初心者向けWindowsパソコンBIOS設定方法:起動手順から基本設定まで

Windows

パソコンの調子が悪いとき、「BIOS設定を確認してください」と言われたことはありませんか?BIOS(バイオス)は、パソコンの電源を入れた時にWindowsよりも先に動き出すプログラムで、パソコンの基本的な動作を管理する大切な仕組みです。

普段は気にしなくても大丈夫ですが、次のような場面でBIOS設定が必要になることがあります。

BIOS設定が必要になる場面

  • USBメモリやCDからパソコンを起動したいとき
  • セキュリティを強化したいとき
  • 一部のハードウェア機能を有効にしたり無効にしたりするとき
  • パソコンが正常に起動しないトラブルを解決するとき

この記事では、初心者の方でも安全にBIOS設定ができるよう、手順をわかりやすく説明します。

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BIOSの役割を理解しよう

BIOSは「パソコンの管理人」

BIOSを身近なもので例えると、「建物の管理人さん」のような存在です。

  • 朝一番に建物の電気や設備をチェックする → パソコンのハードウェアをチェック
  • 誰がどの部屋に入れるか管理する → セキュリティ設定を管理
  • 設備の使い方を決める → ハードウェアの動作を設定

UEFI(ユーフィー)との違い

最近のパソコンでは、BIOSの代わりに「UEFI」という新しい仕組みが使われています。

基本的な役割は同じですが、UEFIの方が高機能で使いやすくなっています。

UEFIの特徴

  • マウスで操作できる
  • 日本語で表示される場合が多い
  • より高速で安全

この記事では、BIOSとUEFIを区別せず「BIOS」として説明します。

WindowsパソコンでBIOS画面を開く方法

BIOS設定画面を開く方法は、主に2つあります。それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

方法1:パソコン起動時にキーを押す(従来の方法)

この方法は、昔からある一般的な方法です。

手順

  1. パソコンの電源を完全に切る
  2. 電源ボタンを押す
  3. 画面が表示されたら、すぐに決められたキーを連続で押す
  4. BIOS設定画面が表示される

メーカー別のキー一覧

メーカー名よく使われるキー備考
Dell(デル)F2起動直後に「F2 = Setup」の表示あり
HP(ヒューレット・パッカード)F10、Esc機種により異なる
Lenovo(レノボ)F1、F2ThinkPadシリーズなど
ASUS(エイスース)Delete、F2自作PC向けマザーボードでも同様
富士通F2国内メーカーの定番
NECF2LaVieシリーズなど
東芝(Dynabook)F2、F12機種により異なる
MSIDeleteゲーミングPCなど
Acer(エイサー)F2、Delete海外メーカー

うまくいかないときのコツ

  • キーを押すタイミングが重要:電源を入れたら、画面に何かが表示される前からキーを連打
  • 高速スタートアップが有効だと入りにくい場合がある
  • 何度か試してみる:1回でうまくいかなくても、繰り返せば成功することが多い

方法2:Windows 10/11の設定から開く(推奨)

この方法は、Windowsが正常に動いているときに使える確実な方法です。

Windows 10の場合

  1. 「スタート」ボタンをクリック
  2. 「設定」(歯車マーク)をクリック
  3. 「更新とセキュリティ」をクリック
  4. 左側のメニューから「回復」を選択
  5. 「今すぐ再起動」ボタンをクリック(高度なスタートアップの下)
  6. 青い画面が表示されたら「トラブルシューティング」をクリック
  7. 「詳細オプション」をクリック
  8. 「UEFIファームウェアの設定」をクリック
  9. 「再起動」をクリック
  10. BIOS設定画面が自動で開く

Windows 11の場合

  1. 「スタート」ボタンをクリック
  2. 「設定」をクリック
  3. 「Windows Update」を選択
  4. 「詳細オプション」をクリック
  5. 「回復」をクリック
  6. 「今すぐ再起動」ボタンをクリック(高度なスタートアップの横)
  7. 以降の手順はWindows 10と同じ

この方法のメリット

  • キーを押すタイミングを気にしなくて良い
  • 確実にBIOS画面にたどり着ける
  • 急いでキーを連打する必要がない

BIOS画面の基本的な使い方

BIOS画面は、普段使っているWindowsとは操作方法が違います。基本的な操作方法を覚えておきましょう。

画面の見方

古いタイプのBIOS

  • 青い背景に白い文字
  • マウスは使えない
  • 英語表示が多い

新しいタイプのUEFI

  • カラフルで見やすい画面
  • マウスが使える場合が多い
  • 日本語表示の場合もある

基本操作

キーボードでの操作

  • ↑↓←→キー:項目の移動
  • Enterキー:選択・決定
  • Escキー:前の画面に戻る
  • Tab キー:タブの切り替え

マウスでの操作(UEFI の場合)

