「突然インターネットにつながらなくなった」
「LANケーブルを差しても認識されない」
「ネットワークドライブにアクセスできない」
こんなトラブルに遭遇したことはありませんか?
Windowsデスクトップやノートパソコンを使っていると、ネットワーク関連の問題は意外とよく起こります。
でも、基本的な確認方法と対処法を知っていれば、ほとんどの問題は自分で解決できるものです。
この記事では、Windowsでネットワーク設定を確認・管理する方法と、よくある接続トラブルの原因と対処法を初心者の方にもわかりやすく解説します。
Windowsのネットワーク基本知識

ネットワーク接続の種類
Windowsパソコンでは、主に以下の方法でネットワークに接続します:
- 有線接続(イーサネット)
LANケーブルを使ってルーターやスイッチに直接接続する方法です。
安定した高速通信が可能で、デスクトップパソコンでよく使われます。 - 無線接続(Wi-Fi)
電波を使ってワイヤレスルーターに接続する方法です。
ノートパソコンやタブレットで一般的に使われます。 - モバイルネットワーク
携帯電話回線を使った接続方法です。
一部のノートパソコンやタブレットで利用できます。
ネットワーク設定の重要な要素
- IPアドレス ネットワーク上でパソコンを識別するための住所のようなものです。通常は自動的に割り当てられます。
- サブネットマスク 同じネットワークの範囲を示す設定です。一般的には255.255.255.0が使われます。
- デフォルトゲートウェイ インターネットへの出口となるルーターのIPアドレスです。
- DNSサーバー ドメイン名をIPアドレスに変換するサーバーの設定です。
Windowsでネットワーク設定を確認する方法

基本的な接続状態の確認
タスクバーのネットワークアイコンで確認
画面右下のタスクバーにあるネットワークアイコンを確認しましょう:
有線接続の場合 モニターのようなアイコンが表示されます。正常に接続されていれば、アイコンに「×」や「!」マークは付きません。
無線接続の場合 扇形のWi-Fiアイコンが表示されます。電波の強さによって扇の本数が変わります。
接続に問題がある場合 アイコンに黄色い三角マークや赤い×マークが表示されます。
ネットワークアイコンをクリックして詳細確認
タスクバーのネットワークアイコンをクリックすると、利用可能なネットワークの一覧が表示されます。現在接続中のネットワークは「接続済み」と表示されます。
Windows設定アプリでの確認
設定画面を開く
- スタートボタンをクリック
- 歯車マークの「設定」をクリック
- 「ネットワークとインターネット」を選択
接続状態の詳細確認
ステータス画面 現在のネットワーク接続の概要が表示されます。インターネットへの接続状況や、使用しているネットワークアダプターの情報を確認できます。
プロパティの確認 接続中のネットワーク名をクリックすると、より詳細な情報が表示されます:
- IPアドレス
- サブネットマスク
- デフォルトゲートウェイ
- DNSサーバー
- MACアドレス
コントロールパネルでの確認(従来の方法)
ネットワークと共有センターを開く
- スタートボタンを右クリック
- 「ファイル名を指定して実行」を選択
- 「ncpa.cpl」と入力してEnterキーを押す
または
- コントロールパネルを開く
- 「ネットワークとインターネット」→「ネットワークと共有センター」
アダプター設定の確認
「アダプターの設定の変更」をクリックすると、すべてのネットワークアダプターが表示されます。各アダプターを右クリックして「状態」を選択すると、詳細な接続情報を確認できます。
コマンドプロンプトでの確認
IPアドレスの確認
ipconfig
基本的なIP設定が表示されます。
ipconfig /all
すべてのネットワークアダプターの詳細情報が表示されます。
ネットワーク接続のテスト
ping 8.8.8.8
Googleの公開DNSサーバーに接続テストを行います。
ping google.com
ドメイン名を使った接続テストで、DNS設定も同時に確認できます。
Wi-Fi接続の設定と管理

新しいWi-Fiネットワークに接続
接続手順
- タスクバーのWi-Fiアイコンをクリック
- 接続したいネットワーク名を選択
- 「接続」ボタンをクリック
- パスワード(セキュリティキー)を入力
- 「自動的に接続する」にチェックを入れると、次回以降は自動接続
セキュリティの種類
WPA3/WPA2 現在最も一般的で安全な暗号化方式です。
WEP 古い暗号化方式で、セキュリティが弱いため推奨されません。
オープン パスワードなしで接続できますが、セキュリティリスクがあります。
保存済みWi-Fiネットワークの管理
保存されたネットワークの確認
- 設定 → ネットワークとインターネット → Wi-Fi
- 「既知のネットワークの管理」をクリック
ここで、過去に接続したことのあるネットワークの一覧を確認できます。
ネットワーク設定の削除
不要になったネットワーク設定は削除できます:
- 削除したいネットワーク名をクリック
- 「削除」ボタンをクリック
接続優先順位の変更
複数のWi-Fiネットワークが利用可能な場合、優先順位を設定できます:
- 「既知のネットワークの管理」で対象のネットワークを選択
- 「プロパティ」をクリック
- 「自動的に接続する」や「範囲内のときに自動的に接続する」を設定
Wi-Fi接続の詳細設定
接続プロファイルの編集
netsh wlan show profile
保存されているWi-Fiプロファイルの一覧を表示します。
netsh wlan show profile "ネットワーク名" key=clear
特定のネットワークの詳細情報(パスワードを含む)を表示します。
有線接続(イーサネット)の設定

