「ちょっとPC貸して」と言われた時、こんな不安ありませんか?
- 個人的なファイルを見られたくない…
- ブラウザの履歴やパスワードが心配
- 設定を変更されたら困る
- 子供が使う時に制限をかけたい
実は、Windowsのゲストアカウント機能を使えば、 これらの心配がすべて解決します!
ゲストアカウントは、まるでホテルの部屋のようなもの。 使う人には必要な機能だけ提供して、 あなたの大切なデータは完全に守られます。
ただし、Windows 10/11では従来のゲストアカウントが廃止され、 新しい方法で同じことを実現する必要があります。
この記事では、最新のWindows環境で 安全にゲストログインを設定する方法を 完全解説します!
Windows 10/11のゲストアカウント事情:大きな変更点

従来のゲストアカウントは廃止
Windows 7まで:
- 標準でGuestアカウントが存在
- 簡単に有効/無効を切り替え
Windows 10/11:
- デフォルトのGuestアカウントは削除
- セキュリティ上の理由で廃止
- 代替方法で実現する必要あり
現在の3つの代替方法
方法 | 難易度 | セキュリティ | おすすめ度 |
---|---|---|---|
ローカルアカウント作成 | ★☆☆ | ★★★ | ★★★ |
家族アカウント(子供) | ★★☆ | ★★★ | ★★☆ |
Assigned Access(キオスクモード) | ★★★ | ★★★ | ★☆☆ |
最も実用的な「ローカルアカウント作成」を中心に解説します!
方法1:ゲスト用ローカルアカウントの作成(推奨)
Windows 11での手順
ステップ1:設定を開く
- Windowsキー + I で設定を開く
- 「アカウント」をクリック
- 左メニューの「他のユーザー」を選択
ステップ2:アカウントを追加
- 「アカウントの追加」をクリック
- 「このユーザーのサインイン情報がありません」を選択
- 「Microsoftアカウントを持たないユーザーを追加する」をクリック
- アカウント情報を入力:
ユーザー名:Guest(または任意の名前) パスワード:(空欄も可能だが推奨しない) パスワードのヒント:(任意)
- 「次へ」で作成完了
Windows 10での手順
- 設定→アカウント→家族とその他のユーザー
- 「その他のユーザーをこのPCに追加」
- 「このユーザーのサインイン情報がありません」
- 「Microsoftアカウントを持たないユーザーを追加する」
- ユーザー名とパスワードを設定
アカウントタイプを「標準」に設定(重要!)
管理者権限を与えない:
- 作成したアカウントをクリック
- 「アカウントの種類の変更」
- 「標準ユーザー」を選択
- 「OK」で確定
これで管理者権限なしの安全なゲストアカウントの完成!
方法2:家族向けセーフティ機能を使う
子供アカウントとして設定
メリット:
- Webフィルタリング
- 使用時間制限
- アプリ制限
- 活動レポート
設定手順
- 設定→アカウント→家族
- 「家族のメンバーを追加」
- 「お子様を追加する」を選択
- メールアドレスを入力
- 新規作成も可能
- 年齢を設定(重要)
- 13歳未満:最大制限
- 13-17歳:中程度の制限
制限内容のカスタマイズ
Microsoft Family Safetyで管理:
- family.microsoft.com にアクセス
- 制限項目:
☑ スクリーンタイム(使用時間) ☑ コンテンツフィルター ☑ アプリとゲームの制限 ☑ 支出(Microsoft Store)
- 各項目を細かく設定
方法3:キオスクモード(Assigned Access)
単一アプリのみ使用可能にする
使用例:
- 展示用PC
- 受付端末
- 情報検索専用
Windows 11 Proでの設定
- 設定→アカウント→家族とその他のユーザー
- 「キオスクモードのセットアップ」
- 「開始する」をクリック
- アカウントを作成または選択
- 許可するアプリを1つ選択:
- Microsoft Edge(Web閲覧のみ)
- 特定のアプリ
- 自動サインインの設定(任意)
