「会社のネットワークでインターネットに接続できない」
「学校で指定されたプロキシ設定を入力したい」
「セキュリティを向上させるためにプロキシを使いたい」
「リモートワークで会社のネットワークに安全に接続したい」
こんな場面でプロキシ設定が必要になったことはありませんか?
プロキシサーバーは、インターネット接続を安全で効率的にするための重要な仕組みです。
この記事では、Windows 10 と Windows 11 でプロキシを設定する方法を、初心者の方にもわかりやすく詳しく説明します。
プロキシサーバーとは?

プロキシの基本的な仕組み
代理サーバーの役割
プロキシサーバーは「代理サーバー」とも呼ばれ、あなたのコンピューターとインターネットの間に入って、通信を仲介する役割を果たします。
通信の流れ
- あなたのコンピューターがWebサイトにアクセスしたいとき
- 直接インターネットに接続せず、まずプロキシサーバーに接続
- プロキシサーバーが代わりにWebサイトにアクセス
- 取得した情報をあなたのコンピューターに送り返す
プロキシサーバーのメリット
セキュリティの向上
- 外部からの直接的な攻撃を防ぐ
- 悪意のあるWebサイトへのアクセスをブロック
- ウイルスやマルウェアの感染リスクを軽減
アクセス制御
- 特定のWebサイトへのアクセスを制限
- 業務時間中の不適切なサイト利用を防ぐ
- 帯域幅の使用量を管理
通信の高速化
- よくアクセスされるWebページをキャッシュして高速表示
- 同じ内容の重複ダウンロードを避ける
- ネットワーク全体の効率を向上
プライバシーの保護
- 実際のIPアドレスを隠す
- 通信内容の暗号化
- 匿名性の向上
プロキシが使われる場面
企業ネットワーク
- セキュリティポリシーの実装
- 従業員のインターネット利用管理
- 外部脅威からの保護
教育機関
- 学習に不適切なコンテンツのブロック
- 帯域幅の効率的な利用
- 学習環境の維持
個人利用
- プライバシー保護
- 地域制限の回避
- セキュリティ強化
Windows 10・11でのプロキシ設定方法

基本的な設定手順
ステップ1:設定画面を開く
- 画面左下の「スタート」ボタンをクリックします
- 歯車のアイコンの「設定」を選択します
- または、キーボードで「Windows キー + I」を押して設定画面を開きます
ステップ2:ネットワーク設定にアクセス
- 設定画面で「ネットワークとインターネット」をクリックします
- 左側のメニューから「プロキシ」を選択します
- プロキシ関連の設定画面が表示されます
自動プロキシ設定
自動検出設定の利用
- 「設定を自動的に検出する」のスイッチを確認します
- 通常はこの設定がオンになっていれば、ネットワークが自動的に適切なプロキシ設定を見つけます
- 企業や学校のネットワークでは、この機能で自動的に設定される場合が多いです
自動構成スクリプト
- 「セットアップスクリプトを使う」をオンにします
- 「スクリプトアドレス」欄に、管理者から提供されたURLを入力します
- 「保存」ボタンをクリックして設定を完了します
注意点
- スクリプトアドレスは通常、ネットワーク管理者から提供されます
- 間違ったURLを入力するとインターネット接続ができなくなる可能性があります
手動プロキシ設定
手動設定が必要な場合
- 自動設定が機能しない場合
- 特定のプロキシサーバーを指定する必要がある場合
- より詳細な制御が必要な場合
手動設定の手順
- 「手動プロキシセットアップ」の項目を見つけます
- 「プロキシサーバーを使う」のスイッチをオンにします
- 以下の情報を入力します:
- アドレス:プロキシサーバーのIPアドレスまたはドメイン名
- ポート:プロキシサーバーのポート番号(通常は8080、3128、80など)
- 必要に応じて「ローカルアドレスにはプロキシサーバーを使わない」にチェックを入れます
- 「保存」ボタンをクリックして設定を完了します
例外設定の詳細 「次で始まるアドレスにはプロキシを使わない」欄では:
- 社内のサーバーアドレス(例:192.168..)
- ローカルネットワークのアドレス
- 特定のドメイン名 これらを除外設定として追加できます。
プロキシ設定に必要な情報の取得方法

企業・組織での情報取得
IT部門への確認事項 プロキシ設定に必要な以下の情報を確認してください:
- プロキシサーバーのアドレス(IPアドレスまたはURL)
- ポート番号
- 認証が必要な場合のユーザー名とパスワード
- 除外設定が必要なアドレス範囲
- 自動構成スクリプトのURL(利用している場合)
設定依頼書の例 IT部門に依頼する際は、以下の情報を含めると効率的です:
- 使用するデバイスの情報(Windows 10/11)
- 利用目的(業務、学習など)
- 接続する場所(オフィス、リモートワークなど)
個人でプロキシサービスを利用する場合
プロキシサービスプロバイダーから取得
- 契約したプロキシサービスの管理画面にログイン
- 接続情報を確認(サーバーアドレス、ポート、認証情報)
- 提供されるドキュメントや設定ガイドを参照
無料プロキシサービスの注意点
- セキュリティリスクが高い場合がある
- 通信速度が遅い可能性がある
- 信頼性に欠ける場合がある
- 個人情報の取り扱いに注意が必要
認証が必要なプロキシの設定

