会社や自宅で、他のパソコンやNAS(ネットワークストレージ)のファイルにアクセスしたいことってありますよね。
毎回「ネットワーク」から探して、フォルダを開いて…という作業は面倒です。 そんな時に便利なのが「ネットワークドライブ」機能です。
ネットワーク上の共有フォルダを、まるでUSBメモリのように「Zドライブ」「Yドライブ」として使えるようになります。 エクスプローラーからワンクリックでアクセスできて、本当に便利なんです!
この記事では、Windows 10/11でネットワークドライブを設定する方法を、初心者の方でも迷わないように詳しく説明します。 職場でも自宅でも、ファイル共有がグッと楽になりますよ!
ネットワークドライブって何?普通の共有フォルダとの違い

ローカルドライブのように使える魔法
ネットワークドライブは、ネットワーク上の共有フォルダに「ドライブレター」を割り当てる機能です。
例えば:
- Cドライブ:パソコン本体のハードディスク
- Dドライブ:DVDドライブ
- Zドライブ:会社のファイルサーバー(ネットワークドライブ)
こんな風に、ネットワーク上のフォルダも、普通のドライブと同じように扱えるんです。
普通の共有フォルダアクセスとの違い
通常の方法(面倒):
- エクスプローラーを開く
- 「ネットワーク」をクリック
- コンピューター名を探す
- 共有フォルダを開く
ネットワークドライブ(簡単):
- エクスプローラーを開く
- Zドライブをクリック
たったこれだけ!アクセスの手間が劇的に減ります。
こんな場面で大活躍
- 会社で:部署共有のファイルサーバーに素早くアクセス
- 自宅で:NASに保存した動画や音楽をすぐ再生
- テレワークで:VPN経由で会社のファイルを扱う
- 家族で:共有の写真フォルダを全員で使う
一度設定すれば、毎日の作業効率が格段に上がります。
【完全版】ネットワークドライブの設定方法
事前準備:必要な情報を確認
設定を始める前に、以下の情報を準備しましょう。
必要な情報:
- 共有フォルダのパス(例:\192.168.1.100\share)
- ユーザー名(アクセス権限があるアカウント)
- パスワード
- 割り当てたいドライブレター(Z、Y、Xなど)
これらの情報は、ネットワーク管理者やNASの設定画面で確認できます。
方法1:エクスプローラーから設定(一番簡単!)
ステップ1:エクスプローラーを開く
Windows + E キーを押すか、タスクバーのフォルダアイコンをクリック。
ステップ2:ネットワークドライブの割り当て
- 左側のメニューで「PC」を右クリック
- 「ネットワークドライブの割り当て」を選択
または、エクスプローラー上部のメニューから:
- 「コンピューター」タブ → 「ネットワークドライブの割り当て」
ステップ3:設定画面で入力
- ドライブ:好きな文字を選択(Zがよく使われます)
- フォルダー:\コンピューター名\共有フォルダ名
- サインイン時に再接続する:チェックを入れる(重要!)
ステップ4:認証情報の入力
ユーザー名とパスワードを入力。 「資格情報を記憶する」にチェックを入れると、次回から自動接続されます。
完了!エクスプローラーに新しいドライブが表示されます。
方法2:コマンドプロンプトで設定(上級者向け)
複数のドライブを一括設定したい時に便利です。
基本コマンド:
net use Z: \\192.168.1.100\share /persistent:yes
パスワード付きの場合:
net use Z: \\192.168.1.100\share password /user:username /persistent:yes
削除する場合:
net use Z: /delete
コマンドなら、バッチファイルにして自動化もできます。
方法3:「ネットワークの場所を追加」を使う
ドライブレターを使わない方法もあります。
- エクスプローラーで「PC」を右クリック
- 「ネットワークの場所を追加する」を選択
- ウィザードに従って設定
この方法なら、FTPサーバーやWebDAVも追加できます。
IPアドレスとコンピューター名、どっちを使う?
