Windows 11の大型アップデート「24H2」が、2024年10月1日に正式リリースされました。ビルド番号は10.0.26100です。
今回のアップデートは、ちょっとした機能追加じゃないんです。なんとOSを丸ごと入れ替える大規模なアップデートなんですよ。しかも、MicrosoftがこれまでにリリースしたWindows 11の中で、最もAI機能に力を入れたバージョンになっています。
現在は「段階的な展開」という方法で、対象となるパソコンに自動的にインストールされる最終段階に入っているところです。
新機能と改善点:何が変わったの?

AI・Copilot関連の大きな変更
24H2で最も大きく変わったのは、Copilotの仕組みなんです。
これまでは画面の横に統合されていたサイドバーだったんですが、独立したウェブアプリ(PWA)に変更されました。その結果、システム設定を直接制御する機能がなくなってしまったんですね。
さらに、Win+Cという便利なショートカットキーも廃止されて、なんとアンインストールもできるようになりました。
Copilot+ PC専用機能(NPUという特殊なチップを搭載した高性能パソコン限定)として、こんな機能が追加されています:
- Windows Recall(お試し版):パソコンで行ったすべての操作を画面キャプチャとして記録し、後で検索できる機能
- Click to Do:画面のどこでもWindowsキーを押しながらクリックすると、AIが状況に応じた操作を提案
- リアルタイム字幕翻訳:44の言語から英語への同時通訳機能
- Auto Super Resolution:ゲームの画質をAIで自動的に向上させる機能
- Windows Studio Effects:ビデオ通話で背景をぼかしたり、目線を補正したりする機能
見た目と使い勝手の改善
ファイルエクスプローラー(ファイル管理画面)が使いやすくなりました!
右クリックメニューに「コピー」「貼り付け」「削除」などの文字が表示されるようになったんです。アイコンだけじゃ分かりにくかったですもんね。
さらに、7zやTAR、ZIPファイルを作成するための便利なツールや、個別のファイルを圧縮する機能も追加されています。
ペイントアプリには、AIを使った画像生成機能が搭載されました:
- Cocreator:描いた絵をAIが自動的に完成させてくれる
- 生成塗りつぶし:指定した部分をAIが自動で塗りつぶす
- 消去機能:不要な部分をAIが自然に消してくれる
フォトアプリも進化して、画像の品質を最大8倍まで向上させる機能が追加されたんですよ。
セキュリティ機能の大幅強化
24H2では、セキュリティがかなり強化されています。
SMB署名(ファイル共有の際の安全性を保証する仕組み)が標準で必須になりました。これにより、ネットワーク上でファイルを共有する際の安全性が格段に向上したんです。
その他の新しいセキュリティ機能:
- SHA-3サポート:最新の暗号化技術に対応
- 個人データ暗号化:重要なフォルダを顔認証や指紋認証で保護
- Windows保護印刷モード:プリンタードライバーの問題を防ぐ新しい印刷方式
システム要件:あなたのパソコンは対応してる?
24H2の新しい要件
ここが重要なポイントです!CPUの要件が厳しくなりました。
必要な命令セット(CPUが理解できる命令の種類):
- x86-64-v2 CPU:SSE4.2とPOPCNTという機能が必須
- ARMv8.1:ARM系のCPUを使っている場合
これらの機能がないCPUでは、Windowsが起動すらしないんです。ちょっと厳しいですよね。
その他の基本要件は変わっていません:
- メモリ:最低4GB(AI機能を使うなら16GB推奨)
- ストレージ:64GB以上の空き容量
- TPM 2.0、UEFI、セキュアブート対応
対応しているCPUの例:
- Intel:第8世代Core以降(2017年以降のモデル)
- AMD:Ryzen 2000シリーズ以降(2018年以降のモデル)
- Qualcomm:Snapdragon 850以降
要注意!既知の重大な問題とバグ
深刻:SSDのデータが壊れる問題(2025年8月現在)
これは本当に深刻な問題です。
Phisonというメーカーのコントローラーを使っているSSDで、大きなファイルを書き込むとドライブが認識されなくなることがあるんです。
影響を受ける可能性があるSSD:
- SanDisk Extreme Pro
- Corsair Force MP600
- Maxio SSD
- KIOXIAドライブ など
回避策:10GB以上のファイルを一度に書き込まないようにしましょう。
ゲームで起きる問題
ゲーマーの方は特に注意が必要です:
- Path of Exile 2:新しいエリアに入るとパソコンが完全にフリーズ
- フレームレートの低下:一部のゲームで30fpsに制限される
- 読み込み時間の増加:ゲームの起動やロードが遅くなる
- カクつき:突然画面が止まったりする現象が発生
その他の困った問題
- 8.63GBの削除できないファイル:アップデート後に残る巨大なキャッシュファイル
- Intel Smart Sound Technology:特定のドライバーでブルースクリーン発生
- 音が出ない:Diracオーディオが完全に動作しない
- 指紋認証の不具合:画面ロック後に反応しなくなる
- AutoCAD 2022:起動すらしない
- 配信の問題:NDIを使ったストリーミングで重度のラグ発生
パフォーマンス:速くなった?遅くなった?

