Windowsでアンマウントするって何?意味と安全に取り外す方法を解説

Windows

外付けハードディスクやUSBメモリを使ったあと、すぐに引き抜いていませんか?

「別に問題ないでしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、実はとても危険な行為です。

大切なデータが消えたり、ファイルが壊れたりする可能性があります。

Windowsには「アンマウント」や「安全な取り外し」という重要な作業があります。

「アンマウントってなに?」
「いつやればいいの?」
「やらないとどうなるの?」
「エラーが出たときはどうすればいい?」

この記事では、そんな疑問にやさしく答えながら、Windowsでの正しいアンマウント(取り外し)方法を、初心者の方でもわかるように詳しく解説します。

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そもそも「アンマウント」とは?

意味を簡単にいうと

アンマウントとは、コンピュータに認識(マウント)されているディスクやUSBメモリを「切り離す操作」のことです。

マウントとアンマウントの関係

マウント

  • USBメモリやSDカードをパソコンに差す
  • パソコンが「新しいデバイスを見つけました」と認識
  • ファイルの読み書きができる状態になる

アンマウント

  • 「もうこのデバイスは使わないから切り離してOKだよ」とパソコンに伝える
  • データの書き込みを完全に終了させる
  • 安全に取り外せる状態にする

日常生活での例え

アンマウントは、電話を切る前に「それでは失礼します」と言うのと似ています。

  • いきなり電話を切る:相手が話している最中だったら失礼
  • ちゃんと挨拶してから切る:お互い納得してから終了

USBメモリでも同じで:

  • いきなり抜く:データ書き込み中だったら壊れる
  • アンマウントしてから抜く:安全に終了してから取り外し

Windowsでのアンマウント=「安全な取り外し」

専門用語の違い

Windowsでは通常「アンマウント」という言葉はあまり使わず、**「安全な取り外し」**と表示されます。

OS表示される言葉
Windows安全な取り外し
Mac取り出し
Linuxアンマウント

どれも同じ意味で、**「データを守りながら安全にデバイスを切り離す」**操作です。

なぜ必要なの?

データの書き込みタイミング

パソコンは効率化のため、以下のような仕組みを使っています:

キャッシュ機能

  • データをすぐにUSBに書き込まず、一時的にメモリに保存
  • ある程度たまってからまとめて書き込み
  • ユーザーには「保存完了」と表示するが、実際はまだ書き込み中

遅延書き込み

  • パソコンの都合の良いタイミングで書き込み
  • 他の作業を優先して、書き込みを後回しにすることがある

起こりうる問題

いきなり抜いた場合

  • ファイルの破損:書き込み途中のファイルが壊れる
  • データの消失:保存したはずのファイルが見つからない
  • ディスクの損傷:USBメモリやSDカード自体が壊れる
  • エラーの蓄積:次回以降の使用で不具合が発生

実際にあったトラブル例

例1:卒論が消えた大学生

  • USBメモリに卒論を保存
  • 急いでいたのでそのまま抜いて帰宅
  • 翌日開こうとしたらファイルが壊れていた
  • 結果:数週間の作業が無駄に

例2:写真データの破損

  • デジカメからSDカードをパソコンに挿入
  • 旅行の写真をコピー後、すぐにSDカードを取り出し
  • カメラに戻したら「カードエラー」で写真が見られない
  • 結果:大切な旅行の思い出が失われた

Windowsでアンマウントする具体的な手順

方法1:タスクバーのアイコンから(推奨)

手順の詳細

ステップ1:アイコンを探す

  1. 画面右下のタスクバー(時計やバッテリー表示があるエリア)を確認
  2. USB型のアイコンを探す
  3. 正式名称は「ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す」
  4. アイコンが見えない場合は「∧」(隠れているインジケーター)をクリック

ステップ2:デバイスを選択

  1. USBアイコンを左クリック
  2. 接続されているデバイスの一覧が表示される
  3. 取り外したいデバイス名をクリック
    • 例:「USB大容量記憶装置の取り出し – ドライブ(E:)」
    • 例:「SanDisk USB 3.0の取り出し」