認証情報の管理
Windows資格情報での管理
- 「コントロールパネル」→「資格情報マネージャー」を開きます
- 「Windows資格情報」タブを選択します
- 「Windows資格情報の追加」をクリックします
- 以下の情報を入力します:
- インターネットまたはネットワークアドレス:プロキシサーバーのアドレス
- ユーザー名:プロキシ認証用のユーザー名
- パスワード:プロキシ認証用のパスワード
ブラウザでの認証設定 一部のブラウザでは、独自のプロキシ認証設定が可能です:
- Chrome:設定 → 詳細設定 → システム → プロキシ設定
- Firefox:設定 → ネットワーク設定 → 手動でプロキシを設定
- Edge:設定 → システム → プロキシ設定を開く
よくある問題と解決方法

プロキシ設定後にインターネットに接続できない場合
設定の確認ポイント
- プロキシサーバーのアドレスが正確に入力されているか
- ポート番号が正しいか
- 認証情報(ユーザー名・パスワード)が正確か
- プロキシサーバーが稼働しているか
トラブルシューティング手順
- 設定の再確認
- 入力した情報をもう一度確認
- 大文字・小文字の区別に注意
- 余分なスペースがないかチェック
- 一時的な無効化
- プロキシ設定を一時的にオフにして通常のインターネット接続を確認
- 問題がプロキシ設定にあるかを特定
- ネットワークの再起動
- コンピューターの再起動
- ネットワークアダプターの無効化・有効化
- ルーターやモデムの再起動
特定のサイトにアクセスできない場合
除外設定の追加
- プロキシ設定画面の「次で始まるアドレスにはプロキシを使わない」欄に除外したいアドレスを追加
- 複数のアドレスを指定する場合は、セミコロン(;)で区切って入力
- ワイルドカード(*)を使用した指定も可能
例外設定の例
*.local;192.168.*;*.company.com;localhost
速度が遅い場合の対処法
プロキシサーバーの最適化
- より近い地域のプロキシサーバーを選択
- 負荷の少ないサーバーに変更
- 帯域幅の大きいプロキシサービスの利用
キャッシュの活用
- プロキシサーバーのキャッシュ機能を活用
- よくアクセスするサイトは高速化される
- 初回アクセス時は通常より時間がかかる場合がある
コマンドラインでのプロキシ設定

PowerShellを使用した設定
基本的なプロキシ設定
# プロキシを有効にする
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" -Name ProxyEnable -Value 1
# プロキシサーバーとポートを設定
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" -Name ProxyServer -Value "proxy.example.com:8080"
設定の確認
# 現在のプロキシ設定を確認
Get-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" | Select-Object ProxyEnable, ProxyServer
プロキシを無効にする
# プロキシを無効にする
Set-ItemProperty -Path "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings" -Name ProxyEnable -Value 0
コマンドプロンプトでの設定
環境変数による設定
# HTTPプロキシの設定
set HTTP_PROXY=http://proxy.example.com:8080
# HTTPSプロキシの設定
set HTTPS_PROXY=http://proxy.example.com:8080
# すべてのプロキシ設定
set ALL_PROXY=http://proxy.example.com:8080
注意点
- コマンドラインでの設定は一時的なものです
- 永続的な設定にするには、システムの環境変数に追加する必要があります
プロキシ設定の解除・リセット方法

手動設定の解除
設定画面からの解除
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」→「プロキシ」を開きます
- 「プロキシサーバーを使う」をオフにします
- 「設定を自動的に検出する」をオンにします
- 「保存」をクリックして変更を確定します
完全なリセット
- すべてのプロキシ設定をオフにします
- アドレスとポートの入力欄を空白にします
- 除外設定も削除します
- コンピューターを再起動して設定を完全に反映させます
レジストリによるリセット(上級者向け)
注意事項 レジストリの編集は慎重に行ってください。間違った操作はシステムに重大な影響を与える可能性があります。
リセット手順
- 「Windows キー + R」を押して「ファイル名を指定して実行」を開きます
- 「regedit」と入力してレジストリエディターを開きます
- 以下の場所に移動します:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings
- ProxyEnable の値を 0 に変更します
- ProxyServer の値を削除または空白にします
セキュリティとプライバシーの考慮事項

プロキシ使用時の注意点
信頼できるプロキシサーバーの選択
- 企業や教育機関が提供する公式のプロキシを使用
- 無料のプロキシサービスは慎重に選択
- 評判や信頼性を事前に調査
データの暗号化
- HTTPS接続の確認
- プロキシサーバーがSSL/TLSに対応しているか確認
- 機密情報を扱う場合は追加の暗号化を検討
ログの取り扱い
- プロキシサーバーでのアクセスログ記録について理解
- プライバシーポリシーの確認
- 必要に応じてVPNとの併用を検討
企業環境でのセキュリティ
ポリシー準拠
- 会社のセキュリティポリシーに従った設定
- 許可されていないプロキシサーバーの使用禁止
- 定期的な設定の見直しと更新
監査とコンプライアンス
- アクセスログの適切な管理
- セキュリティ監査への対応
- 規制要件への準拠
まとめ
Windows でのプロキシ設定は、セキュリティの向上やネットワーク管理の効率化において重要な機能です。
適切な設定により、安全で効率的なインターネット接続を実現できます。
重要なポイント
- 設定アプリから「ネットワークとインターネット」→「プロキシ」で設定
- 自動検出と手動設定の両方の方法を理解
- 認証が必要な場合は資格情報マネージャーを活用
- トラブル時は設定の再確認と一時的な無効化で対処
トラブル予防のコツ
- 設定情報を正確に記録・保管
- 変更前には必ず現在の設定をバックアップ
- 段階的な設定変更で問題を特定しやすくする
- 不明な点は必ず管理者や専門家に相談
セキュリティのベストプラクティス
- 信頼できるプロキシサーバーのみを使用
- 認証情報の適切な管理
- 定期的なパスワード変更
- VPNとの併用によるセキュリティ強化
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