制限内容:
- 指定アプリ以外使用不可
- スタートメニューなし
- タスクバー制限
- Alt+F4無効
ゲストアカウントのセキュリティ設定

必須のセキュリティ対策
1. フォルダーアクセス制限
個人フォルダーを保護:
- 保護したいフォルダーを右クリック
- プロパティ→セキュリティタブ
- 「編集」→「追加」
- Guestアカウントを追加
- 「拒否」にチェック
2. ドライブの非表示
Cドライブを隠す:
グループポリシーエディター(gpedit.msc)
→ユーザーの構成
→管理用テンプレート
→Windowsコンポーネント
→エクスプローラー
→「指定したドライブを非表示」を有効化
3. コントロールパネルへのアクセス制限
グループポリシー
→コントロールパネルへのアクセス禁止
→有効
プライバシー保護設定
ブラウザの設定
Edge/Chromeでゲストモード強制:
- ブラウザのショートカットを作成
- プロパティ→リンク先に追加:
Edge: --guestChrome: --guest
共有フォルダーの設定
ゲスト専用フォルダー作成:
C:\Users\Public\GuestFiles\
ここだけアクセス可能に設定
グループポリシーでの詳細制限(Windows Pro以上)
制限可能な項目一覧
システム設定の制限
gpedit.msc → ユーザーの構成 → 管理用テンプレート
制限項目:
☑ コントロールパネルを非表示
☑ タスクマネージャーを無効化
☑ レジストリエディターを無効化
☑ コマンドプロンプトを無効化
☑ 設定アプリを制限
ネットワーク制限
☑ ネットワーク設定の変更を禁止
☑ VPN接続を禁止
☑ 新しいネットワーク接続を禁止
ソフトウェア制限
☑ ソフトウェアのインストールを禁止
☑ Windows Storeを無効化
☑ 特定のプログラムのみ実行許可
AppLockerでアプリ制限(Ultimate/Enterprise)
- secpol.msc を起動
- アプリケーション制御ポリシー
- AppLocker→実行可能ファイルの規則
- 新しい規則の作成
- 許可/拒否するアプリを指定
実際の運用シナリオ
シナリオ1:友人に一時的に貸す
設定内容:
アカウント名:TempGuest
パスワード:なし(またはシンプルなもの)
権限:標準ユーザー
制限:個人フォルダーアクセス禁止
期限:使用後即削除
手順:
- ゲストアカウント作成
- 必要なアプリのみアクセス許可
- 使用後アカウント削除
シナリオ2:子供の学習用
設定内容:
アカウント名:Kids
パスワード:あり
権限:標準ユーザー
制限:
- Webフィルタリング有効
- 使用時間制限(平日2時間、休日4時間)
- ゲーム禁止
- YouTube Kids のみ許可
シナリオ3:在宅ワーク時の私用分離
設定内容:
仕事用:メインアカウント(管理者)
私用:ゲストアカウント(標準)
完全分離で情報漏洩防止
トラブルシューティング
問題1:ゲストアカウントでログインできない
原因と解決:
- パスワードが設定されていない
- セキュリティポリシーで空パスワード禁止の場合
- 解決:簡単なパスワードを設定
- アカウントが無効化されている
コンピューターの管理 →ローカルユーザーとグループ →ユーザー →該当アカウントのプロパティ →「アカウントを無効にする」のチェックを外す
- グループポリシーで制限
- gpedit.mscで確認
問題2:ゲストで管理者権限が必要と言われる
対処法:
- RunAsを使用:
Shift+右クリック →「別のユーザーとして実行」 →管理者アカウントの資格情報を入力
- 必要なソフトを事前インストール
- ポータブル版アプリを使用
問題3:ファイルにアクセスできない
解決方法:
- 共有フォルダーを作成:
C:\Users\Public\Documents\Shared
- アクセス権限を設定:
- Everyone:読み取り
- Guest:読み取りと書き込み
問題4:インターネットに接続できない
確認事項:
- ネットワークプロファイル:
- パブリックネットワークに設定
- ファイアウォール設定:
