朝、パソコンの電源を入れたのに、いつものようにWindowsが起動しない。そんな経験はありませんか?
パソコンが起動しないとき、こんな症状が出ることがあります:
- 画面が真っ黒のまま何も表示されない
- ブルースクリーン(青い画面)にエラーメッセージが出る
- Windowsのロゴが出たあと、また再起動を繰り返す
- 「PCに問題が発生しました」というメッセージが表示される
こうしたトラブルが起きたとき、Windowsには自動修復機能という便利な機能があります。これは、パソコンが自分で問題を見つけて、可能な限り修理してくれる機能です。
この記事では、Windowsの自動修復機能の使い方と、それでも直らない場合の対処法をくわしく説明します。
Windowsの自動修復機能とは?

自動修復の基本的な仕組み
自動修復とは、Windowsが正常に起動できないトラブルを自動的に検知して、問題の原因を調べて修理を試みる機能です。
パソコンに詳しくない方でも、難しい操作をしなくても、Windowsが自分で問題を解決してくれる便利な機能です。
どんなときに自動修復が動くのか
自動修復は、以下のような状況で自動的に起動します:
自動的に起動する場合:
- Windowsが2回連続で正常に起動に失敗したとき
- ブルースクリーンエラーが発生したとき
- 予期しないシャットダウンが繰り返されたとき
- システムファイルに問題が見つかったとき
自動修復が表示される画面:
- 「自動修復を準備しています」というメッセージ
- 「PCを診断中」という青い画面
- 「自動修復でPCを修復できませんでした」という結果画面
自動修復で直せる問題の種類
自動修復が対応できる主な問題は以下の通りです:
起動関連の問題:
- マスターブートレコード(MBR)の破損
- ブート構成データ(BCD)の問題
- 起動に必要なファイルの欠損
システムファイルの問題:
- 重要なシステムファイルの破損
- レジストリの軽微な問題
- ドライバーの競合問題
ハードディスクの問題:
- ファイルシステムのエラー
- 不良セクターの軽微な問題
- ディスクの論理的なエラー
自動修復を手動で起動する方法

自動修復が自動的に起動しない場合は、手動で起動することができます。
方法1:強制シャットダウンを3回繰り返す
一番かんたんな方法は、パソコンを強制的に電源を切ることを3回繰り返すことです。
手順:
- パソコンの電源を入れます
- Windowsのロゴが表示されたら、電源ボタンを5秒以上長押しして強制的に電源を切ります
- 再び電源を入れて、同じようにWindowsロゴが出たら強制シャットダウンします
- これを合計3回繰り返します
- 4回目に電源を入れると、自動的に「自動修復を準備しています」と表示されます
注意点:
- 強制シャットダウンはデータを失う可能性があるため、最後の手段として使用してください
- 作業中のデータは保存されない可能性があります
- ハードディスクに負荷がかかるため、頻繁に行わないようにしましょう
方法2:インストールメディアから起動
WindowsのUSBメモリやDVDがある場合は、より安全な方法で自動修復を起動できます。
準備するもの:
- WindowsのインストールUSBまたはDVD
- または回復ドライブ(事前に作成している場合)
手順:
- パソコンにインストールメディアを接続します
- パソコンの電源を入れ、起動時にF12キー(メーカーによってはF2、F8、DEL等)を押してブートメニューを表示します
- USBまたはDVDから起動を選択します
- Windowsセットアップ画面で**「コンピューターを修復する」**をクリックします
- **「トラブルシューティング」**を選択します
- **「詳細オプション」**をクリックします
- **「スタートアップ修復」**を選択します
方法3:設定画面から回復環境へ
Windowsがある程度動く場合は、設定画面から回復環境に入ることができます。
手順:
- スタートボタンをクリックして**「設定」**を開きます
- **「更新とセキュリティ」**をクリックします
- 左側の**「回復」**をクリックします
- 「PCの起動をカスタマイズする」の下の**「今すぐ再起動」**をクリックします
- 青い画面で**「トラブルシューティング」**を選択します
- 「詳細オプション」→**「スタートアップ修復」**を選択します
自動修復の診断と修復の内容