良くなった点
- 省エネモード:バッテリー駆動時も電源接続時も使える統一された省エネ機能
- ARMデバイス:Surface Pro Xなどの古い機種でも速度向上
- ゲームのフレーム生成:特定のゲームで平均17.3%の性能向上
- アップデート時間短縮:インストール時間が約40%、再起動時間が約35%短縮
悪くなった点
- シングルスレッド性能:一部のベンチマークで約10%の性能低下
- メモリ使用量増加:前バージョンより多くのメモリを消費
- 起動時間:通常10秒程度のところ、5~7分かかることがある
インストール方法:どうやってアップデートする?
方法1:Windows Update(一番簡単!)
- 設定を開く
- Windows Updateをクリック
- 「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを取得する」をオン
- 更新プログラムの確認をクリック
方法2:Windows 11インストールアシスタント
Microsoftの公式サイトからダウンロードして実行するだけ。事前にPC正常性チェックアプリで互換性を確認しましょう。
方法3:USBメモリを使う方法
8GB以上のUSBメモリを用意して、メディア作成ツールでインストール用USBを作成します。
方法4:ISOファイルを使う方法
約6GBのISOファイルをダウンロードして、ダブルクリックで開いてsetup.exeを実行します。
アップデート前の注意点:ちょっと待って!
こんな人はアップデートを待った方がいい
以下に当てはまる場合は、絶対にアップデートを延期してください:
- Phison系のSSDを使っている→データが消える危険性
- Path of Exile 2などをプレイしている→システムがフリーズする可能性
- AutoCAD 2022を使っている→起動しなくなります
- 配信活動をしている→NDIを使っている場合は深刻な問題
- Intel第11世代CPUを使っている→古いドライバーだとブルースクリーン
- 会社のパソコン→企業向けの配信システムで失敗する可能性
アップデート前にやっておくべきこと
- 必ずバックアップを取る(これ超重要!)
- 大切なファイルは外付けHDDなどに保存
- ドライバーを最新版に更新(特にグラフィックとサウンド)
- 使っているソフトが対応しているか確認
- 25GB以上の空き容量を確保
元に戻す方法:やっぱり戻したい!
10日以内なら簡単に戻せます
設定→システム→回復→「戻る」をクリックするだけ!
ファイルも設定もアプリも、すべて元通りになります。
10日過ぎちゃったら…
残念ながら、Windowsを最初からインストールし直すしかありません。すべてのデータが消えるので、バックアップは必須です。
戻せる期間を延ばす裏技
企業向けのPro版なら、グループポリシーで最大60日まで延長できますよ。
前のバージョンとどう違う?
23H2との主な違い
- インストール方法:部分的な更新から完全な入れ替えに変更
- CPU要件:新しい命令セットが必須に
- Copilot:統合型から独立アプリに変更
- セキュリティ:ファイル共有がより安全に
なくなった機能
- WordPad:完全に削除されました
- 古い認証方式(NTLMv1):セキュリティ上の理由で削除
- Windows Mixed Reality:VR/AR機能のサポート終了
- Win+Cショートカット:Copilot起動用のキーが廃止
まとめ:今アップデートすべき?
正直に言います。Windows 11 24H2はセキュリティ面では素晴らしい改善がされていますが、安定性とパフォーマンスで深刻な問題を抱えています。
特にSSDのデータ破損問題やゲームのパフォーマンス低下は、多くの人にとって致命的な問題になりかねません。
おすすめの対応
一般の方:少なくとも2025年末まで待ちましょう。主要な問題が修正されてからでも遅くありません。
企業の方:セキュリティの向上は魅力的ですが、まずは一部のパソコンでテストしてから導入を検討してください。
結論:現時点ではWindows 11 23H2のままでいるのが最も安全な選択です。
Microsoftも問題の修正に取り組んでいますが、すべての問題が解決されるまでには、まだしばらく時間がかかりそうです。焦らず、安定したタイミングでアップデートすることをおすすめします!
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