表示
net use
# 特定の接続を削除
net use \\ServerName\IPC$ /delete
# すべての接続を削除
net use * /delete /y
# 新規接続
net use Z: \\ServerName\Share
エラー4:SMB1が必要(古いNAS)
Windows 10/11でSMB1を有効化:
方法1:Windows機能から
1. コントロールパネル → プログラム
2. 「Windowsの機能の有効化または無効化」
3. 「SMB 1.0/CIFS ファイル共有のサポート」
4. 「SMB 1.0/CIFS クライアント」にチェック
5. OK → 再起動
方法2:PowerShell(管理者)
Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName SMB1Protocol
⚠️ セキュリティ警告: SMB1は脆弱性があるため、可能な限り使用を避けてください。
パフォーマンス最適化
オフラインファイルの設定
オフラインでも使用可能に:
1. ネットワークドライブを右クリック
2. 「常にオフラインで使用する」を選択
3. 同期設定:
- 自動同期
- スケジュール同期
- 手動同期
高速化のテクニック
レジストリ設定(上級者向け):
レジストリエディタ:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\lanmanworkstation\parameters
追加する値:
- FileInfoCacheLifetime = 10 (DWORD)
- FileNotFoundCacheLifetime = 5 (DWORD)
- DirectoryCacheLifetime = 10 (DWORD)
ネットワーク設定の最適化:
# 大きなMTUサイズ(ジャンボフレーム)
netsh int ipv4 set subinterface "イーサネット" mtu=9000
# TCP受信ウィンドウの自動調整
netsh int tcp set global autotuninglevel=normal
セキュリティ対策
基本的なセキュリティ設定
推奨設定:
✅ SMB署名を有効化
✅ SMB暗号化を使用(SMB3)
✅ 最小権限の原則
✅ 定期的なパスワード変更
✅ 監査ログの有効化
グループポリシーでの制御
SMBセキュリティ強化:
gpedit.msc → コンピューターの構成
→ 管理用テンプレート → ネットワーク
→ Lanman Workstation
設定項目:
- 「安全でないゲストログオンを有効にする」→ 無効
- 「デジタル署名(常時)」→ 有効
VPN経由での安全な接続
社外からの接続手順:
1. VPNに接続
2. 社内ネットワークにアクセス
3. ネットワークドライブを割り当て
\\10.0.0.100\Share (社内IP)
便利な活用方法
バックアップの自動化
Robocopyでミラーリング:
@echo off
:: backup.bat
set SOURCE=C:\Documents
set DEST=Z:\Backup\%DATE:/=-%
robocopy "%SOURCE%" "%DEST%" /MIR /R:3 /W:10 /LOG:backup.log
echo バックアップ完了!
pause
複数PCでの設定同期
設定エクスポート/インポート:
# エクスポート
reg export "HKEY_CURRENT_USER\Network" network_drives.reg
# インポート(別PC)
reg import network_drives.reg
ドライブマッピングの一括設定
GPO(グループポリシー)での展開:
1. グループポリシー管理エディター
2. ユーザーの構成 → 基本設定
3. Windowsの設定 → ドライブマップ
4. 新規作成:
- アクション:作成
- 場所:\\Server\Share
- ドライブ文字:Z:
- 再接続:有効
Windows 11/10での新機能と変更点

Windows 11の変更点
新機能:
✅ エクスプローラーの新UI
✅ コンテキストメニューの簡素化
✅ SMB圧縮(SMB 3.1.1)
✅ パフォーマンス向上
設定場所の変更:
- 「ネットワークドライブの割り当て」
→ 「...」メニュー内に移動
クイックアクセスへの追加
手順:
1. ネットワークドライブを開く
2. 右クリック
3. 「クイックアクセスにピン留め」
OneDrive/クラウドストレージとの使い分け
比較表
項目 | ネットワークドライブ | OneDrive/クラウド |
---|---|---|
速度 | LAN内は高速 | インターネット速度依存 |
容量 | NAS/サーバー次第 | プラン制限あり |
コスト | 初期投資大 | 月額料金 |
外部アクセス | VPN必要 | どこでも可能 |
同期 | リアルタイム | 同期遅延あり |
セキュリティ | 自己管理 | プロバイダー依存 |
併用のベストプラクティス
ローカル作業:ネットワークドライブ
- 大容量ファイル
- 機密データ
- 高速アクセス必要
クラウド同期:OneDrive
- 個人ファイル
- 外出先アクセス
- 自動バックアップ
コマンドリファレンス
net use コマンド一覧
# 接続一覧表示
net use
# 新規接続
net use Z: \\Server\Share
# パスワード付き
net use Z: \\Server\Share password /user:username
# 削除
net use Z: /delete
# すべて削除
net use * /delete /y
# 詳細情報
net use Z:
PowerShellコマンドレット
# ドライブ一覧
Get-PSDrive -PSProvider FileSystem
# 新規作成
New-PSDrive -Name Z -PSProvider FileSystem -Root "\\Server\Share" -Persist
# 削除
Remove-PSDrive -Name Z
# SMB共有一覧
Get-SmbShare
# SMB接続一覧
Get-SmbConnection
よくある質問(FAQ)
Q1:ドライブ文字が勝手に変わる
A:
対策:
1. 特定の文字を予約
2. レジストリで固定
3. スクリプトで再マッピング
Q2:起動時に接続エラー
A:
解決方法:
1. 遅延起動スクリプト作成
2. タスクスケジューラで設定
3. グループポリシーで制御
Q3:速度が遅い
A:
確認項目:
- ネットワーク速度(1Gbps推奨)
- SMBバージョン(SMB3推奨)
- ウイルス対策の除外設定
- オフラインファイルの活用
まとめ:ネットワークドライブで快適なファイル管理を
ネットワークドライブは、適切に設定すれば非常に便利なツールです。
成功のポイント:
✅ 基本設定をマスター
- エクスプローラーから簡単接続
- 自動接続の設定
- 資格情報の適切な管理
✅ トラブル対処法を理解
- ネットワーク設定の確認
- SMBバージョンの調整
- 資格情報のリセット
✅ セキュリティを重視
- SMB1は使わない
- 適切な権限設定
- VPN経由での接続
✅ 用途に応じた活用
- NASとの連携
- バックアップ自動化
- クラウドとの使い分け
この記事を参考に、あなたの環境に最適なネットワークドライブ設定を構築してください!
Efficient File Sharing! 💾🌐
クイックセットアップコマンド:
:: quick_setup.bat
@echo off
echo ネットワークドライブ Z: を設定します
net use Z: \\192.168.1.100\Share /persistent:yes /savecred
echo 完了!
pause
コメント