「ターミナルが開いているグループに誤ってファイルが開いてしまう…」
「分割したエディタのレイアウトを維持したい…」
VS Codeで画面を分割して作業していると、こんな悩みを抱えることがありますよね。
この記事では、VS Code 1.60以降で利用可能な「エディタグループのロック機能」について、基本的な使い方から便利な活用方法まで、分かりやすく解説していきます。
エディタグループのロック機能とは?

まず、VS Codeのエディタグループとロック機能について理解しましょう。
エディタグループとは
エディタグループとは、VS Codeで画面を分割した際にできる、それぞれの編集エリアのことです。
例:
- 画面を左右に分割 → 左右それぞれが1つのエディタグループ
- 画面を上下に分割 → 上下それぞれが1つのエディタグループ
- 左右に分割後、さらに右側を上下に分割 → 合計3つのエディタグループ
各エディタグループには独立したタブバーがあり、複数のファイルを開いて切り替えることができます。
ロック機能の目的
エディタグループをロックすると、そのグループに新しいファイルが自動的に開かれなくなります。
よくある困りごと:
- ターミナルを右側に表示している
- ターミナルにフォーカスがある状態で、エクスプローラーからファイルを開く
- ターミナルのグループに新しいファイルが開いてしまう
- ターミナルが隠れてしまう
ロック機能で解決:
- ターミナルのグループをロックしておけば、新しいファイルは別のグループに開く
- ターミナルが常に表示され続ける
対応バージョン
- 実験的機能: VS Code 1.60(2021年8月)
- 正式機能: VS Code 1.61(2021年9月)以降
エディタグループを手動でロックする方法
まずは基本的な手動ロックの方法を見ていきましょう。
方法1: エディタグループメニューから
最も簡単な方法です。
手順:
- ロックしたいエディタグループをクリックしてアクティブにする
- エディタタブバーの右上にある「…」(その他のアクション)をクリック
- メニューから「グループのロック」(Lock Group)を選択
これでエディタグループがロックされ、グループの右上に🔒(錠前アイコン)が表示されます。
方法2: コマンドパレットから
手順:
- ロックしたいエディタグループをアクティブにする
- Ctrl + Shift + P(Mac: Cmd + Shift + P)でコマンドパレットを開く
- 「Lock Group」または「グループのロック」と入力
- 「View: Lock Editor Group」を選択
方法3: 空のエディタグループから
エディタグループにタブが何も開いていない状態でも、ロックできます。
手順:
- 空のエディタグループをクリック
- 中央に表示される🔒(錠前アイコン)をクリック
- または、右クリックメニューから「グループのロック」を選択
エディタグループのロックを解除する方法
ロックを解除したい場合の手順です。
方法1: 錠前アイコンから
手順:
- ロックされているエディタグループの右上の🔒(錠前アイコン)をクリック
これだけでロックが解除されます。
方法2: エディタグループメニューから
手順:
- ロックされているエディタグループをアクティブにする
- エディタタブバーの右上の「…」をクリック
- メニューから「グループのロック解除」(Unlock Group)を選択
方法3: コマンドパレットから
手順:
- ロックされているエディタグループをアクティブにする
- Ctrl + Shift + P(Mac: Cmd + Shift + P)でコマンドパレットを開く
- 「Unlock Group」または「グループのロック解除」と入力
- 「View: Unlock Editor Group」を選択
方法4: トグルコマンド
ロックとロック解除を切り替えるコマンドもあります。
手順:
- エディタグループをアクティブにする
- コマンドパレットで「View: Toggle Editor Group Lock」を実行
ロックされたエディタグループの挙動
ロック後の動作を理解しておきましょう。
新しいファイルを開いた場合
ロックされていないグループがある場合:
- 最後に使用したロックされていないグループに開く
すべてのグループがロックされている場合:
- 新しいエディタグループが自動的に作成され、そこに開く
ロックされたグループでファイルを開く方法
ロックされていても、意図的にそのグループでファイルを開くことは可能です。
方法:
- ファイルをドラッグ&ドロップでロックされたグループに持っていく
- ロックされたグループのタブをクリックしてから、別のファイルを開く
既に開いているファイルの場合
ロックされたグループに既に開いているファイルをクリックした場合は、そのグループで表示されます。
自動ロック機能の設定
特定の種類のエディタを自動的にロックすることができます。
workbench.editor.autoLockGroups 設定
VS Code 1.61以降で使用可能です。
設定手順:
- Ctrl + ,(Mac: Cmd + ,)で設定を開く
- 検索ボックスに「autoLockGroups」と入力
- 「Workbench › Editor: Auto Lock Groups」の設定を編集
デフォルト設定
デフォルトでは、統合ターミナルのみが自動ロックの対象です。
デフォルト値:
{
"workbench.editor.autoLockGroups": {
"terminalEditor": true
}
}
設定できるエディタタイプ
以下のエディタタイプを自動ロック対象に追加できます。
よく使われるタイプ:
terminalEditor:統合ターミナル(デフォルトで有効)workbench.editor.markdown.preview:MarkdownプレビューimagePreview.previewEditor:画像プレビューvscode.audioPreview:音声プレビューvscode.videoPreview:動画プレビューmainThreadWebview-simpleBrowser:シンプルブラウザmainThreadWebview-markdown.preview:Markdownプレビュー(別の識別子)
設定例
例1: ターミナルとMarkdownプレビューを自動ロック
settings.jsonに以下を追加:
{
"workbench.editor.autoLockGroups": {
"terminalEditor": true,
"workbench.editor.markdown.preview": true
}
}
例2: 画像プレビューも追加
{
"workbench.editor.autoLockGroups": {
"terminalEditor": true,
"workbench.editor.markdown.preview": true,
"imagePreview.previewEditor": true
}
}
設定のポイント
自動ロックが適用されるタイミング:
- 指定したタイプのエディタがグループの最初に開かれた場合
- かつ、複数のエディタグループが開かれている場合
重要:
- 1つのエディタグループしか開いていない場合、自動ロックは適用されない
- 既にファイルが開いているグループに後からターミナルを開いても、自動ロックされない
エディタグループのロックに関連するコマンド
ショートカットキーを割り当てると便利です。
利用可能なコマンド
- View: Lock Editor Group
- アクティブなエディタグループをロック
- View: Unlock Editor Group
- アクティブなロックされたエディタグループのロックを解除
- View: Toggle Editor Group Lock
- アクティブなエディタグループのロック状態を切り替え
ショートカットキーの設定方法
手順:
- Ctrl + K Ctrl + S(Mac: Cmd + K Cmd + S)でキーボードショートカット設定を開く
- 検索ボックスに「lock group」と入力
- 設定したいコマンドの左側の「+」アイコンをクリック
- 任意のキーバインドを入力(例:Ctrl + K Ctrl + L)
- Enterキーで確定
おすすめのショートカット例
例:
{
"key": "ctrl+k ctrl+l",
"command": "workbench.action.toggleEditorGroupLock",
"when": "multipleEditorGroups"
}
意味:
- Ctrl + K を押した後、Ctrl + L を押すと、エディタグループのロック/ロック解除を切り替え
- 複数のエディタグループが開いている場合のみ有効
実用的な活用例
エディタグループのロック機能を使った、便利な作業パターンをご紹介します。
活用例1: ターミナルを常に表示
シナリオ:
- コードを書きながら、ターミナルの出力を常に確認したい
設定:
- 画面を左右に分割(Ctrl + \)
- 右側でターミナルを開く(Ctrl + Shift + `)
- 自動ロック設定により、ターミナルのグループが自動的にロックされる
結果:
- エクスプローラーからファイルを開いても、左側にのみ開く
- ターミナルが常に右側に表示され続ける
活用例2: Markdownプレビューを維持
シナリオ:
- Markdownファイルを編集しながら、プレビューを常に確認したい
手順:
- Markdownファイルを開く
- Ctrl + K Vでプレビューを横に開く
- 自動ロック設定(workbench.editor.markdown.previewが有効な場合)により、プレビューグループがロックされる
結果:
- 別のファイルを開いても、プレビューが隠れない
活用例3: 参照コードを固定
シナリオ:
- 参照用のコードを見ながら、別のファイルで作業したい
手順:
- 画面を3分割(左、中央、右)
- 左側に参照コード(例:API仕様書)を開く
- 左側のグループを手動でロック
- 中央と右側で作業
結果:
- 左側の参照コードが固定される
- 中央と右側で複数のファイルを開いても、左側は変わらない
活用例4: デバッグ出力専用グループ
シナリオ:
- デバッグ中、ログ出力を常に表示しておきたい
手順:
- 画面を上下に分割
- 下側にログファイルを開く
- 下側のグループを手動でロック
- 上側でコード編集
結果:
- 下側のログファイルが常に表示される
- ログを確認しながらコード編集できる
活用例5: 複数プロジェクトの比較
シナリオ:
- 2つのプロジェクトのコードを見比べたい
手順:
- 画面を左右に分割
- 左側にプロジェクトAのファイル、右側にプロジェクトBのファイルを開く
- 両方のグループをロック
- それぞれのグループで、同じ構造のファイルを開いていく
結果:
- 左側は常にプロジェクトA、右側は常にプロジェクトBのファイルが開く
- グループが混ざらずに比較できる
よくある質問

Q1: ロックしたグループでファイルを開きたい場合は?
A: 以下の方法で開けます。
- ファイルをドラッグ&ドロップ
- ロックされたグループをアクティブにしてから、Ctrl + O(Mac: Cmd + O)でファイルを開く
- ロックされたグループの既存のタブをクリックしてから、別のファイルを開く
Q2: すべてのグループをロックしたらどうなる?
