「コードの変数名をtypoしてしまった…」
「日本語の文章に誤字や表現の問題がないかチェックしたい…」
プログラミングや文章作成をしていると、スペルミスや誤字脱字が気になりますよね。
この記事では、VS Codeで使える誤字脱字チェック機能について、英語のスペルチェックから日本語の校正まで、分かりやすく解説していきます。
VS Codeの誤字脱字チェックの種類

VS Code自体には標準でスペルチェック機能が搭載されていません。
しかし、拡張機能を使えば強力な誤字脱字チェックが可能になります。
主な拡張機能
英語のスペルチェック:
- Code Spell Checker(最も人気)
- Spell Right
- SpellChecker
日本語の校正チェック:
- テキスト校正くん(最も人気)
- vscode-textlint
目的別の使い分け:
- プログラミング中心 → Code Spell Checker
- 日本語の文章作成 → テキスト校正くん
- 両方使いたい → 併用可能
Code Spell Checker(英語スペルチェック)
最も人気のある英語スペルチェック拡張機能です。
Code Spell Checkerの特徴
主な機能:
- リアルタイムでスペルミスを検出
- 修正候補の提案
- キャメルケース、スネークケース対応
- ユーザー辞書の追加
- 複数言語対応(言語パック追加)
- ワークスペース・ユーザー単位での設定
対応ファイル:
- プログラミング言語のコード
- Markdownファイル
- テキストファイル
- コメントや文字列
Code Spell Checkerのインストール
拡張機能のインストールは簡単です。
インストール手順
方法1: 拡張機能ビューから
- Ctrl + Shift + X(Mac: Cmd + Shift + X)で拡張機能ビューを開く
- 検索ボックスに「Code Spell Checker」と入力
- 検索結果から「Code Spell Checker」(by Street Side Software)を選択
- 「インストール」ボタンをクリック
- インストール完了後、VS Codeの再起動は不要
方法2: マーケットプレイスから
- Code Spell Checker – Visual Studio Marketplaceにアクセス
- 「Install」ボタンをクリック
- ブラウザの確認ダイアログで「Visual Studio Codeを開く」を選択
- VS Codeで「インストール」をクリック
Code Spell Checkerの基本的な使い方
インストールすれば、すぐに使い始められます。
スペルミスの検出
自動検出:
- ファイルを開くと、自動的にスペルチェックが実行される
- スペルミスは青い波線で表示される
問題パネルでの確認:
- 画面下部の「問題」パネルに一覧表示
- ステータスバーの警告アイコンをクリックしても表示できる
修正候補の表示
方法1: クイックフィックスから
- スペルミスの箇所にカーソルを置く
- 電球アイコン(💡)をクリック、またはCtrl + .(Mac: Cmd + .)を押す
- 修正候補が表示される
- 正しいスペルを選択
方法2: カーソルホバーから
- スペルミスの箇所にマウスカーソルを合わせる
- ポップアップが表示される
- 「クイック フィックス…」をクリック
- 修正候補から選択
表示される選択肢
クイックフィックスを開くと、以下のような選択肢が表示されます。
修正候補:
- 正しいスペルの候補(複数表示される場合がある)
辞書への追加:
- Add: “単語” to user dictionary
- ユーザー辞書に追加(すべてのプロジェクトで有効)
- Add: “単語” to workspace dictionary
- ワークスペース辞書に追加(現在のプロジェクトのみ)
- Add: “単語” to folder dictionary
- フォルダー辞書に追加(現在のフォルダーのみ)
無視設定:
- 単語を無視リストに追加
ユーザー辞書への追加
独自の単語や技術用語を登録できます。
辞書追加の使い分け
ユーザー辞書:
- すべてのプロジェクトで使う単語
- 例:会社名、サービス名、よく使う技術用語
ワークスペース辞書:
- 特定のプロジェクトでのみ使う単語
- 例:プロジェクト固有の用語、クライアント名
フォルダー辞書:
- 特定のフォルダー内でのみ使う単語
登録方法
方法1: クイックフィックスから
- 登録したい単語の上でクイックフィックスを開く
- 「Add: “単語” to user dictionary」などを選択
- 自動的に辞書に追加される
方法2: 設定ファイルから直接追加
settings.jsonを開いて追加:
{
"cSpell.userWords": [
"myapp",
"customfunction",
"apikey"
]
}
辞書の確認・削除
確認方法:
- Ctrl + ,(Mac: Cmd + ,)で設定を開く
- 検索ボックスに「cspell」と入力
- 「C Spell: User Words」を探す
- 登録されている単語の一覧が表示される
削除方法:
- 各単語の右側にある「×」ボタンをクリック
Code Spell Checkerの設定
細かくカスタマイズできます。
基本設定
