Markdown(マークダウン)はREADMEやドキュメント、ブログ記事を書くときにとても便利な書式です。でも、書いている途中で以下のような不安を感じることはありませんか?
「見出しや箇条書きがちゃんと表示されるか確認したい」 「表の書式が正しく表示されているか見たい」 「リンクが正しく動作するか確認したい」 「画像がちゃんと表示されているか知りたい」
そんなとき、Visual Studio Code(VS Code)なら簡単にMarkdownをプレビューできます。しかもショートカットキーを使えば、一瞬でプレビュー画面を開くことができます。
この記事では、VS CodeでMarkdownをプレビューする基本のショートカットから、さらに効率的な使い方、カスタマイズ方法まで、初心者向けにわかりやすく詳しく解説します。
VS Code標準のMarkdownプレビュー機能

VS Codeの標準機能
VS CodeにはMarkdownプレビュー機能が最初から組み込まれています。追加の拡張機能をインストールしなくても、すぐにMarkdownファイルのプレビューを表示できます。
対応ファイル形式
以下の拡張子のファイルでプレビュー機能が使用できます:
.md
(最も一般的).markdown
.mdown
.mkd
.mkdn
基本のプレビューショートカット
プレビューをタブで開く
新しいタブでプレビューを表示するショートカットです。
Windows・Linux
Ctrl + Shift + V
macOS
Cmd + Shift + V
動作の詳細
- 現在編集中のMarkdownファイルの内容が新しいタブで表示される
- プレビュータブは読み取り専用
- 元のMarkdownファイルを編集すると、プレビューも自動更新される
サイド・バイ・サイドプレビュー(推奨)
編集画面とプレビューを左右に並べて表示する、最も実用的なショートカットです。
Windows・Linux
Ctrl + K → V
(Ctrlを押しながらKを押し、その後Vを押す2段階操作)
macOS
Cmd + K → V
この方法のメリット
- リアルタイム確認:編集内容が即座にプレビューに反映
- 効率的な作業:画面を切り替える必要がない
- レスポンシブ確認:表の幅や画像サイズを調整しながら確認可能
コマンドパレットからの実行
ショートカットを忘れた場合は、コマンドパレットからも実行できます:
Ctrl + Shift + P(Windows・Linux)
Cmd + Shift + P(macOS)
その後、以下のコマンドを入力:
Markdown: Open Preview
(新しいタブでプレビュー)Markdown: Open Preview to the Side
(サイド・バイ・サイド)
プレビューの詳細機能
自動スクロール同期
VS CodeのMarkdownプレビューには、編集画面とプレビューの位置を同期する機能があります。
同期の動作
- 編集画面でスクロール → プレビューも連動してスクロール
- プレビューでスクロール → 編集画面も連動してスクロール
- 編集位置の変更 → プレビューの対応部分が表示される
同期の無効化
もし同期が邪魔に感じる場合は、設定で無効にできます:
{
"markdown.preview.scrollPreviewWithEditor": false,
"markdown.preview.scrollEditorWithPreview": false
}
プレビューの更新タイミング
リアルタイム更新(デフォルト)
VS Codeでは、ファイルを保存しなくても編集内容がリアルタイムでプレビューに反映されます。
更新頻度の調整
更新頻度を調整したい場合は以下の設定が使用できます:
{
"markdown.preview.refreshInterval": 1000
}
(1000ミリ秒 = 1秒間隔で更新)
より便利にするカスタマイズ設定
自動プレビュー設定
ファイルを開いたときに自動でプレビューを表示
{
"markdown.preview.openMarkdownLinks": "inPreview",
"workbench.editorAssociations": {
"*.md": "vscode.markdown.preview.editor"
}
}
新しいMarkdownファイル作成時の自動プレビュー
{
"markdown.preview.doubleClickToSwitchToEditor": false
}
カスタムCSS の適用
プレビューのスタイル変更
独自のCSSファイルを作成してプレビューの見た目をカスタマイズできます:
{
"markdown.styles": [
"https://cdn.jsdelivr.net/npm/github-markdown-css@5/github-markdown.css",
"file:///C:/path/to/your/custom.css"
]
}
カスタムCSS例
/* custom-markdown.css */
.vscode-body {
font-family: 'Segoe UI', Tahoma, Geneva, Verdana, sans-serif;
line-height: 1.6;
max-width: 800px;
margin: 0 auto;
padding: 20px;
}
.vscode-body h1 {
color: #2c3e50;
border-bottom: 2px solid #3498db;
padding-bottom: 10px;
}
.vscode-body code {
background-color: #f8f9fa;
padding: 2px 4px;
border-radius: 3px;
font-family: 'Consolas', 'Monaco', monospace;
}
セキュリティ設定
セキュリティレベルの調整
Markdownプレビューのセキュリティレベルを調整できます:
{
"markdown.preview.markdownItPlugins": true,
"markdown.preview.typographer": true
}
外部リンクの取り扱い
{
"markdown.preview.openMarkdownLinks": "inEditor",
"markdown.links.openLocation": "currentGroup"
}
実践的な使い方とワークフロー

