「VSCodeでコードを書いているけど、コマンド実行のために別のウィンドウを開くのが面倒…」
そんな悩みを解決してくれるのが「VSCodeのターミナル」機能です。
VSCode(Visual Studio Code)には、エディター内で直接コマンドを実行できる「統合ターミナル」が搭載されています。
今回は、VSCodeのターミナルとは何か、どう使えば便利なのか、初心者にも分かりやすく解説していきます。
VSCodeのターミナルとは?

VSCodeのターミナル(正式名称:統合ターミナル)は、エディター内に組み込まれたコマンドライン操作画面のことです。
簡単に言うと:
通常、WindowsならコマンドプロンプトやPowerShell、MacならTerminal.appを別ウィンドウで開いて使いますよね。
VSCodeのターミナルを使えば、それらをVSCodeの中で使えるんです。
普通のターミナルと何が違う?
機能的にはほぼ同じです。
コマンドプロンプト、PowerShell、Bashなど、パソコンにインストールされているシェル(ターミナルの種類)をそのまま使えます。
違いは「VSCodeと統合されている」という点です。
統合されているメリット:
- エディターとターミナルを同じ画面で見られる
- ウィンドウを切り替える手間がない
- VSCodeで開いているフォルダが自動的にカレントディレクトリになる
- ターミナルのエラーからエディターのファイルにジャンプできる
- ファイルパスをクリックすると自動的にエディターで開ける
プログラミング中に「ちょっとコマンド実行したい」という時、いちいち別のウィンドウに切り替えなくて済むのが最大のメリットです。
ターミナルの開き方
まずは基本的な開き方から覚えましょう。
【方法1】ショートカットキーで開く
一番簡単で速い方法です。
Windowsの場合:
Ctrl + @
Macの場合:
Control + @
「@」キーは、通常キーボードの数字の「2」のキーです(Shiftを押さずに)。
正確には「バッククォート(`)」と呼ばれる記号ですが、日本語キーボードでは「@」の位置にあります。
このショートカットを押すと、VSCodeの下部にターミナルが表示されます。
もう一度同じショートカットを押すと、ターミナルが隠れます(トグル動作)。
【方法2】メニューから開く
- VSCodeの上部メニューから「ターミナル」をクリック
- 「新しいターミナル」をクリック
これでターミナルが開きます。
【方法3】表示メニューから開く
- 上部メニューから「表示」をクリック
- 「ターミナル」をクリック
どの方法でも同じターミナルが開きますので、使いやすい方法を選んでください。
個人的には、ショートカットキーが一番速くておすすめです。
ターミナルの基本操作
ターミナルを開いたら、次は基本的な使い方を覚えましょう。
開いた時の状態
ターミナルを開くと、VSCodeのウィンドウ下部に黒い(または白い)画面が表示されます。
デフォルトで開くターミナルの種類:
- Windows:PowerShell
- Mac:zsh(またはbash)
- Linux:bash
ここで、普段使っているコマンドをそのまま入力できます。
カレントディレクトリについて
VSCodeでフォルダを開いている場合、ターミナルのカレントディレクトリ(現在地)は自動的にその開いているフォルダになります。
例えば、C:\code\myprojectフォルダを開いていたら、ターミナルも最初からC:\code\myprojectにいる状態です。
これがめちゃくちゃ便利で、いちいちcdコマンドで移動する必要がありません。
コマンドの実行
ターミナルに好きなコマンドを入力してEnterキーを押すだけです。
例えば:
lsまたはdir:ファイル一覧を表示cd フォルダ名:ディレクトリ移動mkdir フォルダ名:新しいフォルダ作成python スクリプト名.py:Pythonスクリプト実行npm install:パッケージインストールgit status:Git状態確認
普通のターミナルと全く同じように使えます。
ターミナルの閉じ方
ターミナルを閉じる方法も覚えておきましょう。
【方法1】ショートカットキーで隠す
開く時と同じショートカットキー(Ctrl + @またはControl + @)を押すと、ターミナルが隠れます。
ただし、これは「非表示」にするだけで、ターミナル自体は動き続けています。
【方法2】exitコマンドで終了
ターミナルにexitと入力してEnterキーを押すと、ターミナルが完全に終了します。
exit
PowerShellやBashなど、ほとんどのシェルで使えるコマンドです。
【方法3】ゴミ箱アイコンをクリック
ターミナル画面の右上に表示されている「ゴミ箱」アイコンをクリックすると、そのターミナルが終了します。
