Visual Studio Code(VS Code)は、自分好みに細かくカスタマイズできるのが魅力です。そのカスタマイズの中心となるのがsettings.json
ファイルです。
でも、いろいろ触っているうちに以下のような問題に遭遇したことはありませんか?
「何か設定がおかしくなって、VS Codeの動作が変になった」 「拡張機能を入れすぎて、どの設定が悪影響を与えているか分からない」 「初心者の頃に適当に変更した設定を元に戻したい」 「新しいプロジェクトでクリーンな環境から始めたい」
このような時には、settings.json
を初期化(リセット)することで、設定をクリーンな状態に戻すことができます。
この記事では、VS Codeのsettings.json
を安全に初期化する方法を、初心者にもわかりやすく詳しく解説します。
settings.jsonとは何か

設定ファイルの役割
VS Codeの細かい設定(エディタのフォントサイズ、保存時の整形、自動保存、テーマなど)はsettings.json
というファイルにJSON形式で保存されています。
設定例
{
"editor.fontSize": 14,
"editor.formatOnSave": true,
"workbench.colorTheme": "Dark+ (default dark)",
"files.autoSave": "afterDelay"
}
2種類のsettings.json
VS Codeには2つの設定ファイルがあります:
種類 | 適用範囲 | 場所 |
---|---|---|
ユーザー設定 | VS Code全体 | %APPDATA%\Code\User\settings.json (Windows) |
ワークスペース設定 | 特定のプロジェクト | <プロジェクト>/.vscode/settings.json |
設定の優先順位
ワークスペース設定 > ユーザー設定 > デフォルト設定
つまり、プロジェクトごとの設定が最も優先されます。
初期化前の準備(重要)
必ずバックアップを取る
設定を初期化する前に、必ず現在の設定をバックアップしておきましょう。元に戻したくなった時に困らないようにするためです。
バックアップ手順
- 設定ファイルを開く
Ctrl + Shift + P(Windows・Linux) Cmd + Shift + P(Mac)
- 「Preferences: Open Settings (JSON)」を選択
- 内容をコピーしてテキストファイルに保存
// backup_settings_2024-12-07.json として保存 { "editor.fontSize": 14, "editor.formatOnSave": true, // ...その他の設定 }
現在の設定内容を確認
どのような設定が行われているかを確認してから初期化しましょう:
設定画面での確認
Ctrl + ,
(MacはCmd + ,)で設定画面を開く- 「ユーザー」タブで変更された設定を確認
- 右上の「JSON で編集」リンクをクリックして詳細確認
主要な設定項目をメモ
後で再設定しやすいよう、重要な設定項目をメモしておきます:
- エディタ設定:フォントサイズ、タブサイズ、改行コード
- 表示設定:テーマ、アイコンテーマ、ミニマップ
- 動作設定:自動保存、フォーマット、拡張機能の設定
settings.jsonを初期化する方法
方法1:GUIから個別設定をリセット(推奨)
最も安全で確実な方法です。必要な設定だけを選択してリセットできます。
手順
- 設定画面を開く
Ctrl + ,
(MacはCmd + ,)
- 変更したい設定を検索
- 検索ボックスに設定名を入力
- 個別にリセット
- 各設定項目の右側にある「リセット」アイコンをクリック
- 修正された設定の一括表示
- 検索ボックスに
@modified
と入力すると、デフォルトから変更された設定のみが表示されます
- 検索ボックスに
メリット
- 必要な設定は残して、問題のある設定だけをリセット
- 安全性が高い
- 設定内容を確認しながら作業できる
方法2:settings.jsonファイルを編集
より直接的な方法で、設定内容を完全にコントロールできます。
手順
- settings.jsonを開く
Ctrl + Shift + P → "Preferences: Open Settings (JSON)"
- 内容を確認・バックアップ
- 現在の内容をコピーして別途保存
- 内容を削除して初期化
{}
- ファイルを保存
Ctrl + S
(MacはCmd + S)
段階的な削除方法
一度に全部削除するのが不安な場合は、以下のように段階的に削除できます:
{
// 1. まず拡張機能の設定をコメントアウト
// "eslint.enable": true,
// "prettier.singleQuote": true,
// 2. 次にエディタ設定をコメントアウト
// "editor.fontSize": 14,
// "editor.tabSize": 2,
// 3. 最後に残りの設定をコメントアウト
// "workbench.colorTheme": "Dark+ (default dark)"
}
方法3:設定ファイルを直接削除・リネーム
ファイルシステムレベルで設定ファイルを削除する方法です。
ファイルの場所
Windows
%APPDATA%\Code\User\settings.json
実際のパス例:
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Code\User\settings.json
macOS
~/Library/Application Support/Code/User/settings.json
Linux
~/.config/Code/User/settings.json
安全な削除手順
- VS Codeを完全に終了
- ファイルをリネーム(推奨)
settings.json → settings_backup_2024-12-07.json
- VS Codeを再起動
- 新しい空の
settings.json
が自動作成されます
- 新しい空の
直接削除する場合の注意
# Windows(コマンドプロンプト)
move "%APPDATA%\Code\User\settings.json" "%APPDATA%\Code\User\settings_backup.json"
# macOS・Linux
mv ~/.config/Code/User/settings.json ~/.config/Code/User/settings_backup.json
方法4:VS Codeの完全リセット
VS Code全体を初期状態に戻したい場合の方法です。
拡張機能も含めた完全リセット
- VS Codeをアンインストール
- ユーザーデータフォルダを削除
- Windows:
%APPDATA%\Code
- macOS:
~/Library/Application Support/Code
- Linux:
~/.config/Code
- Windows:
- VS Codeを再インストール
注意事項
- すべての設定と拡張機能が削除されます
- プロジェクトの
.vscode
フォルダは影響を受けません
ワークスペース設定の初期化