- ゲストアカウント用ルール追加
- プロキシ設定:
- 必要に応じて設定
ゲストアカウントの管理
使用後の処理
自動削除スクリプト
PowerShellスクリプト:
# 30日以上ログインしていないゲストアカウントを削除
$DaysInactive = 30
$Today = Get-Date
$Guests = Get-LocalUser | Where {$_.Name -like "Guest*"}
foreach ($Guest in $Guests) {
if ($Guest.LastLogon -lt $Today.AddDays(-$DaysInactive)) {
Remove-LocalUser -Name $Guest.Name
Write-Host "$($Guest.Name) を削除しました"
}
}
手動削除
- 設定→アカウント→他のユーザー
- 削除したいアカウントを選択
- 「削除」をクリック
- 「アカウントとデータの削除」を確認
使用状況の監視
イベントビューアーで確認
イベントビューアー
→Windowsログ
→セキュリティ
→ログオン/ログオフイベント
監査ポリシーの設定
secpol.msc
→ローカルポリシー
→監査ポリシー
→ログオンイベントの監査:成功と失敗
セキュリティのベストプラクティス

10の鉄則
- 管理者権限は絶対に与えない
- 使用後は必ず削除またはPW変更
- 個人フォルダーへのアクセスを完全遮断
- ブラウザは必ずゲストモード
- 重要なファイルは別ドライブに移動
- 使用時間を制限する
- ネットワーク共有は最小限に
- 定期的に使用ログを確認
- 不要なサービスは停止
- BitLockerで暗号化(可能なら)
追加の保護レイヤー
Windows Sandbox の活用
Windows 10/11 Pro以上:
- Windows の機能→Windows Sandbox を有効化
- 完全に隔離された環境を提供
- 終了時にすべて削除
仮想マシンの利用
Hyper-V で完全分離:
- ホストOSから完全独立
- スナップショットで復元可能
- より高度なセキュリティ
よくある質問(FAQ)
Q1:Windows Homeでもできる?
A:基本的な機能は可能です。
ローカルアカウント作成は可能。 ただし、グループポリシーは使えないので、 制限は限定的になります。
Q2:複数のゲストアカウントを作れる?
A:はい、作成可能です。
必要に応じて複数作成し、 用途別に使い分けられます。
Q3:ゲストでもWindows Updateはできる?
A:標準ユーザーでは制限されます。
自動更新は動作しますが、 手動での更新には管理者権限が必要。
Q4:ゲストアカウントのデータはどこに保存される?
A:専用のユーザーフォルダーに保存。
C:\Users\[ゲストアカウント名]\
削除時にこのフォルダーも削除されます。
Q5:Microsoftアカウントでゲスト作成は可能?
A:可能ですが推奨しません。
ローカルアカウントの方が 管理が簡単で安全です。
まとめ:安心してPCを貸せる環境を作ろう
Windowsのゲストアカウント機能を使えば、 プライバシーを完全に守りながら 他人にPCを貸すことができます。
設定のポイント:
✅ ローカルアカウントで作成
✅ 標準ユーザー権限のみ
✅ 個人フォルダーアクセス禁止
✅ 使用後は削除が基本
✅ 定期的な監視を忘れずに
今すぐやるべきこと:
- テスト用ゲストアカウント作成
- 制限設定の確認
- 個人データの保護確認
- 削除手順の確認
- 緊急時の対応準備
シーン別推奨設定:
- 友人に貸す → シンプルなローカルアカウント
- 子供用 → ファミリーセーフティ
- 展示用 → キオスクモード
これで、「ちょっとPC貸して」と言われても、 安心して「いいよ!」と答えられます。
あなたの大切なデータは完全に守られ、 ゲストも必要な作業ができる。
Win-Winの環境が実現できるんです!
今すぐ設定を始めて、 安全なPC共有環境を作りましょう。
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