データベースの学習や開発を始めたいと思った時、まず必要になるのがMySQLのインストールです。
でも、Windowsを使っている方にとっては、こんな不安があるのではないでしょうか?
- 「何をダウンロードすればいいの?」
- 「設定がむずかしそう…」
- 「まちがえてパソコンを壊さないかな?」
- 「英語の画面が出てきたらどうしよう?」
この記事では、MySQLをWindowsに安全で確実にインストールする手順を、図がなくても理解できるようにやさしく説明します。
一つずつ丁寧に進めていけば、誰でも必ずできるようになりますよ。安心してついてきてくださいね。
MySQLって何?なぜみんな使っているの?

MySQLをかんたんに説明
MySQLとは、情報を整理して保存するための「データベース」というソフトの一種です。
身近な例で言うと:
- 住所録:名前、電話番号、メールアドレスを整理
- 家計簿:日付、項目、金額を記録
- 写真アルバム:撮影日、場所、コメントを管理
これらの作業を、コンピューターで効率的にできるようにしたのがMySQLです。
なぜMySQLが人気なの?
1. 無料で使える
- お金を払わなくても、すべての機能が使える
- 個人でも会社でも、自由に使用可能
2. 世界中で使われている
- Facebook、YouTube、Twitterなどの大きなサイトでも使用
- 情報がたくさんあるので、困った時に調べやすい
3. 安定していて高速
- 大量のデータでもサクサク動く
- めったにクラッシュしない
4. いろいろなプログラムと連携できる
- PHP、Python、Javaなど、多くのプログラミング言語で使える
実際にどんなところで使われているの?
Webサイト:
- ブログの記事情報
- 会員登録情報
- 商品の在庫データ
- コメントや評価
アプリ:
- ユーザーのプロフィール
- ゲームのスコア
- チャットのメッセージ履歴
ビジネス:
- 顧客管理
- 売上データ
- 在庫管理
- 給与計算
なぜWindowsにインストールするの?
開発環境として:
- 自分のパソコンでプログラムをテストできる
- 本番環境と同じ環境で練習できる
学習目的として:
- SQLというデータベース言語を覚えられる
- プログラミングの幅が広がる
まとめ
MySQLの基本を理解したところで、次はWindows環境にインストールする準備を始めましょう。
インストールに必要な準備
システム要件をチェック
まず、あなたのパソコンでMySQLが動くかを確認しましょう。
対応OS:
- Windows 10(32bit/64bit)
- Windows 11
- Windows Server 2016以降
必要なスペック:
- RAM:最低1GB(2GB以上推奨)
- ハードディスク:400MB以上の空き容量
- CPU:Intel/AMD系のプロセッサー
確認方法
Windowsのバージョン確認:
- 「Windowsキー + R」を押す
- 「winver」と入力してEnter
- バージョン情報が表示される
空き容量の確認:
- エクスプローラーを開く
- 「PC」をクリック
- Cドライブの空き容量を確認
必要な権限
管理者権限が必要です:
- Windowsにソフトをインストールするため
- システムサービスを登録するため
- レジストリを変更するため
権限の確認方法:
- 「設定」→「アカウント」を開く
- 自分のアカウントに「管理者」と表示されているか確認
- 表示されていない場合は、管理者に依頼する
インターネット接続
なぜ必要?:
- インストールファイルをダウンロードするため
- 必要なコンポーネントを自動取得するため
- 最新版の確認やアップデートのため
通信量の目安:
- Web版インストーラー:約2MB + 必要な分だけ
- フル版インストーラー:約400MB
ウイルス対策ソフトの注意
一時的に無効化が必要な場合:
- インストール中にブロックされることがある
- インストール完了後は必ず有効に戻す
- 信頼できるサイトからのみダウンロード
事前準備のチェックリスト
必須項目:
- [ ] Windowsのバージョンが対応している
- [ ] 管理者権限がある
- [ ] 400MB以上の空き容量がある
- [ ] インターネットに接続している
推奨項目:
- [ ] パソコンの動作が安定している
- [ ] 他のソフトを終了している
- [ ] システムのバックアップを取っている
よくある質問
Q: 古いWindowsでも使えますか?
A: Windows 7以前は公式サポートが終了しているため、推奨できません。
Q: 32bit版Windowsでも大丈夫?
A: 使えますが、メモリ制限があるため64bit版を推奨します。
Q: 会社のパソコンでもインストールできますか?
