パソコンを使っていて、こんなトラブルに遭遇したことはありませんか?
- Windowsが正常に立ち上がらない
- パソコンの動作が異常に重い
- 画面が真っ黒になって操作できない
- ウイルスに感染してしまった
- インストールしたソフトが原因で不具合が起きた
こんなとき、セーフモード(Safe Mode)は問題解決のための強力な手段になります。
この記事では、Windowsのセーフモードとは何か、どうやって起動するか、どんな場面で活用できるかを、パソコン初心者にもやさしく解説します。
セーフモードとは?|最小限の状態で起動する「診断モード」

セーフモードの基本的な仕組み
セーフモードとは、Windowsを「必要最低限の機能だけ」で起動する特別なモードです。
通常のWindows起動との違い
項目 | 通常モード | セーフモード |
---|---|---|
ドライバ | すべて読み込む | 基本的なもののみ |
常駐ソフト | 自動起動する | ほとんど無効 |
セキュリティソフト | 有効 | 無効の場合が多い |
ネットワーク | 自動接続 | 設定により有効/無効 |
解像度 | 最適化済み | 低解像度(800×600など) |
なぜセーフモードが必要なの?
パソコンのトラブルの多くは、新しくインストールしたソフトやドライバが原因で起こります。
セーフモードでは、これらの「問題を起こしている可能性があるもの」を無効にした状態でWindowsを起動できるため、トラブルの原因を特定しやすくなります。
人間で言うと「病気のときに安静にして、必要最低限のことだけをする」のと似ています。
セーフモードが役立つ場面

セーフモードは、さまざまなトラブル解決に活用できます。
状況 | セーフモードでできること | 具体的な作業例 |
---|---|---|
PCが起動しない | トラブル原因の切り分け | 最近インストールしたソフトの削除 |
ウイルス感染 | 通常モードで削除できないウイルスの除去 | セキュリティソフトでのフルスキャン |
ドライバの不具合 | 問題のあるドライバの無効化・削除 | グラフィックドライバの再インストール |
起動が異常に遅い | 常駐ソフトの影響をチェック | 不要な自動起動プログラムの無効化 |
画面表示の異常 | 基本的な表示での作業 | ディスプレイ設定のリセット |
システム設定の修復 | 重要な設定変更 | レジストリの修正(上級者向け) |
セーフモードを使う最大のメリットは、「通常起動ではできない修復作業」が安全におこなえることです。
Windowsのセーフモード起動方法【Windows 10/11対応】

セーフモードの起動方法は、Windowsの状況によって使い分けます。
方法①:設定画面から起動する(Windowsが起動する場合)
最も確実で推奨される方法です。
手順
- 「スタート」ボタンをクリック
- 「設定」(歯車のアイコン)をクリック
- 「更新とセキュリティ」をクリック(Windows 11では「システム」)
- 左側のメニューから「回復」を選択
- 「今すぐ再起動」の下にある「今すぐ再起動」をクリック
- 再起動後、「オプションの選択」画面が表示される
- 「トラブルシューティング」をクリック
- 「詳細オプション」をクリック
- 「スタートアップ設定」をクリック
- 「再起動」をクリック
- 再起動後、番号キーを押してセーフモードを選択
- 「4」:セーフモード
- 「5」:セーフモードとネットワーク
- 「6」:セーフモードとコマンドプロンプト
方法②:Shiftキー+再起動(ログイン画面から)
ログイン画面や設定画面から素早く起動できる方法です。
手順
- Shiftキーを長押ししながら「再起動」をクリック
- 上記の方法①の手順6以降と同じ操作をおこなう
活用シーン
- ログイン画面でトラブルが発生した場合
- 設定画面にすぐアクセスしたい場合
方法③:電源のON/OFFを繰り返す(起動しない場合)
Windowsが全く起動しない場合の最終手段です。
手順
- パソコンの電源を入れる
- Windowsロゴが表示されたら、すぐに電源ボタンを長押しして強制終了
- この操作を3回繰り返す
- 4回目の起動で「自動修復を準備しています」と表示される
- 「詳細オプション」をクリック
- 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ設定」の順に進む
- 上記の方法①の手順10以降と同じ
注意点
- 強制終了を繰り返すため、データの損失リスクがあります
- 他の方法が使えない場合の最終手段として使用してください
方法④:高速スタートアップを無効にしてからF8キー(上級者向け)
Windows 8以降では標準では使えませんが、設定変更により従来のF8キーでの起動も可能です。
事前設定
- コマンドプロンプトを管理者として実行
bcdedit /set {default} bootmenupolicy legacy
と入力してEnter- パソコンを再起動
- 起動時にF8キーを連打してセーフモード選択画面を表示
セーフモードの種類と選び方

セーフモードには3つの種類があり、状況に応じて使い分けます。
セーフモード(基本)
特徴
- 最小限の構成で起動
- ネットワーク機能は無効
- 最も安全で軽い動作
こんなときに使う
- ウイルス感染の疑いがある場合
- ネットワークに関係ないトラブルの対処
- システムファイルの修復
セーフモードとネットワーク
特徴
- 有線LANやWi-Fiが使える
- インターネットに接続可能
- オンライン修復ツールが使える
こんなときに使う
- ウイルス定義ファイルの更新が必要
- オンラインでドライバをダウンロードしたい
- クラウドストレージからファイルを復元したい
セーフモードとコマンドプロンプト
特徴
- グラフィック画面なし
- コマンド操作のみ
- 上級者向けの高度な修復作業に使用
こんなときに使う
- システムファイルの直接操作
- レジストリの手動修正
- 画面表示に問題がある場合
セーフモードでできること・できないこと

