「VSCodeでMarkdownを書いているけど、もっと効率的に作業したい」
「プレビューや表の作成が面倒…」
そんな悩みを解決してくれるのが、VSCodeの拡張機能です。
VSCode(Visual Studio Code)には、Markdown編集を劇的に快適にする拡張機能が数多く公開されています。
今回は、実際に多くの開発者やライターが使っている、おすすめのMarkdown拡張機能を厳選して紹介します。
VSCodeでMarkdownを書く前に知っておきたいこと

拡張機能を紹介する前に、基本を確認しておきましょう。
VSCodeの標準機能だけでもMarkdownは書ける
実は、VSCodeには最初からMarkdown対応機能が組み込まれています。
標準機能でできること:
- シンタックスハイライト(色付け)
- プレビュー表示(
Ctrl + Shift + V) - サイドバイサイドプレビュー(
Ctrl + K → V) - アウトライン表示(見出し構造の確認)
これだけでも基本的な作業はできますが、拡張機能を追加することで、もっと便利になります。
拡張機能のインストール方法
VSCodeの拡張機能は、以下の手順で簡単にインストールできます。
インストール手順:
- VSCodeの左側にある「拡張機能」アイコンをクリック(または
Ctrl + Shift + X) - 検索ボックスに拡張機能の名前を入力
- 目的の拡張機能が見つかったら「インストール」ボタンをクリック
- インストール完了後、必要に応じてVSCodeを再起動
それでは、おすすめの拡張機能を見ていきましょう。
【必須】まず入れたい定番拡張機能3選
Markdown作業をするなら、まずこの3つは入れておきたいという定番の拡張機能です。
1. Markdown All in One
これ一つでMarkdown作業が完結する万能拡張機能
Markdown All in Oneは、その名の通り「オールインワン」な拡張機能です。
主な機能:
- キーボードショートカット
Ctrl + B:太字Ctrl + I:斜体Alt + S:打ち消し線Alt + C:チェックボックス- 自動補完機能
- リストの自動継続(Enterで次の項目が自動生成)
- テーブルのフォーマット整形
- 見出しの番号付け
- 目次の自動生成
Ctrl + Shift + P→ 「Create Table of Contents」で自動生成- ドキュメント内の見出しを自動収集
- 数式のサポート
- LaTeX形式の数式を記述可能
使いどころ:
Markdownを書く人なら、まず最初にインストールすべき拡張機能です。
ショートカットキーで素早く書式を適用できるので、執筆スピードが段違いに向上します。
インストール方法:
拡張機能で「Markdown All in One」と検索してインストール
2. markdownlint
Markdownの書き方をチェックしてくれる構文チェッカー
markdownlintは、Markdownの構文エラーや一貫性のない書き方を指摘してくれるリンターです。
主な機能:
- リアルタイムで構文チェック
- 問題箇所に波線で警告表示
- 自動修正機能(保存時に自動整形)
- カスタマイズ可能なルール
チェックされる項目の例:
- 見出しの前後に空行がない
- リストの書き方が不統一
- 行末に余計なスペース
- コードブロックの言語指定がない
- 見出しレベルのスキップ(h1の次にh3など)
使いどころ:
複数人でドキュメントを管理する場合や、統一されたスタイルで書きたい場合に必須です。
一人で書く場合でも、きれいなMarkdownを維持できます。
設定のコツ:
厳しすぎるルールは無効化できます。
例えば、引用ブロックの改行ルール(MD027、MD028)は実用的でないので、設定で無効化する人が多いです。
"markdownlint.config": {
"MD027": false,
"MD028": false
}
インストール方法:
拡張機能で「markdownlint」と検索してインストール
3. Markdown Preview Enhanced
超高機能なプレビュー拡張機能
Markdown Preview Enhancedは、VSCodeのプレビュー機能を大幅に強化します。
主な機能:
- 数式表示(KaTeX/MathJax対応)
- 図表の描画
- Mermaid(フローチャート、シーケンス図)
- PlantUML(UML図)
- Graphviz(グラフ描画)
- 多彩なエクスポート機能
- PDF出力
- HTML出力
- PNG/JPEG画像出力
- eBook形式(ePub)