  • 普通のソフトと同じようにクリックで操作
  • ただし、すべての機種で使えるわけではない

画面下部のヘルプを確認

BIOS画面の下部には、操作方法が表示されています。

例:「F1=Help」「F9=Setup Defaults」「F10=Save & Exit」

これらの表示を見ることで、どのキーで何ができるかがわかります。

BIOS設定でできる主な項目

BIOS設定では、パソコンの様々な機能を調整できます。初心者の方がよく使う設定項目をご紹介します。

起動順序(ブート順序)の設定

パソコンがどの記憶装置から起動するかの順序を決める設定です。

設定項目名の例

  • Boot Order(ブート順序)
  • Boot Priority(起動優先順位)
  • Boot Sequence(ブート順序)

よくある設定例

  1. ハードディスク/SSD(通常の起動)
  2. USB メモリ
  3. CD/DVD ドライブ
  4. ネットワーク

いつ変更するか

  • USBメモリからWindowsをインストールするとき
  • 起動ディスクから問題を修復するとき
  • 外付けドライブから一時的に起動したいとき

セキュリティ設定

パソコンを不正使用から守るための設定です。

主な項目

  • Administrator Password(管理者パスワード):BIOS設定を変更するためのパスワード
  • User Password(ユーザーパスワード):パソコン起動時のパスワード
  • Secure Boot(セキュアブート):信頼できるOSのみ起動を許可
  • TPM(トラステッド プラットフォーム モジュール):Windows 11で必要な暗号化機能

注意点 パスワードを設定した場合、忘れると大変なことになります。必ずメモを取って安全な場所に保管してください。

ハードウェアの有効・無効設定

パソコンに内蔵されている機能のオン・オフを切り替えます。

よくある設定項目

  • Wireless LAN(無線LAN)
  • Bluetooth(ブルートゥース)
  • USB Ports(USBポート)
  • Integrated Graphics(内蔵グラフィック)
  • Audio(音声機能)

いつ変更するか

  • 特定の機能を使わないとき(節電のため)
  • セキュリティを強化したいとき
  • トラブルの原因を特定するとき

省電力・パフォーマンス設定

パソコンの動作速度や電力消費を調整します。

主な項目

  • Power Management(電源管理)
  • CPU Configuration(CPU設定)
  • Fan Control(ファン制御)
  • Wake on LAN(ネットワーク経由での起動)

初心者への注意
これらの設定は、間違えるとパソコンの動作が不安定になる可能性があります。よくわからない項目は変更しないことをおすすめします。

BIOS設定を安全に行うための注意点

BIOS設定は、パソコンの根幹に関わる重要な設定です。

間違えると起動しなくなる可能性もあるので、十分注意して作業しましょう。

設定変更前の準備

現在の設定を記録する

  • 設定画面をスマートフォンで写真撮影
  • 重要な項目の値をメモに書き留める
  • デフォルト設定の場所を確認

必要な情報を準備

  • パソコンのマニュアル
  • メーカーのサポートサイトの情報
  • 変更したい設定の正確な手順

設定変更時の心構え

一度に一つの項目だけ変更 複数の設定を同時に変更すると、問題が起きたときに原因がわからなくなります。

よくわからない項目は触らない 「何となく」で設定を変更するのは危険です。必ず目的と効果を理解してから変更しましょう。

設定後は必ず動作確認 設定を保存した後は、パソコンが正常に起動するか、目的の動作ができるかを確認します。

トラブルが起きたときの対処法

BIOS設定が原因で起動しなくなった場合

  1. CMOS クリア(初期化)を実行
    • パソコンの電源を切り、コンセントを抜く
    • 内部のCMOSバッテリーを一時的に外す(デスクトップPCの場合)
    • ノートPCの場合は、メーカー指定の方法で初期化
  2. Load Setup Defaults(初期設定に戻す)を実行
    • BIOS画面に入れる場合は、「Load Setup Defaults」や「Reset to Default」を選択
    • F9キーで実行できる場合が多い
  3. メーカーサポートに連絡
    • 自分で解決できない場合は、メーカーのサポートセンターに相談

