WSL(Windows Subsystem for Linux)は、Windows上でLinuxを動かせる便利な機能です。
最大限の性能と安定性を得るには、定期的なアップデートが大切です。
この記事では、初心者の方でも簡単にWSLをアップデートできる方法を、ステップバイステップで解説します。
現在のWSLバージョンを確認する

まず始めに、現在使用しているWSLのバージョンを確認しましょう。
WSL1とWSL2では性能に大きな違いがあります。
PowerShellでバージョン確認
スタートメニューから「PowerShell」を検索して起動し、以下のコマンドを入力します:
wsl --version
このコマンドでWSL本体のバージョンが表示されます。
あるいは、インストールされているLinuxディストリビューション(UbuntuなどのOS)のバージョンを確認するには:
wsl --list --verbose
表示例:
NAME STATE VERSION
Ubuntu Running 2
「VERSION」の列が「1」ならWSL1、「2」ならWSL2を使用中です。
WSL2の方が高速で機能も充実しているので、可能ならWSL2への切り替えをおすすめします。
WSL本体をアップデートする方法(Windows 10 / 11 共通)

WSL本体(Linuxカーネル)は簡単にアップデートできます。
アップデート手順
- PowerShellを「管理者として実行」します
- スタートメニューで「PowerShell」を右クリック
- 「管理者として実行」を選択
- 以下のコマンドを実行してアップデート:
wsl --update
これだけで、WSL本体が自動的に最新版に更新されます。更新が完了したら、念のためバージョンを確認しておきましょう:
wsl --version
更新の適用後、新しいバージョン番号が表示されるはずです。
Ubuntu などディストリビューションも更新する(Linux側)

WSL本体とは別に、WSL上で動作しているLinux(UbuntuなどのOSのこと)も更新しておくことが重要です。
- WSLのUbuntu(または他のディストリビューション)を起動します
- スタートメニューから「Ubuntu」を検索して起動
- 以下のコマンドを実行して、Linuxパッケージを更新します:
sudo apt update && sudo apt upgrade -y
このコマンドでUbuntu内のソフトウェアパッケージが最新状態に更新されます。
途中でパスワードの入力を求められたら、WSL設定時に設定したパスワードを入力してください。
WSL1 → WSL2 への変換方法(未導入の場合)

WSL1を使用している場合は、より高性能なWSL2へ移行することをお勧めします。
WSL2が未インストールの場合
Windows 11を使用している場合は、以下のコマンドでWSL2とUbuntuを一度にインストールできます:
wsl --install
WSL1をWSL2に変換する場合
すでにWSL1のディストリビューション(例:Ubuntu)がある場合、以下のコマンドで変換できます:
wsl --set-version Ubuntu 2
※「Ubuntu」の部分は、使用しているディストリビューション名に合わせて変更してください。
変換プロセスには数分かかる場合があります。完了までお待ちください。
WSL2 をデフォルトに設定(今後の新規インストール用)

今後インストールする全てのLinuxディストリビューションにWSL2を使用するよう設定するには:
wsl --set-default-version 2
これで、Microsoft Storeから新しくLinuxディストリビューションをインストールする際、自動的にWSL2が使用されるようになります。
よくあるエラーと対処法
WSLのアップデートや変換時に発生することのある問題と解決方法です:
エラー内容 | 対処法 |
---|---|
The requested operation requires elevation | PowerShellを「管理者として実行」する |
WSL 2 requires an update to its kernel component | wsl --update を実行する |
Ubuntuが見つからない | Microsoft Store からUbuntuを再インストール |
変換に失敗する | PCを再起動してから再試行する |
まとめ|WSLアップデート手順一覧
ステップ | コマンド |
---|---|
バージョン確認 | wsl --version / wsl --list --verbose |
本体のアップデート | wsl --update |
ディストリビューション更新 | sudo apt update && sudo apt upgrade -y |
WSL1からWSL2への変換 | wsl --set-version Ubuntu 2 |
WSL2をデフォルトに設定 | wsl --set-default-version 2 |
定期的に上記の手順でWSLを更新することで、常に最新の機能と修正を利用できます。
WSL2への移行により、ファイルシステムのパフォーマンスが向上し、より多くのLinuxアプリケーションとの互換性が得られます。
WSLを使いこなせば、Windowsの使い勝手を保ちながら、Linuxの強力なコマンドラインツールや開発環境を活用できるようになります。
プログラミングやシステム管理を行う方にとって、WSLは非常に便利なツールです。
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