複数のターミナルを開いている場合、選択されているターミナルだけが終了します。
【方法4】Ctrl + Dで終了
多くのシェルで使える終了ショートカットです。
Ctrl + D
これを押すと、現在のターミナルが終了します。
複数のターミナルを使い分ける
VSCodeでは、複数のターミナルを同時に開いて使い分けることができます。
新しいターミナルを追加する
ショートカットキー:
Ctrl + Shift + @(Windows)
Control + Shift + @(Mac)
または、ターミナル画面右上の「+」アイコンをクリックします。
すると、新しいターミナルが追加されます。
ターミナルの切り替え
複数のターミナルを開いている場合、ターミナル画面の右側にタブとして表示されます。
切り替え方法:
- タブをクリックする
- ドロップダウンメニューから選択
- ショートカットキーで順番に切り替え
例えば、一つのターミナルでサーバーを起動しっぱなしにして、もう一つのターミナルで別のコマンドを実行する、といった使い方ができます。
画面を分割して表示
ターミナル画面を左右に分割して、2つのターミナルを同時に表示することもできます。
分割方法:
ターミナル画面右上の「分割」アイコン(四角が2つ並んだマーク)をクリック
これで、左右に2つのターミナルが並んで表示されます。
長いログを見ながら別のコマンドを実行したい時などに便利です。
ターミナルの種類を変更する

VSCodeのターミナルでは、使用するシェルの種類を選べます。
デフォルトのシェルを確認
WindowsではPowerShellがデフォルトですが、コマンドプロンプトやBashに変更できます。
一時的にシェルを変更
- ターミナル画面右上の「プロファイルを起動」アイコン(下向き矢印)をクリック
- 表示されるメニューから好きなシェルを選択
Windowsで選択できる主なシェル:
- PowerShell
- Windows PowerShell(古いバージョン)
- Command Prompt(コマンドプロンプト)
- Git Bash(インストールしている場合)
- WSL(Windows Subsystem for Linux)
選択したシェルで新しいターミナルが開きます。
デフォルトのシェルを変更
毎回違うシェルを使いたい場合は、デフォルトを変更できます。
変更方法:
Ctrl + Shift + P(MacはCommand + Shift + P)でコマンドパレットを開く- 「Terminal: Select Default Profile」と入力して選択
- 使いたいシェルを選択
これで、次回からは選択したシェルがデフォルトで開くようになります。
よく使うコマンド例
ターミナルで使えるコマンドは、使用しているシェルによって異なります。
ここでは、プログラミングでよく使うコマンドをいくつか紹介します。
ディレクトリ操作
カレントディレクトリを確認:
pwd
ディレクトリの内容を表示:
ls # Mac/Linux
dir # Windows
ディレクトリを移動:
cd フォルダ名
cd .. # 一つ上のフォルダへ
cd ~ # ホームディレクトリへ(Mac/Linux)
ディレクトリを作成:
mkdir 新しいフォルダ名
ファイル操作
ファイルを作成:
touch ファイル名.txt # Mac/Linux
echo. > ファイル名.txt # Windows
ファイルの内容を表示:
cat ファイル名.txt # Mac/Linux
type ファイル名.txt # Windows
プログラミング関連
Node.jsパッケージのインストール:
npm install
npm install パッケージ名
Pythonスクリプトの実行:
python スクリプト名.py
Gitコマンド:
git status # 状態確認
git add . # 変更をステージング
git commit -m "メッセージ" # コミット
git push # プッシュ
これらは一例で、実際には無限にコマンドがあります。
ターミナルのカスタマイズ
VSCodeのターミナルは、見た目や動作を自分好みにカスタマイズできます。
フォントサイズの変更
設定方法:
Ctrl + ,(MacはCommand + ,)で設定画面を開く- 検索ボックスに「terminal.integrated.fontSize」と入力
- 好きなフォントサイズ(例:14)を設定
これでターミナルの文字サイズが変更されます。
配色の変更
ターミナルの背景色やテキスト色を変更できます。
設定方法:
- 設定画面で「workbench.colorCustomizations」を検索
- 「settings.jsonで編集」をクリック
