VS CodeでPython環境を構築しよう|pipを使ったライブラリ管理までわかりやすく解説

python

Pythonを使って開発や学習を進めるなら、まずしっかり整えたいのが開発環境です。

特にPythonで欠かせないのが、ライブラリ管理に使うpip

VS Codeを使えば、Pythonコードの編集からライブラリ管理まで、すべて一つの画面でスムーズに行えます。

この記事では、以下の内容を初心者向けにわかりやすく紹介します:

  • VS CodeでのPython環境の基本構築
  • pipを使ったライブラリインストールと管理
  • 仮想環境(venv)での環境分離
  • よくあるトラブルと解決方法
  • 実際のプロジェクトでの活用例

プログラミング未経験の方でも、ステップバイステップで確実に環境構築できるよう解説します!

スポンサーリンク

VS CodeでPython開発を始める準備

Python本体のインストール

ステップ1: Python公式サイトからダウンロード

まずはPython自体がPCに入っている必要があります。

Windowsの場合

  1. Python公式サイトにアクセス
  2. 「Download Python 3.11.x」(最新版)をクリック
  3. ダウンロードした実行ファイルを起動

重要: インストール時に必ず「Add Python 3.x to PATH」にチェックを入れてください!

これを忘れると、コマンドラインでPythonが使えなくなります。

ステップ2: インストールの確認

PowerShellまたはコマンドプロンプトを開いて、以下を実行:

python --version

正常な表示例

Python 3.11.5
pip --version

正常な表示例

pip 23.2.1 from C:\Python311\Lib\site-packages\pip (python 3.11)

VS Codeのインストールと設定

VS Code本体のインストール

  1. VS Code公式サイトからダウンロード
  2. インストーラーを実行
  3. デフォルト設定のままインストールでOK

Python拡張機能のインストール

手順

  1. VS Codeを起動
  2. 左サイドバーの拡張機能アイコン(四角が4つ)をクリック
  3. 検索欄に「Python」と入力
  4. Microsoft製のPython拡張機能をインストール

この拡張機能で使えるようになる機能

  • シンタックスハイライト – コードが色分けされて見やすくなる
  • コード補完 – 入力候補を自動表示
  • エラー検知 – 問題のある箇所を赤線で表示
  • デバッグ機能 – ステップ実行でコードの動作を確認
  • Linting – コード品質のチェック

インストール確認

Python拡張機能がインストールされると、VS Code左下に現在のPythonバージョンが表示されます:

Python 3.11.5 64-bit

pipを使ったライブラリ管理の基本

pipとは?

pipは、Pythonのパッケージ管理ツールです。

できること

  • ライブラリのインストール – NumPy、pandas、Flaskなど
  • バージョン管理 – 特定バージョンの指定
  • 依存関係の解決 – 必要なライブラリを自動で一緒にインストール
  • アンインストール – 不要になったライブラリの削除

基本的な使い方

VS Codeでターミナルを開く

Ctrl + Shift + (バッククォート)でターミナルを開きます。

または「表示」→「ターミナル」からも開けます。

基本コマンド

ライブラリのインストール

pip install requests

特定バージョンのインストール

pip install django==4.2.5

最新版へのアップグレード

pip install --upgrade numpy

インストール済みライブラリの確認

pip list

ライブラリの詳細情報

pip show pandas

ライブラリのアンインストール

pip uninstall requests

よく使われるライブラリ例

データ処理・分析

# データ分析の定番セット
pip install numpy pandas matplotlib

# 機械学習
pip install scikit-learn

# より高度な分析
pip install scipy seaborn

Webアプリケーション開発

# 軽量Webフレームワーク
pip install flask

# 本格的なWebフレームワーク
pip install django

# HTTP リクエスト処理
pip install requests

自動化・スクレイピング

# Webスクレイピング
pip install beautifulsoup4 selenium

# Excel操作
pip install openpyxl

# ファイル処理
pip install pathlib

requirements.txtでの依存関係管理

requirements.txtとは?

プロジェクトで使用するライブラリとそのバージョンを記録するファイルです。

作成方法

現在の環境を記録

pip freeze > requirements.txt

requirements.txtの内容例

numpy==1.24.3
pandas==2.0.3
matplotlib==3.7.1
requests==2.31.0
flask==2.3.3

環境の復元

他の環境で同じライブラリをインストール

pip install -r requirements.txt

これが便利な場面

  • 新しいPCでの開発環境構築
  • チームメンバーとの環境統一
  • 本番環境への展開

仮想環境(venv)を使った環境分離

なぜ仮想環境が必要なの?