コンピューター名を使う場合
書き方:
\\DESKTOP-ABC123\SharedFolder
\\FileServer\Documents
メリット:
- 覚えやすい
- IPアドレスが変わっても大丈夫
- 設定が分かりやすい
デメリット:
- 名前解決できないと接続不可
- 初回接続が遅いことがある
IPアドレスを使う場合
書き方:
\\192.168.1.100\SharedFolder
\\10.0.0.5\Documents
メリット:
- 確実に接続できる
- 名前解決のトラブルがない
- 接続が速い
デメリット:
- IPアドレスが変わると再設定が必要
- 覚えにくい
おすすめの使い分け:
- 会社の固定サーバー → コンピューター名
- 自宅のNAS → IPアドレス(固定IPに設定)
- 一時的な接続 → IPアドレス
NASへの接続設定(自宅で大活躍!)

人気のNAS製品別設定
Synology NAS:
- DSMにログイン
- コントロールパネル → 共有フォルダ
- アクセス許可を設定
- Windowsで \NAS名\フォルダ名 or \IPアドレス\フォルダ名
QNAP NAS:
- QTSにログイン
- コントロールパネル → 権限設定
- 共有フォルダーの権限を確認
- 同様にWindowsから接続
Buffalo LinkStation:
- 設定画面にアクセス
- 共有フォルダー → アクセス制限
- ユーザー設定を確認
- \LS-XXXX\share形式で接続
SMBバージョンの設定(重要!)
最近のNASとWindows 10/11を使う場合、SMBバージョンの不一致でトラブルが起きることがあります。
Windows側の確認と設定:
- Windows機能の有効化または無効化
- 「SMB 1.0/CIFS ファイル共有のサポート」を確認
- セキュリティ的にはSMB 2.0以上を推奨
エラーが出る場合の対処:
# SMB1を一時的に有効化(非推奨だが古いNAS用)
Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName SMB1Protocol
可能ならNAS側をSMB 2.0以上に設定しましょう。
認証エラーの解決方法(これで9割解決!)
「ユーザー名またはパスワードが正しくありません」
解決策1:資格情報をクリア
- コントロールパネル → 資格情報マネージャー
- Windows資格情報
- 該当するサーバーの資格情報を削除
- 再度接続を試みる
解決策2:別の形式でユーザー名を入力
ユーザー名
→ うまくいかないコンピューター名\ユーザー名
→ これで試すワークグループ名\ユーザー名
→ さらに試す
解決策3:Microsoftアカウントの場合 Microsoftアカウントでサインインしている場合:
- メールアドレス全体を入力
- またはローカルアカウントを作成
「ネットワークパスが見つかりません」
チェックポイント:
- pingで疎通確認
ping 192.168.1.100
- ファイアウォールの確認
- Windows Defender ファイアウォールを一時的に無効化
- 問題が解決したら、例外設定を追加
- ネットワーク探索を有効化
- 設定 → ネットワークとインターネット
- 共有の詳細オプション
- ネットワーク探索を有効にする
- サービスの確認
services.msc
以下のサービスが実行中か確認:
- Function Discovery Resource Publication
- SSDP Discovery
- UPnP Device Host
起動時に自動接続する設定
基本の自動接続設定
ネットワークドライブ設定時に「サインイン時に再接続する」にチェックを入れるだけ!