できること
トラブル解決関連
- 問題のあるソフトのアンインストール
- ドライバの削除・再インストール
- ウイルススキャンの実行
- システムの復元ポイントからの復旧
- 不要な自動起動プログラムの無効化
設定変更
- ディスプレイ解像度のリセット
- システム設定の修正
- ユーザーアカウントの管理
- セキュリティ設定の変更
できないこと・制限があること
動作の制限
- 高解像度での表示(基本的に800×600など低解像度)
- 3Dゲームや動画編集などの高負荷作業
- 一部のハードウェア機能が使えない場合がある
ソフトウェアの制限
- セキュリティソフトが無効になる場合がある
- 一部のドライバが読み込まれない
- 常駐ソフトが起動しない
ネットワークの制限(基本のセーフモードの場合)
- インターネット接続ができない
- ネットワークプリンターが使えない
- クラウドサービスにアクセスできない
セーフモードの終了方法とトラブル対処

正常な終了方法
基本的な終了手順
- 作業を完了させる
- **「スタート」→「電源」→「再起動」**をクリック
- 通常モードで自動的に起動される
シャットダウンする場合
- 「スタート」→「電源」→「シャットダウン」でも問題ありません
- 次回の起動時は通常モードになります
よくあるトラブルと対処法
Q:セーフモードから抜け出せない(毎回セーフモードで起動する)
A: システム設定でセーフモードが強制指定されている可能性があります。
対処法
- Windows + R キーを押して「ファイル名を指定して実行」を開く
- **「msconfig」**と入力してEnter
- **「システム構成」**ウィンドウが開く
- **「ブート」**タブをクリック
- 「セーフブート」のチェックを外す
- **「OK」**をクリックして再起動
Q:セーフモードでもパソコンが不安定
A: ハードウェアの故障やシステムファイルの深刻な破損が考えられます。
対処法
- システムファイルチェッカーを実行
- コマンドプロンプトで
sfc /scannow
を実行
- コマンドプロンプトで
- メモリ診断をおこなう
- 「Windows メモリ診断」を実行
- ハードディスクのチェック
chkdsk C: /f
コマンドを実行
Q:セーフモードでインターネットが使えない
A: 「セーフモード」ではなく「セーフモードとネットワーク」を選択してください。
起動し直す方法
- 再起動して再度セーフモード選択画面を表示
- 「5」キーを押して「セーフモードとネットワーク」を選択
セーフモード活用の実践例

実践例①:ウイルス感染の疑いがある場合
状況:パソコンの動作が重く、怪しいポップアップが表示される
セーフモードでの対処手順
- 「セーフモード」で起動(ネットワークなし)
- セキュリティソフトでフルスキャンを実行
- 感染ファイルの削除・隔離
- 「セーフモードとネットワーク」で再起動
- ウイルス定義ファイルの最新版に更新
- 再度フルスキャンで確認
- 通常モードで起動して動作確認
実践例②:グラフィックドライバの不具合
状況:画面の解像度がおかしい、表示が乱れる
セーフモードでの対処手順
- 「セーフモード」で起動
- 「デバイスマネージャー」を開く
- 「ディスプレイ アダプター」を展開
- 問題のあるドライバを右クリック→「デバイスのアンインストール」
- 「セーフモードとネットワーク」で再起動
- メーカーサイトから最新ドライバをダウンロード
- ドライバをインストール
- 通常モードで起動して確認
実践例③:起動が異常に遅い場合
状況:Windowsの起動に5分以上かかる
セーフモードでの対処手順
- 「セーフモード」で起動(起動時間を確認)
- セーフモードで正常な速度なら、常駐ソフトが原因
- 「タスクマネージャー」→「スタートアップ」タブ
- 不要な自動起動プログラムを「無効」に設定
- 「システム構成(msconfig)」で詳細設定を確認
- 通常モードで起動して改善を確認
セーフモード使用時の注意点

データのバックアップ
重要なデータは事前にバックアップを取っておきましょう。
- セーフモードでの作業中に予期しない問題が発生する可能性
- システムファイルの変更によりデータが失われるリスク
- 外付けハードディスクやクラウドストレージを活用
復元ポイントの作成
作業前にシステムの復元ポイントを作成することをおすすめします。
手順
- **「システムのプロパティ」**を開く
- **「システムの保護」**タブをクリック
- **「作成」**ボタンをクリック
- 復元ポイントの名前を入力(例:「セーフモード作業前」)
電源の安定性
セーフモード中の強制終了は避けてください。
- システムファイルの破損リスクが高まります
- 可能な限り正常な手順でシャットダウン/再起動をおこなう
- UPS(無停電電源装置)の使用を推奨
まとめ:セーフモードは「非常時の救世主」
Windowsのセーフモードは、パソコントラブル時に頼れる診断・修復ツールです。
重要なポイントおさらい
- 必要最低限の状態でWindowsを起動する特別なモード
- トラブルの原因特定と修復作業に最適
- 複数の起動方法があるので状況に応じて使い分け可能
- 3つの種類(基本・ネットワーク・コマンドプロンプト)から選択
- 事前のバックアップと復元ポイント作成が重要
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