「パソコンの調子が悪いから初期化したい。でも、Dドライブに保存した大量のデータはどうなるの?」
この不安、とてもよく分かります。
写真、動画、仕事のファイル、ゲームのデータ…。Dドライブには、何年分もの大切なデータが詰まっています。初期化で全部消えてしまったら、取り返しがつきません。
でも安心してください。正しい方法で初期化すれば、Dドライブのデータは守れます。実は、Windows標準の初期化機能では、基本的にCドライブ(システムドライブ)だけがリセットされ、Dドライブはそのまま残るんです。
ただし、初期化の方法や設定によっては、Dドライブも消えてしまう危険があります。また、「Dドライブが残る」と言っても、いくつか注意点があり、準備なしに初期化すると後悔することも。
この記事では、Windows初期化時のDドライブの扱いを完全解説。データを確実に守りながら、安全に初期化する方法をステップバイステップでお伝えします。
基礎知識:CドライブとDドライブの違いを理解する

ドライブの基本構造
Windowsのドライブ構成:
ドライブ | 一般的な用途 | 初期化の影響 |
---|---|---|
Cドライブ | Windows本体、プログラム | 初期化で消去される |
Dドライブ | データ保存用 | 通常は残る(条件あり) |
その他 | 外付けHDD、USBなど | 影響なし |
パーティションとは?
実は、CドライブとDドライブは、多くの場合同じ物理ディスクを分割したものです。
物理ディスク(500GB)
├─ Cドライブ(200GB):システム領域
└─ Dドライブ(300GB):データ領域
イメージとしては、1つの部屋を壁で仕切って2部屋にしているような感じ。初期化は通常、片方の部屋(Cドライブ)だけを掃除することになります。
なぜDドライブを作るのか?
Dドライブのメリット:
- システムとデータの分離
- Windowsが壊れてもデータは安全
- 初期化が簡単
- バックアップの効率化
- データだけをバックアップしやすい
- システムの復元が速い
- パフォーマンスの最適化
- Cドライブの空き容量確保
- デフラグの効率向上
重要:初期化の種類によるDドライブへの影響
方法1:「設定」からの初期化(推奨)
Windows 11/10の標準機能
この方法では、Dドライブは基本的に残ります。
手順:
設定 → 更新とセキュリティ → 回復
→ このPCを初期状態に戻す → 開始する
選択肢と影響:
オプション | Cドライブ | Dドライブ | 推奨度 |
---|---|---|---|
個人用ファイルを保持する | アプリ削除、設定リセット | 影響なし | ★★★★★ |
すべて削除する | 完全削除 | 影響なし※ | ★★★☆☆ |
※「すべて削除」でも、通常Dドライブは削除されません。ただし、選択画面で注意が必要。
方法2:クリーンインストール(上級者向け)
USBやDVDからWindowsを新規インストール
この方法は、設定次第でDドライブも消える可能性があります。
Dドライブが消えるケース:
- ディスク全体をフォーマットした場合
- パーティションを削除した場合
- 間違ったドライブを選択した場合
安全に行う方法:
- インストール時に「カスタム」を選択
- Cドライブのみを選択してフォーマット
- Dドライブには触れない
方法3:回復ドライブからの初期化
事前に作成した回復ドライブを使用
基本的にDドライブは残りますが、作成時の設定によります。
確認ポイント:
- 「システムファイルを回復ドライブにバックアップ」の有無
- 回復オプションの選択
実践:Dドライブを守りながら初期化する手順
事前準備(必須!)
1. Dドライブの状態確認
確認項目:
1. エクスプローラーでDドライブを開く
2. 右クリック → プロパティ
3. 以下を確認:
- 使用領域/空き領域
- ファイルシステム(NTFS推奨)
- エラーチェック実行
2. 重要データのバックアップ
Dドライブでもバックアップすべきデータ:
✅ 絶対にバックアップ:
- 仕事の重要ファイル
- 思い出の写真・動画
- 作成した文書
- メールデータ
✅ できればバックアップ:
- ダウンロードファイル
- 音楽・動画コレクション
- ゲームのセーブデータ
バックアップ方法:
- 外付けHDDにコピー
- クラウドストレージに保存
- 別のPCに転送
3. アプリケーションのインストール先確認
Dドライブにインストールしたアプリの確認:
設定 → アプリ → アプリと機能
→ 各アプリの場所を確認
Dドライブにインストールしたアプリは、初期化後に再インストールや再設定が必要になります。
Windows 11での初期化手順
ステップ1:初期化の開始
- 設定を開く
- Windowsキー + I
- システム → 回復
- 左メニューから「システム」
- 「回復」をクリック
- 「このPCをリセット」
- 「PCをリセットする」の横の「リセット」ボタン
ステップ2:オプション選択
- 「個人用ファイルを保持する」を選択
- Dドライブを確実に残すため
- 「クラウドダウンロード」or「ローカル再インストール」
- クラウド:最新のWindows(時間がかかる)
- ローカル:現在のWindowsファイルを使用(速い)
ステップ3:設定の確認
⚠️ 重要な確認画面:
「現在の設定」
- 個人用ファイルを保持する
- アプリと設定を削除する
- Windowsを再インストールする
ここで**「設定の変更」**をクリックして詳細確認!
