「Windowsを新しくセットアップしたら、マイクロソフトアカウントでのサインインを求められた…」最近のWindowsではこの流れが一般的になっていますが、実は以前のように「ローカルアカウント」でも利用可能です。
ただし、ローカルアカウントとマイクロソフトアカウントにはそれぞれ特徴があり、正しく理解して使わないと不便を感じることも。
この記事では、Windowsのローカルアカウントとは何か、そのメリット・デメリット、安全に使うためのポイントをわかりやすく解説します。
そもそもローカルアカウントって何?

ローカルアカウントの基本概念
ローカルアカウントとは、Windowsパソコン上だけで管理されるユーザーアカウントのことです。マイクロソフトアカウント(OutlookやOneDriveと連動するオンラインアカウント)とは違い、インターネットと連携しないので、パソコン単体でユーザー情報やパスワードが完結します。
アカウントの種類比較
ローカルアカウント
- 保存場所:パソコン内のみ
- 認証方法:オフライン認証
- 管理範囲:1台のPC限定
- クラウド連携:なし
- 歴史:Windows 95から継続
マイクロソフトアカウント
- 保存場所:マイクロソフトのサーバー
- 認証方法:オンライン認証
- 管理範囲:複数デバイス対応
- クラウド連携:あり(OneDrive、Office 365など)
- 歴史:Windows 8から本格導入
どんな仕組みで動いているの?
ローカルアカウントの認証フロー
- ユーザー名とパスワードを入力
- ローカルのSAMデータベースで照合
- 認証成功でWindowsにログイン
- インターネット接続不要
保存される情報
ローカルに保存されるデータ:
- ユーザー名
- パスワードハッシュ(暗号化済み)
- ユーザー設定
- アクセス権限情報
- 個人用フォルダのパス
昔と今の違い
Windows 7以前
- デフォルトでローカルアカウント
- ネット接続は任意
- シンプルな管理方法
- 個人使用が中心
Windows 8以降
- マイクロソフトアカウントが推奨
- クラウド連携が標準
- デバイス間同期が重視
- サービス統合の重視
現在のWindows 11
- マイクロソフトアカウントが強く推奨
- ローカルアカウントも利用可能
- 初期設定でのローカルアカウント作成が困難
- 企業向け機能との親和性
実際の使用例
個人利用
- オフライン専用のパソコン
- プライバシー重視の利用
- シンプルな環境を希望
- ネット接続が不安定な環境
企業・教育機関
- セキュリティポリシーでオフライン運用
- Active Directoryでの集中管理
- 機密情報を扱う環境
- インターネット制限がある職場
特殊用途
- 工場の制御用PC
- 医療機器の制御
- 研究用の専用マシン
- ゲーム専用PC
この章のまとめ
つまりローカルアカウントは「昔ながらのユーザー管理方法」です。シンプルで安全ですが、現代のクラウド機能とは相性が良くない面もあります。次は、このローカルアカウントを使うメリットとデメリットを整理していきます。
ローカルアカウントのメリット・デメリット
メリット
オフラインで完全に使える
ネット接続不要の安心感:
- インターネットに接続しなくてもWindowsにログイン可能
- 通信障害の影響を受けない
- セキュリティ上ネットを切り離したい環境で安全
- リモートアクセスの心配がない
実用例:
- 工場や研究所での制御用PC
- オフライン環境でのデータ処理
- 機密情報を扱う作業環境
- 通信費削減を重視する環境
プライバシーが守られやすい
個人情報の保護:
- マイクロソフトに情報が送信されない
- 利用履歴や設定がクラウドに保存されない
- ターゲティング広告の材料にならない
- 完全にパソコン内だけで情報管理
具体的な保護内容:
- 検索履歴
- アプリの使用状況
- 位置情報
- 音声認識データ
- 手書き入力パターン
設定がシンプル
複雑なクラウド設定が不要:
- 同期設定で悩まない
- Edgeのお気に入りや設定が勝手に変わらない
- OneDriveの自動アップロードがない
- 他のデバイスからの影響を受けない
管理の簡単さ:
- 1台のPCだけ考えればよい
- 設定変更がその場だけで完結
- トラブルの原因が特定しやすい
セキュリティリスクの限定
攻撃範囲の縮小:
- オンライン攻撃の対象にならない
- アカウント乗っ取りのリスク減少
- フィッシング詐欺の影響なし
- データ漏洩の範囲が限定的
デメリット
