パソコンを使っていて「ホスト名ってなんだろう?」と思ったことはありませんか?
ホスト名はネットワーク上でコンピューターを識別するための大切な名前です。社内ネットワークの管理や、リモート接続の設定、トラブルシューティングで必要になる場面も少なくありません。
この記事では、Windowsでホスト名を確認する簡単な方法をわかりやすく解説します。
ホスト名とは?

ホスト名の基本的な意味
ホスト名とは、ネットワーク上でコンピューターを区別するためにつけられた名前のことです。
人間でいう名前のようなもので、複数のパソコンが接続されるネットワーク内で「どのPCか」を判断するために使われます。
例えば、オフィスに「田中さんのPC」「山田さんのPC」「会議室のPC」があるときに、それぞれを区別するための名札のような役割を果たします。
ホスト名の構成要素
ホスト名は通常、以下のような要素で構成されています。
コンピューター名の部分
- DESKTOP-ABC123:個人PC
- SERVER-001:サーバー
- LAPTOP-XYZ789:ノートパソコン
ドメイン名の部分(企業環境の場合)
- DESKTOP-ABC123.company.local
- SERVER-001.example.com
IPアドレスとの違い
「ホスト名とIPアドレスの違いは何?」と疑問に思うかもしれません。
項目 | ホスト名 | IPアドレス |
---|---|---|
表示 | DESKTOP-ABC123 | 192.168.1.100 |
目的 | 人間が覚えやすい名前 | コンピューターが使う番号 |
変更 | 比較的簡単 | ネットワーク設定が必要 |
例 | www.google.com | 172.217.175.110 |
IPアドレスは数字の羅列(例:192.168.0.1)で、ネットワーク機器が通信するために使います。ホスト名は、そのIPアドレスにわかりやすい名前をつけたものです。
なぜホスト名が重要なのか
ネットワーク管理の簡素化
- 覚えやすい名前で機器を管理
- トラブル時の原因特定が早い
- 設定ファイルが読みやすくなる
リモート接続の利便性
- リモートデスクトップ接続時の識別
- ファイル共有設定の簡単化
- VPN接続時の接続先指定
セキュリティとアクセス制御
- 特定のホストからのアクセス制限
- ログファイルでの接続元特定
- 不正アクセスの早期発見
Windowsでホスト名を確認する方法

コマンドプロンプトで確認(推奨)
一番手軽で確実なのはコマンドプロンプトを使う方法です。
手順
- 画面左下の「スタートボタン」をクリック
- 「cmd」または「コマンドプロンプト」と入力して起動
- 以下のコマンドを入力してEnter
hostname
すると、自分のPCのホスト名がすぐに表示されます。
実行例
C:\Users\YourName> hostname
DESKTOP-ABC123
例えば、DESKTOP-ABC123
という名前が表示されたら、それがあなたのPCのホスト名です。
その他の便利なコマンド
詳細な情報を確認したい場合
ipconfig /all
FQDN(完全修飾ドメイン名)を確認したい場合
nslookup %COMPUTERNAME%
システム情報から確認
GUIで確認したい場合は以下の手順です。
Windows 10/11での手順
- 「スタート」ボタンを右クリック
- 「システム」を選択
- 「デバイス名」や「コンピューター名」と書かれた部分がホスト名
設定アプリからの確認方法
Windowsキー + I
で設定を開く- 「システム」をクリック
- 「バージョン情報」を選択
- 「デバイスの仕様」欄の「デバイス名」がホスト名
コントロールパネルからの確認
- コントロールパネルを開く
- 「システムとセキュリティ」→「システム」
- 「コンピューター名、ドメイン、ワークグループの設定」欄を確認
PowerShellでの確認
より詳しい情報が欲しい場合は、PowerShellを使うこともできます。
基本的なコマンド
$env:COMPUTERNAME
詳細情報の取得
Get-ComputerInfo | Select-Object CsName, CsDomain, CsWorkgroup
ネットワーク設定からの確認
TCP/IP設定での確認方法
Windowsキー + R
で「ファイル名を指定して実行」を開く- 「ncpa.cpl」と入力してEnter
- 使用中のネットワークアダプターを右クリック
- 「プロパティ」→「インターネットプロトコルバージョン4」→「詳細設定」
- 「DNS」タブでホスト名を確認
環境変数からの確認
手順
- コマンドプロンプトで以下を実行
echo %COMPUTERNAME%
- PowerShellの場合
$env:COMPUTERNAME
ホスト名を確認するときの注意点