基本的な有線接続の確認
ケーブルとポートの確認
- LANケーブルがしっかりと差し込まれているか確認
- ケーブルの両端(パソコンとルーター側)をチェック
- ケーブルに損傷がないか目視確認
接続ランプの確認
ネットワークポートには通常、接続状態を示すLEDランプがあります:
- 緑色の点灯: 正常な接続
- オレンジ色の点滅: データ転送中
- 消灯: 接続なし
有線接続の詳細設定
接続速度とデュプレックス設定
- デバイスマネージャーを開く
- 「ネットワークアダプター」を展開
- 有線ネットワークアダプターを右クリック
- 「プロパティ」→「詳細設定」
ここで接続速度(10Mbps、100Mbps、1Gbpsなど)やデュプレックス設定(全二重、半二重)を確認・変更できます。
Wake-on-LAN設定
パソコンの電源が切れていても、ネットワーク経由で起動できる機能です:
- ネットワークアダプターのプロパティを開く
- 「電源の管理」タブ
- 「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」にチェック
ネットワークドライブとファイル共有

ネットワークドライブの割り当て
基本的な設定手順
- エクスプローラーを開く(Windowsキー + E)
- 「PC」を右クリック
- 「ネットワークドライブの割り当て」を選択
- ドライブ文字を選択(Z:など)
- フォルダーパスを入力(例:\192.168.1.100\share)
- 必要に応じて「別の資格情報を使用して接続する」にチェック
- ユーザー名とパスワードを入力
UNCパスの書き方
基本形式
\\サーバー名\共有フォルダ名
IPアドレスを使用
\\192.168.1.100\documents
コンピューター名を使用
\\SERVER01\public
自動再接続の設定
「ログオン時に再接続する」にチェックを入れると、パソコン起動時に自動的にネットワークドライブに接続されます。
ファイル共有の設定
共有フォルダーの作成
- 共有したいフォルダーを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「共有」タブをクリック
- 「詳細な共有」をクリック
- 「このフォルダーを共有する」にチェック
- 共有名を設定
- 「アクセス許可」で利用者の権限を設定
ネットワーク探索の有効化
他のパソコンから共有フォルダーを見つけられるように設定:
- 設定 → ネットワークとインターネット
- 「共有オプション」をクリック
- 「ネットワーク探索を有効にする」を選択
- 「ファイルとプリンターの共有を有効にする」を選択
よくあるネットワークトラブルと解決方法

インターネットに接続できない場合
基本的な確認手順
ステップ1:物理的な接続確認
- 有線の場合:LANケーブルの差し込み確認
- 無線の場合:Wi-FiがONになっているか確認
ステップ2:ネットワーク設定の確認
- IPアドレスが正しく取得されているか
- DNSサーバーの設定が正しいか
ステップ3:他のデバイスでの確認
- スマートフォンやタブレットは接続できるか
- 問題がパソコン固有なのか、ネットワーク全体なのかを判断
IPアドレスの更新
ipconfig /release
ipconfig /renew
これでDHCPサーバーから新しいIPアドレスを取得できます。
DNSキャッシュのクリア
ipconfig /flushdns
古いDNS情報をクリアして、名前解決の問題を解決できる場合があります。
ネットワークアダプターのリセット
netsh winsock reset
netsh int ip reset
実行後はパソコンの再起動が必要です。
Wi-Fi接続のトラブル
Wi-Fiが表示されない場合
機内モードの確認
- 設定 → ネットワークとインターネット
- 「機内モード」がオフになっているか確認
Wi-Fiアダプターの確認
- デバイスマネージャーを開く
- 「ネットワークアダプター」でWi-Fiアダプターに問題がないか確認
- 黄色い警告マークがある場合はドライバーの更新が必要
物理的なWi-Fiスイッチ確認 ノートパソコンにはWi-FiのON/OFFを切り替える物理スイッチやファンクションキーがある場合があります。
接続が頻繁に切れる場合
電源管理設定の変更
- デバイスマネージャーでWi-Fiアダプターを右クリック
- 「プロパティ」→「電源の管理」
- 「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」のチェックを外す
チャンネル干渉の確認 Wi-Fiアナライザーアプリを使って、近くのネットワークと使用チャンネルが重複していないか確認しましょう。
有線接続のトラブル
ケーブル認識されない場合
ケーブルの交換 別のLANケーブルで試してみましょう。ケーブルの断線や接触不良が原因の場合があります。
ポートの変更 ルーターやスイッチの別のポートに接続してみます。
ネットワークアダプターの確認 デバイスマネージャーで有線ネットワークアダプターが正常に認識されているか確認します。
接続速度が遅い場合
デュプレックス設定の確認 全二重(Full Duplex)に設定されているか確認しましょう。半二重の場合、速度が大幅に低下します。
ケーブルカテゴリの確認 Cat5e以上のケーブルを使用しているか確認します。古いCat5ケーブルでは100Mbpsまでしか対応していません。
ネットワークドライブの接続トラブル
認証エラーの場合
資格情報の確認 ユーザー名とパスワードが正しいか確認します。ドメイン環境の場合は「ドメイン名\ユーザー名」の形式で入力が必要な場合があります。
資格情報マネージャーの利用
- コントロールパネル → 資格情報マネージャー
- 「Windows資格情報の追加」でネットワーク資格情報を保存
共有フォルダーが見つからない場合
ネットワーク探索の有効化
- ネットワークと共有センター
- 「共有の詳細設定の変更」
- 「ネットワーク探索を有効にする」を選択
SMBプロトコルの確認 古いWindows間での共有では、SMB 1.0の有効化が必要な場合があります:
- 「Windowsの機能の有効化または無効化」
- 「SMB 1.0/CIFS ファイル共有サポート」にチェック
ネットワーク診断ツールの活用

