VPNソフトウェアをインストールしようとしたら、「TAP-Windows Adapterが必要です」というメッセージが表示されたことはありませんか?
または、仮想ネットワークを構築するために、TAPデバイスのインストールが必要になることもありますよね。
TAPデバイスは、Windowsで仮想的なネットワークカードを作成するためのドライバのこと。
VPNソフトや仮想化ソフトウェアが、このドライバを使って仮想的なネットワーク接続を実現しているんです。
この記事では、WindowsにTAPデバイスをインストールする方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
複数のインストール方法と、よくあるトラブルの解決方法も紹介しますよ。
TAP-Windows Adapterとは?

まずは、TAPデバイスについて基本を押さえておきましょう。
Windows版のTAPデバイス
LinuxやUnixでは標準機能として提供されているTAPデバイスですが、Windowsでは専用のドライバをインストールする必要があります。
このドライバが「TAP-Windows Adapter」(タップ ウィンドウズ アダプター)と呼ばれるものです。
TAP-Windows Adapterの役割
TAP-Windows Adapterは:
- 仮想的なネットワークアダプター(ネットワークカード)を作成
- VPNソフトウェアが使用する仮想トンネルを提供
- 物理的なネットワークカードがなくても通信可能に
デバイスマネージャーを見ると、「TAP-Windows Adapter V9」などの名前で表示されます。
主な用途
TAPデバイスは、以下のようなソフトウェアで使用されます:
- OpenVPN:オープンソースのVPNソフトウェア
- ProtonVPN:セキュリティ重視のVPNサービス
- SoftEther VPN:多機能なVPNソフトウェア
- VirtualBox:仮想マシンソフト(ネットワーク設定で使用)
- その他、仮想ネットワークを必要とするアプリケーション
バージョンについて
TAP-Windows Adapterには複数のバージョンがあります:
- TAP-Windows 6:古いバージョン
- TAP-Windows Adapter V9:現在の主流バージョン
- Wintun:新しい高速なドライバ(Windows 7以降)
最近では、より高速な「Wintun」ドライバへの移行も進んでいますが、多くのVPNソフトはまだTAP-Windows Adapterを使用しています。
インストール方法1:VPNソフトウェアと一緒にインストール(推奨)
最も簡単で確実な方法は、VPNソフトウェアのインストール時に自動的にインストールさせることです。
OpenVPNのインストール
OpenVPNをインストールすると、TAP-Windows Adapterも自動的にインストールされます。
手順1:OpenVPNをダウンロード
OpenVPNの公式サイトにアクセスします:
https://openvpn.net/community-downloads/
Windows用のインストーラー(.exeファイル)をダウンロードしてください。
手順2:インストーラーを実行
ダウンロードしたファイルをダブルクリックして実行します。
手順3:コンポーネントの選択
インストール中に「コンポーネントの選択」画面が表示されます。
ここで「TAP-Windows Adapter」にチェックが入っていることを確認してください。
デフォルトでチェックが入っているはずです。
手順4:インストールの続行
「次へ」をクリックして、インストールを続けます。
途中で「このデバイスソフトウェアをインストールしますか?」というWindowsのセキュリティ警告が表示されたら、「インストール」をクリックしてください。
手順5:インストール完了
インストールが完了すると、TAP-Windows Adapterも一緒にインストールされています。
その他のVPNソフトウェア
OpenVPN以外のVPNソフトでも、同様の手順でTAPドライバがインストールされます:
ProtonVPN:
- ProtonVPNクライアントをインストール
- 初回起動時にTAPドライバのインストールを促される
- 指示に従ってインストール
SoftEther VPN:
- SoftEther VPNクライアントをインストール
- セットアップ中に仮想ネットワークアダプターが自動インストール
多くの場合、VPNソフトのインストーラーが自動的にTAPドライバを検出してインストールしてくれます。
インストール方法2:TAP-Windowsドライバを単独でインストール
VPNソフトなしで、TAPドライバだけをインストールすることもできます。
OpenVPN公式サイトからダウンロード
手順1:ダウンロードページにアクセス
OpenVPNのTAPドライバ専用ページにアクセスします:
https://build.openvpn.net/downloads/releases/
手順2:最新版を選択
「tap-windows-」で始まるフォルダを探します。
例:tap-windows-9.24.7-I601/
このフォルダ内の「.exe」ファイルをダウンロードしてください。
手順3:インストーラーを実行
ダウンロードしたファイルを右クリックして、「管理者として実行」を選択します。
管理者権限が必要なため、UACプロンプト(ユーザーアカウント制御)が表示されたら「はい」をクリックしてください。
手順4:インストールウィザードに従う
インストールウィザードが起動します。
