Wi-Fiルーターの設定で「MACアドレスフィルタリング」という項目を見た。
会社のネットワーク管理者に「MACアドレスを教えて」と言われた。
ゲーム機やスマートテレビをネットワークに接続したいけど、MACアドレスが必要らしい。
こんな場面に遭遇したことはありませんか?
MACアドレスは、ネットワーク機器の「身分証明書」のようなもの。世界中で一つだけの番号なんです。
この記事では、WindowsでMACアドレスを確認する方法から、その仕組み、セキュリティ設定、さらには変更方法まで、分かりやすく解説していきます。ネットワーク設定で困ったときに、きっと役立つはずです!
MACアドレスの基礎知識

MACアドレスとは?
MAC(マック)アドレスは「Media Access Control address」の略で、ネットワーク機器に付けられた固有の識別番号です。
例えるなら:
- IPアドレス = 住所(引っ越しで変わる)
- MACアドレス = マイナンバー(一生変わらない)
MACアドレスの特徴:
- 機器ごとに世界で唯一の番号
- 製造時に割り当てられる
- 基本的には変更不可(ソフトウェア的には可能)
- ネットワークカードやWi-Fiアダプターごとに存在
MACアドレスの形式
MACアドレスは48ビット(6バイト)の数値で、16進数で表記されます。
表記パターン:
XX:XX:XX:XX:XX:XX (コロン区切り)
XX-XX-XX-XX-XX-XX (ハイフン区切り)
XXXXXXXXXXXX (区切りなし)
実際の例:
00:1B:44:11:3A:B7
00-1B-44-11-3A-B7
001B44113AB7
最初の3バイトは製造元を示し、後半の3バイトが機器固有の番号です。
なぜMACアドレスが必要?
主な用途:
- ネットワークセキュリティ:特定の機器だけ接続許可
- Wake on LAN:遠隔でPCを起動
- DHCP予約:特定の機器に固定IPを割り当て
- アクセス制御:会社や学校でのネットワーク管理
- トラブルシューティング:ネットワーク問題の診断
WindowsでMACアドレスを確認する6つの方法
方法1:設定アプリから確認(Windows 11/10で最も簡単)
初心者におすすめの方法です。
Windows 11の手順:
- Windows + I で設定を開く
- 「ネットワークとインターネット」をクリック
- 「Wi-Fi」または「イーサネット」を選択
- 接続中のネットワーク名をクリック
- 「ハードウェアのプロパティ」を確認
- 「物理アドレス(MAC)」の項目を見る
Windows 10の手順:
- 設定→「ネットワークとインターネット」
- 「状態」→「ハードウェアと接続のプロパティを表示」
- 各アダプターの「物理アドレス」を確認
方法2:コマンドプロンプトで確認(詳細情報も取得)
より詳しい情報が必要な場合の方法です。
基本コマンド:
- Windows + R →
cmd
でコマンドプロンプトを開く - 以下のコマンドを入力:
ipconfig /all
表示される情報:
イーサネット アダプター イーサネット:
物理アドレス. . . . . . . . . . : 00-1B-44-11-3A-B7
ワイヤレス LAN アダプター Wi-Fi:
物理アドレス. . . . . . . . . . : 00-1B-44-11-3A-B8
「物理アドレス」がMACアドレスです。
方法3:getmacコマンドで簡潔に表示
MACアドレスだけをすぐに知りたい場合の方法です。
getmac
結果の例:
物理アドレス トランスポート名
=================== =================
00-1B-44-11-3A-B7 \Device\Tcpip_{XXXXX}
00-1B-44-11-3A-B8 メディアが切断されています
詳細表示:
getmac /v
これでアダプター名も含めて表示されます。
方法4:PowerShellで確認
PowerShellを使った高度な確認方法です。
Get-NetAdapter | Select-Object Name, MacAddress, Status
結果の例:
Name MacAddress Status
---- ---------- ------
Wi-Fi 00-1B-44-11-3A-B8 Up
Ethernet 00-1B-44-11-3A-B7 Disconnected
方法5:ネットワーク接続から確認(GUI)
視覚的に確認したい場合の方法です。
- Windows + R →
ncpa.cpl
- ネットワークアダプターを右クリック
- 「状態」→「詳細」
- 「物理アドレス」を確認
方法6:デバイスマネージャーから確認
ハードウェア情報と一緒に確認する方法です。
- Windows + X → 「デバイスマネージャー」
- 「ネットワークアダプター」を展開
- 対象のアダプターを右クリック→「プロパティ」
- 「詳細設定」タブ
- プロパティで「ネットワークアドレス」または「MACアドレス」を選択
複数のMACアドレスがある理由
なぜ複数表示される?
1台のPCに複数のMACアドレスが表示されて混乱することがあります。
理由:
- 有線LAN用:イーサネットアダプター
- 無線LAN用:Wi-Fiアダプター
- Bluetooth用:Bluetoothアダプター
- 仮想アダプター:VPN、仮想マシン用
どれを使えばいい?