OneDriveなどクラウド機能が使いにくい
クラウドサービスの制限:
- OneDriveの自動同期ができない
- Office 365の一部機能が制限される
- 設定の同期が他のデバイスとできない
- クラウドバックアップが自動化されない
影響を受ける機能:
- ファイルの自動バックアップ
- 複数デバイス間でのデータ共有
- Office文書のクラウド保存
- ブラウザ設定の同期
パスワードを忘れると復旧が困難
パスワードリセットの難しさ:
- Webからのリセットができない
- 秘密の質問に頼る古い方法
- 最悪の場合は再インストールが必要
- 管理者不在だと復旧不可能
対策の重要性:
- パスワードの厳重管理
- パスワードリセットディスクの作成
- 複数の管理者アカウントの準備
- 定期的なバックアップ
Microsoft Storeアプリに制限
アプリ利用の制約:
- 一部アプリがマイクロソフトアカウント必須
- アプリ内課金ができない場合がある
- クラウドセーブ機能が使えない
- マルチプレイゲームで制限を受ける
制限されやすいアプリ:
- Xbox Game Pass
- Microsoft Office(一部機能)
- Skype
- Microsoft Teams
アップデートや同期の不便さ
管理の煩雑さ:
- 複数PCでの設定統一が手作業
- アプリの購入履歴が共有されない
- ライセンス管理が煩雑
- バックアップ戦略を個別に考える必要
比較表でみるメリット・デメリット
項目 | ローカルアカウント | マイクロソフトアカウント |
---|---|---|
オフライン利用 | ◎ 完全対応 | △ 初回認証は必要 |
プライバシー | ◎ 高い保護 | △ 情報が送信される |
設定の簡単さ | ◎ シンプル | ○ 自動化される |
クラウド連携 | × 使用不可 | ◎ 完全対応 |
パスワード復旧 | × 困難 | ◎ 簡単 |
複数デバイス | × 個別管理 | ◎ 自動同期 |
セキュリティ | ○ オフライン安全 | ○ オンライン保護 |
どんな人に向いている?
ローカルアカウントが向いている人
- プライバシーを重視する人
- オフライン環境で作業する人
- シンプルな環境を好む人
- 企業の情報セキュリティ担当者
- 複数デバイス同期が不要な人
マイクロソフトアカウントが向いている人
- 複数のデバイスを使い分ける人
- クラウドサービスを積極活用する人
- Officeやゲームをよく使う人
- 設定の自動化を重視する人
- 最新機能をすぐに使いたい人
この章のまとめ
このように、ローカルアカウントはシンプルで安全ですが、クラウドを積極的に活用したい人には向かない面もあります。自分の使用目的に合わせて選択することが大切です。次は、ローカルアカウントを作る具体的な方法を解説します。
ローカルアカウントをWindowsで作成する方法

Windows 11での基本的な作成方法
既存のWindowsに追加する場合
手順1:設定画面を開く
- スタートメニューから**「設定」**をクリック
- **「アカウント」**を選択
- **「家族とその他のユーザー」**をクリック
手順2:新しいユーザーを追加
- **「その他のユーザーをこのPCに追加」**をクリック
- **「このユーザーのサインイン情報がありません」**を選択
- **「Microsoftアカウントを持たないユーザーを追加する」**をクリック
手順3:ローカルアカウント情報を入力
- ユーザー名を入力(日本語不可、英数字のみ)
- パスワードを入力(8文字以上推奨)
- パスワードの確認で同じパスワードを再入力
- セキュリティの質問を3つ設定
- **「次へ」**で作成完了
管理者権限の設定
標準ユーザーから管理者に変更:
- 作成したアカウントをクリック
- **「アカウントの種類の変更」**を選択
- 「管理者」を選択して「OK」
Windows 10での作成方法
設定からの作成
基本手順:
- 「設定」→「アカウント」→「家族とその他のユーザー」
- 「その他のユーザーをこのPCに追加」
- 「このユーザーのサインイン情報がありません」
- 「Microsoftアカウントを持たないユーザーを追加する」
- ユーザー情報を入力して完成
コントロールパネルからの作成
従来の方法:
- コントロールパネルを開く
- **「ユーザーアカウント」**をクリック
- **「別のアカウントの管理」**を選択
- 「PCにその他のユーザーを追加」
- ローカルアカウントを選択して作成
