「パソコンの中に、もう一台パソコンを作りたい…」
Windows上でLinuxを動かしたい、古いソフトを試したい、テスト環境が欲しい。そんな時に便利なのが「仮想化ソフトウェア」です。
VMwareは、世界中で使われている仮想化ソフトウェアの代表格。一台のパソコンの中に、複数の仮想マシン(仮想的なパソコン)を作ることができるんです。
この記事では、VMwareのダウンロードからインストール、初期設定まで、初心者の方にも分かりやすく詳しく解説していきます。
VMwareとは?

まずは、VMwareの基本を理解しておきましょう。
仮想化ソフトウェアとは
仮想化ソフトウェアは、パソコンの中に「仮想的なパソコン」を作り出すソフトです。
できること
- Windows上でLinuxを動かす
- Mac上でWindowsを動かす
- 複数のOSを同時に起動
- ソフトウェアのテスト環境を作る
- 安全にウイルス検証を行う
本物のパソコンを買わなくても、ソフトウェアだけで別の環境を作れるんです。
VMwareの種類
VMwareにはいくつかの製品があります。
個人向け製品
- VMware Workstation Player:無料版(個人利用のみ)
- VMware Workstation Pro:有料版(約3万円)
- VMware Fusion:Mac専用(有料)
- VMware Fusion Player:Mac専用無料版
企業向け製品
- VMware ESXi:サーバー仮想化
- VMware vSphere:データセンター向け
この記事では、個人ユーザーに最適な「VMware Workstation Player」を中心に解説します。
VMware Workstation PlayerとProの違い
どちらを選ぶべきか、違いを理解しておきましょう。
Workstation Player(無料版)
- 個人・非商用利用のみ
- 仮想マシンの作成と実行
- スナップショット機能なし
- 基本的な機能のみ
Workstation Pro(有料版)
- 商用利用可能
- スナップショット機能
- クローン作成
- 高度なネットワーク設定
- 複数仮想マシンの同時起動
初心者や個人利用であれば、無料版で十分です。
システム要件の確認
インストール前に、パソコンが要件を満たしているか確認しましょう。
Windows版の動作環境
必須要件
- OS:Windows 10/11(64ビット)
- CPU:64ビット対応のx86プロセッサ
- メモリ:最低4GB(推奨8GB以上)
- ストレージ:1.5GB以上の空き容量
- ディスプレイ:1024×768以上の解像度
推奨要件
- メモリ:16GB以上
- ストレージ:SSD(高速起動のため)
- CPU:Intel VT-xまたはAMD-V対応
仮想マシンを快適に動かすには、余裕のあるスペックが必要です。
Mac版の動作環境
必須要件
- OS:macOS 11.0以降
- CPU:Intel Core i5以上(Apple Silicon M1/M2も対応)
- メモリ:最低4GB(推奨8GB以上)
- ストレージ:2GB以上の空き容量
Apple Silicon Mac(M1/M2チップ)では、VMware Fusion Playerが必要です。
仮想化支援機能の確認
CPUの仮想化支援機能が有効になっている必要があります。
確認方法(Windows)
- タスクマネージャーを開く(Ctrl+Shift+Esc)
- 「パフォーマンス」タブをクリック
- 「CPU」を選択
- 「仮想化」の項目を確認
「有効」と表示されていればOKです。
「無効」の場合は、BIOS/UEFI設定で有効化する必要があります。
【Windows版】ダウンロード方法
それでは、実際にVMware Workstation Playerをダウンロードしていきましょう。
公式サイトへのアクセス
手順
- Broadcom公式サイト(https://www.broadcom.com/)にアクセス
- 検索バーで「VMware Workstation Player」を検索
- ダウンロードページに移動
※2024年にVMwareはBroadcomに買収されたため、公式サイトが変更されています。
アカウントの作成
ダウンロードには、無料のアカウント作成が必要です。
登録手順
- 「Create an Account」をクリック
- メールアドレスを入力
- パスワードを設定
- 必要事項を入力
- 利用規約に同意
- 「Sign Up」をクリック
- 確認メールが届く
- メール内のリンクをクリックして認証
ダウンロードの実行
手順
- ログイン後、ダウンロードページへ移動
- 「VMware Workstation 17 Player for Windows」を選択
- 最新バージョンを確認
- 「Download Now」をクリック
- ダウンロードが開始される
ファイルサイズは約600MB程度です。ダウンロードには数分かかります。
ダウンロードファイルの確認
ダウンロードが完了すると、以下のようなファイルが保存されます。
ファイル名の例
- VMware-player-17.x.x-xxxxxxxx.exe
バージョン番号は最新のものになります。