プロジェクト固有の設定をリセット
プロジェクトフォルダ内の.vscode/settings.json
も同様に初期化できます。
手順
- プロジェクトルートの
.vscode
フォルダを確認 - settings.jsonをバックアップ
cp .vscode/settings.json .vscode/settings_backup.json
- ファイルを削除または空にする
{}
ワークスペース設定の確認方法
コマンドパレットから「Preferences: Open Workspace Settings (JSON)」を選択すると、プロジェクト固有の設定を編集できます。
初期化後の確認と再設定
正常に初期化されたかの確認
設定画面での確認
Ctrl + ,
で設定画面を開く- 検索ボックスに
@modified
と入力 - 変更された設定が表示されなければ初期化成功
VS Codeの動作確認
- エディタ:フォントサイズ、テーマが初期状態
- 拡張機能:拡張機能特有の設定が初期状態
- ファイル操作:保存、オートフォーマットが初期状態
必要な設定の再適用
初期化後、必要な設定を段階的に再適用します:
基本設定から始める
{
"editor.fontSize": 14,
"editor.tabSize": 2,
"editor.insertSpaces": true,
"files.autoSave": "afterDelay"
}
段階的に設定を追加
- 第1段階:基本的なエディタ設定
- 第2段階:テーマとUI設定
- 第3段階:拡張機能の設定
この順序で設定することで、問題が発生した場合に原因を特定しやすくなります。
よくある問題とトラブルシューティング
初期化したのに設定が残っている
原因と解決法
ワークスペース設定が残っている場合
- プロジェクトの
.vscode/settings.json
も確認・削除
拡張機能の設定が残っている場合
- 拡張機能固有の設定ファイルが別途存在
- 該当する拡張機能を一時的に無効化して確認
同期設定が有効な場合
- VS Codeの設定同期機能で他のデバイスから設定が復元される
Ctrl + Shift + P
→ “Settings Sync: Turn Off”
設定が反映されない
VS Codeの再起動
設定変更後は、VS Codeを完全に再起動してください:
- すべてのウィンドウを閉じる
- VS Codeを再起動
- 設定が反映されているか確認
キャッシュのクリア
# Windows
rd /s "%APPDATA%\Code\CachedExtensions"
# macOS・Linux
rm -rf ~/.vscode/extensions
特定の拡張機能の設定のみリセット
全体ではなく、特定の拡張機能の設定だけをリセットしたい場合:
方法
settings.json
を開く- 該当する拡張機能の設定項目のみを削除
- 拡張機能を一度無効化→有効化
例(ESLint拡張機能の設定をリセット)
{
"editor.fontSize": 14,
// 以下のESLint関連設定を削除
// "eslint.enable": true,
// "eslint.format.enable": true,
// "eslint.run": "onSave",
"workbench.colorTheme": "Dark+ (default dark)"
}
予防策とベストプラクティス

設定変更時のベストプラクティス
変更前のバックアップ習慣
# 日付付きバックアップの作成
cp settings.json settings_$(date +%Y%m%d).json
段階的な設定変更
- 一度に大量の設定を変更しない
- 変更後は必ず動作確認
- 問題があれば即座に元に戻す
設定の文書化
{
// フォントサイズ - 2024/12/07 視認性向上のため変更
"editor.fontSize": 14,
// 自動保存 - 2024/12/07 作業効率化のため有効化
"files.autoSave": "afterDelay"
}
設定管理の工夫
Git での設定管理
プロジェクトの.vscode/settings.json
はGitで管理できます:
# 個人設定は除外
.vscode/settings.json
# チーム共通設定は管理
!.vscode/settings.template.json
設定テンプレートの活用
// settings.template.json
{
"editor.tabSize": 2,
"editor.insertSpaces": true,
"eslint.enable": true,
"prettier.singleQuote": true
}
まとめ
VS Codeのsettings.json
初期化は、以下の方法で安全に実行できます:
推奨される手順
- 現在の設定をバックアップ
- 問題の原因を特定(可能であれば)
- 段階的なリセット(個別設定 → 部分削除 → 完全初期化)
- 動作確認と必要な設定の再適用
方法の使い分け
状況 | 推奨方法 | 理由 |
---|---|---|
軽微な問題 | GUI個別リセット | 安全性が高い |
設定ファイルの破損 | ファイル編集 | 直接的で確実 |
完全な初期化 | ファイル削除・リネーム | 最も確実 |
VS Code全体の問題 | 完全リセット | 根本的解決 |
注意点
- 必ずバックアップを取る
- 段階的にリセットする
- ワークスペース設定も確認する
- 設定同期機能の影響を考慮する
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