「Next」をクリックして、ライセンス条項に同意し、インストールを進めます。
手順5:デバイスソフトウェアの許可
「このデバイスソフトウェアをインストールしますか?」という警告が表示されたら、「インストール」をクリックします。
手順6:インストール完了
「Finish」をクリックして完了です。
インストール後の確認
デバイスマネージャーで確認してみましょう。
手順:
- スタートメニューを右クリック
- 「デバイスマネージャー」を選択
- 「ネットワークアダプター」を展開
- 「TAP-Windows Adapter V9」が表示されていればOK
アダプター名は、インストールしたバージョンによって若干異なることがあります。
インストール方法3:ネットワーク設定から手動で追加
既にドライバがインストールされている場合、ネットワーク設定から手動でアダプターを追加することもできます。
ハードウェアの追加ウィザード
手順1:デバイスマネージャーを開く
スタートメニューを右クリック → 「デバイスマネージャー」
手順2:レガシハードウェアの追加
上部メニューの「操作」→「レガシハードウェアの追加」をクリック。
(表示されない場合は、この方法は使えません)
手順3:ハードウェアの選択
「ハードウェアを一覧から選択してインストールする」を選び、「ネットワークアダプター」を選択します。
手順4:製造元とモデルの選択
- 製造元:「TAP-Windows Provider V9」または「OpenVPN Technologies」
- モデル:「TAP-Windows Adapter V9」
を選択して「次へ」をクリックします。
手順5:インストール完了
インストールが完了すると、新しいTAPアダプターが追加されます。
インストール後の設定
TAPデバイスをインストールした後の基本的な設定を見ていきましょう。
ネットワークアダプターの確認
手順1:ネットワーク接続を開く
Windows 10/11の場合:
- スタートメニューで「設定」を開く
- 「ネットワークとインターネット」を選択
- 「アダプターのオプションを変更する」をクリック
または、コントロールパネルから:
- コントロールパネルを開く
- 「ネットワークとインターネット」
- 「ネットワーク接続」
手順2:TAPアダプターを確認
「イーサネット」や「ローカルエリア接続」の中に、「TAP-Windows Adapter V9」という名前のアダプターが表示されているはずです。
アダプター名の変更
分かりやすい名前に変更できます。
手順:
- TAPアダプターを右クリック
- 「名前の変更」を選択
- 例えば「OpenVPN」などの分かりやすい名前に変更
IPアドレスの設定
通常、VPNソフトが自動的にIPアドレスを設定してくれます。
手動で設定する場合:
手順:
- TAPアダプターを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択
- 「プロパティ」をクリック
- IPアドレスなどを設定
ただし、VPNソフトを使用する場合は、自動取得のままにしておくのが一般的です。
アダプターの有効化・無効化
必要に応じて、アダプターを有効化・無効化できます。
有効化:
- アダプターを右クリック
- 「有効にする」を選択
無効化:
- アダプターを右クリック
- 「無効にする」を選択
VPNを使用しない時は無効化しておいても構いません。
複数のTAPアダプターの管理
複数のVPNソフトをインストールすると、TAPアダプターが複数作成されることがあります。
複数アダプターの確認
デバイスマネージャーの「ネットワークアダプター」で、TAPアダプターがいくつあるか確認できます。
例:
- TAP-Windows Adapter V9 #1
- TAP-Windows Adapter V9 #2
- TAP-Windows Adapter V9 #3
不要なアダプターの削除
手順:
- デバイスマネージャーを開く
- 「ネットワークアダプター」を展開
- 不要なTAPアダプターを右クリック
- 「デバイスのアンインストール」を選択
- 「このデバイスのドライバーを削除する」にチェック(オプション)
- 「アンインストール」をクリック
注意:
使用中のVPNソフトが利用しているアダプターは削除しないでください。
トラブルシューティング

よくある問題と解決方法を紹介します。
問題1:「TAP-Windows Adapterが見つかりません」エラー
原因:
TAPドライバが正しくインストールされていません。
解決方法:
方法1:VPNソフトを再インストール
VPNソフトをアンインストールしてから、再度インストールしてください。
方法2:TAPドライバを単独でインストール
前述の「方法2」に従って、TAPドライバを単独でインストールします。
方法3:管理者権限で実行
インストーラーを右クリック → 「管理者として実行」
問題2:「デバイスの開始に失敗しました」エラー
原因:
ドライバが正常に動作していません。
解決方法:
手順1:デバイスマネージャーで確認
デバイスマネージャーでTAPアダプターに黄色い警告マークが表示されていないか確認します。
手順2:ドライバーの更新
- TAPアダプターを右クリック
- 「ドライバーの更新」を選択
- 「ドライバーソフトウェアの最新版を自動検索」
手順3:デバイスを削除して再インストール
- TAPアダプターを右クリック
- 「デバイスのアンインストール」
- 「このデバイスのドライバーを削除する」にチェック
- PCを再起動
- VPNソフトまたはTAPドライバを再インストール