ステップ4:最終確認
「影響を受けるドライブ」を必ず確認:
- Cドライブのみ表示 → 安全
- Dドライブも表示 → 危険!中止!
Windows 10での初期化手順
基本的な流れはWindows 11と同じ:
- 設定 → 更新とセキュリティ
- 回復 → このPCを初期状態に戻す
- 「開始する」をクリック
- 「個人用ファイルを保持する」を選択
Windows 10特有の注意点:
- 「ドライブのクリーニング」は選ばない
- 「Windowsがインストールされているドライブのみ」を選択
トラブルを防ぐ:よくある失敗と対策

失敗例1:Dドライブが認識されなくなった
原因:
- ドライブレターの消失
- パーティション情報の破損
対処法:
- ディスクの管理で確認
Win + X → ディスクの管理 Dドライブの領域を確認
- ドライブレターの再割り当て
- 該当領域を右クリック
- 「ドライブ文字とパスの変更」
- 「D」を割り当て
- それでもダメなら
- TestDisk等の復旧ツール使用
- 専門業者に相談
失敗例2:Dドライブのアプリが動かない
原因:
- レジストリ情報の消失
- 依存ファイルの削除
対処法:
- アプリの再インストール
- 最も確実な方法
- 設定は引き継がれることが多い
- 修復インストール
- アプリの修復機能を使用
- データを保持したまま修復
- レジストリの復元
- 上級者向け
- バックアップがある場合のみ
失敗例3:アクセス権限がなくなった
症状: 「このフォルダーにアクセスする許可がありません」
対処法:
- 所有権の取得
フォルダ右クリック → プロパティ → セキュリティ → 詳細設定 → 所有者の変更
- アクセス権限の追加
- 現在のユーザーにフルコントロール権限を付与
- 管理者権限で実行
- コマンドプロンプトを管理者として実行
takeown /f D:\ /r
初期化前のチェックリスト
必須確認項目
✅ Dドライブの確認
- [ ] 容量と使用状況の記録
- [ ] フォルダ構成のスクリーンショット
- [ ] 重要ファイルのリスト作成
✅ バックアップ
- [ ] 重要データの外部保存
- [ ] バックアップの動作確認
- [ ] 復元手順の確認
✅ アプリケーション
- [ ] Dドライブのアプリ一覧作成
- [ ] ライセンスキーの保管
- [ ] 設定のエクスポート
✅ システム
- [ ] Windows Update完了
- [ ] ウイルススキャン実施
- [ ] ディスクエラーチェック
✅ その他
- [ ] ブラウザのブックマーク保存
- [ ] メールアカウント情報
- [ ] Wi-Fiパスワード
推奨準備
📝 ドキュメント作成:
- 現在の環境のスクリーンショット
- インストールアプリ一覧
- 各種設定メモ
🔧 ツールの準備:
- 回復ドライブ作成
- Windowsインストールメディア
- ドライバーのダウンロード
初期化後の作業:Dドライブの活用
Dドライブの再設定
1. ドライブレターの確認
- 正しく「D」が割り当てられているか
- 必要に応じて変更
2. 共有設定の復元
- ネットワーク共有の再設定
- アクセス権限の設定
3. インデックスの再構築
コントロールパネル → インデックスのオプション
→ 変更 → Dドライブを追加
アプリケーションの復元
Dドライブのアプリ対処法:
- ポータブルアプリ
- そのまま使用可能
- ショートカットの再作成のみ
- インストール型アプリ
- 再インストール必要
- 設定ファイルは残っている場合が多い
- ゲーム
- ランチャーで整合性チェック
- Steam、Epic等は再認識が必要
デフォルトフォルダの移動
ユーザーフォルダをDドライブに:
- 対象フォルダ:
- ドキュメント
- ピクチャ
- ビデオ
- ダウンロード
- デスクトップ
- 移動方法:
フォルダ右クリック → プロパティ → 場所タブ → 移動 → Dドライブの任意のフォルダを選択
メリット:
- Cドライブの容量節約
- 次回初期化時も安全
- バックアップが簡単
パーティション管理:上級テクニック
Dドライブがない場合の作成方法
Cドライブを分割してDドライブを作成:
- ディスクの管理を開く