ネットワーク設定への影響
ホスト名変更時の注意事項
ホスト名を変更した場合、ネットワーク上で「別のPC」と認識されることがあります。以下のような影響が考えられます。
- ファイル共有の設定:共有フォルダへのアクセス権が無効になる
- リモートデスクトップ:接続設定を更新する必要がある
- プリンター共有:ネットワークプリンターに接続できなくなる
- Active Directoryドメイン:ドメインからの脱退が必要になる場合がある
事前確認が重要
ホスト名を変更する前に、以下を確認しましょう。
- 現在使用中のネットワーク共有設定
- リモート接続の設定
- 業務アプリケーションでの使用状況
- IT部門のポリシー
社内ネットワークでの重複問題
ホスト名重複のリスク
同じホスト名を持つPCがネットワーク内に複数存在すると、以下のようなトラブルが発生します。
- 通信エラー:正しい相手に通信が届かない
- ファイル共有の混乱:別のPCのファイルにアクセスしてしまう
- リモート接続の失敗:意図しないPCに接続してしまう
- ログの混在:どのPCからのアクセスか特定できない
重複回避の方法
企業環境での命名規則例
- 部署 + 用途 + 番号:SALES-PC-001
- 場所 + 機種 + 連番:TOKYO-DESKTOP-01
- ユーザー名 + 機器種別:TANAKA-LAPTOP
セキュリティ上の考慮事項
ホスト名からの情報漏洩
ホスト名には以下のような情報が含まれることがあります。
- ユーザー名:TANAKA-PC
- 部署名:ACCOUNTING-01
- 場所情報:TOKYO-SERVER
- 機器の種類:DATABASE-SERVER
適切な命名の重要性
避けるべきホスト名の例
- 個人情報を含むもの
- システムの詳細が分かるもの
- 推測しやすいパスワード情報
DNSとの連携確認
名前解決の確認方法
ホスト名が正しくIPアドレスに変換されるかを確認します。
nslookup [ホスト名]
ping [ホスト名]
トラブルシューティング
名前解決できない場合の対処法
- DNSサーバーの設定確認
- hostsファイルの確認
- ネットワーク接続の確認
- Windowsのネットワーク診断実行
実践的な活用場面
リモートワークでの活用
自宅PCからの会社接続
リモートデスクトップで会社のPCに接続する際に、ホスト名が必要になります。
接続手順
- 「リモートデスクトップ接続」を起動
- 「コンピューター」欄にホスト名を入力
- 会社のネットワークにVPN接続
- ホスト名で直接接続
ファイル共有でのアクセス
UNCパスでのアクセス例
\\DESKTOP-ABC123\SharedFolder
\\SERVER-001\Documents
ネットワーク管理での活用
機器の一覧管理
ネットワーク管理者は、ホスト名を使って以下の管理を行います。
- インベントリ管理:どこにどんなPCがあるか
- ソフトウェア配布:特定のPCにソフトをインストール
- セキュリティポリシー:グループ別のセキュリティ設定
監視システムでの利用
- パフォーマンス監視:CPU使用率、メモリ使用量
- ログ収集:各PCからのイベントログ
- 脅威検知:不審な通信の発信元特定
トラブルシューティングでの活用
ネットワーク問題の特定
ping [ホスト名]
tracert [ホスト名]
pathping [ホスト名]
接続状況の確認
netstat -a | findstr [ホスト名]
arp -a
よくある質問と回答

Q: ホスト名を変更するにはどうすればいい?
A: 以下の手順で変更できます。
- 「システム」設定を開く
- 「このPCの名前を変更」をクリック
- 新しい名前を入力
- 再起動が必要
注意: 変更前にIT部門に確認することをおすすめします。
Q: ホスト名が表示されない場合は?
A: 以下を確認してください。
- ネットワーク接続の確認
- Windowsサービス「Computer Browser」の状態
- ファイアウォール設定
- DNS設定
Q: 長いホスト名を短く表示する方法は?
A: hostsファイルに短縮名を登録することで可能です。
192.168.1.100 longcomputername short
Q: 同じネットワーク内の他のPCのホスト名を調べるには?
A: 以下のコマンドで確認できます。
net view
arp -a
nbtstat -A [IPアドレス]
Q: ホスト名に使えない文字はある?
A: 以下の文字は使用できません。
- 特殊文字:! @ # $ % ^ & * ( ) + = [ ] { } | \ : ” ; ‘ < > ? , .
- スペース
- 15文字を超える文字数(NetBIOS制限)
Q: ドメイン参加時のホスト名はどうなる?
A: ドメイン参加時は、FQDN(完全修飾ドメイン名)で管理されます。
例:DESKTOP-ABC123.company.local
Q: 仮想マシンのホスト名確認方法は?
A: 物理マシンと同じ方法で確認できます。ただし、仮想マシン管理ソフトでの名前と異なる場合があります。
Q: Windowsサーバーでのホスト名確認は?
A: 基本的には同じですが、以下のコマンドも有効です。
echo %COMPUTERNAME%
wmic computersystem get name
まとめ
ホスト名はネットワーク上でパソコンを区別するための大切な名前です。Windowsでは、コマンドプロンプトのhostname
コマンドやシステム画面から簡単に確認できます。
重要なポイント
- 確認方法:
hostname
コマンドが最も簡単 - 注意事項:変更時はネットワーク設定への影響を考慮
- 管理:重複を避け、適切な命名規則を使用
- 活用:リモート接続やファイル共有で重要な役割
実務での活用場面
- リモートデスクトップ接続
- ファイル共有設定
- ネットワークトラブルシューティング
- システム管理とログ解析
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