ドキュメント作成ワークフロー
ステップ1:ファイル作成とプレビュー表示
- 新しいMarkdownファイルを作成(
Ctrl + N
) - ファイルを
.md
で保存(Ctrl + S
) - サイド・バイ・サイドプレビューを開く(
Ctrl + K → V
)
ステップ2:構造の作成
# プロジェクト名
## 概要
プロジェクトの簡単な説明
## インストール方法
```bash
npm install package-name
ライセンス
#### ステップ3:リアルタイムでの確認と調整
- 見出しレベルの調整
- 表の列幅やレイアウトの確認
- コードブロックのシンタックスハイライト確認
- リンクの動作確認
### ブログ記事執筆での活用
#### 記事構造の可視化
```markdown
# タイトル
## はじめに
- 問題提起
- 記事の目的
## 本文
### セクション1
内容
### セクション2
内容
## まとめ
- 要点整理
- 次のアクション
画像とメディアの確認

<img src="./images/diagram.png" alt="図解" width="500">
[リンクテキスト](https://example.com)
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法
プレビューが表示されない
症状:ショートカットを押してもプレビューが開かない
解決方法:
- ファイルの拡張子が
.md
になっているか確認 - VS Codeを再起動
- コマンドパレットから手動で実行してみる
プレビューの表示が崩れる
症状:Markdownの表示が期待と異なる
解決方法:
- HTMLタグの確認:不正なHTMLタグがないかチェック
- マークダウン構文の確認:スペースやインデントが正しいかチェック
- 文字エンコーディング:ファイルがUTF-8で保存されているか確認
数式が表示されない
症状:LaTeX記法の数式が表示されない
解決方法:
{
"markdown.math.enabled": true
}
絵文字が表示されない
症状::smile:
などの絵文字記法が文字のまま表示される
解決方法:
{
"markdown.preview.fontFamily": "system-ui, -apple-system, sans-serif"
}
拡張機能との競合
他のMarkdown拡張機能がある場合
複数のMarkdown拡張機能がインストールされていると、競合することがあります:
- 拡張機能の確認:
Ctrl + Shift + X
で拡張機能一覧を確認 - 優先度の調整:設定で使用する拡張機能を指定
- 一時的な無効化:問題のある拡張機能を一時的に無効化
おすすめの拡張機能
Markdown Preview Enhanced
より高機能なプレビューが必要な場合:
拡張機能ID: shd101wyy.markdown-preview-enhanced
追加機能:
- 数式のサポート(KaTeX、MathJax)
- 図表の生成(Mermaid、PlantUML)
- プレゼンテーションモード
- PDFエクスポート
Markdown All in One
Markdown編集を総合的にサポート:
拡張機能ID: yzhang.markdown-all-in-one
主要機能:
- 自動目次生成
- テーブルフォーマッター
- キーボードショートカットの拡張
- 数式のサポート
markdownlint
Markdown記法のチェック:
拡張機能ID: DavidAnson.vscode-markdownlint
機能:
- 構文エラーの検出
- スタイルガイドのチェック
- 自動修正の提案
パフォーマンス最適化
大きなファイルでの最適化
プレビュー更新の最適化
{
"markdown.preview.scrollPreviewWithEditor": false,
"markdown.preview.markdownItPlugins": false
}
メモリ使用量の削減
{
"markdown.preview.refreshInterval": 2000,
"workbench.editor.limit.enabled": true,
"workbench.editor.limit.value": 10
}
起動速度の改善
不要な機能の無効化
{
"markdown.preview.breaks": false,
"markdown.preview.linkify": false,
"markdown.preview.typographer": false
}
高度な活用テクニック

カスタムショートカットの設定
独自のキーバインド作成
keybindings.json
にカスタムショートカットを追加:
[
{
"key": "ctrl+m ctrl+p",
"command": "markdown.showPreviewToSide",
"when": "editorLangId == markdown"
},
{
"key": "ctrl+m ctrl+v",
"command": "markdown.showPreview",
"when": "editorLangId == markdown"
}
]
ワークスペース固有の設定
プロジェクトごとの設定
.vscode/settings.json
にプロジェクト固有の設定を記述:
{
"markdown.styles": [
"./docs/styles/custom.css"
],
"markdown.preview.fontFamily": "Georgia, serif",
"markdown.preview.fontSize": 16
}
自動化スクリプト
タスクランナーとの連携
.vscode/tasks.json
でMarkdown処理を自動化:
{
"version": "2.0.0",
"tasks": [
{
"label": "Markdown to PDF",
"type": "shell",
"command": "markdown-pdf",
"args": ["${file}"],
"group": "build"
}
]
}
まとめ
VS CodeでMarkdownプレビューを効率的に使いこなすためのポイントをまとめます:
基本ショートカット
- 新しいタブでプレビュー:
Ctrl + Shift + V
(MacはCmd + Shift + V) - サイド・バイ・サイドプレビュー:
Ctrl + K → V
(MacはCmd + K → V)
効率的な使い方
- サイド・バイ・サイドを活用してリアルタイム確認
- 自動スクロール同期で編集位置を常に確認
- カスタムCSSで見やすいプレビューに調整
カスタマイズのポイント
- settings.jsonで自分好みの設定に調整
- 拡張機能で機能を拡張
- ワークスペース設定でプロジェクトごとに最適化
トラブル対応
- ファイル拡張子とエンコーディングを確認
- 拡張機能の競合をチェック
- 設定のリセットで初期状態に戻す
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