新規セットアップ時にローカルアカウントを選ぶ方法
Windows 11での裏技
ネットワーク切断法:
- セットアップ開始前にLANケーブルを抜く
- Wi-Fi設定画面で**「インターネットに接続していません」**を選択
- **「制限された設定で続行」**をクリック
- ローカルアカウントの作成画面が表示される
コマンド入力法(上級者向け):
- Shift + F10でコマンドプロンプトを開く
OOBE\BYPASSNRO
と入力してEnter- 再起動後にローカルアカウント選択肢が表示
Windows 10での方法
シンプルな選択:
- 「サインイン」画面で「代わりにドメインに参加する」
- **「アカウントの作成」**でローカルアカウントを選択
- ユーザー名とパスワードを設定
コマンドラインでの作成(上級者向け)
net userコマンドの使用
基本的なコマンド:
net user ユーザー名 パスワード /add
管理者権限付与:
net localgroup administrators ユーザー名 /add
具体例:
net user testuser MyPassword123 /add
net localgroup administrators testuser /add
PowerShellでの作成
より詳細な設定が可能:
New-LocalUser -Name "ユーザー名" -Password (ConvertTo-SecureString "パスワード" -AsPlainText -Force) -Description "説明文"
作成時の注意点
ユーザー名の制限
使用できない文字:
- 日本語(ひらがな、カタカナ、漢字)
- スペース
- 特殊文字(< > : ” | ? * など)
推奨されるユーザー名:
- 英数字のみ
- 8文字以下(フォルダ名が短くなる)
- 覚えやすい名前
パスワードの設定
強力なパスワードの条件:
- 8文字以上
- 大文字・小文字・数字・記号を組み合わせ
- 辞書にない文字列
- 個人情報を含まない
セキュリティの質問:
- 確実に覚えられる答えを設定
- 他人に推測されにくい内容
- 3つすべてを確実に記録
作成後の初期設定
初回ログイン時の作業
必要な設定:
- パスワードリセットディスクの作成
- ユーザーフォルダの確認
- セキュリティ設定の調整
- 必要なソフトのインストール
フォルダアクセス権の確認
重要なフォルダ:
- デスクトップ
- ドキュメント
- ピクチャ
- ダウンロード
権限の確認方法:
- フォルダを右クリック
- 「プロパティ」→「セキュリティ」
- 適切な権限が設定されているか確認
この章のまとめ
ローカルアカウントの作成は複数の方法があります。初心者は設定画面から、上級者はコマンドラインという使い分けがおすすめです。作成後はセキュリティ設定を忘れずに行いましょう。
ローカルアカウントを安全に使うためのポイント
パスワード管理を徹底する
パスワードリセットディスクの作成
最重要の安全対策: ローカルアカウントはネット連携での復旧ができません。パスワードを忘れたら基本的には再インストールしか手がなくなるので、必ずパスワードリセットディスクを作成しましょう。
作成手順:
- USBメモリ(1GB以上)を用意
- コントロールパネル→「ユーザーアカウント」
- **「パスワードリセットディスクの作成」**をクリック
- ウィザードに従ってUSBに作成
- 安全な場所に保管
使用方法:
- ログイン画面でパスワードを間違える
- **「パスワードのリセット」**が表示される
- リセットディスクを挿入
- 新しいパスワードを設定
パスワード管理の原則
記録と保管:
- 物理的なメモを安全な場所に保存
- パスワード管理ソフトの活用
- 複数の場所に分散保存
- 定期的な見直し
避けるべきパスワード:
- 生年月日や名前
- 123456やpassword
- 同じパスワードの使い回し
- 短すぎるパスワード
複数ユーザー環境での権限管理
管理者と標準ユーザーの使い分け
管理者アカウント:
- システム設定変更
- ソフトのインストール
- 他ユーザーの管理
- 重要ファイルへのアクセス
標準ユーザーアカウント:
- 日常的な作業
- インターネット閲覧
- 文書作成
- 制限された権限での安全な利用
家庭での使い分け例
父親(管理者):
- システム管理
- ソフトのインストール
- 家族のアカウント管理
母親(標準ユーザー):
- 家計管理
- ネットショッピング
- 写真整理
子供(標準ユーザー):
- 学習用ソフト