ステップ3:完了確認

  1. 「ハードウェアは安全に取り外せます」というメッセージが表示
  2. この表示が出たら、物理的にUSBメモリや外付けHDDを抜いてOK
  3. デバイスのLEDが点灯している場合は、消灯を確認してから取り外し

方法2:エクスプローラーから取り出す

手順の詳細

ステップ1:エクスプローラーを開く

  1. タスクバーのフォルダアイコンをクリック
  2. または「Windowsキー + E」で開く

ステップ2:デバイスを探す

  1. 左側のナビゲーションペインで**「PC」**をクリック
  2. 「デバイスとドライブ」セクションに外付けデバイスが表示される
  3. USBメモリは通常「リムーバブルディスク (E:)」などと表示

ステップ3:取り出し操作

  1. 取り外したいデバイスを右クリック
  2. コンテキストメニューから**「取り出し」**を選択
  3. デバイスがリストから消えたら取り外し完了

方法3:設定アプリから(Windows 10/11)

手順の詳細

ステップ1:設定を開く

  1. **「Windowsキー + I」**で設定アプリを開く
  2. または スタートメニュー → 設定

ステップ2:デバイス管理

  1. **「デバイス」**をクリック
  2. 左側メニューから**「Bluetooth とその他のデバイス」**を選択

ステップ3:デバイスの取り外し

  1. 接続されているUSBデバイスを探す
  2. デバイス名をクリックして**「デバイスの削除」**
  3. 確認ダイアログで**「はい」**をクリック

アンマウントできないときの対処法

よくある原因と症状

エラーメッセージの例

  • 「このデバイスは現在使用中です」
  • 「デバイス(デバイス名)は現在使用中のため、停止できません」
  • 「プログラムがまだこのデバイスを使用している可能性があります」

主な原因

1. ファイルやフォルダが開いている

  • エクスプローラーでUSBメモリの中身を表示中
  • USBメモリ内のファイルを編集中
  • フォルダを開きっぱなし

2. バックグラウンドプロセスがアクセス中

  • ウイルススキャンソフトがスキャン中
  • クラウド同期ソフト(OneDrive、Googleドライブなど)が同期中
  • バックアップソフトがコピー中
  • メディアプレイヤーがファイルを再生中

3. プロセスが完全に終了していない

  • アプリを閉じても、バックグラウンドで動作中
  • 前回の操作が完全に終わっていない

段階別対処法

レベル1:基本的な対処

1. エクスプローラーの確認

  • 開いているエクスプローラーのウィンドウをすべて閉じる
  • USBメモリ内のファイルを開いているアプリがあれば閉じる

2. 少し待つ

  • 1-2分待ってから再度「安全な取り外し」を試す
  • バックグラウンド処理が完了するのを待つ

3. 再度実行

  • タスクバーアイコンから再度アンマウントを試す

レベル2:プロセスの確認

1. タスクマネージャーで確認

  • 「Ctrl + Shift + Esc」でタスクマネージャーを開く
  • 「プロセス」タブでUSBメモリを使用しているアプリを探す
  • 該当するプロセスを選択して「タスクの終了」

2. 実行中のアプリを確認

  • 以下のようなソフトが動いていないか確認:
    • ウイルススキャンソフト
    • バックアップソフト
    • クラウド同期アプリ
    • 動画・音楽プレイヤー

レベル3:強制的な対処

1. コマンドプロンプトを使用

# 管理者権限でコマンドプロンプトを開く
diskpart
# DiskPartツールが起動
list volume
# ボリューム一覧を表示、USBメモリのボリューム番号を確認
select volume X
# Xは対象のボリューム番号
remove
# 強制的にアンマウント

