プロキシサーバーとは、あなたのパソコンとインターネットの間に入って、通信を仲介してくれるサーバーのことです。
まるで郵便配達員のように、あなたの代わりにインターネット上のサイトにアクセスして、情報を持ち帰ってくれます。
プロキシという言葉は英語で「代理」という意味があり、まさにインターネット接続の代理人として働いてくれるのです。
プロキシサーバーが使われる理由

セキュリティの向上
ウイルスやマルウェアの防止
プロキシサーバーが危険なサイトや怪しいファイルをブロックして、パソコンを守ってくれます。
不正アクセスの防止
外部からの不正なアクセスを遮断して、社内ネットワークの安全性を高めます。
アクセス制限と管理
特定サイトのブロック
会社や学校では、業務や学習に関係のないサイト(SNSやゲームサイトなど)へのアクセスを制限できます。
利用時間の管理
インターネットの利用時間を制限したり、特定の時間帯のみアクセスを許可したりできます。
通信速度の改善
キャッシュ機能
よくアクセスされるサイトのデータを一時的に保存しておくことで、次回のアクセス時に高速で表示できます。
帯域幅の最適化
ネットワーク全体の通信量を効率的に管理して、回線の混雑を防ぎます。
プロキシ設定が必要になる場面
会社でのインターネット利用
企業ネットワーク
ほとんどの会社では、セキュリティと管理のためにプロキシサーバーを使用しています。新しいパソコンを会社で使う時は、必ずプロキシ設定が必要になります。
リモートワーク
自宅から会社のシステムにアクセスする際、VPN接続と併せてプロキシ設定が必要な場合があります。
学校や教育機関
学内ネットワーク 大学や専門学校では、学習環境を整えるためにプロキシサーバーを使用することが多いです。
地域制限の回避
海外サイトのアクセス 一部の海外サイトは日本からのアクセスを制限していますが、プロキシサーバーを経由することでアクセスできる場合があります。
Windows 10/11でのプロキシ設定方法

基本的な設定手順
ステップ1:設定画面を開く
スタートメニューをクリックして、歯車のアイコン(設定)を選択します。また、キーボードの「Windows」キー + 「I」キーを同時に押すことでも開けます。
ステップ2:ネットワーク設定にアクセス
設定画面が開いたら、「ネットワークとインターネット」をクリックします。
ステップ3:プロキシ設定を選択
左側のメニューから「プロキシ」を選択します。Windows 11では「プロキシ」の項目が少し下の方にある場合があります。
自動設定の方法
- 自動検出設定 「設定を自動的に検出する」のスイッチをオンにすると、Windowsが自動でプロキシ設定を見つけてくれます。多くの企業ネットワークでは、この設定だけで十分な場合があります。
- 自動構成スクリプト 「セットアップスクリプトを使う」をオンにして、会社から提供されたスクリプトのURL(アドレス)を入力します。このスクリプトには、どのサイトにアクセスする時にプロキシを使うかが記載されています。
手動設定の方法
ステップ1:手動設定を有効にする
「手動プロキシ設定を使う」のスイッチをオンにします。
ステップ2:プロキシサーバーの情報を入力
以下の情報を入力します:
- アドレス:プロキシサーバーのIPアドレスまたはサーバー名
- ポート:プロキシサーバーが使用するポート番号(通常は8080、3128、8000など)
ステップ3:例外設定
「次で始まるアドレスにはプロキシサーバーを使わない」の欄に、プロキシを使わないサイトのアドレスを入力できます。複数ある場合は、セミコロン(;)で区切って入力します。
ステップ4:設定を保存
すべての情報を入力したら、「保存」ボタンをクリックして設定を確定します。
コマンドラインでのプロキシ設定
PowerShellを使った設定
管理者として PowerShell を開いて、以下のコマンドを実行します:
プロキシを有効にする
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" -Name ProxyEnable -Value 1
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" -Name ProxyServer -Value "プロキシサーバーのアドレス:ポート番号"
プロキシを無効にする
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" -Name ProxyEnable -Value 0
netshコマンドを使った設定
現在の設定を確認
netsh winhttp show proxy
プロキシを設定
netsh winhttp set proxy proxy-server="プロキシサーバーのアドレス:ポート番号"
プロキシ設定をリセット
netsh winhttp reset proxy
ブラウザ別のプロキシ設定
Google Chrome
設定方法 Chromeは基本的にWindowsのシステム設定を使用しますが、独自の設定も可能です。設定メニューから「詳細設定」→「システム」→「パソコンのプロキシ設定を開く」でシステム設定にアクセスできます。
Mozilla Firefox
独自のプロキシ設定 Firefoxは独自のプロキシ設定を持っています。メニューから「設定」→「ネットワーク設定」→「設定」で詳細なプロキシ設定ができます。
Microsoft Edge
システム設定の利用 EdgeはWindowsのシステム設定を使用します。設定メニューから「システムとパフォーマンス」→「コンピューターのプロキシ設定を開く」でアクセスできます。
よくある問題と解決方法