自動修復が実行されると、以下のような診断と修復が自動的に行われます。
起動ファイルの修復
対象となるファイル:
- bootmgr(ブートマネージャー)
- winload.exe(Windowsローダー)
- BCD(ブート構成データ)
修復内容:
- 破損したブートファイルの復元
- 起動順序の修正
- 起動設定の最適化
システムファイルチェッカー(SFC)の実行
自動修復では、システムファイルチェッカー(SFC)という機能も実行されます。
SFCの機能:
- 重要なシステムファイルの整合性をチェック
- 破損したファイルを正常なものに置き換え
- システム全体の安定性を向上
ディスクエラーの検査と修復
チェック内容:
- ファイルシステムの整合性確認
- 不良セクターの検出
- ファイル配置の最適化
修復内容:
- 軽微なディスクエラーの自動修正
- ファイルシステムの修復
- 読み取り専用エラーの解除
レジストリの修復
レジストリとは: Windowsの設定情報を保存している重要なデータベースです。
修復内容:
- 破損したレジストリキーの復元
- 不正な設定値の修正
- システム設定の初期化
自動修復で直らない場合の対処法

自動修復を実行しても問題が解決しない場合は、以下の方法を順番に試してみましょう。
セーフモードでの起動
セーフモードは、Windowsを最小限の機能だけで起動するモードです。
セーフモードの起動方法:
- 自動修復の画面で**「詳細オプション」**をクリック
- 「トラブルシューティング」→**「詳細オプション」**を選択
- **「スタートアップ設定」**をクリック
- **「再起動」**ボタンを押す
- 数字の**「4」**を押してセーフモードを選択
セーフモードでできること:
- 最近インストールしたソフトのアンインストール
- 問題のあるドライバーの削除
- ウイルススキャンの実行
- システムの復元ポイントから復元
システムの復元
過去の正常な状態に戻す機能です。
手順:
- 自動修復の画面で**「詳細オプション」**をクリック
- **「システムの復元」**を選択
- 復元ポイントの一覧から、問題が起きる前の日付を選択
- **「次へ」**をクリックして復元を実行
注意点:
- 復元後、復元ポイント作成後にインストールしたソフトは削除される可能性があります
- 個人ファイル(写真、文書など)は影響を受けません
コマンドプロンプトでの手動修復
より高度な修復を行う場合は、コマンドプロンプトを使用します。
起動方法:
- 自動修復の画面で**「詳細オプション」**をクリック
- **「コマンドプロンプト」**を選択
よく使用されるコマンド:
bootrec /fixmbr
マスターブートレコードを修復します。
bootrec /fixboot
ブートセクターを修復します。
bootrec /rebuildbcd
ブート構成データを再構築します。
sfc /scannow
システムファイルをチェックして修復します。
chkdsk C: /f /r
ディスクエラーをチェックして修復します。
注意:
- コマンドの入力は慎重に行ってください
- 間違ったコマンドでシステムがさらに壊れる可能性があります
- 不安な場合は専門家に相談することをおすすめします
PCを初期状態に戻す
上記の方法で解決しない場合の最終手段です。
手順:
- 自動修復の画面で**「詳細オプション」**をクリック
- **「PCを初期状態に戻す」**を選択
- 以下から選択します:
- 「個人用ファイルを保持する」:写真や文書は残してリセット
- 「すべて削除する」:完全にクリーンインストール
リセット前の準備:
- 大切なデータのバックアップ
- インストールが必要なソフトのライセンス確認
- 設定の記録(Wi-Fiパスワードなど)
自動修復が起動しない場合の対処法

