「黒い画面のターミナルって、なんだか味気ない…」
「Gitのブランチ名とか、もっと分かりやすく表示できないかな?」
「プログラマーっぽい、かっこいいターミナルにしたい!」
そんなあなたにおすすめなのが「Oh My Posh」です。
ターミナルの見た目をカスタマイズして、作業効率を向上させませんか?
Oh My Poshを使えば、PowerShellやWindows Terminalなどのシェルを、カラフルで情報豊富なプロンプトに変えることができます。
Gitのブランチ情報やPythonの仮想環境、現在のディレクトリなどを一目で確認できるようになります。
この記事では、WindowsでOh My Poshをインストールして設定する方法を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
Oh My Poshとは?

簡単に言うと
「Oh My Posh」は、ターミナルのプロンプト(コマンド入力部分)をおしゃれで便利にカスタマイズするツールです。
ビフォー・アフターの例
Before(通常のPowerShell)
PS C:\Users\YourName>
After(Oh My Posh適用後)
~/Documents main ≡ 10.2s
❯
何ができるの?
機能 | 説明 | 例 |
---|---|---|
Gitブランチ表示 | 現在のブランチ名を表示 | main , feature/login |
ディレクトリ表示 | 現在いる場所を分かりやすく | ~/Documents , C:\project |
実行時間表示 | 前のコマンドにかかった時間 | 10.2s , 1m 30s |
エラー状態表示 | コマンドが成功・失敗したかを色で表示 | 緑色(成功)、赤色(失敗) |
仮想環境表示 | PythonやNodeの環境情報 | (venv) , node v18.0.0 |
対応しているシェル
- PowerShell(Windows標準)
- Windows Terminal
- Command Prompt(cmd)
- Git Bash
- WSL(Linux環境)
事前準備:必要なもの
インストールを始める前に、以下が必要です:
- Windows 10/11
- PowerShell(通常は最初から入っています)
- 管理者権限(インストール時に必要)
- インターネット接続
ステップ1:Nerd Fontのインストール
なぜフォントが必要?
Oh My Poshでは、アイコンや特殊文字を表示するためにNerd Fontという特別なフォントが必要です。
普通のフォントでは、記号が正しく表示されません。
フォントのインストール手順
1. Nerd Fontsのサイトにアクセス
2. おすすめフォントをダウンロード 初心者におすすめのフォント:
- Meslo LGM NF:読みやすく、日本語も対応
- Fira Code NF:プログラミング向け
- JetBrains Mono NF:モダンなデザイン
3. フォントをインストール
- ダウンロードしたzipファイルを解凍
.ttf
ファイルをすべて選択- 右クリック → 「インストール」または「すべてのユーザー用にインストール」
インストール確認
フォントが正しくインストールされたか確認:
- Windowsの「設定」を開く
- 「個人用設定」→「フォント」
- インストールしたフォント名が表示されていればOK
ステップ2:Oh My Poshのインストール

wingetを使ったインストール(推奨)
1. PowerShellを管理者として開く
- スタートメニューで「PowerShell」を右クリック
- 「管理者として実行」を選択
2. Oh My Poshをインストール
winget install JanDeDobbeleer.OhMyPosh -s winget
3. 環境変数を反映
# PowerShellを一度閉じて、もう一度開く
代替インストール方法
wingetが使えない場合:
方法1:Scoopを使用
# Scoopをインストール(初回のみ)
Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser
irm get.scoop.sh | iex
# Oh My Poshをインストール
scoop install https://github.com/JanDeDobbeleer/oh-my-posh/releases/latest/download/oh-my-posh.json
方法2:手動インストール
- GitHub Releasesから最新版をダウンロード
- 適当なフォルダに解凍
- 環境変数PATHに追加
インストール確認
oh-my-posh version
バージョン情報が表示されればインストール成功です。
ステップ3:PowerShellでの設定
プロファイルとは?
PowerShellのプロファイルは、PowerShell起動時に自動実行される設定ファイルです。
プロファイルの作成・編集
1. プロファイルの場所を確認
echo $PROFILE
2. プロファイルが存在するか確認
Test-Path $PROFILE
3. プロファイルを作成(存在しない場合)
New-Item -Path $PROFILE -Type File -Force
4. プロファイルを編集
notepad $PROFILE
プロファイルの設定内容
開いたメモ帳に以下を入力:
# Oh My Poshの初期化
oh-my-posh init pwsh --config "$env:POSH_THEMES_PATH\paradox.omp.json" | Invoke-Expression
保存して、PowerShellを再起動すると、テーマが適用されます。
テーマの確認と変更
利用可能なテーマを確認
Get-PoshThemes
人気のテーマ:
paradox
:シンプルで見やすいagnoster
:Git情報が豊富powerlevel10k_rainbow
:カラフルatomic
:モダンなデザイン
テーマを変更する場合 プロファイルの設定で、paradox.omp.json
の部分を変更:
oh-my-posh init pwsh --config "$env:POSH_THEMES_PATH\agnoster.omp.json" | Invoke-Expression
ステップ4:Windows Terminalでのフォント設定
Windows Terminalとは?
Microsoftが開発した新しいターミナルアプリ。複数のタブ、カスタマイズ性などが特徴です。
フォント設定手順
1. Windows Terminalを開く
2. 設定を開く
Ctrl + ,
(カンマ)- または右上のドロップダウン → 「設定」
3. PowerShellプロファイルを選択
- 左メニューの「プロファイル」
- 「Windows PowerShell」または「PowerShell」を選択
4. フォントを変更
- 「外観」タブを開く
- 「フォントフェイス」でインストールしたNerd Font(例:
MesloLGM NF
)を選択 - フォントサイズは
12
程度が読みやすい
5. 設定を保存
- 「保存」ボタンをクリック
その他のおすすめ設定
背景の透明度
- 「外観」→「透明度」で
80-90%
に設定
配色テーマ
- 「配色」で好みのテーマを選択(
Campbell PowerShell
など)
ステップ5:VS Codeでの設定