- 以下のような設定を追加
"workbench.colorCustomizations": {
"terminal.background": "#1E1E1E",
"terminal.foreground": "#FFFFFF"
}
細かい色の設定は、VSCodeのドキュメントやネット上のカラーテーマを参考にしてください。
ターミナルの表示位置を変更
デフォルトでは下部に表示されますが、右側に表示することもできます。
変更方法:
- ターミナルのヘッダー部分を右クリック
- 「パネルの位置」→「右」を選択
ターミナルを縦長に使いたい場合に便利です。
エディターとターミナルを左右に並べて作業できます。
カーソルの形を変更
ターミナル内のカーソルの形を変更できます。
設定方法:
設定画面で「terminal.integrated.cursorStyle」を検索し、以下から選択:
block:四角いブロックunderline:下線line:縦線
好みに応じて変更してください。
VSCodeターミナルのメリット
VSCodeのターミナルを使うメリットを改めて整理しましょう。
【メリット1】ウィンドウの切り替えが不要
一番大きなメリットはこれです。
コードを書いている途中でコマンドを実行したくなった時、別のウィンドウに切り替える必要がありません。
ショートカット一つでターミナルを表示して、コマンドを実行して、またすぐにコードに戻れます。
【メリット2】カレントディレクトリの自動設定
VSCodeで開いているフォルダが、自動的にターミナルのカレントディレクトリになります。
プロジェクトフォルダに移動するために、いちいち長いパスをcdコマンドで入力する必要がありません。
【メリット3】エディターとの連携
ターミナルに表示されたファイルパスをクリックすると、そのファイルがエディターで開きます。
エラーメッセージに含まれるファイル名と行番号をクリックすれば、該当箇所にジャンプできます。
デバッグが格段に楽になります。
【メリット4】複数のターミナルを管理しやすい
複数のターミナルを開いて、タブで簡単に切り替えられます。
一つのターミナルでサーバーを起動し、別のターミナルでビルドコマンドを実行、さらに別のターミナルでGitコマンドを実行、といった使い方が簡単にできます。
【メリット5】設定の共有が簡単
VSCodeの設定ファイルにターミナルの設定も含まれるので、チームで設定を共有しやすいです。
プロジェクトごとに推奨するシェルやコマンドを設定することもできます。
VSCodeターミナルのデメリット

便利な一方で、いくつかデメリットもあります。
【デメリット1】画面が狭くなる
ターミナルを表示すると、当然ながらエディターの表示領域が狭くなります。
小さいノートパソコンを使っている場合、特に気になるかもしれません。
対策:
- 必要な時だけターミナルを表示(ショートカットで表示/非表示を切り替え)
- ターミナルを右側に配置して縦長に使う
- 外部モニターを使う
【デメリット2】複雑なターミナル操作には不向き
tmuxやscreenなどのターミナルマルチプレクサを使った高度な操作には、少し制限があります。
また、全画面でターミナルを使いたい場合は、別のターミナルアプリの方が使いやすいこともあります。
【デメリット3】初心者にはコマンドが難しい
ターミナル自体が初めての人にとっては、コマンドを覚えるのが大変かもしれません。
ただし、これはVSCodeのターミナルに限った話ではありません。
対策:
- よく使うコマンドから少しずつ覚える
- エラーメッセージをよく読む
- わからないコマンドは
--helpオプションで確認
【デメリット4】環境によって動作が異なる
Windows、Mac、Linuxでは、使えるコマンドやシェルが異なります。
チームで開発している場合、環境の違いで混乱することがあります。
対策:
- チームで推奨するシェルを統一
- クロスプラットフォームで動くコマンドを使う
- WSL(Windows Subsystem for Linux)を活用
こんな時に便利!活用シーン
VSCodeのターミナルが特に役立つシーンをいくつか紹介します。
【シーン1】Webアプリ開発
開発サーバーを起動しながらコードを編集する時。
npm start
このコマンドでサーバーを起動したら、ログを見ながら別のターミナルでコードをビルドしたり、Gitコマンドを実行したりできます。
【シーン2】Pythonスクリプトの実行とデバッグ
Pythonスクリプトを書いて、すぐに実行して結果を確認。
エラーが出たらファイル名をクリックしてコードを修正、という流れが一つの画面で完結します。
【シーン3】Gitでのバージョン管理
ファイルを編集したら、すぐにGitコマンドでコミット。
git add .