判断基準:
- Wi-Fi接続なら → Wi-FiアダプターのMACアドレス
- 有線接続なら → イーサネットアダプターのMACアドレス
- 現在接続中のものを使う
確認方法:
ipconfig /all
で「メディアの状態:メディアは接続されています」となっているアダプターが使用中です。
MACアドレスを使ったネットワーク設定
MACアドレスフィルタリング
特定の機器だけをネットワークに接続許可する設定です。
ルーターでの設定手順:
- ルーターの管理画面にアクセス(通常は192.168.1.1など)
- 「セキュリティ」または「MACフィルタリング」
- 許可する機器のMACアドレスを登録
- フィルタリングを有効化
メリット:
- 不正アクセスを防げる
- 知らない機器の接続を防止
デメリット:
- 新しい機器の追加が面倒
- MACアドレスは偽装可能(完璧ではない)
DHCP予約(固定IP割り当て)
特定のMACアドレスに常に同じIPアドレスを割り当てる設定です。
設定例:
- プリンター:192.168.1.100
- NAS:192.168.1.101
- ゲーム機:192.168.1.102
これで機器のIPアドレスが変わらず、管理が楽になります。
Wake on LAN(WoL)
MACアドレスを使って、遠隔でPCを起動する機能です。
設定手順:
- BIOS/UEFIでWoLを有効化
- ネットワークアダプターの設定で有効化
- マジックパケットを送信するアプリを用意
- 対象PCのMACアドレスを入力して起動
MACアドレスの変更方法(スプーフィング)
なぜ変更するの?
正当な理由:
- プライバシー保護
- ネットワークテスト
- 古い機器との互換性対応
- MACアドレス制限の回避(正当な場合)
デバイスマネージャーで変更
手順:
- デバイスマネージャーを開く
- ネットワークアダプターのプロパティ
- 「詳細設定」タブ
- 「Network Address」または「ネットワークアドレス」
- 「値」に新しいMACアドレスを入力(ハイフンなし)
- OKをクリックして再起動
注意: 2文字目は0、2、4、6、8、A、C、Eのいずれかにする必要があります。
レジストリで変更(上級者向け)
- Windows + R →
regedit
- 以下のパスへ移動:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Class\{4d36e972-e325-11ce-bfc1-08002be10318}
- 各サブキーを確認して対象アダプターを見つける
- 「NetworkAddress」を新規作成または編集
- 値に新しいMACアドレスを入力
コマンドで一時的に変更(Windows 11)
Set-NetAdapter -Name "Wi-Fi" -MacAddress "00-11-22-33-44-55"
元に戻す:
Remove-NetAdapterAdvancedProperty -Name "Wi-Fi" -RegistryKeyword "NetworkAddress"
プライバシーとセキュリティ
MACアドレスのランダム化
Windows 10/11には、プライバシー保護のためMACアドレスをランダム化する機能があります。
設定方法:
- 設定→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi」
- 「ランダムなハードウェアアドレスを使う」をオン
- 選択肢:
- オフ:常に実際のMACアドレス
- オン:すべてのネットワークでランダム
- 毎日変更:24時間ごとに変更
メリット:
- 公衆Wi-Fiでの追跡を防げる
- プライバシー保護
デメリット:
- MACアドレスフィルタリング環境で使えない
- DHCP予約が機能しない
MACアドレスから分かること
取得できる情報:
- 製造メーカー(最初の3バイト)
- おおよその製造時期
- デバイスの種類(PCか、スマホか、など)
取得できない情報:
- 個人情報
- 位置情報(単体では)
- 使用者の特定
よくあるトラブルと解決方法
Q1:MACアドレスが00-00-00-00-00-00と表示される
原因と対策:
- ドライバーの不具合 → ドライバー再インストール
- ハードウェアの故障 → 別のネットワークアダプター使用
- 省電力モードの影響 → 電源管理設定を確認
Q2:MACアドレスフィルタリングで接続できない
確認事項:
- 正しいMACアドレスを登録したか(Wi-Fiなら無線のMAC)
- 大文字小文字、区切り文字は正しいか
- ランダムMACアドレスが有効になっていないか
- 登録数の上限に達していないか
Q3:変更したMACアドレスが反映されない
解決方法:
- ネットワークアダプターを無効→有効
- PCを完全に再起動(高速スタートアップを無効にして)
- 別の方法で変更を試す
- 管理者権限で実行
Q4:どのMACアドレスを使えばいいか分からない
判断方法:
netsh wlan show interfaces
現在接続中のWi-FiアダプターのMACアドレスが表示されます。
有線の場合:
netsh interface show interface
企業・組織での活用
ネットワークアクセス制御(NAC)
企業では、MACアドレスを使った厳格なアクセス制御を行います。
実装例:
- 登録済みデバイスのみ社内ネットワークへ接続許可
- 部署ごとにVLAN分離
- ゲストネットワークの分離
資産管理
活用方法:
- PC、プリンター、IP電話の管理
- ネットワーク機器の棚卸し
- 不正機器の検出
トラブルシューティング
診断に使う場面:
- IPアドレス競合の解決
- DHCPリースの確認
- ネットワークループの検出
まとめ:MACアドレスを理解して快適なネットワーク環境を!
WindowsでのMACアドレスについて、確認方法から活用方法まで解説しました。
重要ポイントのおさらい:
- MACアドレスは機器固有の「身分証明書」
ipconfig /all
で簡単に確認可能- Wi-Fiと有線LANで異なるMACアドレス
- セキュリティ設定に活用できるが過信は禁物
覚えておきたい確認コマンド:
ipconfig /all # 詳細情報を含めて表示
getmac # MACアドレスのみ表示
getmac /v # アダプター名付きで表示
用途別の推奨設定:
- 自宅:MACフィルタリングで基本的なセキュリティ確保
- 公衆Wi-Fi:MACアドレスのランダム化でプライバシー保護
- 企業:厳格なMACアドレス管理で不正アクセス防止
MACアドレスは普段意識することは少ないですが、ネットワーク設定やトラブルシューティングでは重要な情報です。
この記事を参考に、必要な時にサッと確認できるようになってくださいね。安全で快適なネットワーク環境の構築に役立ててください!
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