VS CodeのターミナルでOh My Poshを使う
1. VS Codeの設定を開く
Ctrl + ,
- 右上の「設定(JSON)を開く」アイコンをクリック
2. 設定を追加
{
"terminal.integrated.fontFamily": "MesloLGM NF",
"terminal.integrated.fontSize": 12,
"terminal.integrated.profiles.windows": {
"PowerShell": {
"source": "PowerShell",
"args": ["-NoExit", "-Command", "& {oh-my-posh init pwsh --config \"$env:POSH_THEMES_PATH\\paradox.omp.json\" | Invoke-Expression}"]
}
},
"terminal.integrated.defaultProfile.windows": "PowerShell"
}
3. VS Codeを再起動
これで、VS CodeのターミナルでもOh My Poshが使えるようになります。
トラブルシューティング
よくある問題と解決法
1. アイコンが文字化けする
問題:□や?で表示される
解決:Nerd Fontが正しく設定されていない
対策:ターミナルのフォント設定を確認
2. 「実行ポリシー」エラー
問題:プロファイルが実行されない
解決:実行ポリシーを変更
対策:管理者PowerShellで以下を実行
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser
3. テーマが表示されない
問題:プロンプトが変わらない
解決:プロファイルの設定確認
対策:$PROFILEの内容と構文をチェック
4. 動作が重い
問題:ターミナルの起動や反応が遅い
解決:軽量テーマに変更
対策:「minimal」や「pure」テーマを試す
カスタマイズのヒント
自分好みにカスタマイズ
1. 独自設定ファイルの作成
# カスタムテーマファイルを作成
oh-my-posh config export --output ~/my-theme.omp.json
2. よく使う設定例
シンプル重視
oh-my-posh init pwsh --config "$env:POSH_THEMES_PATH\minimal.omp.json" | Invoke-Expression
Git情報重視
oh-my-posh init pwsh --config "$env:POSH_THEMES_PATH\agnoster.omp.json" | Invoke-Expression
エイリアス(ショートカット)の追加
プロファイルに追加すると便利:
# よく使うコマンドのエイリアス
Set-Alias ll Get-ChildItem
Set-Alias grep Select-String
まとめ
セットアップの流れ再確認
- Nerd Fontをインストール:アイコン表示のため
- Oh My Poshをインストール:
winget install
でOK - PowerShellプロファイルを設定:起動時の初期化
- ターミナルのフォント設定:Nerd Fontを指定
- テーマを選択:好みに合わせてカスタマイズ
得られるメリット
メリット | 説明 |
---|---|
作業効率向上 | Git状態やディレクトリが一目で分かる |
モチベーション向上 | おしゃれなターミナルで気分が上がる |
情報量増加 | エラー状態や実行時間などが分かりやすい |
プロ感アップ | 開発者っぽい見た目になる |
次のステップ
Oh My Poshに慣れたら、さらに以下を試してみましょう:
PowerShellモジュールの活用
PSReadLine
:コマンド履歴の改善Terminal-Icons
:ファイルアイコンの表示z
:ディレクトリ移動の効率化
Windows Terminalの活用
- タブ機能の活用
- ペイン分割の活用
- キーボードショートカットの設定
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