git commit -m "機能Xを追加"
git push
別ウィンドウを開かずに、コーディングとバージョン管理を並行して進められます。
【シーン4】パッケージのインストール
必要なライブラリやパッケージをインストールする時。
npm install express
pip install pandas
インストール中のログを見ながら、別のファイルを編集できます。
【シーン5】ビルドやテストの実行
プロジェクトをビルドしたり、テストを実行したりする時。
npm run build
npm test
ビルドエラーやテスト失敗のメッセージから、直接該当ファイルを開けます。
トラブルシューティング
ターミナルがうまく動かない時の対処法をいくつか紹介します。
ターミナルが開かない
原因と対処法:
- ショートカットキーが効かない
- 別の拡張機能とキーバインドが競合している可能性
- メニューから開いてみる
- 設定ファイルの問題
terminal.integrated.shell.*の設定を確認- 設定をリセットしてみる
- VSCodeの再起動
- シンプルですが、再起動で解決することも多い
コマンドが見つからないと言われる
原因と対処法:
- プログラムがインストールされていない
pythonコマンドが使えない → Pythonをインストールgitコマンドが使えない → Gitをインストール
- パスが通っていない
- 環境変数PATHにプログラムのパスを追加
- Windowsの場合、インストール後に再起動が必要なことも
日本語が文字化けする
Windowsのコマンドプロンプトの場合:
chcp 65001
このコマンドで文字コードをUTF-8に変更できます。
PowerShellやMac/Linuxのターミナルでは通常、文字化けは起きません。
ターミナルの動作が遅い
原因と対処法:
- 大量のログが表示されている
- ターミナルをクリアする(
clearコマンド) - スクロールバック行数を減らす設定
- ウイルス対策ソフトの干渉
- VSCodeフォルダを除外リストに追加
- 拡張機能の影響
- 不要な拡張機能を無効化
まとめ:VSCodeターミナルを使いこなそう
VSCodeのターミナルについて、いかがでしたか?
重要なポイントをもう一度まとめておきます。
VSCodeターミナルの基本:
- エディター内で使えるコマンドライン画面
Ctrl + @で開く・閉じる- VSCodeで開いているフォルダが自動的にカレントディレクトリになる
- 複数のターミナルを同時に使える
主なメリット:
- ウィンドウ切り替え不要
- エディターとの連携が便利
- カレントディレクトリが自動設定
- 複数ターミナルの管理が簡単
よく使うショートカット:
Ctrl + @:ターミナルの表示/非表示Ctrl + Shift + @:新しいターミナルを開くCtrl + Dまたはexit:ターミナルを閉じる
カスタマイズのポイント:
- デフォルトシェルの変更
- フォントサイズの調整
- 表示位置の変更(下部or右側)
VSCodeのターミナルは、最初は少し戸惑うかもしれませんが、慣れればコーディング効率が大幅に上がります。
「コードを書く」→「コマンド実行」→「結果確認」→「コード修正」
この流れがスムーズに行えるようになると、開発がどんどん楽しくなりますよ。
まずはショートカットキーCtrl + @を覚えて、ターミナルを開いてみることから始めてみてください。
あなたもVSCodeターミナルを使いこなして、快適なコーディングライフを楽しみましょう!

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