自動修復自体が起動しない場合もあります。
ハードウェアの問題
チェックポイント:
- メモリ(RAM)の接触不良
- ハードディスク/SSDの故障
- 電源ユニットの問題
- マザーボードの故障
簡単なチェック方法:
- パソコンから余計な機器(USB機器など)を外す
- メモリを挿し直す(可能であれば)
- 別の電源ケーブルを試す
BIOS/UEFI設定の問題
確認項目:
- 起動順序の設定
- セキュアブートの設定
- ハードディスクの認識状況
BIOS/UEFIの入り方:
- パソコン起動時にF2、F12、DEL等のキーを連打
- メーカーによってキーが異なります
データのバックアップと復旧

修復作業を行う前に、可能であればデータのバックアップを取ることが重要です。
起動可能なLinuxUSBでのデータ救出
Windowsが起動しない場合でも、LinuxのライブUSBを使ってデータを救出できる場合があります。
準備するもの:
- 別のパソコン
- 8GB以上のUSBメモリ
- Ubuntu等のLinuxディストリビューション
手順:
- 別のパソコンでLinuxのライブUSBを作成
- 故障したパソコンでLinuxUSBから起動
- 外付けハードディスクにデータをコピー
クラウドストレージの活用
普段からクラウドストレージを使っていれば、データの心配が少なくなります。
おすすめのクラウドサービス:
- OneDrive(Microsoft)
- Google Drive(Google)
- iCloud Drive(Apple)
- Dropbox
予防策とメンテナンス
自動修復が必要になる前に、予防策を講じることが大切です。
定期的なバックアップ
Windowsの標準機能:
- ファイル履歴:個人ファイルの自動バックアップ
- システムイメージ:システム全体のバックアップ
- 復元ポイント:システム設定の自動保存
設定方法:
- 「設定」→「更新とセキュリティ」→「バックアップ」
- 外付けドライブを接続してバックアップを設定
定期的なメンテナンス
月1回の推奨メンテナンス:
- ディスククリーンアップの実行
- システムファイルチェッカー(sfc /scannow)の実行
- ディスクデフラグの実行(HDDの場合)
- ウイルススキャンの実行
年1回の推奨メンテナンス:
- システム全体のバックアップ
- 回復ドライブの作成・更新
- 不要なソフトのアンインストール
- レジストリのクリーンアップ
ソフトウェアの管理
注意すべき点:
- 信頼できないソフトのインストールを避ける
- 定期的にソフトウェアを最新版に更新
- 不要になったソフトはすぐにアンインストール
- ドライバーの更新は慎重に行う
よくある質問とトラブルシューティング

Q: 自動修復が何時間も終わらない
A: 以下を試してください:
- 最低でも3〜4時間は待ってみる
- それでも終わらない場合は強制シャットダウン
- インストールメディアから別の修復方法を試す
Q: 自動修復を途中でキャンセルしたい
A: 基本的にはキャンセルしない方が良いですが:
- どうしても必要な場合は電源ボタン長押しで強制終了
- その後、再度自動修復を実行することをおすすめします
Q: 自動修復後にデータが消えた
A: 以下を確認してください:
- ユーザーフォルダ(ドキュメント、ピクチャなど)を確認
- Windows.oldフォルダがあるかチェック
- データ復旧ソフトの使用を検討
Q: 自動修復がループして終わらない
A: 自動修復ループの対処法:
- 方法1で自動修復画面に入る
- 「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「自動修復を無効にする」
- セーフモードで起動して問題の原因を調査
まとめ
Windowsの自動修復機能について、重要なポイントをまとめます:
自動修復の起動方法
- 自動起動:起動失敗が2回続くと自動的に開始
- 手動起動:強制シャットダウン3回、またはインストールメディア使用
- 設定から:回復環境経由での起動
修復できる問題
- 起動ファイルの破損
- システムファイルの問題
- 軽微なディスクエラー
- レジストリの問題
修復が失敗した場合
- セーフモードでの診断
- システムの復元
- コマンドプロンプトでの手動修復
- PCの初期化(最終手段)
予防策
- 定期的なバックアップ
- システムメンテナンス
- 信頼できるソフトの使用
- 回復ドライブの作成
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