settings.jsonに追加する設定例:
{
// ユーザー辞書
"cSpell.userWords": [
"vscode",
"javascript",
"typescript"
],
// 無視する単語
"cSpell.ignoreWords": [
"tempword"
],
// 最小単語長(この長さ以下はチェックしない)
"cSpell.minWordLength": 4,
// 表示する問題の最大数
"cSpell.maxNumberOfProblems": 100,
// 複合語を許可
"cSpell.allowCompoundWords": true,
// チェックを有効にする言語
"cSpell.enabledLanguageIds": [
"markdown",
"plaintext",
"javascript",
"typescript",
"python"
]
}
よく使う設定
英語方言の選択:
デフォルトはアメリカ英語ですが、変更できます。
{
"cSpell.language": "en-GB"
}
指定したフォルダを除外:
{
"cSpell.ignorePaths": [
"node_modules",
"dist",
"build",
"*.min.js"
]
}
特定のファイルタイプを除外:
{
"cSpell.enableFiletypes": [
"!json",
"!jsonc"
]
}
ワークスペース設定
プロジェクト固有の設定は、.vscode/settings.jsonに保存されます。
例:
{
"cSpell.words": [
"projectname",
"clientname",
"customapi"
],
"cSpell.ignorePaths": [
"test/**",
"docs/archive/**"
]
}
言語別辞書の追加

Code Spell Checkerは、追加の言語辞書をインストールできます。
利用可能な言語パック
主な言語パック:
- Spanish
- French
- German
- Russian
- Portuguese
- Dutch
- Swedish
- Medical Terms(医療用語)
- Scientific Terms(科学用語)
インストール方法
- 拡張機能ビューを開く(Ctrl + Shift + X)
- 「code spell checker」と検索
- 「〇〇 – Code Spell Checker」という名前の言語パックを探す
- 例:「Spanish – Code Spell Checker」
- インストールをクリック
または:
検索ボックスに言語名を入れて検索:
- 例:「spanish spell」と検索
言語パックの有効化
インストール後、settings.jsonで有効化:
{
"cSpell.language": "en,es"
}
複数言語を同時にチェック:
{
"cSpell.language": "en,es,fr,de"
}
テキスト校正くん(日本語校正チェック)
日本語の文章校正に特化した拡張機能です。
テキスト校正くんの特徴
主な機能:
- 日本語の誤字脱字チェック
- 表現の統一チェック
- ら抜き言葉の検出
- 助詞の重複チェック
- 技術用語のチェック
- カタカナ表記の統一
対応ファイル:
- Markdownファイル(.md)
- テキストファイル(.txt)
チェック項目:
- 漢字の誤用
- ひらがな・カタカナの誤用
- ら抜き言葉
- 二重否定
- 助詞の連続
- 同じ接続詞の連続使用
- 冗長な表現
- 技術用語のスペルミス
テキスト校正くんのインストール
インストール手順
方法1: 拡張機能ビューから
- Ctrl + Shift + X(Mac: Cmd + Shift + X)で拡張機能ビューを開く
- 検索ボックスに「テキスト校正くん」と入力
- 「テキスト校正くん」(by ICS)を選択
- 「インストール」ボタンをクリック
方法2: マーケットプレイスから
- テキスト校正くん – Visual Studio Marketplaceにアクセス
- 「Install」をクリック
- VS Codeを開いてインストールを完了
テキスト校正くんの使い方
使い方はとてもシンプルです。
自動校正
基本動作:
- .mdまたは.txtファイルを開く
- 自動的に校正が実行される
- 問題箇所が赤い波線で表示される
問題の確認:
- 画面下部の「問題」パネルに一覧表示
- 波線の上にマウスを置くと、問題内容と理由が表示される
校正ルールの設定
設定画面を開く:
- Ctrl + ,(Mac: Cmd + ,)で設定を開く
- 検索ボックスに「テキスト校正くん」と入力
- 校正ルールの一覧が表示される
設定できる項目:
- ら抜き言葉
- 二重否定
- 助詞の連続
- 同じ助詞の連続
- 冗長な表現
- 技術用語のスペルミス
- カタカナ語の表記統一
- 漢字の開き方
有効・無効の切り替え:
- チェックボックスで簡単に切り替え可能
よく使う設定例
settings.jsonでの設定:
{
// ら抜き言葉をチェック
"textlint.rule.ja-no-abusage": true,
// 助詞の連続をチェック
"textlint.rule.ja-no-successive-word": true,