- 制限されたネット接続
- ゲーム
企業での権限設計
部門別アクセス制御:
- 経理部:会計ソフトのみアクセス
- 人事部:人事システムのみアクセス
- 一般社員:基本ソフトのみ利用
- システム管理者:全システムへのアクセス
セキュリティ設定の強化
Windows標準のセキュリティ機能
有効にすべき機能:
- Windows Defender
- ファイアウォール
- 自動更新
- UAC(ユーザーアカウント制御)
設定確認方法:
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windowsセキュリティ」
- 各項目の状態を確認
- 問題があれば修正
追加のセキュリティ対策
物理的セキュリティ:
- 画面ロックの設定
- 自動ロック時間の調整
- USB制限の実装
- BIOS/UEFIパスワード
ネットワークセキュリティ:
- ファイアウォール設定
- 不要なサービスの停止
- 共有フォルダの制限
- ネットワーク接続の監視
データバックアップ戦略
ローカルアカウントでのバックアップ
クラウド同期がないため、バックアップ戦略が重要:
定期バックアップ:
- 外付けHDDへの自動バックアップ
- ネットワークストレージ(NAS)活用
- DVD/Blu-rayへの重要データ保存
- USBメモリでの差分バックアップ
バックアップ対象:
- ドキュメントフォルダ
- デスクトップのファイル
- お気に入り・ブックマーク
- メールデータ
- アプリの設定ファイル
Windowsバックアップ機能の活用
ファイル履歴:
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「バックアップ」
- 外付けドライブを接続
- **「ファイル履歴を使用してバックアップ」**を有効化
システムイメージ:
- コントロールパネル→「バックアップと復元」
- 「システムイメージの作成」
- 外付けHDDにフルバックアップ
マイクロソフトアカウントとの併用
必要な時だけサインイン
併用のメリット:
- ローカルアカウントで普段は利用
- Microsoft Store利用時のみMSアカウント
- Office 365使用時のみクラウド連携
- プライバシーと利便性の両立
具体的な使い分け:
- 日常作業:ローカルアカウント
- アプリ購入:一時的にMSアカウントでサインイン
- OneDrive:必要な時だけ同期
- Skype:通話時のみサインイン
アカウント切り替えの方法
一時的なサインイン:
- Microsoft StoreやOfficeを起動
- **「サインイン」**をクリック
- MSアカウントでログイン
- 使用後はサインアウト
設定での切り替え:
- 「設定」→「アカウント」
- 「代わりにMicrosoftアカウントでサインインする」
- 必要に応じて元に戻す
トラブル時の対処法
よくある問題と解決方法
パスワードを忘れた場合:
- パスワードリセットディスクを使用
- 別の管理者アカウントでリセット
- セーフモードでAdministratorアカウント有効化
- 最終手段:Windowsの再インストール
アカウントが破損した場合:
- 新しいローカルアカウントを作成
- データを移行
- 破損アカウントを削除
権限が正しく設定されない場合:
- 管理者アカウントでログイン
- ユーザー権限を再設定
- グループポリシーの確認(Pro版以上)
緊急時のアクセス方法
Administratorアカウントの有効化:
net user administrator /active:yes
セーフモードでの復旧:
- 電源投入時にF8連打
- セーフモードを選択
- 管理者権限で修復作業
この章のまとめ
ローカルアカウントを安全に使うためには、パスワード管理、権限設定、バックアップの3つが重要です。特にパスワードリセットディスクの作成は絶対に忘れないでください。
ローカルアカウントの実践的な活用例

個人利用での活用パターン
プライバシー重視の利用
個人情報保護を最優先する場合:
- 検索履歴がマイクロソフトに送信されない
- 位置情報の収集を回避
- ターゲティング広告の材料にならない
- 利用統計がクラウドに保存されない
設定のポイント:
- 診断データを最小限に設定
- 位置情報サービスを無効化
- 広告IDをリセット・無効化
- Cortanaを無効化
オフライン専用PCでの活用
ネット接続しないパソコンでの利用:
- 文書作成専用マシン
- ゲーム専用PC
- 音楽制作環境
