「Linuxをつかってみたいけど、Ubuntuばかり紹介されている」 「開発やセキュリティのために、Red Hat系のLinuxも触ってみたい」
そんなあなたにおすすめなのが「Fedora(フェドラ)」です。
FedoraはRed Hatのコミュニティ版でありながら、最新技術をいち早く体験できるモダンなLinuxです。
この記事では、Windows環境でFedoraをつかうための3つの代表的な方法(デュアルブート・WSL・仮想マシン)を比較しながら、それぞれのメリット・デメリット・活用方法までわかりやすく説明します。
Fedoraってなに?Ubuntuとどうちがうの?

Fedoraの特徴
基本情報
- Red Hat系(RHEL)と互換性があるRPMベースのLinux
- 最新のソフトウェアとカーネル(OSの中心部分)がいち早く導入される
- セキュリティを重視(SELinuxが標準で入っている)
- Gnomeが標準のデスクトップ環境
- 無料・オープンソース
どんな人におすすめ?
- サーバーエンジニアを目指す人
- セキュリティに興味がある人
- 最新技術を試したい開発者
UbuntuとFedoraの比較
比較項目 | Fedora | Ubuntu |
---|---|---|
系統 | Red Hat系 | Debian系 |
パッケージ管理 | dnf / rpm | apt / deb |
安定性 | やや新しい技術重視 | 安定志向 |
デスクトップ環境 | Gnome | Gnome(カスタマイズ版) |
利用者層 | サーバー・開発者 | 一般ユーザー・初心者 |
アップデート頻度 | 約6ヶ月 | 約6ヶ月(LTSは2年) |
方法①:デュアルブート
説明
デュアルブートとは、1台のパソコンに複数のOSをインストールして、起動時にどのOSをつかうか選択できる方法です。
メリット・デメリット
メリット
- 高いパフォーマンス:パソコンの性能をフルに活用できる
- 本格的な環境:実際のサーバーに近い環境で学習できる
- すべての機能:Linuxのすべての機能をつかえる
デメリット
- リスクがある:インストールミスでWindowsが壊れる可能性
- 切り替えが面倒:OSを変更するには再起動が必要
- ディスク容量:大きなディスク容量が必要
導入手順
ステップ1:事前準備
- データのバックアップ(重要!)
- Fedora公式サイトからISOファイルをダウンロード
- 8GB以上のUSBメモリを用意
ステップ2:USBブートディスクの作成
- 「Rufus」というソフトをダウンロード
- USBメモリにFedoraのイメージを書き込み
ステップ3:パーティションの準備
- Windowsの「ディスクの管理」を開く
- Cドライブを縮小してFedora用の空き容量を作成(50GB以上推奨)
ステップ4:Fedoraのインストール
- USBから起動(BIOSでブート順序を変更)
- 「Fedoraをインストール」を選択
- 作成した空き領域にインストール
注意点
- 初心者にはリスクが高い方法
- 事前のバックアップは必須
- 不安な場合は他の方法を選択
方法②:WSL(手軽で安全)

説明
WSL(Windows Subsystem for Linux)は、Windows上でLinuxを動かせるMicrosoft公式の機能です。
Windows 10/11に標準で搭載されており、Ubuntuが有名ですがFedoraもつかえます。
メリット・デメリット
メリット
- 安全:Windowsを壊すリスクがゼロ
- 簡単:数分でインストール完了
- 同時使用:WindowsとLinuxを同時につかえる
- ファイル共有:WindowsとLinuxでファイルを簡単に共有
デメリット
- GUI制限:グラフィカルなアプリは限定的
- 性能制限:ハードウェア直接制御には向かない
- 機能制限:一部のLinux機能がつかえない
インストール手順
ステップ1:WSLの有効化
管理者権限でPowerShellを開いて以下を実行:
wsl --install
ステップ2:Fedoraのインストール
方法1:コマンドでインストール
wsl --install -d fedora
方法2:Microsoft Storeから
- Microsoft Storeを開く
- 「Fedora Remix for WSL」を検索
- インストールボタンをクリック
ステップ3:初期設定
- Fedoraを起動
- ユーザー名とパスワードを設定
- システムを更新:
sudo dnf update
つかい方の例
# パッケージのインストール
sudo dnf install git
# Pythonの確認
python3 --version
# ファイルの確認
ls /mnt/c/ # WindowsのCドライブにアクセス
方法③:仮想マシン(学習・実験向け)