A: 新しいファイルを開くと、自動的に新しいエディタグループが作成されます。
レイアウトが意図せず変わる可能性があるため、通常は1つ以上のロックされていないグループを残しておくことをおすすめします。
Q3: ロックしたグループのタブを閉じるとどうなる?
A: ロック状態は維持されます。
空のエディタグループになっても、🔒アイコンが表示され続け、ロックされたままです。
Q4: ロック設定は保存される?
A: はい、ワークスペースごとに保存されます。
VS Codeを閉じて再度開いても、ロックされたグループは同じ状態を維持します。
Q5: 自動ロックが働かない
A: 以下を確認してください。
- 複数のエディタグループが開いているか
- 1つのグループしかない場合、自動ロックは機能しません
- グループの最初に対象エディタが開かれたか
- 既にファイルが開いているグループに後からターミナルを開いても、自動ロックされません
- 設定が正しいか
- settings.jsonの
workbench.editor.autoLockGroupsを確認
Q6: VS Codeのバージョンが古い
A: エディタグループのロック機能は、VS Code 1.60以降で利用可能です。
- Help → About(Mac: Code → About Visual Studio Code)でバージョンを確認
- 古い場合は、最新版にアップデート
Q7: 特定の拡張機能のエディタを自動ロックしたい
A: 拡張機能のエディタタイプIDを調べる必要があります。
調べ方:
- 対象のエディタを開く
- コマンドパレット(Ctrl + Shift + P)で「Developer: Show Running Extensions」を実行
- または、拡張機能のドキュメントを確認
- エディタタイプIDを
workbench.editor.autoLockGroupsに追加
Q8: グループのロックとタブのピン留めの違いは?
A: 全く異なる機能です。
タブのピン留め:
- 特定のタブを固定
- そのタブが簡単に閉じられないようにする
- 同じグループ内の他のタブには影響しない
グループのロック:
- グループ全体の動作を変更
- 新しいファイルがそのグループに開かれないようにする
- グループ内のすべてのタブに影響
エディタグループのロック機能の制限
この機能にはいくつかの制限があります。
1. 1つのグループしかない場合は無効
状況:
- エディタグループが1つしか開いていない
結果:
- ロック機能は適用されない
- すべてのファイルがそのグループに開く
理由:
- ファイルを開けなくなってしまうため
2. 手動操作は制限されない
以下の操作は可能:
- ロックされたグループに手動でファイルをドラッグ&ドロップ
- ロックされたグループをアクティブにしてから、ファイルを開く
- ロックされたグループ内のファイルを編集
ロックが防ぐのは:
- 自動的にファイルが開かれること
- 予期しないタブの追加
3. すべてのエディタタイプで動作するわけではない
確認方法:
- 自動ロックしたいエディタタイプのIDを正確に指定する必要がある
- 一部の拡張機能のエディタは、IDが不明な場合がある
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法です。
問題1: 自動ロックが機能しない
確認項目:
- VS Codeのバージョン
- 1.60以降か確認
- 複数のグループが開いているか
- 1つしかない場合、分割してから試す
- 設定の構文
{
"workbench.editor.autoLockGroups": {
"terminalEditor": true
}
}
- カンマやカギカッコの位置を確認
- エディタタイプID
- 正しいIDを指定しているか
問題2: ロックアイコンが表示されない
原因:
- グループが実際にロックされていない
- または、UIのバグ
対処法:
- グループをいったん閉じて、再度分割
- ロックコマンドを再実行
- VS Codeを再起動
問題3: ロック解除できない
対処法:
- コマンドパレットから実行
- Ctrl + Shift + P → 「Unlock Group」
- 設定を確認
- 自動ロック設定が影響している可能性
- VS Codeを再起動
問題4: レイアウトが意図せず変わる
原因:
- すべてのグループをロックしている
対処法:
- 少なくとも1つのグループはロックを解除しておく
- または、新しいグループが作成されることを前提にレイアウトを調整
まとめ
VS Codeのエディタグループのロック機能をご紹介しました。
基本的な使い方:
- エディタグループの「…」メニューから「グループのロック」を選択
- 🔒アイコンで状態を確認
- ロック解除は🔒アイコンをクリック
自動ロック設定:
{
"workbench.editor.autoLockGroups": {
"terminalEditor": true,
"workbench.editor.markdown.preview": true
}
}
利用可能なコマンド:
- View: Lock Editor Group
- View: Unlock Editor Group
- View: Toggle Editor Group Lock
活用シーン:
- ターミナルを常に表示
- Markdownプレビューを維持
- 参照コードを固定
- デバッグ出力専用グループ
- 複数プロジェクトの比較
重要なポイント:
- 複数のエディタグループが必要
- 手動操作は制限されない
- ワークスペースごとに保存される
- VS Code 1.60以降で利用可能
エディタグループのロック機能を活用すれば、作業効率が大幅に向上します。
特にターミナルやプレビューを常に表示したい場合に便利なので、ぜひ活用してみてください!


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