A: システム管理者の許可が必要です。事前に相談してください。
まとめ
準備が整ったら、いよいよインストーラーをダウンロードしてみましょう。
事前準備をしっかりすることで、スムーズにインストールができます。
MySQL Installerのダウンロードと実行

公式サイトにアクセス
正しいダウンロード先:
- URL:https://dev.mysql.com/downloads/installer/
- 公式サイト以外からはダウンロードしないでください
- 偽物のサイトからウイルスをダウンロードする危険があります
インストーラーの種類を選ぶ
Web版(mysql-installer-web-community):
- ファイルサイズ:約2MB
- メリット:ダウンロードが早い、最新版を自動取得
- デメリット:インストール中にネット接続が必要
- おすすめ:普通のネット環境の方
フル版(mysql-installer-community):
- ファイルサイズ:約400MB
- メリット:オフラインでインストール可能、すべて含まれている
- デメリット:ダウンロードに時間がかかる
- おすすめ:ネット環境が不安定な方
ダウンロード手順
1. サイトにアクセス:
- ブラウザーで公式サイトを開く
- 「MySQL Installer for Windows」の項目を探す
2. バージョンを選ぶ:
- 一番上の最新版を選ぶ(推奨)
- 特別な理由がない限り、最新版で問題ありません
3. ファイルを選ぶ:
- Web版またはフル版を選択
- 「Download」ボタンをクリック
4. アカウント登録について:
- 「No thanks, just start my download.」をクリック
- アカウント登録は不要です(任意)
5. ダウンロード開始:
- ファイルがダウンロードフォルダーに保存される
- 完了まで待つ
ダウンロード後の確認
ファイルの確認:
- ダウンロードフォルダーを開く
- 「mysql-installer-○○○.msi」というファイルがあることを確認
- ファイルサイズが正常か確認
セキュリティチェック:
- ファイルを右クリック→「プロパティ」
- 「デジタル署名」タブで「Oracle Corporation」の署名を確認
インストーラーの実行
1. 管理者として実行:
- インストールファイルを右クリック
- 「管理者として実行」を選択
- ユーザーアカウント制御で「はい」をクリック
2. セキュリティ警告:
- 「この不明な発行元からのアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」
- 「はい」をクリック(正規ファイルなので安全)
3. インストーラー起動:
- MySQL Installerが起動
- 少し時間がかかることがあります
よくあるダウンロードの問題
問題1:ダウンロードが途中で止まる
- ネット接続を確認
- ブラウザーを再起動
- 違うブラウザーで試す
問題2:ファイルが見つからない
- ダウンロードフォルダーを確認
- ブラウザーのダウンロード履歴を確認
- 再ダウンロード
問題3:実行できない
- 管理者権限で実行しているか確認
- ウイルス対策ソフトでブロックされていないか確認
- Windowsを再起動してみる
セキュリティのポイント
安全なダウンロードのために:
- 必ず公式サイトからダウンロード
- HTTPS(鍵マーク)があることを確認
- ダウンロード後はウイルススキャン
インストール前の注意:
- 重要なデータのバックアップ
- 他のソフトウェアを終了
- システムの復元ポイントを作成(任意)
まとめ
インストーラーが用意できたら、次は実際のセットアップ手順を見ていきます。正しい手順でダウンロードすることで、安全にインストールできます。
MySQLのインストール手順

インストールタイプの選択
MySQL Installerが起動すると、最初にインストールタイプを選択する画面が表示されます。
Developer Default(開発者向け標準):
- おすすめ:初心者から上級者まで
- 含まれるもの:MySQL Server、Workbench、Shell、コネクターなど
- 必要な容量:約600MB
Server only(サーバーのみ):
- おすすめ:サーバー管理者向け
- 含まれるもの:MySQL Serverのみ
- 必要な容量:約200MB
Client only(クライアントのみ):
- おすすめ:他のサーバーに接続する場合
- 含まれるもの:接続ツールのみ
Full(完全インストール):
- 含まれるもの:すべてのコンポーネント
- 必要な容量:1GB以上
Custom(カスタム):
- 上級者向け:必要なものだけを選択
推奨設定
初心者の方は「Developer Default」を選択:
- 学習に必要なツールがすべて含まれる
- 後から個別にインストールする手間が省ける
- 設定が簡単
依存関係のチェック
必要なソフトウェアの確認: インストール前に、以下のソフトが必要になることがあります:
- Microsoft Visual C++ Redistributable
- .NET Framework
- Python(MySQL Shellを使う場合)
自動インストール:
- 不足しているソフトがあれば自動で検出
- 「Execute」ボタンで一括インストール
- すべて無料のソフトなので安心
MySQL Serverの詳細設定
1. サーバー設定タイプ:
Development Computer(開発用コンピューター):
- おすすめ:個人のパソコンの場合
- メモリ使用量:控えめ
- ポート番号:3306(標準)
Server Computer(サーバーコンピューター):
- おすすめ:専用サーバーの場合
- メモリ使用量:多め
Dedicated Computer(専用コンピューター):
- おすすめ:MySQL専用マシンの場合
- メモリ使用量:最大
2. ネットワーク設定:
TCP/IP接続:
- ポート番号:3306(そのままでOK)
- 「Open Windows Firewall ports」にチェック
Named Pipe:
- 通常は有効にしなくてOK
Shared Memory:
- 通常は有効にしなくてOK
認証方法の選択
Strong Password Encryption(推奨):
- MySQL 8.0の新しい認証方法
- セキュリティが高い
- 新しいアプリケーション向け
Legacy Authentication Method:
- 古い認証方法
- 古いアプリケーションとの互換性重視
初心者の方は「Strong Password Encryption」を選択
rootパスワードの設定
重要なポイント:
- rootは管理者アカウント
- 強力なパスワードを設定
- 忘れないようにメモ
強力なパスワードの例:
- 8文字以上
- 大文字・小文字・数字・記号を含む
- 例:MyPass123!