【Windows版】インストール方法
ダウンロードしたファイルをインストールしていきます。
インストール手順
ステップ1:インストーラーの起動
- ダウンロードフォルダを開く
- 「VMware-player-xx.exe」をダブルクリック
- ユーザーアカウント制御が表示されたら「はい」をクリック
ステップ2:セットアップウィザード
- 「Next」をクリック
- 使用許諾契約を読む
- 「I accept the terms…」にチェック
- 「Next」をクリック
ステップ3:インストールオプションの選択
- インストール先フォルダを確認(通常は変更不要)
- 「Enhanced Keyboard Driver」にチェック(推奨)
- 「Next」をクリック
ステップ4:ユーザーエクスペリエンスの設定
- 「Help improve VMware Workstation Player」のチェックは任意
- デスクトップショートカットを作成したい場合はチェック
- 「Next」をクリック
ステップ5:インストール準備完了
- 設定内容を確認
- 「Install」をクリック
- インストールが開始される(5〜10分程度)
ステップ6:インストール完了
- 「Finish」をクリック
- 再起動を求められた場合は再起動
これでインストールは完了です。
【Mac版】ダウンロード・インストール方法

Mac版のVMware Fusion Playerのインストール手順です。
Mac版のダウンロード
手順
- Broadcom公式サイトにアクセス
- 「VMware Fusion Player」を検索
- Mac用の最新版を選択
- アカウントでログイン
- ダウンロードを実行
Mac版のインストール
手順
- ダウンロードした.dmgファイルをダブルクリック
- インストーラーが開く
- 「VMware Fusion」アイコンをダブルクリック
- インストーラーの指示に従う
- 管理者パスワードを入力
- インストールが完了するまで待つ
Apple Siliconでの注意点
M1/M2チップ搭載のMacでは、以下の点に注意してください。
制限事項
- 64ビットARM版のOSのみサポート
- 一部のx86専用OSは動作しない
- パフォーマンスに制約がある場合も
Intel Mac用とは別のバージョンなので、ダウンロード時に確認が必要です。
初回起動と初期設定
インストールが完了したら、初期設定を行いましょう。
初回起動
手順
- デスクトップのショートカットをダブルクリック
- またはスタートメニューから「VMware Workstation Player」を起動
- 初回起動画面が表示される
ライセンスの選択
選択肢
- Use VMware Workstation Player for free for non-commercial use
→ 個人・非商用利用(無料) - Enter a license key
→ ライセンスキーを持っている場合
個人利用の場合は、無料版を選択してください。
手順
- 「Use VMware Workstation Player for free…」を選択
- 「Continue」をクリック
- メールアドレスを入力(任意)
- 「Finish」をクリック
ソフトウェア更新の設定
手順
- 自動更新の確認画面が表示される
- 「Check for updates on startup」を選択(推奨)
- 「OK」をクリック
これで基本的な設定は完了です。
仮想マシンの作成手順
VMwareが使えるようになったので、実際に仮想マシンを作ってみましょう。
新しい仮想マシンの作成
手順
- VMware Workstation Playerを起動
- 「Create a New Virtual Machine」をクリック
- 仮想マシン作成ウィザードが開始
インストール方法の選択
選択肢
- Installer disc:物理的なインストールディスク
- Installer disc image file (iso):ISOファイル
- I will install the operating system later:後でインストール
通常は、ISOファイルを使用します。
手順
- 「Installer disc image file (iso)」を選択
- 「Browse」をクリック
- ダウンロードしたOSのISOファイルを選択
- 「Next」をクリック
ゲストOSの選択
手順
- ゲストOS(インストールするOS)を選択
- Windows
- Linux
- その他
- バージョンを選択(例:Ubuntu 22.04)
- 「Next」をクリック
仮想マシン名と保存場所の設定
手順
- 仮想マシンの名前を入力(例:Ubuntu_Test)
- 保存場所を確認(変更可能)
- 「Next」をクリック
ディスク容量の設定
手順
- 最大ディスクサイズを設定(推奨値が表示される)
- ストレージオプションを選択
- Store virtual disk as a single file:1つのファイル(高速)
- Split virtual disk into multiple files:複数ファイル(移動が容易)