問題例

プロジェクトA: Django 3.2が必要
プロジェクトB: Django 4.2が必要
→ 同じPCで両方は管理できない!

仮想環境の解決策

プロジェクトA: 仮想環境A(Django 3.2)
プロジェクトB: 仮想環境B(Django 4.2)
→ 切り替えて使える!

venvでの仮想環境作成

ステップ1: プロジェクトフォルダの準備

新しいプロジェクト用フォルダを作成

mkdir my-python-project
cd my-python-project

VS Codeでフォルダを開く

code .

ステップ2: 仮想環境の作成

VS Codeのターミナルで以下を実行:

python -m venv venv

何が起こるか?

  • venvという名前のフォルダが作成される
  • その中に独立したPython環境が構築される
  • プロジェクト専用のライブラリ管理ができるようになる

ステップ3: 仮想環境の有効化

Windowsの場合

.\venv\Scripts\activate

macOS/Linuxの場合

source venv/bin/activate

成功の確認 ターミナルの先頭に(venv)が表示されれば成功:

(venv) C:\my-python-project>

ステップ4: 仮想環境でのライブラリインストール

仮想環境が有効な状態で:

# この環境だけにpandasをインストール
pip install pandas

# requirements.txtがあれば一括インストール
pip install -r requirements.txt

ステップ5: 仮想環境の無効化

作業が終わったら:

deactivate

VS Codeで仮想環境を認識させる

インタープリタの選択

  1. VS Code左下のPythonバージョン表示をクリック
  2. 表示される一覧から仮想環境を選択

選択肢の例

Python 3.11.5 64-bit (Global)
Python 3.11.5 ('venv': venv) .\venv\Scripts\python.exe  ← これを選択

自動認識の設定

.vscode/settings.jsonで固定

{
  "python.defaultInterpreterPath": "./venv/Scripts/python.exe",
  "python.terminal.activateEnvironment": true
}

これで、プロジェクトを開くたびに自動で仮想環境が使われます。

実際のプロジェクト例で学ぶ

Webアプリケーション開発の例

プロジェクト構成の作成

ステップ1: フォルダ構成の準備

my-web-app/
├── venv/           # 仮想環境
├── app.py          # メインアプリケーション
├── requirements.txt # 依存関係
└── templates/      # HTMLテンプレート
    └── index.html

ステップ2: 仮想環境とライブラリの準備

# プロジェクトフォルダの作成
mkdir my-web-app
cd my-web-app

# VS Codeで開く
code .

# 仮想環境の作成
python -m venv venv

# 仮想環境の有効化(Windows)
.\venv\Scripts\activate

# Flaskのインストール
pip install flask

# requirements.txtの作成
pip freeze > requirements.txt

ステップ3: 簡単なWebアプリの作成

app.py

from flask import Flask, render_template

app = Flask(__name__)

@app.route('/')
def home():
    return render_template('index.html', message="Hello, Flask!")

if __name__ == '__main__':
    app.run(debug=True)

templates/index.html

<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
    <title>My Flask App</title>
</head>
<body>
    <h1>{{ message }}</h1>
    <p>VS CodeとFlaskで作った初めてのWebアプリです!</p>
</body>
</html>

ステップ4: アプリの実行

python app.py

ブラウザでhttp://localhost:5000にアクセスすると、Webアプリが表示されます!

データ分析プロジェクトの例

Jupyter Notebookでの分析環境

ステップ1: 分析用ライブラリのインストール

# 仮想環境を作成・有効化後
pip install jupyter pandas numpy matplotlib seaborn

# VS Code用のJupyter拡張機能も便利
# 拡張機能で「Jupyter」をインストール

ステップ2: サンプルデータ分析

analysis.py または analysis.ipynb

import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt

# サンプルデータの作成
data = {
    'name': ['Alice', 'Bob', 'Charlie', 'Diana'],
    'age': [25, 30, 35, 28],
    'score': [85, 92, 78, 96]
}

df = pd.DataFrame(data)

# データの確認
print(df)

# 簡単なグラフ作成
plt.figure(figsize=(8, 5))
plt.bar(df['name'], df['score'])
plt.title('Score by Person')
plt.ylabel('Score')
plt.show()