設定手順:
- 「Password」欄にパスワードを入力
- 「Repeat Password」に同じパスワードを再入力
- 強度メーターが「Strong」になることを確認
ユーザーアカウントの追加(オプション)
追加ユーザーの作成:
- 普段使い用のユーザーを作成(推奨)
- rootは管理用のみに使用
設定例:
- User Name:user1
- Host:localhost
- Role:DB Admin
- Password:任意の強力なパスワード
Windowsサービスの設定
MySQL as Windows Service:
- チェックを入れる(推奨)
- Windows起動時に自動でMySQLが開始
Service Name:
- MySQL80(そのままでOK)
Start at System Startup:
- チェックを入れる(推奨)
Run Windows Service as:
- 「Standard System Account」を選択
ログ設定
Error Log:
- 有効にする(推奨)
- エラーの原因を調べるために必要
General Log:
- 学習目的なら有効にしてもOK
- 本番環境では無効が一般的
Binary Log:
- レプリケーションを使わない場合は無効でOK
設定の確認と適用
設定内容の確認:
- すべての設定内容を確認
- 問題がなければ「Execute」をクリック
- 設定が適用される(数分かかる場合があります)
進行状況の確認:
- 各項目にチェックマークが付いていく
- エラーが出た場合は、メッセージを確認
インストール完了
完了の確認:
- すべての項目が緑のチェックマーク
- 「Finish」ボタンが有効になる
- 「Finish」をクリックして終了
よくあるインストールエラー
ポート3306が使用中:
- 他のソフトがポートを使用している
- ポート番号を変更(例:3307)
権限エラー:
- 管理者権限で実行しているか確認
- ウイルス対策ソフトを一時無効
ディスク容量不足:
- 不要なファイルを削除
- 一時ファイルをクリーンアップ
まとめ
これでMySQLが使える状態になります。設定は一度行えば、普段は意識する必要がありません。次に、実際に接続してみましょう。
MySQLへの接続確認と基本操作

接続方法の種類
MySQLにアクセスするには、いくつかの方法があります。それぞれの特徴を理解して、用途に応じて使い分けましょう。
方法1:MySQL Workbench(GUI)
MySQL Workbenchとは:
- グラフィカルな操作画面
- マウスでクリックして操作
- 初心者に一番おすすめ
起動方法:
- スタートメニューを開く
- 「MySQL」フォルダーを探す
- 「MySQL Workbench 8.0 CE」をクリック
接続手順:
- 「MySQL Connections」の「+」ボタンをクリック
- 以下の情報を入力:
- Connection Name:任意の名前(例:Local MySQL)
- Hostname:127.0.0.1 または localhost
- Port:3306
- Username:root
- 「Test Connection」で接続テスト
- パスワードを入力して「OK」
- 接続成功なら「OK」をクリック
方法2:MySQL Shell
MySQL Shellとは:
- MySQL専用のコマンドライン
- 高度な操作が可能
- プログラマー向け
起動方法:
- スタートメニューを開く
- 「MySQL Shell 8.0」をクリック
接続コマンド:
\connect root@localhost:3306
方法3:コマンドプロンプト
コマンドプロンプトとは:
- Windows標準のコマンドライン
- 黒い画面で文字入力
- 上級者向け
起動と接続手順:
- 「Windowsキー + R」を押す
- 「cmd」と入力してEnter
- 以下のコマンドを入力:
cd "C:\Program Files\MySQL\MySQL Server 8.0\bin"
mysql -u root -p
- パスワードを入力してEnter
接続確認の手順
Workbenchでの確認:
- 接続アイコンをダブルクリック
- パスワードを入力
- 正常に接続されれば、SQL エディターが開く
コマンドラインでの確認:
- mysql> プロンプトが表示される
- 以下のコマンドで動作確認:
SELECT VERSION();
- MySQLのバージョンが表示されれば成功
基本的なSQL操作
データベースの一覧表示:
SHOW DATABASES;
新しいデータベースの作成:
CREATE DATABASE test_db;
データベースの選択:
USE test_db;
テーブルの作成:
CREATE TABLE users (
id INT AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY,
name VARCHAR(100),
email VARCHAR(100)
);
データの挿入:
INSERT INTO users (name, email) VALUES
('田中太郎', 'tanaka@example.com'),
('佐藤花子', 'sato@example.com');
データの確認:
SELECT * FROM users;
よくある接続エラーと解決方法
エラー1:アクセス拒否
ERROR 1045 (28000): Access denied for user 'root'@'localhost'
解決方法:
- パスワードを正しく入力
- ユーザー名を確認
- 大文字小文字を確認
エラー2:サーバーに接続できない
ERROR 2003 (HY000): Can't connect to MySQL server
解決方法:
- MySQLサービスが起動しているか確認
- ポート番号が正しいか確認(3306)
- ファイアウォールの設定を確認
エラー3:コマンドが見つからない
'mysql' は、内部コマンドまたは外部コマンド...