2. Disk Management (ディスクの管理)

  • 「Windowsキー + X」→「ディスクの管理」
  • 対象のUSBメモリを右クリック
  • 「ドライブ文字とパスの変更」→「削除」

レベル4:最終手段

1. パソコンの再起動

  • すべての方法で解決しない場合
  • 再起動後にUSBメモリを取り外す
  • データの損失リスクを最小限に抑えられる

2. シャットダウン後に取り外し

  • 完全にパソコンの電源を切る
  • 電源が切れた状態でUSBメモリを取り外し
  • 最も安全な方法

トラブル予防のコツ

使用中の注意点

1. ファイル操作後の確認

  • ファイルのコピーや移動後は、完全に終了するまで待つ
  • プログレスバーが100%になってもすぐに取り外さない

2. アプリの正しい終了

  • USBメモリ内のファイルを使ったアプリは完全に終了
  • 「X」ボタンで閉じるだけでなく、タスクバーからも削除されているか確認

3. 定期的なクリーンアップ

  • 不要なバックグラウンドプロセスを定期的に終了
  • PCの再起動を定期的に行う

各種デバイス別の注意点

USBメモリ

特徴

  • 小型で持ち運びやすい
  • 比較的書き込み速度が遅い
  • キャッシュの影響を受けやすい

注意点

  • 保存後すぐに取り外さない
  • LEDライトの点滅が完全に止まってから取り外し
  • 格安品は特に慎重に扱う

外付けハードディスク(HDD)

特徴

  • 大容量
  • 回転するディスクがあるため物理的に壊れやすい
  • 電源が必要な場合がある

注意点

  • 「安全な取り外し」は特に重要
  • 電源ランプが消灯してから取り外し
  • 振動や衝撃に注意

SSD(外付け)

特徴

  • 高速でHDDより壊れにくい
  • 発熱が少ない
  • 価格が高め

注意点

  • 高速だからといって手順を省略しない
  • データの書き込みは目に見えない速度で行われる

SDカード

特徴

  • カメラやスマートフォンで使用
  • 小型で紛失しやすい
  • 書き込み保護スイッチがある場合も

注意点

  • カードリーダー経由でも「安全な取り外し」が必要
  • 写真や動画の大容量ファイルは転送時間がかかる

設定の最適化

Windows の設定変更

クイック削除の有効化

Windows 10/11での設定

  1. デバイスマネージャーを開く
  2. 「ディスクドライブ」を展開
  3. 対象のUSBデバイスを右クリック→「プロパティ」
  4. 「ポリシー」タブをクリック
  5. **「クイック削除(推奨)」**を選択
  6. 「OK」をクリック

効果

  • メリット:安全な取り外しをしなくても比較的安全
  • デメリット:書き込み速度がやや遅くなる

書き込みキャッシュの無効化

手順

  1. 上記の「ポリシー」タブで
  2. **「書き込みキャッシュポリシー」**のチェックを外す
  3. 「OK」をクリック

効果

  • データがすぐに書き込まれる
  • アンマウント不要になるが、速度は犠牲になる

自動実行の設定

自動再生の設定

Windows 10/11での設定

  1. 設定アプリを開く
  2. 「デバイス」→「自動再生」
  3. **「すべてのメディアとデバイスで自動再生を使う」**をオフ
  4. または個別にデバイスごとの動作を設定

効果

  • 不要な自動処理を防ぐ
  • アンマウント時のトラブルを減らす

よくある質問と回答

Q1:毎回安全な取り外しをするのは面倒です

A1:設定変更で簡略化可能

対策

  1. クイック削除ポリシーを有効にする
  2. 書き込みキャッシュを無効にする
  3. これにより、多くの場合は直接取り外しても問題なくなる

ただし

  • 100%安全ではないので、重要なデータの場合は安全な取り外しを推奨
  • デバイスの寿命を延ばすためにも正しい手順が理想的

Q2:Macでも同じですか?

A2:基本的には同じですが操作が異なります

Macでの操作

  • Finderでデバイスを選択して「取り出し」ボタン
  • デスクトップのディスクアイコンをゴミ箱にドラッグ
  • サイドバーのデバイス名の横の「⏏」ボタンをクリック

Q3:スマートフォンも同じですか?

A3:スマートフォンでは少し違います

Android

  • 「設定」→「ストレージ」→「SDカードのマウント解除」
  • または通知領域から「安全に取り外し」

iPhone

  • Lightning-USBアダプタ使用時は、アプリを閉じてから取り外し

Q4:古いWindowsでも同じですか?

