ある日突然、パソコンの起動時に「自動修復を準備しています」というメッセージが表示され、画面が止まってしまった…。
そんな経験はありませんか?
これはWindowsが異常を検知して、自動的にシステムを修復しようとする機能です。
この記事では、自動修復の仕組み・よくある原因・自分でできる対処法について、初心者でもわかりやすく解説します。
こんな悩みを解決します
- 「自動修復」画面で止まって困っている
- 何度も自動修復が繰り返される
- パソコンが起動しなくなった
- データが消えてしまうか心配
- どこから手をつけていいかわからない
まず知っておいてほしいこと
自動修復が表示されても、多くの場合は解決可能です:
- パニックにならないことが大切
- 段階的に対処すれば解決できる
- データが完全に消える可能性は低い
- 焦らず一つずつ試していけば大丈夫
それでは、まず自動修復とは何なのかから説明していきます。
自動修復とは?

自動修復の基本的な仕組み
Windowsの「自動修復」は、システム起動時に異常が検知された際、自動的に修復作業を試みる機能です。
搭載されているバージョン
- Windows 8以降:標準搭載
- Windows 10:機能が強化
- Windows 11:さらに高度化
どんな時に起動するのか
自動修復が起動するタイミング:
- システムファイルの異常を検知した時
- 前回の起動が正常に完了しなかった時
- 重要なドライバが見つからない時
- ハードウェアの問題を検知した時
よく表示されるメッセージ
初期段階のメッセージ
- 「自動修復を準備しています」
- 「PCを診断中」
- 「自動修復を実行しています」
問題が見つかった場合
- 「PCは正常に起動できませんでした」
- 「自動修復でPCを修復できませんでした」
- 「このPCは修復できませんでした」
修復成功時
- 「修復が完了しました」
- 「問題が解決されました」
自動修復で何が行われるのか
自動的にチェックされる項目
システムファイルの検査:
- 重要なシステムファイルの整合性確認
- 起動に必要なファイルの存在確認
- 破損したファイルの自動修復
ハードウェアの診断:
- ハードディスクの読み書きテスト
- メモリの簡易チェック
- 重要なハードウェアの動作確認
設定の確認:
- 起動設定の検証
- ドライバの整合性確認
- レジストリの基本的なチェック
自動修復はWindowsがユーザーを守るための機能ですが、なぜこの機能が起動してしまうのでしょうか?
自動修復が起動する原因

主な原因と発生パターン
原因1:システムファイルの破損
どんな時に起こるのか:
- 強制終了:電源ボタン長押しでの終了
- 停電:作業中の突然の電源断
- ブルースクリーン:システムクラッシュ後の再起動
- ウイルス感染:マルウェアによるファイル破壊
破損しやすいファイル:
- Boot Configuration Data(BCD):起動設定
- System Registry:システム設定情報
- Critical System Files:起動に必要なシステムファイル
原因2:ハードディスクの障害
HDD(ハードディスク)の場合:
- 不良セクター:物理的な破損箇所
- ヘッドクラッシュ:読み取り装置の故障
- 経年劣化:長期使用による性能低下
SSD(ソリッドステートドライブ)の場合:
- 書き込み回数上限:寿命による性能低下
- コントローラ障害:制御チップの不具合
- ファームウェア問題:制御ソフトウェアの不具合
症状の例:
- 起動が異常に遅い
- ファイルコピーでエラーが発生
- 異音がする(HDDの場合)
原因3:Windows Updateの失敗
失敗パターン:
- アップデート中の強制終了
- ディスク容量不足でのアップデート
- 互換性のないドライバの自動更新
- システムファイルの更新失敗
特に問題になりやすい更新:
- 大型アップデート(機能更新プログラム)
- セキュリティ更新(緊急度の高い修正)
- ドライバ更新(グラフィック、ネットワークなど)
原因4:ドライバやソフトウェアの不具合
問題になりやすいソフトウェア:
- 古いドライバ:特にグラフィック、ネットワーク
- セキュリティソフト:システムレベルでの動作による影響
- システム最適化ソフト:不適切な設定変更
- ゲームソフト:システムリソースの大量使用
原因5:ハードウェアの問題
メモリ(RAM)の問題:
- 不良メモリ:一部のメモリセルの故障
- 接触不良:メモリスロットの汚れや酸化
- 互換性問題:マザーボードとの相性
電源の問題:
- 電力不足:高負荷時の電力供給不足
- 電圧不安定:古い電源ユニットでの電圧変動
- ケーブル接触不良:電源ケーブルの緩み
温度の問題:
- オーバーヒート:冷却不足による高温
- 熱暴走:CPUやグラフィックカードの過熱
これらの原因を理解した上で、どのように対処すればよいかを段階的に見ていきましょう。
自動修復の対処法(段階的アプローチ)