- プレゼンテーション機能
- Markdownからスライド作成
- コードブロックの実行
- JavaScript、Python、Bashなどのコード実行
使いどころ:
技術文書や論文、プレゼン資料を作る人に最適です。
特に、図表を多用する場合や、数式を含む文書を書く場合は必須級です。
インストール方法:
拡張機能で「Markdown Preview Enhanced」と検索してインストール
【効率化】作業がサクサク進む便利系拡張機能4選
次に、作業効率を大幅にアップしてくれる拡張機能を紹介します。
4. Markdown Table
テーブルの作成・編集が楽になる
Markdown Tableは、面倒なテーブル編集を劇的に簡単にしてくれます。
主な機能:
- テーブルの自動フォーマット
- Tabキーでセル間を移動
- Enterキーで行を追加
- 列の追加・削除が簡単
- CSVからのテーブル作成
使用例:
普通にテーブルを書くと、こんな感じになりがちです:
| 項目 | 説明 | 価格 |
|---|---|---|
| りんご | 赤くて甘い | 100円 |
| バナナ | 黄色い | 80円 |
Markdown Tableを使うと、自動的に整形されて読みやすくなります:
| 項目 | 説明 | 価格 |
| -------- | ------------ | ------ |
| りんご | 赤くて甘い | 100円 |
| バナナ | 黄色い | 80円 |
使いどころ:
表を頻繁に使う技術文書やデータをまとめる際に便利です。
手動で整形する手間が省けます。
注意点:
日本語を含むテーブルを整形する場合、VSCodeのフォントを等幅フォント(例:BIZ UDゴシック)に設定しておくと、表示がズレません。
インストール方法:
拡張機能で「Markdown Table」と検索してインストール
5. Excel to Markdown table
ExcelやGoogleスプレッドシートの表をMarkdownに変換
Excel to Markdown tableは、表計算ソフトの表を一瞬でMarkdown形式に変換できます。
主な機能:
- Excelの表をコピー → VSCodeに貼り付け → 自動でMarkdown形式に変換
- Googleスプレッドシートにも対応
- 列の整形も自動
使い方:
- ExcelやGoogleスプレッドシートで表を選択してコピー
- VSCodeで
Ctrl + Shift + Pを押す - 「Markdown Table: Paste as Markdown Table」を選択
- 自動的にMarkdown形式の表に変換される
使いどころ:
データをExcelで整理してから、Markdownドキュメントに移す場合に超便利です。
手作業で表を作り直す必要がなくなります。
インストール方法:
拡張機能で「Excel to Markdown table」と検索してインストール
6. Paste Image(または標準機能)
画像を簡単に貼り付ける
重要な情報:
VSCode 1.79以降では、画像の貼り付け機能が標準搭載されました。
そのため、新しいバージョンのVSCodeを使っている場合、拡張機能は不要です。
標準機能の使い方:
- クリップボードに画像をコピー(スクリーンショットなど)
- Markdownファイルで
Ctrl + Vで貼り付け - 自動的に画像ファイルが保存され、Markdown形式のリンクが挿入される
保存先の設定:
settings.jsonで保存先フォルダを指定できます。
"markdown.copyFiles.destination": {
"*": "images/${documentBaseName}/"
}
これで、ドキュメント名のフォルダ内のimagesフォルダに画像が保存されます。
古いVSCodeを使っている場合:
Paste Image拡張機能をインストールしてください。
機能は標準機能とほぼ同じです。
使いどころ:
スクリーンショットを多用する技術文書やブログ記事の執筆に必須です。
7. :emojisense:
絵文字を簡単に入力
:emojisense:は、Markdownに絵文字を簡単に挿入できる拡張機能です。
主な機能:
:コロンで絵文字の入力補完- キーワードで絵文字を検索
Ctrl + I(MacはCommand + I)で絵文字ピッカーを表示
使い方:
:smileと入力- 候補に😄が表示される
- Enterで確定
使いどころ:
ブログ記事やREADMEファイルなど、読みやすさを重視する文書で活躍します。
絵文字を使うと、見出しが目立ったり、文章が親しみやすくなります。
