「パソコンを新しく組んだけど、Windowsはどうやってインストールするの?」
「動きが遅くなったパソコンを、リフレッシュしたい」
「インストールって難しそうで、手順を間違えたらどうしよう」
パソコンを新しく組んだり、動きが遅くなったパソコンをリフレッシュしたいとき、必要になるのが「Windowsのインストール」です。でも、初心者の方には難しそうに感じるかもしれませんね。
この記事では、パソコン初心者の方にもわかるように、Windowsのインストール方法をステップごとにやさしく詳しく解説します。
インストール前に知っておくべき基本知識

Windowsインストールが必要な場面
新しいパソコンを組み立てた場合
- 自作PCを構築した時
- 新しいSSD/HDDに交換した時
- マザーボードを交換した時
パソコンの調子が悪い場合
- ウイルス感染でシステムが破損
- 動作が極端に遅くなった
- システムエラーが頻発する
アップグレードしたい場合
- 古いWindowsから新しいバージョンに移行
- 32bit版から64bit版に変更
インストール方法の種類
クリーンインストール
- ハードディスクを完全に初期化
- 最も確実で推奨される方法
- 既存データはすべて削除される
アップグレードインストール
- 既存のWindowsを新しいバージョンに更新
- データや設定を引き継ぎ可能
- 問題が発生するリスクがある
リフレッシュインストール
- Windowsシステムのみをリセット
- 個人ファイルは保持
- Windows 10/11の機能
事前準備|これだけは揃えておこう
必要なもの一覧
1. Windowsのインストールメディア
USBメモリの場合
- 容量:8GB以上(推奨16GB以上)
- USB 2.0以上(USB 3.0推奨)
- 中身は完全に削除されるため、重要データのバックアップ必須
DVDの場合
- DVD-R/RW(4.7GB以上)
- DVDドライブが必要
- 書き込み可能なPCが別途必要
2. プロダクトキー(ライセンスキー)
パッケージ版
- 箱の中のカードまたはシールに記載
- 25文字の英数字(例:XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX-XXXXX)
OEM版
- パソコン本体に貼られているシール
- 「Certificate of Authenticity」ラベル
デジタルライセンス
- Windows 10/11で導入された仕組み
- Microsoftアカウントに紐づけ
- 同じハードウェアなら自動認証
ボリュームライセンス
- 企業や教育機関向け
- 専用のライセンスキー
3. 動作要件の確認
Windows 11の最小要件
- プロセッサ:Intel第8世代Core i3以上、AMD Ryzen 2000シリーズ以上
- メモリ:4GB RAM
- ストレージ:64GB以上
- システムファームウェア:UEFI、セキュアブート対応
- TPM:バージョン2.0
- グラフィックカード:DirectX 12以上(WDDM 2.0ドライバー)
- ディスプレイ:720p以上、8ビットカラー
Windows 10の最小要件
- プロセッサ:1GHz以上
- メモリ:32bit版で1GB、64bit版で2GB
- ストレージ:32bit版で16GB、64bit版で20GB
- グラフィックカード:DirectX 9以上
- ディスプレイ:800×600以上
インストールメディアの作成方法
Microsoft公式ツールを使用(推奨)
Windows 10の場合
- Microsoft公式サイトから「メディア作成ツール」をダウンロード
- ツールを実行し、「別のPCのインストールメディアを作成する」を選択
- 言語、エディション、アーキテクチャを選択
- USBまたはISOファイルを選択
- 作成完了まで待機(約30分〜1時間)
Windows 11の場合
- Microsoft公式サイトから「メディア作成ツール」をダウンロード
- 基本的な手順はWindows 10と同様
- TPM 2.0要件の確認が追加
サードパーティツールの使用
Rufus(上級者向け)
- より詳細な設定が可能
- ISOファイルから起動可能USBを作成
- パーティション方式(MBR/GPT)の選択が可能
データのバックアップ
重要ファイルの確認
バックアップすべきデータ
□ ドキュメント(文書ファイル)
□ ピクチャ(写真・画像)
□ ミュージック(音楽ファイル)
□ ビデオ(動画ファイル)
□ デスクトップのファイル
□ ダウンロードフォルダ
□ ブラウザのブックマーク
□ メールデータ
□ アプリケーションの設定ファイル
□ ライセンスキー一覧
バックアップ方法
外付けHDD/SSD