// 技術用語のスペルをチェック
"textlint.rule.prh-rules": true,
// カタカナ語の表記統一
"textlint.rule.ja-no-orthographic-error": true
}
Code Spell Checkerとテキスト校正くんの併用
両方の拡張機能を同時に使用できます。
併用のメリット
英語と日本語の両方をカバー:
- Code Spell Checker → 英語の変数名、コメント、技術用語
- テキスト校正くん → 日本語のドキュメント、README
使い分けの例:
- プログラミング → Code Spell Checker
- 日本語ドキュメント → 両方
- 英語ドキュメント → Code Spell Checker
設定の注意点
競合を避ける:
両方の拡張機能を有効にしても、基本的に競合しません。
ただし、問題パネルに両方の警告が表示されるため、多くなる可能性があります。
ファイルタイプで使い分け:
{
// Code Spell Checkerを特定のファイルタイプのみで有効化
"cSpell.enableFiletypes": [
"markdown",
"javascript",
"typescript",
"python"
]
}
その他のスペルチェッカー拡張機能
Code Spell Checker以外の選択肢もあります。
Spell Right
特徴:
- オフラインで動作
- 軽量
- 複数言語対応
- システムの辞書を使用
適している用途:
- オフライン環境での作業
- 多言語ドキュメント
インストール:
- 拡張機能ビューで「Spell Right」と検索
SpellChecker
特徴:
- オフライン動作
- シンプルな設定
適している用途:
- 基本的なスペルチェックのみ必要な場合
vscode-textlint
特徴:
- textlintを直接使用
- 高度なカスタマイズが可能
- 独自のルールセットを作成できる
適している用途:
- textlintの知識がある
- 独自の校正ルールを作りたい
注意点:
- 設定が複雑
- 初心者には「テキスト校正くん」がおすすめ
実用的な活用例
スペルチェック機能の便利な使い方をご紹介します。
活用例1: コードレビューの効率化
シナリオ:
- プルリクエストを出す前にtypoチェック
方法:
- Code Spell Checkerをインストール
- コードを書く
- 問題パネルでスペルミスを確認
- 修正してからコミット
効果:
- レビュアーの負担軽減
- typoによる不具合を防止
活用例2: ドキュメント作成の品質向上
シナリオ:
- READMEやドキュメントを日本語で書く
方法:
- テキスト校正くんをインストール
- Markdownファイルで文章を書く
- 赤い波線をチェック
- 指摘を確認して修正
効果:
- 誤字脱字が減る
- 文章の品質が向上
- 読みやすいドキュメントになる
活用例3: 変数名のtypo防止
シナリオ:
- 変数名やメソッド名のスペルミスを防ぎたい
方法:
- Code Spell Checkerをインストール
- コードを書く
- キャメルケース、スネークケースでも自動検出
- 間違いがあれば波線で通知
効果:
recieve(間違い)をreceive(正しい)に気づける- 実行時エラーを防止
活用例4: 技術ブログ記事の執筆
シナリオ:
- VS Codeで技術ブログの記事を書く
方法:
- テキスト校正くんとCode Spell Checkerを両方インストール
- Markdownファイルで執筆
- 日本語の誤字と英語の技術用語をチェック
効果:
- 日本語の文章が洗練される
- 技術用語のスペルミスがなくなる
活用例5: チームでのルール統一
シナリオ:
- チーム全体で同じスペルチェック設定を使いたい
方法:
- プロジェクトに
.vscode/settings.jsonを作成 - カスタム辞書を設定
- Gitにコミット
- チームメンバーが共有
設定例:
{
"cSpell.words": [
"projectname",
"apiendpoint",
"customfunction"
],
"cSpell.ignorePaths": [
"node_modules/**",
"dist/**"
]
}
効果:
- 表記ゆれがなくなる
- チーム全体で統一された品質
よくある質問
Q1: スペルチェックが動作しない
A: 以下を確認してください。
- 拡張機能がインストールされているか
- 拡張機能ビューで確認
- 拡張機能が有効になっているか
- 無効になっている場合は「有効にする」をクリック
- 対応ファイルタイプか
- Code Spell Checker: ほぼすべてのファイル
- テキスト校正くん: .mdと.txtのみ
- VS Codeを再起動
- インストール後は再起動が必要な場合がある
Q2: 波線が多すぎて邪魔
A: 以下の方法で調整できます。
除外設定を追加:
{
"cSpell.ignorePaths": [
"node_modules/**",
"*.min.js"
]
}
最小単語長を設定:
{
"cSpell.minWordLength": 4
}
特定の単語を無視:
{
"cSpell.ignoreWords": [
