「古いソフトが動かないので互換モードを設定したけれど、もう必要なくなった」
「互換モードのせいでソフトの動作がおかしくなっている」
「新しいバージョンのソフトが正常に動かない」
「パフォーマンスが悪くなったので元に戻したい」
こんな理由で、Windows の互換モードを解除したいと思ったことはありませんか?
互換モードは古いソフトウェアを新しい Windows で動かすための便利な機能ですが、時には不要になったり、かえって問題を起こしたりすることもあります。
この記事では、Windows の互換モードを安全に解除する方法を詳しく説明します。
互換モードとは?

互換モードの基本的な仕組み
古いソフトと新しいWindows の橋渡し
互換モードとは、古いバージョンの Windows で作られたソフトウェアを、新しいバージョンの Windows でも動作させるための機能です。
どんな問題を解決するのか
- 古いゲームが起動しない
- 昔の業務ソフトが正常に動作しない
- 画面表示が崩れる
- エラーメッセージが表示される
互換モードの動作原理
Windows が古いバージョンのふりをして、ソフトウェアが期待する環境を再現します。
互換モードの種類
Windows バージョン互換
- Windows 95/98/ME
- Windows XP(Service Pack 2、Service Pack 3)
- Windows Vista(Service Pack 1、Service Pack 2)
- Windows 7
- Windows 8
表示設定の互換
- 画面解像度の制限(640×480、800×600など)
- 色数の制限(256色、16ビットカラーなど)
- DPI設定の調整
動作環境の互換
- 管理者権限での実行
- 視覚テーマの無効化
- デスクトップコンポジションの無効化
互換モードを解除する理由

パフォーマンスの問題
動作速度の低下
互換モードで動作するソフトウェアは、通常よりも多くのシステムリソースを使用する場合があります。
メモリ使用量の増加
古い環境を再現するため、余分なメモリが消費されることがあります。
CPU負荷の増大
互換性の処理により、CPU使用率が高くなる場合があります。
機能制限の問題
新機能が使えない
最新のWindows 機能や API が制限され、ソフトウェアの新機能が正常に動作しない場合があります。
セキュリティ機能の制限
最新のセキュリティ機能が無効化され、セキュリティリスクが増加する可能性があります。
周辺機器の対応問題
新しいハードウェアや周辺機器が正常に認識されない場合があります。
ソフトウェア更新の問題
アップデートの失敗
互換モードが原因で、ソフトウェアの自動更新が正常に動作しない場合があります。
新バージョンとの競合
ソフトウェアが新しいバージョンに更新された場合、互換モードが不要になったり、かえって問題を起こしたりすることがあります。
基本的な互換モード解除手順

ステップ1:対象プログラムの特定
実行ファイルの場所を確認
- デスクトップやスタートメニューのショートカットを使用している場合
- ショートカットを右クリックして「ファイルの場所を開く」を選択
- 実際の実行ファイル(.exe)が表示されます
プログラムフォルダから直接アクセス
- 通常は「C:\Program Files」または「C:\Program Files (x86)」内
- ソフトウェアの名前のフォルダを探す
- メインの実行ファイルを見つける
ステップ2:プロパティ画面の表示
右クリックメニューからアクセス
- 対象の実行ファイル(.exe)またはショートカットを右クリック
- コンテキストメニューから「プロパティ」を選択
- プロパティダイアログが表示されます
注意点
- ショートカットのプロパティと実行ファイル本体のプロパティは異なります
- より確実な設定変更のため、実行ファイル本体で操作することをおすすめします
ステップ3:互換性設定の確認
互換性タブを開く
- プロパティダイアログで「互換性」タブをクリック
- 現在の互換モード設定が表示されます
設定内容の確認 以下の項目がチェックされているかを確認:
- 「互換モードでこのプログラムを実行する」
- 設定されているWindows バージョン
- その他の互換性設定(解像度制限、色数制限など)
ステップ4:互換モードの解除
基本的な解除手順
- 「互換モードでこのプログラムを実行する」のチェックボックスを外します
- 他の互換性オプションもすべて確認し、不要なものは外します
- 「適用」ボタンをクリックします
- 「OK」ボタンをクリックして設定を保存します
解除される設定項目
- Windows バージョンの指定
- 画面解像度の制限
- 色数の制限
- 管理者権限での実行(必要に応じて)
- 視覚テーマの無効化
- デスクトップコンポジションの無効化
高度な互換モード解除方法