- 写真編集専用機
メリット:
- ウイルス感染のリスクゼロ
- 集中できる環境
- レスポンスが良い
- 不要な通知がない
企業・組織での活用
セキュリティポリシーでの運用
機密情報を扱う企業での標準運用:
- 情報漏洩リスクの最小化
- 外部接続の完全遮断
- ログ管理の簡素化
- 監査対応の効率化
具体的な運用例:
- 設計部門:CADデータの外部流出防止
- 経理部門:財務データの保護
- 研究開発:技術情報の機密保持
- 医療機関:患者情報の適切な管理
教育機関での活用
学校や大学での導入事例:
- 学生用PCでの個人情報保護
- 実習用マシンでの安定運用
- 試験環境でのネット遮断
- 研究用PCでの独立環境
管理面のメリット:
- 設定の統一が容易
- トラブルの原因特定が簡単
- メンテナンスコストの削減
- セキュリティ管理の簡素化
特殊用途での活用
工場・製造業での制御PC
産業用途でのローカルアカウント活用:
- 製造ラインの制御システム
- 品質管理装置の操作
- 在庫管理システム
- 安全監視システム
選択される理由:
- ネットワーク攻撃の対象にならない
- システム停止のリスクが低い
- 設定変更が予期せず起きない
- メンテナンスが計画的に行える
医療機関での専用端末
病院や診療所での活用:
- 医療機器の制御端末
- 患者情報管理システム
- 検査装置の操作PC
- 薬剤管理システム
コンプライアンス面:
- 個人情報保護法への対応
- 医療情報の適切な管理
- 監査証跡の確保
- アクセス制御の徹底
ゲーミングPCでの活用
ゲーム専用機としての最適化:
- 不要なバックグラウンド処理の削除
- リソースをゲームに集中
- ネットワーク帯域の確保
- 安定したフレームレート
設定のコツ:
- 視覚効果を最小限に
- 自動更新を手動に変更
- 不要なサービスを停止
- ゲームモードを有効化
ローカルアカウントとActive Directoryの組み合わせ
企業ネットワークでの活用
ドメイン参加とローカルアカウントの使い分け:
- ドメインアカウント:業務用アプリケーション
- ローカルアカウント:個人作業やテスト環境
- 管理者アカウント:システム管理作業
- ゲストアカウント:一時的な利用
メリット:
- 柔軟な権限設定
- セキュリティの多層化
- 障害時の代替手段
- 監査証跡の分離
混在環境での管理
Active DirectoryとローカルアカウントのĤイブリッド運用:
- クリティカルなシステム:ローカルアカウント
- 日常業務:ドメインアカウント
- 開発・テスト:ローカルアカウント
- 共有リソースアクセス:ドメインアカウント
よくある質問と回答
セキュリティに関する質問
ローカルアカウントは本当に安全?
回答: ローカルアカウント自体はオフライン攻撃に対しては安全ですが、以下の点に注意が必要です:
安全な面:
- オンライン攻撃の対象にならない
- アカウント乗っ取りのリスクが低い
- 情報漏洩の範囲が限定的
注意が必要な面:
- 物理的アクセスによる攻撃
- パスワード管理の重要性
- ローカルでのマルウェア感染
- USB経由での攻撃
パスワードを破られる心配はない?
回答: 適切な設定をしていれば非常に困難です:
Windowsの保護機能:
- パスワードハッシュ化(SAMデータベース)
- ログイン試行回数制限
- アカウントロックアウト
- BitLocker暗号化(Pro版以上)
追加の保護策:
- 強力なパスワードの使用
- 定期的な変更
- 物理的アクセス制限
- 監視カメラなどの物理セキュリティ
機能制限に関する質問
Microsoft Officeは普通に使える?
回答: 基本機能は問題なく使用できますが、一部制限があります:
使用可能な機能:
- 文書作成・編集
- ローカル保存
- 印刷
- 基本的な共有
制限される機能:
- OneDriveとの自動同期
- リアルタイム共同編集
- クラウドテンプレート
- 一部のオンライン機能
回避方法:
- 必要な時だけMSアカウントでサインイン
- Officeアプリ内での一時的なログイン
- ファイル共有は手動で実行
Windows Updateは受けられる?
回答: 完全に受けられます:
利用可能な更新:
- セキュリティ更新
- 品質更新
- 機能更新
- ドライバ更新
設定方法:
- 「設定」→「更新とセキュリティ」
- **「自動更新」**を有効化
- 再起動のスケジュール設定
移行に関する質問
マイクロソフトアカウントからローカルアカウントに変更できる?