A4:基本的には同じですが表示が少し違います

Windows バージョン表示名
Windows XPハードウェアの安全な取り外し
Windows 7ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す
Windows 10/11ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す

トラブルシューティング事例

事例1:「アクセスが拒否されました」エラー

症状

  • 安全な取り外しを実行しようとすると「アクセスが拒否されました」と表示
  • デバイスが使用中として認識される

原因

  • 管理者権限が必要な処理
  • ウイルス対策ソフトがアクセスをブロック

解決方法

  1. 管理者権限で実行
    • コマンドプロンプトを管理者として実行
    • diskpartコマンドでアンマウント
  2. ウイルス対策ソフトの一時無効化
    • リアルタイム保護を一時的に無効
    • アンマウント後に再度有効化

事例2:デバイスが認識されない

症状

  • USBメモリを挿しても「安全な取り外し」リストに表示されない
  • エクスプローラーでも見えない

原因

  • ドライバの問題
  • USBポートの問題
  • デバイス自体の故障

解決方法

  1. 別のUSBポートで試す
  2. デバイスマネージャーで確認
    • 「不明なデバイス」として表示されていないか確認
  3. ドライバの更新
    • デバイスマネージャーでドライバを更新

事例3:取り外し後にエラーが発生

症状

  • 安全な取り外しをしたのに、次回挿入時にエラーが表示
  • 「スキャンして修復しますか?」と表示される

原因

  • 完全にアンマウントされていなかった
  • ファイルシステムの軽微な破損

解決方法

  1. チェックディスクの実行
    • エラーダイアログで「スキャンして修復」を選択
  2. 完全スキャンの実行
    • エクスプローラーでドライブを右クリック→「プロパティ」→「ツール」→「チェック」

データ保護のための追加対策

バックアップの重要性

定期的なバックアップ

3-2-1ルール

  • 3つのコピー:オリジナル + 2つのバックアップ
  • 2つの異なるメディア:HDD + クラウドなど
  • 1つは遠隔地:クラウドストレージや別の場所

自動バックアップの設定

Windows標準機能

  • ファイル履歴:定期的に自動バックアップ
  • システムイメージ:PC全体のバックアップ

サードパーティソフト

  • AOMEI Backupper
  • EaseUS Todo Backup
  • Acronis True Image

ファイルシステムの選択

ファイルシステムの比較

ファイルシステム特徴用途
FAT32互換性が高い、4GB制限あり小容量、多機種対応
NTFS大容量対応、アクセス権限Windows専用、大容量
exFAT大容量対応、多機種対応大容量、クロスプラットフォーム

推奨設定

一般的な用途:exFAT Windows専用:NTFS 古い機器でも使用:FAT32

まとめ

アンマウント(安全な取り外し)の重要性

Windowsでのアンマウント(安全な取り外し)は、データを守るためにとても大事な操作です。

覚えておきたいポイント

  1. 必ず実行する習慣
    • USBメモリやSDカードを取り外す前は必ず実行
    • 「大丈夫だろう」という考えは危険
  2. 方法は複数ある
    • タスクバーアイコンから(推奨)
    • エクスプローラーから
    • 設定アプリから
  3. エラーが出たら焦らない
    • ファイルを閉じて少し待つ
    • それでもダメなら再起動
    • 最悪でもデータは守られる
  4. 設定で簡略化も可能
    • クイック削除ポリシー
    • 書き込みキャッシュの無効化

トラブル対処の流れ

段階対処法所要時間
レベル1ファイルを閉じて再試行1-2分
レベル2タスクマネージャーで確認3-5分
レベル3コマンドプロンプトで強制実行5-10分
レベル4再起動してから取り外し5-10分

データ保護の心得

予防が最も重要

  • 正しい手順を身につける
  • 定期的なバックアップ
  • 品質の良いデバイスを使用

トラブル時の対応

  • 焦らずに段階的に対処
  • 無理に物理的な取り外しはしない
  • 最後の手段として再起動を使用

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