起動順序を変更したら起動しなくなった場合

  • 正しいハードディスク/SSDを1番目に設定し直す
  • 「Windows Boot Manager」を最優先に設定

実際の設定例:USBメモリから起動する方法

よくある作業例として、USBメモリからパソコンを起動する手順をご紹介します。

事前準備

  1. 起動可能なUSBメモリを準備
  2. 現在のブート順序を写真で記録
  3. USBメモリをパソコンに接続

設定手順

  1. BIOS設定画面を開く
  2. 「Boot」「Startup」「Boot Order」などのタブを見つける
  3. 現在の起動順序を確認し、写真を撮る
  4. USBメモリ(USB HDD、Removable Disk などの名前)を見つける
  5. USBメモリを1番目に移動する
  6. 設定を保存して再起動(通常はF10キー)

設定後の確認

  1. USBメモリから正常に起動することを確認
  2. 作業完了後は、ブート順序を元に戻す
  3. 通常のWindows起動ができることを確認

BIOS設定に関するよくある質問

Q: BIOS画面が英語で読めません

A: 最近のパソコンなら日本語表示に変更できる場合があります

  • 画面上部や右上に「Language」「言語」の設定があるか確認
  • 「English」から「日本語」「Japanese」に変更
  • 古いBIOSの場合は英語のままですが、よく使う単語を覚えれば大丈夫

覚えておくと便利な英単語

  • Boot(起動)
  • Security(セキュリティ)
  • Advanced(詳細設定)
  • Save & Exit(保存して終了)
  • Load Defaults(初期設定に戻す)

Q: 設定を間違えてしまいました

A: 「Load Setup Defaults」で初期設定に戻せます

  1. F9キー を押す(機種により異なる)
  2. 「Load Setup Defaults」を選択
  3. 「Yes」で確定
  4. F10キー で保存して終了

Q: パスワードを忘れてしまいました

A: メーカーサポートに相談が必要です

BIOSパスワードを忘れた場合、個人で解除するのは非常に困難です。メーカーのサポートセンターに連絡して、適切な手続きを取ってください。

Q: 設定項目が見つかりません

A: パソコンの機種により、項目の場所や名前が違います

  • 「Main」「Advanced」「Security」「Boot」などのタブを順番に確認
  • 似たような名前の項目を探す(例:「Boot Order」「Boot Sequence」「Boot Priority」)
  • メーカーのマニュアルやサポートサイトで確認

最新のパソコンでの注意点

Windows 11とTPM 2.0

Windows 11を使用する場合、TPM 2.0という機能が必要です。

確認方法

  1. BIOS設定で「Security」タブを確認
  2. 「TPM」「PTT」「fTPM」などの項目を探す
  3. 「Enabled」(有効)に設定されているか確認

セキュアブート

最新のパソコンでは、セキュアブートという機能が有効になっています。

注意点

  • 古いOSをインストールする場合は無効にする必要がある場合がある
  • Linux系OSを使う場合も設定変更が必要な場合がある
  • Windows 11では基本的に有効のままにしておく

高速スタートアップとの関係

Windows 10/11の高速スタートアップ機能が有効な場合、従来の方法ではBIOS画面に入りにくくなります。

対処法

  • Windows設定からのアクセス方法を使う
  • または、高速スタートアップを一時的に無効にする

まとめ:BIOS設定は正しい知識で安全に行おう

BIOS設定は、パソコンの基本的な動作を制御する重要な機能です。正しく理解して使えば、様々なトラブル解決や機能追加ができる便利なツールになります。

今回学んだ重要なポイント

  • BIOS画面への入り方は2つ:起動時のキー操作またはWindows設定から
  • 設定変更は慎重に:一度に一つの項目だけ、目的を理解してから変更
  • トラブル時の対処法:「Load Setup Defaults」で初期設定に戻せる
  • 記録を残す:設定変更前には必ず現状を写真やメモで記録

初心者の方へのアドバイス

  • 最初は見るだけから始めて、BIOS画面に慣れる
  • 必要になったときにだけ設定を変更する
  • わからないことがあれば、メーカーサポートに相談する
  • 友人や詳しい人にお願いするのも一つの方法

よくある設定変更の場面

  • USBメモリからのOS再インストール
  • SSDに交換した後の起動設定
  • セキュリティ強化のためのパスワード設定
  • 不要な機能を無効にして省電力化

BIOS設定は難しく感じるかもしれませんが、基本的な操作を覚えれば誰でも安全に行うことができます。

この記事を参考に、必要に応じてBIOS設定を活用してみてください。

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