「ネットワークをいろいろ設定したら、逆に接続がおかしくなった…」
「静的ルートを追加したけど、消し方が分からない…」
こんなときに便利なのが、Windowsのルーティングテーブルを初期化する方法です。
ルーティングテーブルをリセットすると、余計なルートが消えてWindowsのデフォルト状態に戻せるので、ネットワークの不具合を解消できることがあります。
この記事では、初心者の方でもできるように、Windowsでルーティングテーブルを初期化する手順と注意点をわかりやすく解説します。
そもそもルーティングテーブルとは?
ルーティングテーブルの役割
ルーティングテーブルとは、コンピュータがデータをどの経路で送るかを決めるための一覧表です。
例えば、あなたのパソコンからインターネットにアクセスするとき:
- 社内のプリンタには直接送る
- インターネットのサイトにはルーターを通して送る
- 特定のサーバーには専用の経路を通す
このような「宛先別の送信ルール」がルーティングテーブルに記録されています。
どんなときに初期化が必要?
以下のような場面でルーティングテーブルの初期化が役立ちます:
ネットワーク設定を変更した後の不具合 VPNやネットワーク設定をいじった後、なぜかインターネットに繋がらなくなったとき
静的ルートの設定ミス 手動でルートを追加したら、逆に通信がおかしくなってしまったとき
複雑な経路の整理 複数のネットワークを使っていて、どのルートが使われているか分からなくなったとき
開発・テスト環境のリセット ネットワーク関連の開発やテストで、環境を初期状態に戻したいとき
ルーティングテーブルの確認方法
初期化する前に、現在の状態を確認してみましょう。
コマンドプロンプトで確認:
route print
このコマンドを実行すると、現在設定されているルートの一覧が表示されます。
ルーティングテーブルを初期化する方法
routeコマンドで一括初期化
Windowsでは route
コマンドを使ってルーティングテーブルを操作できます。
全ルートの一括削除:
route -f
このコマンドをコマンドプロンプトで実行すると、デフォルトゲートウェイを含む全てのルーティングが削除されます。
初期化コマンドの詳しい使い方
実行手順:
- コマンドプロンプトを管理者権限で起動
- Windowsキー + Rを押す
- 「cmd」と入力
- Ctrl + Shift + Enterで管理者として実行
- または「cmd」を右クリックして「管理者として実行」を選択
- 現在のルーティングテーブルを確認(任意)
route print
- 初期化コマンドを実行
route -f
- コマンド実行後の確認
route print
ルーティングテーブルがほぼ空になっていることを確認
実行後は必ず再起動かIP更新を
route -f
を実行すると、すぐにルーティングテーブルが空になり、通信が切れることがあります。
対処方法:
方法1:ネットワーク接続の再設定
- 有線LANケーブルを抜き差し
- Wi-Fiの切断・再接続
- ネットワークアダプターの無効化・有効化
方法2:DHCPの更新(推奨)
ipconfig /release
ipconfig /renew
方法3:DNS情報もリセットしたい場合
ipconfig /flushdns
ipconfig /release
ipconfig /renew
これらのコマンドにより、DHCPサーバーから新しくゲートウェイ情報を取得し、自動的に最低限のルートが再設定されます。
Windows 10/11での具体的な手順
Windows 10の場合:
- スタートボタンを右クリック
- 「Windows PowerShell(管理者)」を選択
- 以下のコマンドを順番に実行:
route -fipconfig /releaseipconfig /renew
Windows 11の場合:
- スタートボタンを右クリック
- 「ターミナル(管理者)」を選択
- 同様のコマンドを実行
注意点|全てのルートが消えるので慎重に
重要な注意事項
route -f
は非常に強力なコマンドで、以下の点に注意が必要です:
全てのルートが削除される
- 静的に設定したネットワーク経路
- 自動取得したデフォルトゲートウェイ
- VPNで追加されたルート
- 手動で追加したルート
一時的にネットワークが切断される 実行後、インターネットや社内ネットワークに一時的につながらなくなる可能性があります。
重要なルートは事前にメモしておく 特別な設定をしている場合は、route print
の結果を保存しておきましょう。
より安全な方法
段階的な削除 いきなり全削除ではなく、疑わしいルートを個別に削除する方が安全です。
バックアップの取得
route print > routing_backup.txt
このコマンドで現在のルーティングテーブルをファイルに保存できます。
個別にルートを削除する場合
特定のルートのみ削除
全部を初期化するのが心配な場合は、個別にルートを削除することもできます。
基本の書式:
route delete [宛先ネットワーク]
具体例:
例1:192.168.10.0/24へのルートを削除
route delete 192.168.10.0 mask 255.255.255.0
例2:特定のホストへのルートを削除
route delete 192.168.1.100
例3:デフォルトゲートウェイを削除
route delete 0.0.0.0
ルート削除前の確認方法
削除する前に、そのルートが本当に存在するかを確認しましょう。
特定の宛先のルートを確認:
route print 192.168.10.0
アクティブなルートのみ表示:
route print -4
(IPv4のルートのみ表示)
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
Q1. route -f を実行したが、まだおかしなルートが残っている
原因: 永続的ルート(-p オプションで追加されたルート)は削除されない場合があります。
解決法:
route delete 0.0.0.0 -p
route delete [問題のあるネットワーク] -p
Q2. コマンド実行後、インターネットに繋がらない
原因: DHCPでのIP取得がうまくいっていない可能性があります。
解決法:
- ネットワークアダプターの再起動
- パソコンの再起動
- ルーターの再起動
Q3. 「アクセスが拒否されました」エラーが出る
原因: 管理者権限でコマンドプロンプトを起動していない
解決法:
- コマンドプロンプトを「管理者として実行」で起動する
- PowerShellを管理者権限で起動する
エラーメッセージ別の対処法
「The route addition failed: アクセスが拒否されました。」 → 管理者権限で実行してください
「The route addition failed: オブジェクトは既に存在します。」 → 同じルートが既に存在します。先に削除してから追加してください
「指定されたネットワーク名は利用できません。」 → ネットワークアダプターが正しく動作していません。デバイスマネージャーで確認してください
代替方法|ネットワーク設定の完全リセット
netsh コマンドを使った包括的なリセット
ルーティングテーブルだけでなく、ネットワーク設定全般をリセットしたい場合:
TCP/IPスタックのリセット:
netsh int ip reset
Winソックのリセット:
netsh winsock reset
実行後は再起動が必要 これらのコマンドを実行した後は、必ずパソコンを再起動してください。
Windows標準機能での初期化
ネットワークアダプターのリセット(Windows 10/11):
- 設定 → ネットワークとインターネット
- 状態 → ネットワークのリセット
- 「今すぐリセット」をクリック
この方法なら、コマンドを使わずにGUIで操作できます。
まとめ
今回は、Windowsでのルーティングテーブル初期化(リセット)方法を詳しく紹介しました。
重要なポイント:
route -f
で全ルートを一括削除route delete [宛先]
で個別ルートのみ削除- 初期化後は必ず
ipconfig /renew
でゲートウェイを再取得 - 管理者権限でのコマンド実行が必要
- 重要な設定は事前にバックアップを取る
実行順序のおさらい:
- 現在のルーティングテーブルを確認・バックアップ
- 管理者権限でコマンドプロンプトを起動
route -f
で初期化実行ipconfig /release
→ipconfig /renew
でIP更新- 接続状況の確認
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