でも、これだけでは起動時にエラーが出ることがあります。
起動時のエラーを防ぐ方法
問題:ネットワークが準備できる前に接続しようとする
解決策1:遅延起動スクリプト
startup.batを作成:
@echo off
timeout /t 30 /nobreak > nul
net use Z: \\192.168.1.100\share /persistent:yes
スタートアップフォルダに配置: Win + R
→ shell:startup
解決策2:タスクスケジューラを使用
- タスクスケジューラを開く
- 「タスクの作成」
- トリガー:ログオン時
- 操作:プログラムの開始
- 遅延時間を30秒に設定
VPN接続時の自動マウント
テレワークでVPN使用時の設定:
- VPN接続後に手動で再接続
- またはVPNクライアントのスクリプト機能を使用
- PowerShellスクリプトで自動化も可能
# VPN接続確認後にドライブをマップ
if (Test-Connection -ComputerName "社内サーバー" -Count 1 -Quiet) {
New-PSDrive -Name "Z" -PSProvider FileSystem -Root "\\server\share" -Persist
}
アクセス権限とセキュリティ設定

フォルダごとの権限設定
読み取り専用にしたい場合:
- サーバー側で読み取り権限のみ付与
- または特定ユーザーには書き込み権限を与えない
部署ごとにアクセス制限:
- Active Directoryのグループポリシー活用
- NASのユーザーグループ機能を使用
パスワード保護の解除(自宅用)
自宅で家族だけが使う場合、パスワードなしでアクセスしたいこともあります。
Windows側の設定:
- 共有の詳細オプション
- 「パスワード保護共有を無効にする」
- 変更の保存
注意:セキュリティリスクがあるので、自宅専用にしてください!
暗号化通信の設定
重要なデータを扱う場合:
- SMB 3.0以上を使用(暗号化対応)
- VPN経由でアクセス
- IPsecの設定を検討
パフォーマンスを最適化する設定
転送速度を上げるコツ
ネットワーク設定の最適化:
- 有線LAN接続を使用
- 可能な限りギガビットイーサネット
- Wi-Fiより安定して高速
- ジャンボフレームの有効化
- ネットワークアダプターの詳細設定
- MTUを9000に設定(対応機器のみ)
- オフラインファイルの無効化
- 不要ならオフにして高速化
キャッシュ設定の調整
オフラインファイルの設定:
- コントロールパネル → 同期センター
- オフラインファイルの管理
- 必要に応じて有効/無効を選択
メリット:
- ネットワーク切断時もファイルにアクセス可能
- よく使うファイルの高速アクセス
デメリット:
- ディスク容量を消費
- 同期の競合が発生することがある
トラブルシューティング完全版
よくあるエラーと解決法一覧
「0x80070035 ネットワークパスが見つかりません」
- ネットワーク探索を有効化
- NetBIOS over TCP/IPを有効化
- DNSキャッシュをクリア:
ipconfig /flushdns
「0x80004005 アクセスが拒否されました」
- 管理者権限で実行
- 共有の詳細設定を確認
- レジストリ設定を確認(上級者向け)
「0x800704cf ネットワークの場所を検出できません」
- ネットワークプロファイルをプライベートに変更
- Windows Update を実行
- ネットワークのリセット
ネットワークドライブが表示されない
赤い×印が付いている場合:
- ダブルクリックして再接続
- 資格情報を再入力
- それでもダメなら一度削除して再設定
完全に消えた場合:
# 強制的に再マップ
net use * /delete /yes
net use Z: \\server\share /persistent:yes
速度が異常に遅い
チェック項目:
- ネットワーク使用率を確認(タスクマネージャー)
- ウイルス対策ソフトの除外設定
- SMBマルチチャネルの有効化
- QoS設定の見直し
まとめ:ネットワークドライブで快適なファイル共有を
ネットワークドライブの設定は、最初は難しく感じるかもしれません。 でも、一度設定してしまえば、ファイル共有が劇的に便利になります。
設定のポイントまとめ:
- 基本設定は簡単
- エクスプローラーから数クリックで完了
- 「サインイン時に再接続」を忘れずに
- トラブルの多くは認証関連
- 資格情報マネージャーの活用
- ユーザー名の入力形式を変えてみる
- セキュリティは状況に応じて
- 会社:厳重に
- 自宅:利便性も考慮
- NASとの連携で自宅が便利に
- 家族で写真共有
- メディアサーバーとして活用
毎日使うものだからこそ、しっかり設定して快適に使いましょう。 USBメモリを差し替える手間から解放されて、スマートなファイル管理ができますよ。
この記事を参考に、ぜひネットワークドライブを活用してください。 職場でも自宅でも、ファイル共有がもっと便利になるはずです!
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