よくあるトラブルと解決方法

pipコマンドが動かない

症状1: 「pipは内部コマンドまたは外部コマンド…として認識されていません」

原因: PythonがPATHに追加されていない

解決方法

  1. Pythonの再インストール – 「Add Python to PATH」にチェック
  2. 手動でPATHを追加 – 環境変数でPythonのパスを追加
  3. フル指定で実行
python -m pip install ライブラリ名

症状2: pipとpythonのバージョンが合わない

確認方法

python --version
pip --version

解決方法

# pythonに対応するpipを使用
python -m pip install ライブラリ名

# またはpipをアップグレード
python -m pip install --upgrade pip

VS Codeでライブラリが認識されない

症状: ImportError: No module named ‘pandas’

原因と解決方法

原因1: 間違ったPython環境を使用

  • VS Code左下のインタープリタを正しい環境に変更

原因2: 異なる環境にインストール

  • 仮想環境を有効化してから再インストール
.\venv\Scripts\activate
pip install pandas

原因3: VS Codeが環境を認識していない

  • Ctrl + Shift + P → 「Python: Refresh Interpreters」
  • VS Codeの再起動

仮想環境関連のトラブル

症状: 仮想環境が有効化されない

Windowsでの実行ポリシーエラー

# PowerShellを管理者として実行
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser

パスにスペースが含まれている場合

# スペースを含まないパスに移動
mkdir C:\dev\my-project
cd C:\dev\my-project

症状: 仮想環境の切り替えがうまくいかない

解決方法

# 現在の仮想環境を無効化
deactivate

# 目的の仮想環境を有効化
.\venv\Scripts\activate

# VS Codeでインタープリタを再選択

高度な活用方法

pip-toolsでの依存関係管理

より精密な依存関係管理

インストール

pip install pip-tools

requirements.inファイルの作成

# requirements.in(直接使用するライブラリのみ)
django
pandas
requests

依存関係の解決とロック

pip-compile requirements.in
# → requirements.txtが自動生成される(依存関係も含む)

pipenvを使った統合管理

pipenv(より高度なツール)

インストール

pip install pipenv

プロジェクトの初期化

pipenv install django pandas

仮想環境の有効化

pipenv shell

VS Codeでの認識

  • pipenvで作成された仮想環境も自動で検出されます

Docker環境での開発

完全に隔離された環境

Dockerfile例

FROM python:3.11-slim

WORKDIR /app
COPY requirements.txt .
RUN pip install -r requirements.txt

COPY . .
CMD ["python", "app.py"]

VS CodeでのDocker開発

  • Remote-Containers拡張機能を使用
  • コンテナ内でVS Codeを開いて開発

チーム開発でのベストプラクティス

環境の統一

requirements.txtの管理

開発用と本番用の分離

# requirements/base.txt(共通)
django==4.2.5
pandas==2.0.3

# requirements/dev.txt(開発用)
-r base.txt
pytest==7.4.0
black==23.7.0

# requirements/prod.txt(本番用)
-r base.txt
gunicorn==20.1.0

.gitignoreの設定

# 仮想環境は除外
venv/
env/
.env

# キャッシュファイル
__pycache__/
*.pyc

VS Code設定の共有

.vscode/settings.jsonの共有

{
  "python.defaultInterpreterPath": "./venv/Scripts/python.exe",
  "python.linting.enabled": true,
  "python.linting.pylintEnabled": true,
  "python.formatting.provider": "black",
  "editor.formatOnSave": true
}

まとめ

VS Codeを使ったPython環境構築は、以下の手順で確実に行えます:

基本のセットアップ

  1. Pythonのインストール – 「Add to PATH」を忘れずに
  2. VS Codeの設定 – Python拡張機能のインストール
  3. pipの基本操作 – ライブラリのインストールと管理

実用的な環境管理

  1. 仮想環境の活用 – プロジェクトごとの環境分離
  2. requirements.txtでの管理 – 依存関係の記録と共有
  3. VS Codeとの連携 – インタープリタの適切な選択

よく使うコマンド

環境構築の基本フロー

# 1. プロジェクトフォルダ作成
mkdir my-project
cd my-project

# 2. VS Codeで開く
code .

# 3. 仮想環境作成
python -m venv venv

# 4. 仮想環境有効化
.\venv\Scripts\activate  # Windows
source venv/bin/activate # macOS/Linux

# 5. ライブラリインストール
pip install pandas numpy matplotlib

# 6. 依存関係保存
pip freeze > requirements.txt

# 7. VS Codeでインタープリタ選択
# 左下のPythonバージョンをクリック → venv環境を選択

コメント

タイトルとURLをコピーしました