- 確実で高速
- 容量制限なし
- 物理的な故障リスクあり
クラウドストレージ
- OneDrive、Google Drive、Dropbox等
- インターネット接続必須
- 容量制限あり
DVDへの書き込み
- 長期保存に適している
- 容量が小さい(4.7GB)
- 書き込み時間が長い
Windowsのインストール手順(詳細版)
ステップ1:BIOSの設定確認
BIOS/UEFIへのアクセス方法
一般的なキー
- Delキー:ASRock、ASUS、MSI等
- F2キー:Acer、ASUS、Dell等
- F12キー:Dell、HP等
- F1キー:Lenovo、IBM等
アクセス手順
- パソコンの電源を入れる
- 画面に「Press Del to enter Setup」等が表示されたらすぐにキーを連打
- BIOS/UEFI設定画面が表示される
起動順序の設定
Legacy BIOS
- 「Boot」タブを開く
- 「Boot Priority Order」を確認
- USB/DVDを1st Bootに設定
- F10キーで保存して終了
UEFI
- 「Boot」または「Startup」を開く
- 「Boot Option Priorities」を確認
- 「Boot Option #1」にUSB/DVDを設定
- 設定を保存して終了
セキュアブートの設定(Windows 11)
- 「Security」タブを開く
- 「Secure Boot」を「Enabled」に設定
- TPM 2.0が有効になっていることを確認
ステップ2:インストールメディアからの起動
起動確認
- インストールメディア(USB/DVD)をパソコンに接続
- パソコンを再起動
- 「Press any key to boot from USB…」が表示されたら任意のキーを押す
- Windowsロゴが表示されればOK
起動しない場合の対処法
UEFI/Legacy モードの確認
- UEFI対応システムでLegacyモードになっている
- BIOSでUEFI Onlyに設定
USBポートの変更
- USB 2.0ポートを試す
- 背面のUSBポートを試す
メディアの再作成
- 別のUSBメモリで作成し直す
- 書き込み速度を低速に設定
ステップ3:Windowsセットアップの開始
言語とキーボードの設定
インストールする言語:日本語
時刻と通貨の形式:日本語(日本)
キーボードまたは入力方式:Microsoft IME
キーボードの種類:日本語キーボード(106/109キー)
インストールの開始
- 「今すぐインストール」をクリック
- プロダクトキーの入力画面が表示される
- 持っている場合:25文字のキーを入力
- 持っていない場合:「プロダクトキーがありません」をクリック
- デジタルライセンス:「後で行う」をクリック
Windowsエディションの選択
Windows 11の場合
- Windows 11 Home
- Windows 11 Pro
- Windows 11 Pro for Workstations
- Windows 11 Enterprise
Windows 10の場合
- Windows 10 Home
- Windows 10 Pro
- Windows 10 Enterprise
- Windows 10 Education
ライセンス条項への同意
- ライセンス条項を確認
- 「ライセンス条項に同意します」にチェック
- 「次へ」をクリック
ステップ4:インストールの種類選択
アップグレード vs カスタム
アップグレード
- 既存のWindowsが残っている場合のみ選択可能
- ファイル、設定、アプリを保持
- 問題が発生する可能性あり
カスタム(推奨)
- クリーンインストール
- 最も安定した結果が得られる
- 既存データは削除される
ステップ5:インストール先の選択と設定
ドライブの確認
ディスク 0 パーティション 1: 100MB システム(EFI)
ディスク 0 パーティション 2: 16MB MSR(予約済み)
ディスク 0 パーティション 3: 450GB プライマリ
ディスク 0 パーティション 4: 550MB 回復
パーティション操作
新しいSSD/HDDの場合
- 「新規」をクリック
- サイズを入力(通常は最大容量)
- 「適用」をクリック
- システムパーティションが自動作成される
既存パーティションがある場合
- 削除したいパーティションを選択
- 「削除」をクリック
- すべて削除後、「新規」で作成
複数パーティションの作成
- 1つ目のパーティションサイズを指定
- 「新規」で作成
- 残り容量で2つ目を作成
フォーマット(必要に応じて)
- パーティションを選択
- 「フォーマット」をクリック