回答: 簡単に変更可能です:
変更手順:
- 「設定」→「アカウント」→「ユーザーの情報」
- **「代わりにローカルアカウントでサインインする」**をクリック
- 現在のパスワードを入力
- 新しいローカルアカウント情報を設定
- サインアウトして変更完了
注意点:
- OneDriveの同期が停止される
- Microsoft Storeでの購入履歴は保持
- Office 365のライセンスは別途管理が必要
データは消えない?
回答: 個人ファイルは保持されます:
保持されるもの:
- ドキュメントフォルダのファイル
- デスクトップのファイル
- ピクチャ・ビデオ
- ダウンロードフォルダ
- インストール済みソフト
変更されるもの:
- ユーザーアカウントの種類
- OneDrive同期の停止
- Microsoft Storeへのサインイン状態
- ブラウザの同期設定
トラブルシューティング

よくあるトラブルと対処法
「ローカルアカウントを作成できません」エラー
原因と対処法:
原因1:管理者権限がない
- 解決法:管理者アカウントでログインし直す
- 確認方法:「設定」→「アカウント」で権限を確認
原因2:ユーザー名に問題
- 解決法:英数字のみのユーザー名に変更
- 避けるべき文字:日本語、スペース、特殊文字
原因3:パスワードポリシー違反
- 解決法:複雑なパスワードに変更
- 要件:8文字以上、大小英字・数字・記号
パスワードリセットディスクが作成できない
対処法:
手順の確認:
- USBメモリがFAT32でフォーマット済みか確認
- 書き込み保護が解除されているか確認
- 別のUSBメモリで試行
- 管理者権限でコントロールパネルを開く
代替方法:
- 別の管理者アカウントを作成
- セキュリティの質問を確実に設定
- パスワードの物理的記録
Microsoft Storeにアクセスできない
段階的な解決方法:
レベル1:キャッシュクリア
- Windows + Rで「wsreset」を実行
- Microsoft Storeが自動的に開く
- 問題が解決しているか確認
レベル2:一時的なサインイン
- Microsoft Storeを開く
- 右上のアカウントアイコンをクリック
- **「サインイン」**で一時的にMSアカウントでログイン
レベル3:別の方法でアプリ入手
- 公式サイトからの直接ダウンロード
- パッケージ版の購入
- 企業版の利用
パフォーマンス最適化
ローカルアカウントでの高速化
システム最適化:
- 不要なスタートアップを無効化
- 視覚効果を最小限に設定
- 仮想メモリを最適化
- ディスククリーンアップの定期実行
具体的な設定:
- 「タスクマネージャー」→**「スタートアップ」**で不要項目を無効
- 「システムのプロパティ」→**「詳細設定」**でパフォーマンス優先
- **「ディスクの管理」**で不要ファイルの削除
メモリ使用量の最適化
メモリ節約のテクニック:
- 不要なサービスの停止
- バックグラウンドアプリの制限
- 仮想メモリの調整
- メモリ診断の定期実行
まとめ
Windowsのローカルアカウントは、パソコンをオフラインやシンプルな環境で使いたい人におすすめです。
ローカルアカウントの特徴まとめ
メリット:
- オフラインで安全に利用可能
- プライバシー管理が容易
- 設定がシンプルで分かりやすい
- クラウド同期の複雑さがない
- セキュリティリスクが限定的
デメリット:
- クラウド機能が制限される
- パスワード復旧が困難
- 複数デバイス同期ができない
- 一部アプリで機能制限
- 最新機能の恩恵を受けにくい
適切な選択のガイドライン
ローカルアカウントを選ぶべき人
- プライバシー重視の個人ユーザー
- オフライン環境での作業が中心
- シンプルな環境を好む
- 企業のセキュリティポリシーでオフライン運用
- 特定用途専用のPC利用
マイクロソフトアカウントを選ぶべき人
- 複数デバイスを使い分ける
- クラウドサービスを積極活用
- Microsoft Officeを頻繁に使用
- 最新機能をすぐに利用したい
- 設定の自動化を重視
安全に使うための重要ポイント
必須の対策:
- パスワードリセットディスクの作成
- 強力なパスワードの設定
- 定期的なバックアップ
- 適切な権限管理
- セキュリティ更新の適用
推奨する運用:
- 用途に応じたアカウント種別の選択
- 必要に応じたMSアカウントとの併用
- 定期的なセキュリティ設定の見直し
- 適切なバックアップ戦略の実施
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