レジストリによる一括解除
レジストリエディターでの操作
- 「Windows キー + R」で「ファイル名を指定して実行」を開く
- 「regedit」と入力してレジストリエディターを起動
- 以下の場所に移動:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\AppCompatFlags\Layers
- 対象プログラムのエントリを見つけて削除
レジストリ値の例
C:\Program Files\Example\program.exe WINXPSP3
コマンドラインによる解除
PowerShell を使用した方法
- 管理者権限で PowerShell を起動
- 以下のコマンドで互換性設定を確認:
Get-ItemProperty "HKCU:\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\AppCompatFlags\Layers"
- 特定のプログラムの設定を削除:
Remove-ItemProperty "HKCU:\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\AppCompatFlags\Layers" -Name "C:\Program Files\Example\program.exe"
グループポリシーによる制御
企業環境での一括管理
- 「gpedit.msc」でグループポリシーエディターを開く
- 「コンピューターの構成 > 管理用テンプレート > Windows コンポーネント > アプリケーション互換性」に移動
- 互換性関連のポリシーを設定
互換モード解除後の確認事項

ソフトウェアの動作確認
基本機能のテスト
- ソフトウェアを正常に起動できるか
- メイン機能が正常に動作するか
- ファイルの読み書きに問題がないか
- 印刷やデータ出力が正常か
詳細機能のテスト
- すべてのメニュー項目の動作確認
- 設定変更の保存機能
- 外部ファイルとの連携機能
- アップデート機能の動作
パフォーマンスの改善確認
動作速度の測定
- 起動時間の比較
- 処理速度の体感確認
- レスポンス時間の改善
リソース使用量の確認
- タスクマネージャーでCPU使用率をチェック
- メモリ使用量の変化を確認
- ディスクアクセス頻度の確認
互換性問題の早期発見
段階的なテスト
- 基本機能のみで1週間程度使用
- 問題がなければより高度な機能を試す
- 重要な作業前には十分なテストを実施
よくある問題と解決方法

解除後にソフトが起動しない場合
段階的な対処法
- 再起動を試す
- Windows を再起動してから再度起動を試す
- キャッシュや一時ファイルの問題が解決される場合がある
- 部分的な互換設定の復元
- 互換モード全体ではなく、特定の設定のみを有効にする
- 「管理者として実行」のみを有効にしてテスト
- 段階的な設定変更
- 一度に全ての設定を変更せず、一つずつ解除してテスト
- 問題が発生する設定を特定
特定の機能だけが動作しない場合
個別対応の検討
- DLL の互換性問題
- 古いDLLファイルが新しいWindows で動作しない
- ソフトウェアの更新または代替DLLの検索
- ドライバーの問題
- 周辺機器のドライバーが古い場合
- 最新ドライバーのインストール
- セキュリティソフトの干渉
- ウイルス対策ソフトが互換モード解除後にブロック
- 除外設定の追加
設定が保存されない場合
権限の問題
- 管理者権限での実行
- プロパティ変更時に管理者権限が必要な場合
- 右クリック → 「管理者として実行」で再試行
- ファイルの読み取り専用属性
- 実行ファイルが読み取り専用になっている場合
- ファイルのプロパティで読み取り専用を解除
- アクセス許可の設定
- プログラムフォルダへの書き込み権限がない場合
- フォルダのセキュリティ設定を確認
代替ソリューションの検討
ソフトウェアの更新
最新バージョンの確認
- 開発元の公式サイトで最新バージョンを確認
- Windows 10/11 対応版があるかチェック
- アップグレード版やサポート状況を確認
代替ソフトウェアの検討
- 同等の機能を持つ現代的なソフトウェアの調査
- オープンソースソフトウェアの活用
- クラウドベースのサービスへの移行
仮想環境での運用
古いWindows 環境の構築
- VirtualBox や VMware での仮想マシン作成
- 古いWindows バージョンをインストール
- その環境で古いソフトウェアを動作させる
メリットとデメリット
- メリット:完全な互換性の確保
- デメリット:リソース消費、管理の複雑さ
まとめ
Windows の互換モード解除は、適切な手順を踏めば安全に実行できる作業です。
解除によりパフォーマンスの向上やセキュリティの強化が期待できますが、事前の確認と段階的な対応が重要です。
重要なポイント
- 事前にソフトウェアの動作確認を実施
- 段階的な設定変更でリスクを最小化
- 問題発生時は速やかに設定を復元
- 代替ソリューションも検討する
効果的な実施方法
- テスト環境での事前検証
- 重要な作業前の十分な動作確認
- 設定変更の記録と文書化
- 定期的な見直しと最適化
トラブル予防のコツ
- 一度に多くの設定を変更しない
- 変更前の設定を記録しておく
- 重要なデータは事前にバックアップ
- 不明な点は専門家に相談
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