インターネットに接続できない
症状 プロキシを設定した後、どのサイトにもアクセスできなくなった。
原因と解決方法
- プロキシサーバーのアドレスやポート番号が間違っている
- プロキシサーバーが停止している
- 認証情報が必要なのに設定していない
設定内容を再確認して、必要に応じてネットワーク管理者に相談してください。
一部のサイトにアクセスできない
症状 プロキシ設定後、特定のサイトだけアクセスできない。
解決方法 そのサイトを例外リストに追加します。「次で始まるアドレスにはプロキシサーバーを使わない」の欄に、アクセスしたいサイトのアドレスを入力してください。
認証エラーが発生する
症状 プロキシサーバーへの認証に失敗するエラーメッセージが表示される。
解決方法 プロキシサーバーによっては、ユーザー名とパスワードが必要な場合があります。ネットワーク管理者に認証情報を確認してください。
プロキシ設定の確認方法
設定が正しく適用されているかチェック
接続テスト 設定完了後、いくつかのウェブサイトにアクセスして、正常に表示されるか確認します。
IPアドレスの確認 「確認くん」などのサイトで、自分のIPアドレスを確認します。プロキシが正常に動作していれば、プロキシサーバーのIPアドレスが表示されます。
設定内容の再確認
システム設定の確認 設定→ネットワークとインターネット→プロキシで、入力した内容が正しく保存されているか確認します。
レジストリでの確認 レジストリエディタ(regedit)で以下の場所を確認できます: HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings
セキュリティ上の注意点
信頼できるプロキシサーバーの使用
公式なプロキシの利用 会社や学校で指定されたプロキシサーバー以外は使用しないようにしましょう。不明なプロキシサーバーは、通信内容を盗み見される危険があります。
パスワードの管理
認証情報の保護 プロキシサーバーに認証が必要な場合、パスワードは安全に管理してください。他人に知られないよう注意が必要です。
プロキシ設定の解除方法
手動設定の解除
ステップ1:プロキシ設定を開く
設定→ネットワークとインターネット→プロキシにアクセスします。
ステップ2:手動設定をオフ
「手動プロキシ設定を使う」のスイッチをオフにします。
ステップ3:自動検出設定の確認
必要に応じて「設定を自動的に検出する」をオンにします。
完全なリセット
すべてのプロキシ設定をクリア
netsh winhttp reset proxy
このコマンドを管理者権限のコマンドプロンプトで実行すると、すべてのプロキシ設定がクリアされます。
トラブル時の対処法
ネットワーク接続の診断
Windows標準の診断ツール 設定→ネットワークとインターネット→状態→「ネットワークのトラブルシューティング」を実行して、自動で問題を検出・修復できます。
設定の初期化
インターネットオプションのリセット コントロールパネル→インターネットオプション→詳細設定タブ→「リセット」で、ブラウザの設定を初期状態に戻せます。
まとめ
Windowsでのプロキシ設定は、設定画面から簡単に行うことができます。会社や学校のネットワークでは必須の設定であり、正しく設定することで安全で効率的なインターネット利用が可能になります。
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