インストール方法:
拡張機能で「emojisense」と検索してインストール
【見た目】プレビューをカスタマイズする拡張機能2選

プレビューの見た目を変えたい場合におすすめの拡張機能です。
8. Markdown Preview Github Styling
GitHubと同じスタイルでプレビュー
Markdown Preview Github Stylingは、プレビューをGitHubのスタイルで表示します。
主な機能:
- GitHubと同じレンダリング
- README作成時に便利
- GitHubにアップロード前の確認に最適
使いどころ:
GitHubでREADMEやドキュメントを公開する予定がある場合、この拡張機能でプレビューを確認しておけば、アップロード後の見た目がわかります。
インストール方法:
拡張機能で「Markdown Preview Github Styling」と検索してインストール
9. Markdown PDF
MarkdownをPDFに変換
Markdown PDFは、Markdownファイルを簡単にPDF形式に変換できます。
主な機能:
- ワンクリックでPDF出力
- HTML、PNG、JPEGにも変換可能
- カスタムCSSでスタイル調整可能
使い方:
- Markdownファイルを開く
Ctrl + Shift + Pでコマンドパレットを開く- 「Markdown PDF: Export (pdf)」を選択
- 同じフォルダにPDFファイルが生成される
使いどころ:
- ドキュメントを配布する場合
- 印刷用のファイルが必要な場合
- MarkdownをスライドのようにPDF化したい場合
注意点:
内部でChromiumを使用するため、初回インストール時にダウンロードが必要です。
うまく動作しない場合は、設定で別途インストールしたChromeやChromiumのパスを指定できます。
インストール方法:
拡張機能で「Markdown PDF」と検索してインストール
【上級者向け】さらなる機能強化の拡張機能
最後に、特定の用途に特化した上級者向けの拡張機能を紹介します。
10. Marp for VS Code
Markdownでプレゼンテーション資料を作成
Marp for VS Codeは、Markdownをスライド形式に変換できる拡張機能です。
主な機能:
- Markdownからスライド作成
- リアルタイムプレビュー
- PDF、HTML、PNGにエクスポート
- カスタムテーマ対応
使い方:
Markdownファイルの先頭に以下を追加:
---
marp: true
---
# スライドタイトル
内容を書く
---
# 次のスライド
次の内容
---で区切ることで、新しいスライドになります。
使いどころ:
- 社内プレゼン資料
- 勉強会のスライド
- 技術解説資料
PowerPointを使わずに、テキストベースでスライドを作成できるのが魅力です。
バージョン管理もしやすくなります。
インストール方法:
拡張機能で「Marp for VS Code」と検索してインストール
番外編:文章校正の拡張機能
Markdown本体ではありませんが、日本語文章を書く場合に便利な拡張機能も紹介します。
vscode-textlint
日本語の文章校正ツール
vscode-textlintは、textlintをVSCode内で使えるようにした拡張機能です。
主な機能:
- 日本語の表記ゆれチェック
- 「ですます調」と「である調」の混在チェック
- 冗長な表現の指摘
- 難しい漢字の検出
注意点:
textlintのルール設定が必要なため、少し設定が複雑です。
初心者向けではありませんが、本格的に日本語文章を書く場合は非常に便利です。
Markdown Character Count
文字数をカウント
Markdown Character Countは、Markdownの文字数をリアルタイムで表示します。
主な機能:
- ステータスバーに文字数表示
- Markdown構文(見出し記号など)を除外してカウント
- 選択範囲の文字数も表示
使いどころ:
ブログ記事や原稿を書く際に、文字数制限がある場合に便利です。
拡張機能の組み合わせ例
最後に、用途別のおすすめ拡張機能の組み合わせを紹介します。
【パターン1】ブログ記事を書く場合
- Markdown All in One:基本機能
- markdownlint:構文チェック
- Paste Image(または標準機能):スクリーンショット挿入
- :emojisense::絵文字挿入
- Markdown Character Count:文字数カウント
この組み合わせで、読みやすいブログ記事を効率的に執筆できます。