Windows標準の診断ツール
ネットワークトラブルシューティング
- 設定 → ネットワークとインターネット → 状態
- 「ネットワークトラブルシューティング」をクリック
自動的に問題を検出して修復を試みます。
ネットワークリセット
重大なネットワーク問題がある場合:
- 設定 → ネットワークとインターネット → 状態
- 「ネットワークのリセット」をクリック
すべてのネットワークアダプターが削除され、再インストールされます。
コマンドラインツール
基本的な診断コマンド
接続テスト
ping google.com
ping 8.8.8.8
経路確認
tracert google.com
パケットがどの経路を通ってサーバーに到達するかを確認できます。
DNS確認
nslookup google.com
DNS設定が正しく動作しているかを確認します。
詳細なネットワーク情報
ネットワーク設定の詳細
netsh interface show interface
すべてのネットワークインターフェースの状態を表示します。
Wi-Fi情報の詳細
netsh wlan show profiles
netsh wlan show interface
サードパーティツール
Wi-Fiアナライザー
Wi-Fiの電波状況や近隣ネットワークの状況を確認できるツールです。Microsoft Storeから無料でダウンロードできます。
ネットワーク監視ツール
帯域幅の使用状況やネットワーク使用量を監視できるツールも役立ちます。
セキュリティとプライバシーの設定

ネットワークプロファイルの設定
プロファイルの種類
プライベート 家庭や職場など、信頼できるネットワーク用の設定です。ファイル共有やデバイス探索が有効になります。
パブリック カフェや空港など、公共のWi-Fi用の設定です。セキュリティが強化され、他のデバイスから見つけにくくなります。
プロファイルの変更
- 設定 → ネットワークとインターネット
- 接続中のネットワークをクリック
- 「プライベート」または「パブリック」を選択
ファイアウォール設定
Windows Defenderファイアウォール
- 設定 → 更新とセキュリティ → Windowsセキュリティ
- 「ファイアウォールとネットワーク保護」
- 各ネットワークプロファイルの設定を確認
アプリの通信許可
特定のアプリケーションの通信を許可する場合:
- ファイアウォール設定画面
- 「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」
- 必要なアプリにチェックを入れる
パフォーマンスの最適化
ネットワーク速度の測定
インターネット速度テスト
ブラウザーで「speed test」と検索すると、オンラインの速度測定サイトが利用できます。
ローカルネットワーク速度
iperf3 -c サーバーIPアドレス
iperf3ツールを使用してローカルネットワーク内の速度を測定できます。
ネットワーク設定の最適化
DNSサーバーの変更
より高速なDNSサーバーを使用することで、ウェブサイトの表示速度が改善される場合があります:
Googleの公開DNS
- プライマリ: 8.8.8.8
- セカンダリ: 8.8.4.4
Cloudflareの公開DNS
- プライマリ: 1.1.1.1
- セカンダリ: 1.0.0.1
MTUサイズの最適化
netsh interface ipv4 show subinterfaces
現在のMTUサイズを確認して、必要に応じて調整します。
まとめ
Windowsデスクトップでのネットワーク設定と管理について、基本的な確認方法から高度なトラブルシューティングまで解説しました。
重要なポイントをまとめると:
- 基本確認: タスクバーのアイコンと設定アプリで現在の状態を把握
- Wi-Fi管理: 接続設定とセキュリティプロファイルの適切な管理
- 有線接続: ケーブルとアダプター設定の確認が重要
- ファイル共有: ネットワークドライブとフォルダー共有の設定方法
- トラブル対応: 段階的な診断と適切なツールの活用
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