電源ボタンを押しても、うんともすんとも言わない… ファンも回らない、LEDも点灯しない、画面は真っ暗…
PCの電源が入らないという状況は、本当に焦りますよね。
大切なデータが入っているのに、仕事の締切が迫っているのに、なぜ今… そんな絶望的な気持ち、よく分かります。
でも、落ち着いてください。電源が入らない原因の多くは、意外と単純なものです。 電源ケーブルの接触不良から、深刻なハードウェア故障まで、原因は様々ですが、適切に対処すれば多くの場合は復旧できます。
この記事では、電源が入らない時の原因特定から、段階的な復旧方法まで、すべてを分かりやすく解説します。 一つずつ確認していけば、きっと解決への道が見つかりますよ!
症状別:電源が入らないパターンの分類

パターン1:完全無反応
症状:
- 電源ボタンを押しても何も起きない
- LEDランプが一切点灯しない
- ファンの音もしない
- 完全に沈黙
可能性の高い原因:
- 電源供給の問題
- 電源ユニットの故障
- マザーボードの故障
パターン2:一瞬だけ反応
症状:
- 電源ボタンを押すと一瞬LEDが光る
- ファンが少し回ってすぐ止まる
- 数秒で電源が切れる
- 繰り返し再起動を試みる
可能性の高い原因:
- 電源容量不足
- ショート(短絡)
- メモリの問題
パターン3:電源は入るが画面が映らない
症状:
- ファンは回っている
- LEDは点灯している
- でも画面は真っ暗
- ビープ音がする場合も
可能性の高い原因:
- モニター接続の問題
- グラフィックカードの不具合
- BIOSの問題
パターン4:電源ボタンが効かない
症状:
- ボタンを押しても手応えがない
- ボタンが陥没している
- 強く押さないと反応しない
可能性の高い原因:
- 電源ボタンの物理的故障
- ケース内部の配線問題
【緊急】まず確認すべき基本チェック項目
1. 電源周りの確認(これで8割解決!)
電源ケーブル:
チェックリスト:
□ コンセントに確実に差さっているか
□ 電源タップのスイッチはONか
□ ブレーカーは落ちていないか
□ 他の機器でコンセントが生きているか確認
□ 電源ケーブルに損傷はないか
PC側の確認:
□ 電源ケーブルがPCにしっかり接続されているか
□ 電源ユニットのスイッチが「I」(ON)になっているか
□ 電圧切り替えスイッチ(115V/230V)が正しいか
意外と多いのが、掃除の時に電源スイッチを切って忘れているケースです!
2. 放電処理(簡単だけど効果大)
手順:
- 電源ケーブルを抜く
- 電源ボタンを30秒間押し続ける
- 5分間放置
- 電源ケーブルを接続
- 電源を入れてみる
これで帯電による不具合が解消されることがあります。
3. 最小構成での起動テスト
取り外すもの:
- USBデバイスすべて
- 増設カード(グラフィックカード以外)
- 増設HDD/SSD
- 光学ドライブ
- メモリを1枚だけ残す
最小限の構成で起動を試みます。
デスクトップPC:内部チェックと対処法
ケースを開ける前の準備
必要なもの:
- プラスドライバー
- 懐中電灯またはスマホのライト
- 静電気防止手袋(あれば)
- エアダスター
注意事項:
- 必ず電源ケーブルを抜く
- 金属部分に触れて静電気を逃がす
- 無理な力を加えない
電源ユニットの確認
簡易テスト方法:
- ペーパークリップテスト(上級者向け)
警告:感電の危険があるため、自己責任で実施
1. 24ピンコネクタを外す
2. 緑のワイヤー(PS_ON)と黒のワイヤー(GND)をショート
3. 電源を入れてファンが回るか確認
- 電圧テスター使用
- マルチメーターで電圧測定
- +12V、+5V、+3.3Vを確認
マザーボードの確認
目視チェック:
□ コンデンサの膨張・液漏れはないか
□ 焦げた跡はないか
□ 24ピン電源コネクタはしっかり接続されているか
□ CPU補助電源(4ピン/8ピン)は接続されているか
□ マザーボードのLEDは点灯しているか
CMOSクリア:
- 電源を切り、ケーブルを抜く
- CMOSバッテリー(ボタン電池)を外す
- 30秒待つ
- バッテリーを戻す
- 起動を試みる
メモリの診断
メモリの挿し直し:
- メモリを一度すべて外す
- 接点を清掃(消しゴムで軽く擦る)
- 1枚だけ挿して起動テスト
- 起動したら他のメモリも1枚ずつテスト
スロットを変える:
- 別のスロットで試す
- デュアルチャネルの組み合わせを確認
ノートPC:特有の対処法
バッテリー関連の対処
バッテリーリセット:
- ACアダプターを外す
- バッテリーを取り外す(可能な機種)