解決方法:
- PATHを設定する
- フルパスでコマンドを実行
- MySQL Workbenchを使用
MySQLサービスの管理
サービスの状態確認:
- 「Windowsキー + R」で「services.msc」を実行
- 「MySQL80」を探す
- 状態が「実行中」になっているか確認
サービスの開始・停止:
# 管理者権限でコマンドプロンプトを開いて実行
net start MySQL80
net stop MySQL80
セキュリティの初期設定
mysql_secure_installationの実行: MySQL Shellで以下を実行:
\! mysql_secure_installation
設定項目:
- rootパスワードの強度確認
- 匿名ユーザーの削除:Yes
- リモートrootログインの禁止:Yes
- testデータベースの削除:Yes
- 権限テーブルの再読み込み:Yes
便利なツールの紹介
phpMyAdmin:
- Webブラウザーで操作
- 直感的なインターフェース
- 別途インストールが必要
HeidiSQL:
- 軽量なクライアント
- 無料で使用可能
- 複数データベース対応
DBeaver:
- 多機能なデータベースツール
- 無料版と有料版がある
- MySQL以外のデータベースにも対応
パフォーマンスの確認
基本的な状態確認:
SHOW STATUS;
SHOW VARIABLES;
SHOW PROCESSLIST;
メモリ使用量の確認:
SHOW STATUS LIKE 'Innodb_buffer_pool_%';
バックアップとリストア
データベースのバックアップ:
mysqldump -u root -p test_db > backup.sql
バックアップからの復元:
mysql -u root -p test_db < backup.sql
まとめ
インストールから接続まで確認できたら、これからデータベース操作を始められます。最初はWorkbenchを使って慣れてから、コマンドラインにチャレンジしてみるのがおすすめです。
全体のまとめ
WindowsでのMySQLインストールは、正しい手順を踏めば誰でも成功できます。
この記事で学んだこと
- MySQLの基本知識:世界中で使われる無料のデータベース
- 事前準備:システム要件と必要な権限の確認
- ダウンロード方法:公式サイトからの安全なダウンロード
- インストール手順:段階的な設定とカスタマイズ
- 接続確認:Workbench、Shell、コマンドラインでの接続
インストール手順の早見表
手順 | 作業内容 | 所要時間 |
---|---|---|
1. 準備 | システム要件確認、権限確認 | 5分 |
2. ダウンロード | 公式サイトからインストーラー取得 | 5-30分 |
3. インストール | Developer Defaultでインストール | 10-20分 |
4. 設定 | rootパスワード設定、サービス登録 | 5分 |
5. 接続確認 | Workbenchまたはコマンドラインで接続 | 5分 |
トラブル時のチェックポイント
インストールできない場合:
- [ ] 管理者権限で実行しているか
- [ ] ディスク容量は十分か
- [ ] ウイルス対策ソフトが邪魔していないか
- [ ] 既存のMySQLが残っていないか
接続できない場合:
- [ ] MySQLサービスが起動しているか
- [ ] パスワードは正しいか
- [ ] ポート番号は3306か
- [ ] ファイアウォールでブロックされていないか
学習リソース
公式ドキュメント:
- MySQL 8.0 Reference Manual(英語)
- 最新で正確な情報
日本語リソース:
- MySQL公式日本語ドキュメント
- 入門書籍やオンライン講座
コミュニティ:
- MySQL ユーザー会
- Stack Overflow(技術Q&A)
- GitHub(サンプルコード)
セキュリティのポイント
日常的に気をつけること:
- 定期的なパスワード変更
- 不要なユーザーアカウントの削除
- ソフトウェアのアップデート
- バックアップの確認
本番環境での注意点:
- ファイアウォールの適切な設定
- SSL/TLS暗号化の有効化
- ログの監視と分析
- アクセス権限の最小化
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