- 確認メッセージで「OK」
ステップ6:インストールの実行
ファイルコピーフェーズ
進行状況の例:
□ Windowsファイルのコピー中... (15%)
□ 機能とドライバーをインストール中... (45%)
□ 設定を構成中... (75%)
□ 再起動の準備中... (95%)
所要時間
- SSD:15〜30分
- HDD:30〜60分
- 古いハードウェア:60分以上
自動再起動
- ファイルコピー完了後、自動で再起動
- 「Press any key…」が表示されてもキーを押さない
- Windowsロゴと読み込みアニメーションが表示
ステップ7:初期設定(OOBE)
地域設定
国または地域:日本
キーボードレイアウト:Microsoft IME
2つ目のキーボードレイアウト:スキップ
ネットワーク接続
有線LAN
- 自動的に接続される場合が多い
- IPアドレスが自動取得される
無線LAN
- ネットワーク一覧から選択
- パスワード(暗号化キー)を入力
- 「接続」をクリック
インターネット接続をスキップ
- Windows 11 Homeでは基本的に必須
- 「今は接続しない」を選択(表示される場合)
アカウント設定
Microsoftアカウント(推奨)
- メールアドレスとパスワードを入力
- OneDriveとの同期が可能
- 複数デバイス間での設定同期
ローカルアカウント
- パソコン専用のアカウント
- インターネット接続不要
- Windows 11 Proでのみ選択可能
プライバシー設定
推奨設定項目:
□ 位置情報:オフ
□ デバイスの検索:オン
□ 診断データ:基本
□ インクと入力の改善:オフ
□ エクスペリエンスのカスタマイズ:オフ
□ 広告ID:オフ
Cortana設定
- 「はい」:音声アシスタントを有効
- 「今は実行しない」:後で設定可能
初期設定後にすべきこと

Windows Updateの実行
手動でのアップデート確認
- 設定 → Windows Update
- 「更新プログラムのチェック」をクリック
- 利用可能な更新をすべてインストール
- 再起動が必要な場合は再起動
複数回の更新確認
- 1回目:基本的なセキュリティ更新
- 2回目:ドライバーと機能更新
- 3回目:追加の更新プログラム
ドライバーのインストール
自動インストール
Windows Update経由
- 一般的なハードウェアは自動インストール
- ネットワーク、グラフィック、オーディオ等
手動インストール
グラフィックドライバー
- NVIDIA:GeForce Experience
- AMD:Radeon Software
- Intel:Intel Graphics Command Center
マザーボードドライバー
- LAN、オーディオ、USB等
- メーカーサイトからダウンロード
その他のドライバー
優先順位:
1. チップセットドライバー
2. ネットワークドライバー
3. グラフィックドライバー
4. オーディオドライバー
5. USB 3.0ドライバー
6. その他周辺機器
セキュリティ設定
Windows Defender
推奨設定:
□ リアルタイム保護:オン
□ クラウド提供の保護:オン
□ 自動サンプル送信:オン
□ 改ざん防止:オン
ファイアウォール
- 設定 → プライバシーとセキュリティ → Windows セキュリティ
- ファイアウォールとネットワーク保護
- 各ネットワークでファイアウォールが有効になっていることを確認
BitLocker(Pro版のみ)
- 設定 → プライバシーとセキュリティ → デバイスの暗号化
- 「オンにする」をクリック
- 回復キーを安全な場所に保存
基本ソフトウェアのインストール
ウェブブラウザ
Google Chrome
- Google公式サイトからダウンロード
- Googleアカウントでの同期機能
Mozilla Firefox
- Mozilla公式サイトからダウンロード
- プライバシー重視の設計
メディアプレーヤー
VLC Media Player
- ほぼすべての動画形式に対応
- 軽量で高機能
圧縮・解凍ソフト
7-Zip
- オープンソースで無料
- 多くの形式に対応
PDF閲覧ソフト
Adobe Acrobat Reader DC
- 最も一般的なPDFリーダー
- 注釈機能あり
よくあるトラブルと対処法
インストール前のトラブル
USBから起動しない
原因と対処法
BIOSの設定ミス
- Boot Priorityを再確認
- UEFI/Legacy設定を確認
- Secure Bootを一時的に無効化
USBメディアの問題
- 別のUSBポートで試す
- USB 2.0ポートを使用
- 別のUSBメモリで作成し直し
インストールメディアの破損