- 電源ボタンを60秒押し続ける
- バッテリーとACアダプターを接続
- 起動を試みる
内蔵バッテリーの場合:
- 裏面のリセットホール(ある機種)をクリップで押す
- なければ、バッテリーが完全に切れるまで放置
ACアダプターの確認
チェック項目:
□ アダプターのLEDは点灯しているか
□ プラグに損傷はないか
□ ケーブルに断線の兆候はないか
□ 正規品を使用しているか(電圧・電流確認)
テスト方法:
- 別のACアダプターで試す(同じ規格)
- マルチメーターで出力電圧を測定
ビープ音での診断

ビープ音パターンの意味
一般的なパターン(AMI BIOS):
- 1回短:正常起動
- 2回短:パリティエラー
- 3回短:メモリエラー(最初の64KB)
- 4回短:システムタイマーエラー
- 5回短:プロセッサエラー
- 連続長音:メモリ未検出
Award BIOS:
- 1回長、2回短:ビデオカードエラー
- 1回長、3回短:ビデオメモリエラー
- 連続短音:電源ユニットエラー
メーカーによって異なるので、マニュアルを確認してください。
データ救出の方法
HDDを取り出して救出
手順:
- PCからHDD/SSDを物理的に取り外す
- USB変換アダプターを使用
- 別のPCに接続
- データをコピー
おすすめツール:
- SATA-USB変換ケーブル
- 外付けHDDケース
- ドッキングステーション
Linux Live USBでの救出
電源は入るが起動しない場合:
- Ubuntu等のLive USBを作成
- BIOSでUSBブートに設定
- Linuxで起動
- 内蔵ドライブをマウント
- 外付けHDDにデータコピー
部品交換での対処
電源ユニットの交換
選び方:
- 容量:現在の1.2倍以上
- 80PLUS認証品を選ぶ
- コネクタの種類を確認
交換手順:
- すべてのケーブルを写真撮影
- 古い電源を取り外し
- 新しい電源を取り付け
- ケーブルを元通り接続
マザーボード交換(最終手段)
判断基準:
- 他のすべての対処法が無効
- 目視で損傷が確認できる
- 修理費用と新規購入を比較
プロの診断ツール
POST診断カード
使い方:
- PCIスロットに挿入
- エラーコードを表示
- マニュアルで原因特定
価格: 2,000円~5,000円程度
電源テスター
機能:
- 各電圧の測定
- コネクタごとの診断
- 簡単操作
価格: 1,000円~3,000円程度
修理に出すタイミング
自分で対処できる限界
修理を検討すべき状況:
- マザーボードの物理的損傷
- 電源を入れると焦げ臭い
- 複数の部品が同時に故障
- ノートPCの基板故障
- 保証期間内
修理費用の目安
一般的な費用:
- 診断料:3,000円~5,000円
- 電源ユニット交換:10,000円~20,000円
- マザーボード交換:30,000円~50,000円
- データ復旧:50,000円~200,000円
予防策:二度と起こさないために
定期メンテナンス
月1回の作業:
- エアダスターでホコリ除去
- ケーブルの接続確認
- 異音・異臭チェック
年1回の作業:
- サーマルペースト塗り替え
- 電源ユニット内部清掃
- CMOSバッテリー交換(5年目安)
電源環境の改善
推奨対策:
- UPS(無停電電源装置)導入
- サージプロテクター使用
- 適切な電源容量確保
- 定期的なコンセント点検
バックアップの重要性
3-2-1ルール:
- 3つのコピー
- 2つの異なるメディア
- 1つはオフサイト保管
まとめ:慌てず順番に確認を
PCの電源が入らない時は、パニックになりがちですが、冷静な対処が重要です。
対処の優先順位:
- 基本確認(5分)
- 電源ケーブル・スイッチ
- コンセント・ブレーカー
- 放電処理
- 外部要因排除(10分)
- 周辺機器取り外し
- 最小構成テスト
- 内部確認(30分)
- ケーブル接続
- メモリ挿し直し
- CMOSクリア
- 部品診断(1時間)
- 電源ユニット
- マザーボード
- その他部品
重要なポイント:
- 感電に注意
- 静電気対策を忘れずに
- 無理な作業は避ける
- データのバックアップを優先
ほとんどの場合、簡単な対処で復旧できます。 この記事の手順を落ち着いて実行すれば、きっとPCは復活するはずです。
もし自力での復旧が難しい場合は、無理をせず専門家に相談しましょう。 大切なのは、データと安全を守ることです。
PCが無事に起動することを祈っています!
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