基本方針:簡単なものから試す
対処の基本原則:
- 安全で簡単な方法から試す
- データのバックアップを最優先に考える
- 一度に複数の方法を試さない
- 各手順の結果を確認してから次へ
第1段階:基本的な対処法
方法1:自動修復の再試行
手順:
- 「自動修復でPCを修復できませんでした」画面で待機
- 「再起動」ボタンが表示されていることを確認
- 「再起動」をクリック
- パソコンが正常に起動するか確認
成功する可能性:
- 一時的なエラー:約30-40%
- 軽微なシステムエラー:約20-30%
- ソフトウェア起因:約15-25%
注意点:
- 3回以上繰り返す場合は次の方法へ
- 同じ画面が続く場合は電源を切らず、次の手順へ
方法2:セーフモードでの起動
セーフモードとは:
- 最小限のドライバとサービスのみで起動
- 問題のあるソフトウェアを回避
- 安全にトラブルシューティングが可能
セーフモード起動手順:
- 「詳細オプション」をクリック
- 「トラブルシューティング」を選択
- 「詳細オプション」を再度選択
- 「スタートアップ設定」をクリック
- 「再起動」ボタンをクリック
- キーボードの「4」を押してセーフモードを選択
セーフモードで確認すること:
- 最近インストールしたソフトのアンインストール
- Windows Updateの確認と修正
- ドライバの更新状況確認
- ディスククリーンアップの実行
第2段階:Windowsの修復機能を使用
方法3:スタートアップ修復
スタートアップ修復とは:
- 起動に関わる問題を自動診断・修復
- ブートファイルやシステムファイルを自動修復
- 比較的安全で効果の高い方法
手順:
- 「詳細オプション」→「トラブルシューティング」
- 「詳細オプション」を選択
- 「スタートアップ修復」をクリック
- 管理者アカウントを選択(パスワード入力が必要な場合あり)
- 修復プロセスの完了を待つ(15-30分程度)
修復される内容:
- Boot Configuration Data(BCD)の修復
- マスターブートレコード(MBR)の修復
- 重要なシステムファイルの復元
- レジストリエラーの修正
方法4:システムの復元
システムの復元とは:
- 以前の正常な状態に戻す機能
- システムファイルと設定のみが対象(個人ファイルは保持)
- 復元ポイントが作成されている必要あり
手順:
- 「詳細オプション」→「システムの復元」
- 復元ポイントの一覧から適切な日付を選択
- 「問題が発生する前の日付」を選ぶのがポイント
- 復元の実行(30分-1時間程度)
- 復元完了後の動作確認
復元ポイント選択のコツ:
- 最新の復元ポイントから試す
- 重要なソフトをインストールした日より前を選ぶ
- Windows Update実行日より前も効果的
方法5:システムファイルチェッカー(SFC)
SFCとは:
- System File Checkerの略
- システムファイルの整合性をチェック・修復
- コマンドラインから実行
手順:
- 「詳細オプション」→「コマンドプロンプト」
- 以下のコマンドを順次実行:
# システムファイルのスキャンと修復
sfc /scannow
# 完了まで待機(30-60分程度)
実行中の表示例:
システム スキャンを開始しています。この処理にはしばらく時間がかかります。
システム スキャンの開始フェーズです...
第3段階:高度な修復方法
方法6:ディスクチェック(CHKDSK)
CHKDSKとは:
- ハードディスクのエラーをチェック・修復
- 不良セクターの検出と回避
- ファイルシステムの修復
手順:
# Cドライブの完全チェックと修復
chkdsk C: /f /r
# /f : ファイルシステムエラーを修復
# /r : 不良セクターを検出し、読み取り可能な情報を回復
実行時間:
- 500GB HDD:2-4時間
- 1TB HDD:4-8時間
- SSD:30分-2時間
方法7:ブート修復コマンド
ブート関連の修復:
# マスターブートレコードの修復
bootrec /fixmbr
# ブートセクターの修復
bootrec /fixboot
# Windowsインストールのスキャン
bootrec /scanos
# ブート構成データの再構築
bootrec /rebuildbcd
実行順序:
- fixmbrから順番に実行
- 各コマンド完了後に再起動して確認
- 問題が解決しない場合のみ次のコマンドを実行
第4段階:最終手段
方法8:PCの初期化
実行前の重要な確認:
- 個人ファイルのバックアップは取れているか
- インストールしたソフトウェアの再インストール準備はできているか
- ライセンスキー等の重要情報は保存されているか
初期化の種類:
オプション1:個人ファイルを保持
- 個人フォルダの内容(ドキュメント、写真など)は保持
- インストールしたアプリは削除される
- Windows設定は初期状態に戻る
オプション2:すべてを削除
- 完全にクリーンな状態に戻る
- 個人ファイルもすべて削除
- 最も確実だが影響も最大
手順:
- 「詳細オプション」→「このPCを初期状態に戻す」
- 「個人ファイルを保持する」または「すべて削除する」を選択
- 注意事項を確認して実行
まとめ

「自動修復」は、Windowsがユーザーを守るための便利なセーフティネットです。
自動修復の理解
- システム保護機能の一つ
- 異常検知時の自動起動
- 多くの場合は解決可能
対処法の原則
- 段階的なアプローチで解決
- 簡単で安全な方法から試す
- データ保護を最優先に考える
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