- メディア作成ツールで再作成
- ISOファイルの整合性を確認
- 書き込み速度を低速に設定
ハードウェア互換性の問題
TPM 2.0未対応(Windows 11)
- BIOSでTPMを有効化
- fTPM(AMD)/PTT(Intel)を有効化
- 互換性のないハードウェアの場合はWindows 10を検討
セキュアブート未対応
- UEFIモードでインストール
- Legacy(CSM)モードを無効化
インストール中のトラブル
インストールが途中で止まる
症状別対処法
ブルースクリーン発生
- メモリテストの実行(MemTest86+)
- メモリを1枚ずつで試す
- CMOSクリア(BIOS初期化)
特定の%で停止
- ドライブの健康状態チェック
- SATAケーブルの交換
- 別のSATAポートで接続
無限再起動ループ
- インストールメディアを抜いて再起動
- 最小構成でのインストール
- BIOSを最新バージョンに更新
ドライバー関連のエラー
ストレージドライバー不足
- IntelのRSTドライバーをUSBに追加
- AHCIモードでの接続確認
- IDE互換モードへの一時変更
インストール後のトラブル
デバイスが認識されない
ネットワークアダプター
- イーサネットドライバーの手動インストール
- USBテザリングでのインターネット接続
- ドライバーCDからのインストール
グラフィックドライバー
- 基本VGAドライバーでの一時使用
- セーフモードでのドライバーインストール
- 古いバージョンドライバーの使用
パフォーマンスの問題
起動が遅い
- 高速スタートアップの有効化
- 不要なスタートアップアプリの無効化
- SSDの健康状態チェック
動作が重い
- メモリ使用量の確認
- バックグラウンドアプリの制限
- 仮想メモリの設定調整
アクティベーション(ライセンス認証)
プロダクトキーでの認証
手動でのアクティベーション
- 設定 → システム → ライセンス認証
- 「プロダクトキーの変更」をクリック
- 25文字のプロダクトキーを入力
- 「次へ」で認証実行
電話での認証
- インターネット認証が失敗した場合
- 「電話でライセンス認証を行う」を選択
- 表示された番号に電話
- 音声ガイダンスに従って認証
デジタルライセンス
Microsoftアカウントとの紐づけ
- Windows 10/11でMicrosoftアカウントでサインイン
- 「デジタルライセンスでアクティブ化されています」と表示
- ハードウェア変更時の再認証が可能
トラブルシューティング
- 設定 → システム → ライセンス認証
- 「トラブルシューティング」をクリック
- 「このデバイスでハードウェアを最近変更しました」を選択
- Microsoftアカウントでサインイン
- 認証するデバイスを選択
パフォーマンス最適化

起動時間の短縮
高速スタートアップの有効化
- コントロールパネル → 電源オプション
- 「電源ボタンの動作を選択する」
- 「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリック
- 「高速スタートアップを有効にする」にチェック
スタートアップアプリの管理
- タスクマネージャー → スタートアップタブ
- 不要なアプリを「無効」に設定
- 「スタートアップへの影響」が「高」のものを優先的に無効化
システムの最適化
ディスククリーンアップ
- ディスククリーンアップツールを実行
- 「システムファイルのクリーンアップ」をクリック
- 削除するファイルを選択(一時ファイル、ログファイル等)
仮想メモリの設定
- システムの詳細設定 → パフォーマンス → 設定
- 詳細設定タブ → 変更
- 「すべてのドライブのページングファイルのサイズを自動的に管理する」のチェックを外す
- カスタムサイズを設定(推奨:物理メモリの1.5〜2倍)
まとめ
Windowsのインストールを成功させるためのポイントをまとめます:
事前準備が重要
- 適切なインストールメディアの作成
- 有効なプロダクトキーの確認
- 重要データの必須バックアップ
- ハードウェア要件の事前確認
基本的な流れ
- BIOSでの起動順序設定
- インストールメディアからの起動
- 画面の指示に従った設定
- 初期設定とアカウント作成
トラブル対応
- 段階的な原因の特定
- 最小構成でのテスト
- ドライバーの手動インストール
- 適切なツールでの診断
インストール後の最適化
- Windows Updateの完全実行
- 必要なドライバーのインストール
- セキュリティ設定の確認
- パフォーマンスの調整
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