「同じネットワーク上にあるパソコン同士でファイルを共有したい」
「プリンターを複数台のPCで使いたい」
こんなときに役立つのが Windowsのワークグループ です。
専門的なサーバーやドメインを用意しなくても、同じネットワーク内にある複数のパソコンでデータを共有できる仕組みで、家庭や小規模オフィスでよく使われています。
この記事では、ワークグループとは何か、設定方法やトラブルが起きたときの対処法までわかりやすく解説します。
ワークグループとは何?むずかしいサーバーいらずの共有システム

ワークグループの基本的な仕組み
ワークグループは、Windowsが標準で備えているネットワーク上のグループ管理の仕組みです。
簡単にいうと、同じ「ワークグループ名」に設定されたPC同士が、互いにファイルやプリンターを共有しやすくなります。
企業でよく使われるドメインとは違い、中央管理するサーバーが不要で、とてもシンプルです。
ワークグループの特徴
ワークグループには以下のような特徴があります:
- ドメイン(サーバーが管理するネットワーク)よりシンプル
- 小規模環境向き(5〜10台程度)
- 設定や管理がかんたん
- コストがかからない
ネットワーク上のPC同士をフラットにつなぐだけなので、複雑な管理は必要ありません。
どんなときに使うの?
ワークグループは、こんなシーンで活躍します:
- 家庭内でノートPCとデスクトップPCを同じワークグループに設定すれば、写真や文書を簡単に共有できます
- 小さなオフィスでプリンターを共有したいときも便利です
- 複数のPCで同じファイルを編集したいときにも使えます
専門知識がなくても、だれでも設定できるのがワークグループの魅力です。
ワークグループとドメインの違い
「ドメインという言葉も聞いたことがあるけど、何が違うの?」という疑問を持つ人も多いでしょう。
項目 | ワークグループ | ドメイン |
---|---|---|
管理者 | 各PCで個別管理 | サーバーで一元管理 |
規模 | 5〜10台程度 | 数十台〜数百台 |
セキュリティ | 基本的な共有 | 高度なセキュリティ |
コスト | 無料 | サーバーや管理費が必要 |
家庭や小規模オフィスなら、ワークグループで十分です。
仕組みはとてもシンプルです。次は実際にワークグループを確認・設定する方法を見てみましょう。
Windowsでワークグループを確認・変更する方法

現在のワークグループ名を確認する
まずは、あなたのPCがどのワークグループに属しているかを確認してみましょう。
Windows10・11での確認方法:
- 「スタート」→「設定」→「システム」→「バージョン情報」(または「詳細情報」)を開く
- **「デバイス名」「ワークグループ」**が表示されているので確認
従来の方法(Windows7〜10):
- **「コントロールパネル」→「システムとセキュリティ」→「システム」**でも同様に確認できます
初期設定では「WORKGROUP」という名前になっていることがほとんどです。
ワークグループ名を変更する
複数のPCで同じワークグループ名にするため、必要に応じて変更しましょう。
変更手順:
- 同じ画面で「このPCの名前を変更(またはドメインまたはワークグループの変更)」をクリック
- 「変更」ボタンを押す
- 「ワークグループ」を選択し、グループ名を入力(例:「WORKGROUP」)
- 「OK」を押して再起動すると設定が反映
設定のコツ
ワークグループ名を決めるときは、以下のポイントを押さえましょう:
- すべてのPCで同じ名前にする
- 半角英数字を使う(日本語は避ける)
- わかりやすい名前にする(「HOME」「OFFICE」など)
- 大文字と小文字は区別されない
実際の共有確認
複数のPCで同じワークグループ名を設定しておくと、エクスプローラーの「ネットワーク」に一覧が表示され、お互いの共有フォルダに簡単にアクセスできます。
「ネットワーク」を開いて、他のPCが表示されているか確認してみてください。
これでネットワークでの共有準備は完了です。次に、よくある共有トラブルの解決法を紹介します。
ワークグループで共有できないときの対処法
「設定したのにPCが見えない」「ファイルにアクセスできない」といった問題が起こることがあります。でも大丈夫です。よくある原因と解決法を知っておけば、すぐに直せます。
よくある原因
ワークグループで共有できない主な原因は以下の通りです:
- ネットワークが「パブリック」になっていて共有が制限されている
- ファイル共有が無効になっている
- 同じワークグループ名でもPCが見えない場合は、SMB(ファイル共有プロトコル)の設定が必要
- Windowsファイアウォールがブロックしている
解決方法その1:ネットワークをプライベートに変更
手順:
- **「設定」→「ネットワークとインターネット」→「状態」→「プロパティ」**を開く
- 「プライベート」を選択
パブリックネットワーク設定のままだと、セキュリティのため共有が制限され、同じワークグループでもPCが見えないことがあります。
解決方法その2:ファイル共有を有効にする
手順:
- **「コントロールパネル」→「ネットワークと共有センター」→「共有の詳細設定」**を開く
- 「ファイルとプリンターの共有を有効にする」をオン
- 「パスワード保護共有」を必要に応じてオフ
パスワード保護共有をオフにすると、同じワークグループ内のPCからアクセスしやすくなります。
解決方法その3:SMBの設定を確認
SMB1.0が無効になっている場合:
- 「コントロールパネル」→「プログラム」→「Windowsの機能の有効化または無効化」
- 「SMB 1.0/CIFS ファイル共有サポート」をチェック
- 再起動
ただし、SMB1.0はセキュリティ上の問題があるため、できるだけSMB2.0以上を使用することをおすすめします。
解決方法その4:Windowsファイアウォールの設定
ファイアウォールで共有が止められている場合:
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「Windowsセキュリティ」
- 「ファイアウォールとネットワーク保護」→「アプリをファイアウォール経由で許可する」
- 「ファイルとプリンターの共有」にチェック
トラブルシューティングのコツ
問題が起きたときは、以下の順番で確認してみてください:
- すべてのPCが同じワークグループ名になっているか
- ネットワークがプライベートになっているか
- ファイル共有が有効になっているか
- ファイアウォールが共有を止めていないか
これでネットワーク共有がスムーズに行えるようになります。
さらに使いやすくするための設定
共有フォルダを作成する
ワークグループを設定したら、実際に共有フォルダを作ってみましょう。
共有フォルダの作成手順:
- 共有したいフォルダを右クリック
- 「プロパティ」→「共有」タブ
- 「詳細な共有」→「このフォルダーを共有する」をチェック
- 共有名を設定して「OK」
アクセス権限を設定する
セキュリティを考慮した設定:
- 読み取り専用:ファイルの閲覧のみ可能
- フルコントロール:ファイルの追加・削除・変更が可能
- 変更:ファイルの編集は可能だが削除は不可
用途に応じて適切な権限を設定しましょう。
ネットワークドライブとして割り当て
よく使う共有フォルダは、ネットワークドライブとして割り当てると便利です。
設定方法:
- エクスプローラーで「PC」を右クリック
- 「ネットワークドライブの割り当て」
- ドライブ文字と共有フォルダのパスを入力
これで、普通のドライブと同じように使えます。
まとめ:ワークグループで快適なファイル共有を実現しよう
Windowsのワークグループを使えば、小規模なネットワークで手軽にファイルやプリンターを共有できます。
重要なポイント:
- 同じワークグループ名に設定することが基本
- ネットワーク共有をきちんと有効化する
- トラブルが起きても、原因を一つずつ確認すれば解決できる
- セキュリティにも配慮した設定を心がける
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