説明
仮想マシンソフト(VirtualBoxやVMware)上にFedoraをインストールして、完全なOS環境を構築する方法です。
メリット・デメリット
メリット
- 完全に安全:OSを壊してもリスクなし
- スナップショット:いつでも状態を復元可能
- 実験に最適:設定を変更して試行錯誤できる
- 完全なGUI:デスクトップ環境もフルに使用可能
デメリット
- パフォーマンス低下:ホストOSと共有するため性能が落ちる
- メモリ消費:大量のRAMが必要(8GB以上推奨)
- 起動時間:仮想マシンの起動に時間がかかる
導入手順(VirtualBox版)
ステップ1:VirtualBoxのインストール
- VirtualBox公式サイトからダウンロード
- インストーラーを実行
ステップ2:仮想マシンの作成
- VirtualBoxを起動
- 「新規」をクリック
- 名前:「Fedora」、タイプ:「Linux」、バージョン:「Red Hat」を選択
- メモリ:4GB以上(8GB推奨)
- ハードディスク:「仮想ハードディスクを作成する」
ステップ3:Fedoraのインストール
- Fedora ISOファイルを仮想DVDドライブに挿入
- 仮想マシンを起動
- Fedoraのインストーラーに従ってインストール
ステップ4:Guest Additionsのインストール
sudo dnf install gcc kernel-devel kernel-headers dkms make bzip2 perl
Guest Additionsをインストールすると、画面サイズ調整やファイル共有ができるようになります。
どの方法を選べばいい?
用途別おすすめ
用途 | おすすめ方法 | 理由 |
---|---|---|
プログラミング学習 | WSL | 簡単・安全・Windowsと併用可能 |
サーバー管理の練習 | 仮想マシン | 完全な環境・実験に最適 |
本格的な開発 | デュアルブート | 最高性能・本番環境に近い |
ちょっと試したい | WSL | リスクゼロ・すぐ始められる |
システム要件別
メモリ4GB以下のパソコン
- WSL(おすすめ)
- デュアルブート
メモリ8GB以上のパソコン
- 仮想マシン(おすすめ)
- WSL
- デュアルブート
SSD容量が少ない
- WSL(ディスク容量をほとんどつかわない)
Fedoraをつかいはじめたら

基本的なコマンド
パッケージ管理
# パッケージのインストール
sudo dnf install パッケージ名
# システムの更新
sudo dnf update
# インストール済みパッケージの確認
dnf list installed
ファイル操作
# ディレクトリの移動
cd /home/user
# ファイル一覧
ls -la
# ファイルの内容表示
cat ファイル名
おすすめのアプリケーション
開発ツール
sudo dnf install git vim code
マルチメディア
sudo dnf install vlc gimp
Flatpakアプリ
# Flatpakを有効化
flatpak remote-add --if-not-exists flathub https://flathub.org/repo/flathub.flatpakrepo
# アプリのインストール
flatpak install flathub org.gimp.GIMP
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
WSLでFedoraが起動しない
# WSLのリセット
wsl --unregister fedora
wsl --install -d fedora
仮想マシンが遅い
- メモリを増やす(8GB以上推奨)
- 仮想化支援機能(VT-x/AMD-V)を有効にする
- SSDをつかう
デュアルブートでWindowsが起動しない
- Windows回復環境から修復
- ブートローダーの修復:
bootrec /fixmbr
まとめ
Fedoraは3つの方法でWindowsと併用できる
- WSL:手軽で安全、プログラミング学習に最適
- 仮想マシン:完全な環境、実験・学習向け
- デュアルブート:最高性能、本格的な開発向け
初心者におすすめの順番
- まずはWSLで試してみる
- 慣れてきたら仮想マシンで本格的に学習
- 必要に応じてデュアルブートを検討
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