- Win + X → ディスクの管理
- Cドライブを縮小
- Cドライブ右クリック → ボリュームの縮小
- 縮小サイズを指定(例:100GB)
- 新しいボリュームを作成
- 未割り当て領域を右クリック
- 新しいシンプルボリューム
- ドライブレター「D」を割り当て
パーティションのサイズ変更
Dドライブを拡張したい場合:
- Cドライブを縮小
- Dドライブに隣接する未割り当て領域を作成
- Dドライブを拡張
注意:
- データのバックアップ必須
- 時間がかかる場合がある
- 電源を切らないこと
サードパーティツールの活用
おすすめツール:
- EaseUS Partition Master
- GUI操作で簡単
- データを保持したままサイズ変更
- MiniTool Partition Wizard
- 無料版でも高機能
- パーティションの移動も可能
- AOMEI Partition Assistant
- 日本語対応
- OSの移行機能もあり
SSDとHDDでの違い

物理的に別ドライブの場合
構成例:
- Cドライブ:SSD(256GB)
- Dドライブ:HDD(2TB)
この場合の初期化:
- 100%安全
- 物理的に別なので影響なし
- ケーブルを外せば完全に保護可能
同一SSD/HDD内のパーティション
注意点:
- 初期化の選択を間違えると全消去
- パーティション情報の破損リスク
- 速度は同じ
ハイブリッド構成のベストプラクティス
理想的な構成:
SSD(Cドライブ):
- Windows
- プログラム
- 頻繁に使うデータ
HDD(Dドライブ):
- 大容量データ
- バックアップ
- メディアファイル
よくある質問(FAQ)
Q1:初期化中に電源が切れたらどうなる?
A:深刻な問題になる可能性があります
対処法:
- UPS(無停電電源装置)を使用
- ノートPCはバッテリー充電確認
- 初期化は時間に余裕があるときに
復旧方法:
- 回復環境から再試行
- インストールメディアで修復
Q2:Dドライブの容量が初期化後に減った
A:いくつかの原因が考えられます
- System Volume Information
- システムの復元ポイント
- 設定で容量調整可能
- $RECYCLE.BIN
- ゴミ箱フォルダ
- 空にすれば解決
- 隠しファイル
- エクスプローラーで表示設定変更
Q3:OneDriveの同期フォルダがDドライブにある
A:再設定が必要です
手順:
- OneDriveアプリで再サインイン
- 同期フォルダをDドライブに指定
- 既存ファイルとの重複に注意
Q4:BitLockerで暗号化されたDドライブ
A:回復キーが必要です
準備:
- 回復キーを事前に保存
- Microsoftアカウントに保管
- 初期化後にロック解除
Q5:デュアルブートの場合は?
A:慎重な操作が必要
注意点:
- ブートローダーの破損リスク
- 各OSのパーティション確認
- 専門知識が必要
まとめ:安全な初期化のための鉄則
Windows初期化でDドライブを守ることは、正しい知識と準備があれば難しくありません。
覚えておくべき5つの鉄則:
- 標準の初期化機能を使う
- 「設定」からの初期化が最も安全
- 「個人用ファイルを保持する」を選択
- 必ずバックアップを取る
- Dドライブでも油断しない
- 重要データは二重三重に保護
- 確認画面をしっかり読む
- 影響を受けるドライブを確認
- 不明な選択肢は選ばない
- 事前準備を怠らない
- チェックリストを活用
- アプリ一覧を作成
- 不安なら専門家に相談
- データは取り返しがつかない
- 確実性を優先する
今すぐやるべきこと
初期化を検討中の方:
- Dドライブの中身を確認
- 重要データのバックアップ開始
- この記事のチェックリストを印刷
定期メンテナンスとして:
- 月1回:Dドライブの整理
- 3ヶ月に1回:重要データのバックアップ
- 年1回:パーティション構成の見直し
データを守りながら、快適なWindows環境を維持していきましょう。準備さえしっかりすれば、初期化は怖くありません!
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