【パターン2】技術文書を書く場合
- Markdown All in One:基本機能
- markdownlint:構文チェック
- Markdown Preview Enhanced:数式・図表対応
- Markdown Table:表の編集
- Excel to Markdown table:データの取り込み
- Markdown PDF:PDF出力
技術文書に必要な機能が全て揃います。
【パターン3】GitHub用READMEを書く場合
- Markdown All in One:基本機能
- markdownlint:構文チェック
- Markdown Preview Github Styling:GitHubスタイル確認
- :emojisense::絵文字挿入
GitHubでの見た目を確認しながら執筆できます。
【パターン4】プレゼン資料を作る場合
- Markdown All in One:基本機能
- Marp for VS Code:スライド作成
- Paste Image(または標準機能):画像挿入
Markdownでプレゼン資料を作成できます。
拡張機能を入れすぎた時の対処法
便利だからといって、拡張機能を入れすぎると、VSCodeの動作が重くなることがあります。
対処法:
【方法1】使わない拡張機能を無効化
一時的に使わない拡張機能は無効化しましょう。
- 拡張機能のアイコンをクリック
- インストール済みの拡張機能一覧から無効化したいものを選択
- 「無効にする」をクリック
【方法2】ワークスペース単位で拡張機能を管理
プロジェクトごとに必要な拡張機能だけを有効にできます。
拡張機能の設定で「ワークスペースで無効にする」を選択すれば、特定のプロジェクトでのみ無効化できます。
【方法3】競合する拡張機能を避ける
例えば、Markdown Preview EnhancedとMarkdown PDFは、どちらもPDF出力機能を持っています。
用途に応じて、どちらか一つだけインストールすれば十分です。
トラブルシューティング
拡張機能がうまく動かない時の対処法をいくつか紹介します。
プレビューが表示されない
対処法:
- ファイルの拡張子が
.mdであることを確認 - VSCodeを再起動
- 拡張機能を再インストール
- 他の拡張機能との競合を確認(一時的に無効化してテスト)
markdownlintの警告が多すぎる
対処法:
厳しすぎるルールは設定で無効化できます。
settings.jsonを開いて、以下のように設定:
"markdownlint.config": {
"MD013": false, // 行の長さ制限を無効化
"MD033": false, // HTMLタグ使用を許可
"MD041": false // 最初の行が見出しでなくてもOK
}
画像の貼り付けができない
対処法:
- VSCodeのバージョンを確認(1.79以降なら標準機能あり)
- settings.jsonで保存先を確認
- 保存先フォルダの権限を確認
- 別の形式(PNGなど)で試してみる
まとめ:最初に入れるべき拡張機能はこれ
VSCodeのMarkdown拡張機能について、いかがでしたか?
最後に、初心者がまず最初に入れるべき拡張機能をまとめます。
まず最初にインストールすべき3つ:
- Markdown All in One
- 基本的な編集機能が全て揃う
- ショートカットキーで作業効率アップ
- 目次の自動生成も便利
- markdownlint
- きれいなMarkdownを書ける
- 複数人での作業に必須
- 自動修正機能が便利
- Paste Image(またはVSCode 1.79以降なら標準機能)
- スクリーンショットを簡単に挿入
- 技術文書やブログ記事に必須
用途に応じて追加:
- 技術文書 → Markdown Preview Enhanced、Markdown Table
- ブログ記事 → :emojisense:、Markdown Character Count
- GitHub → Markdown Preview Github Styling
- プレゼン → Marp for VS Code
- PDF出力 → Markdown PDF
拡張機能を上手に使えば、VSCodeは最高のMarkdownエディターになります。
まずは定番の3つから始めて、必要に応じて追加していくのがおすすめです。
あなたもVSCodeとMarkdown拡張機能を使いこなして、快適な執筆環境を手に入れましょう!

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