"btn",
"img",
"div"
]
}
Q3: プロジェクト固有の用語が警告される
A: ワークスペース辞書に追加しましょう。
- 警告されている単語でクイックフィックスを開く
- 「Add to workspace dictionary」を選択
.vscode/settings.jsonに自動追加される
Q4: 英語の方言を変更したい
A: 設定で変更できます。
アメリカ英語(デフォルト):
{
"cSpell.language": "en"
}
イギリス英語:
{
"cSpell.language": "en-GB"
}
言語パックが必要な場合もあります。
Q5: 日本語のチェックが厳しすぎる
A: テキスト校正くんの設定で調整できます。
- 設定画面を開く(Ctrl + ,)
- 「テキスト校正くん」と検索
- 不要なルールのチェックを外す
Q6: コメントだけチェックしたい
A: Code Spell Checkerでは、現時点で完全なサポートはありません。
代替案:
- Spell Rightを使用(構文を指定できる)
- 手動で問題パネルをフィルタリング
Q7: チーム全体で設定を共有したい
A: .vscode/settings.jsonをGitにコミットしましょう。
手順:
- プロジェクトルートに
.vscodeフォルダを作成 settings.jsonを作成- スペルチェック設定を記述
- Gitにコミット
例:
{
"cSpell.words": [
"myproject",
"customapi"
],
"cSpell.ignorePaths": [
"dist/**",
"build/**"
]
}
Q8: ショートカットキーを変更したい
A: キーボードショートカット設定で変更できます。
- Ctrl + K → Ctrl + S でショートカット設定を開く
- 「spell」で検索
- 変更したいコマンドを見つける
- クリックして新しいキーバインドを設定
トラブルシューティング

よくある問題と解決方法です。
問題1: 拡張機能が重くてVS Codeが遅い
原因:
- 大量のファイルをチェックしている
- 除外設定が不十分
対処法:
- 除外パスを追加
{
"cSpell.ignorePaths": [
"node_modules/**",
"dist/**",
"build/**",
".git/**",
"*.min.js",
"package-lock.json"
]
}
- 最大問題数を制限
{
"cSpell.maxNumberOfProblems": 50
}
問題2: 正しい単語なのに警告される
原因:
- 辞書に登録されていない
- 技術用語や固有名詞
対処法:
- ユーザー辞書またはワークスペース辞書に追加
- クイックフィックスから簡単に追加可能
問題3: 日本語のチェックが効かない
原因:
- ファイルの拡張子が対応していない
- テキスト校正くんは.mdと.txtのみ対応
対処法:
- ファイルを.mdまたは.txtで保存
- または、vscode-textlintを使用(設定が複雑)
問題4: 設定が反映されない
原因:
- settings.jsonの構文エラー
- ワークスペース設定とユーザー設定の競合
対処法:
- settings.jsonにエラーがないか確認
- JSONの構文が正しいか確認(カンマ、カッコなど)
- VS Codeを再起動
まとめ
VS Codeの誤字脱字チェック機能についてご紹介しました。
英語スペルチェック(Code Spell Checker):
- 拡張機能ビューで「Code Spell Checker」を検索
- インストールするだけで自動動作
- 青い波線でスペルミスを通知
- Ctrl + . で修正候補を表示
- ユーザー辞書・ワークスペース辞書に追加可能
日本語校正チェック(テキスト校正くん):
- 拡張機能ビューで「テキスト校正くん」を検索
- .mdと.txtファイルで自動動作
- 赤い波線で問題箇所を通知
- ら抜き言葉、助詞の重複などをチェック
- 設定画面で校正ルールを調整
基本設定例:
{
// Code Spell Checker
"cSpell.userWords": [
"vscode",
"javascript"
],
"cSpell.ignorePaths": [
"node_modules/**",
"dist/**"
],
"cSpell.minWordLength": 4,
// テキスト校正くん
"textlint.rule.ja-no-abusage": true,
"textlint.rule.ja-no-successive-word": true
}
併用のメリット:
- 英語と日本語の両方をカバー
- コードとドキュメントの品質向上
- typoによる不具合を防止
活用シーン:
- コードレビュー前のチェック
- ドキュメント作成
- 技術ブログ執筆
- 変数名・メソッド名の確認
- チームでの表記統一
誤字脱字チェック機能を活用すれば、コードとドキュメントの品質が大幅に向上します。
特にCode Spell Checkerとテキスト校正くんは、インストールするだけですぐに使えるので、ぜひ試してみてください!

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