問題3:インストール時に「署名に関する警告」が出る
原因:
ドライバが正式に署名されていないバージョンの可能性があります。
解決方法:
最新の正式版をダウンロード:
OpenVPN公式サイトから最新の署名済みバージョンをダウンロードしてください。
古いバージョンや非公式版は避けましょう。
問題4:VPN接続時に「すべてのTAPアダプターが使用中」エラー
原因:
使用可能なTAPアダプターがありません。
解決方法:
方法1:使用中のVPN接続を切断
他のVPNソフトがTAPアダプターを使用している可能性があります。
方法2:追加のTAPアダプターを作成
VPNソフトのインストーラーを再実行するか、「方法3」の手動追加を試してください。
問題5:ネットワーク接続が遅い
原因:
TAPアダプターの設定が最適化されていません。
解決方法:
手順1:アダプターのプロパティを開く
- TAPアダプターを右クリック
- 「プロパティ」を選択
手順2:不要なプロトコルを無効化
以下のチェックを外してみてください:
- Microsoft ネットワーク用ファイルとプリンター共有
- Microsoft ネットワーク用クライアント
- QoSパケットスケジューラ(必要な場合を除く)
IPv6を使用しない場合は、「インターネットプロトコルバージョン6(TCP/IPv6)」のチェックも外せます。
アンインストール方法
TAPデバイスが不要になった場合の削除方法です。
方法1:VPNソフトと一緒にアンインストール
VPNソフトをアンインストールすると、TAPアダプターも自動的に削除されることがあります。
手順:
- 「設定」→「アプリ」→「アプリと機能」
- VPNソフト(例:OpenVPN)を選択
- 「アンインストール」をクリック
- アンインストールウィザードに従う
方法2:コントロールパネルから削除
TAPドライバだけを個別に削除することもできます。
手順:
- コントロールパネルを開く
- 「プログラムのアンインストール」
- 「TAP-Windows」または「TAP-Windows Provider V9」を探す
- 選択して「アンインストール」
方法3:デバイスマネージャーから削除
手順:
- デバイスマネージャーを開く
- 「ネットワークアダプター」を展開
- TAPアダプターを右クリック
- 「デバイスのアンインストール」
- 「このデバイスのドライバーを削除する」にチェック
- 「アンインストール」をクリック
完全削除のための追加手順
ドライバファイルが残っている場合があります。
手順:
- エクスプローラーで以下のフォルダを開く:
C:\Program Files\TAP-Windows
- フォルダが存在する場合は削除
- レジストリエディタで関連エントリを削除(上級者向け)
注意:
レジストリの編集は慎重に行ってください。間違えるとシステムが不安定になる可能性があります。
セキュリティとベストプラクティス
TAPデバイスを安全に使用するための注意点です。
信頼できるソースからのみダウンロード
TAPドライバは、必ず公式サイトまたは信頼できるVPNベンダーから入手してください。
非公式版やサードパーティのサイトからのダウンロードは避けましょう。
ドライバの定期的な更新
セキュリティの観点から、TAPドライバは定期的に更新することが推奨されます。
VPNソフトを更新すると、通常はTAPドライバも一緒に更新されます。
使用しないアダプターは無効化
複数のTAPアダプターがあり、使用していないものは無効化しておくと良いでしょう。
セキュリティリスクを減らせます。
ファイアウォール設定の確認
TAPアダプターも通常のネットワークアダプターと同様に、Windowsファイアウォールの対象になります。
必要に応じて、ファイアウォールルールを設定してください。
まとめ:TAPデバイスのインストールは意外と簡単
WindowsにTAPデバイスをインストールする方法をまとめます。
主なインストール方法:
1. VPNソフトと一緒にインストール(推奨)
- OpenVPN、ProtonVPNなどのインストール時に自動インストール
- 最も簡単で確実
- 初心者におすすめ
2. TAPドライバを単独でインストール
- OpenVPN公式サイトからダウンロード
- VPNソフト不要の場合に便利
- 管理者権限が必要
3. 手動でアダプターを追加
- デバイスマネージャーから追加
- 既にドライバがある場合のみ
- 上級者向け
インストール後の確認:
- デバイスマネージャーで確認
- ネットワーク接続で確認
- VPNソフトで動作テスト
よくあるトラブル:
- 「TAP-Windows Adapterが見つかりません」→ 再インストール
- 「デバイスの開始に失敗」→ ドライバーの更新
- 複数アダプターの競合 → 不要なものを削除
セキュリティのポイント:
- 公式サイトからダウンロード
- 定期的な更新
- 使用しないアダプターは無効化
- ファイアウォール設定の確認
WindowsでTAPデバイスをインストールするのは、思ったよりも簡単です。
多くの場合、VPNソフトをインストールするだけで自動的にTAPドライバもインストールされます。
もしエラーが出ても、この記事で紹介したトラブルシューティングの手順に従えば、ほとんどの問題は解決できるはずです。
VPNを安全に使用するため、または仮想ネットワークを構築するため、TAPデバイスは欠かせない要素です。
正しくインストールして、快適なネットワーク環境を整えてくださいね。


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