- 「Next」をクリック
ハードウェア設定のカスタマイズ
手順
- 「Customize Hardware」をクリック
- 以下の項目を調整できる
- Memory:メモリ容量(推奨:2GB以上)
- Processors:CPU数
- Network Adapter:ネットワーク設定
- Display:グラフィック設定
- 設定を確認したら「Close」をクリック
仮想マシンの作成完了
手順
- 設定内容を確認
- 「Finish」をクリック
- 仮想マシンが作成される
これで仮想マシンの準備が整いました。
仮想マシンの起動とOSインストール
作成した仮想マシンを起動して、OSをインストールしましょう。
仮想マシンの起動
手順
- 仮想マシンを選択
- 「Play virtual machine」をクリック
- 仮想マシンのウィンドウが開く
- OSのインストーラーが起動
OSのインストール
インストール手順は、OSによって異なります。
一般的な流れ
- 言語を選択
- キーボード配置を選択
- インストールタイプを選択
- パーティションを設定
- ユーザー名とパスワードを設定
- インストールを実行
- 完了を待つ(10〜30分程度)
画面の指示に従って進めれば、問題なくインストールできます。
VMware Toolsのインストール
OSインストール後、VMware Toolsをインストールすると機能が向上します。
機能の向上
- マウスカーソルの移動がスムーズに
- ホストとゲスト間でコピー&ペーストが可能
- 画面解像度の自動調整
- ファイルの共有が簡単に
インストール方法
- 仮想マシンを起動
- メニューから「Player」→「Manage」→「Install VMware Tools」を選択
- ゲストOS内でインストーラーが起動
- 指示に従ってインストール
- 再起動
これで、仮想マシンが快適に使えるようになります。
よくあるトラブルと解決方法

インストール時や使用時によくある問題と対処法です。
トラブル1:仮想化が有効になっていないエラー
エラーメッセージ
「Intel VT-x/AMD-Vを有効にしてください」
対処法
- パソコンを再起動
- BIOS/UEFI設定画面に入る(起動時にF2、Del、F12などを押す)
- 「Virtualization Technology」または「Intel VT-x」を探す
- 「Enabled」に変更
- 設定を保存して再起動
トラブル2:インストールが途中で失敗する
対処法
- インストーラーを管理者権限で実行
- セキュリティソフトを一時的に無効化
- 空き容量が十分か確認
- 古いバージョンがある場合は完全にアンインストール
- 再度インストールを試す
トラブル3:仮想マシンが起動しない
対処法
- VMwareを最新版に更新
- 仮想マシンの設定を確認
- メモリ割り当てが適切か確認
- ISOファイルが破損していないか確認
- ログファイルでエラーを確認
トラブル4:動作が遅い
対処法
- 仮想マシンのメモリを増やす
- CPUコア数を増やす
- ホストOSで不要なアプリを終了
- SSDを使用する
- 3Dアクセラレーションを無効化(設定が重い場合)
トラブル5:ネットワークに接続できない
対処法
- ネットワークアダプタの設定を確認
- 「NAT」または「Bridged」に変更してみる
- ホストOSのファイアウォール設定を確認
- VMwareのネットワークサービスが起動しているか確認
アンインストール方法
VMwareが不要になった場合のアンインストール手順です。
Windowsでのアンインストール
手順
- 「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」を開く
- 「VMware Workstation Player」を探す
- 「アンインストール」をクリック
- アンインストーラーの指示に従う
- 再起動を求められたら再起動
仮想マシンのファイルは自動的には削除されないので、必要に応じて手動で削除してください。
Macでのアンインストール
手順
- Finderで「アプリケーション」フォルダを開く
- 「VMware Fusion」を右クリック
- 「ゴミ箱に入れる」を選択
- 管理者パスワードを入力
- ゴミ箱を空にする
よくある質問
Q: VMwareは完全無料で使える?
A: VMware Workstation Playerは、個人・非商用利用であれば完全無料です。商用利用にはVMware Workstation Pro(有料)が必要です。
Q: どんなOSを仮想マシンにインストールできる?
A: Windows、Linux、macOS(Mac版のみ)、FreeBSDなど、多くのOSに対応しています。ただし、適切なライセンスが必要です。
Q: 仮想マシンは何台まで作れる?
A: ストレージ容量が許す限り、何台でも作成できます。ただし、同時に起動できる数はパソコンのスペックに依存します。
Q: ゲームはプレイできる?
A: 3Dグラフィックを多用するゲームは、仮想マシンでは快適に動作しません。軽量なゲームであれば可能ですが、推奨されません。
Q: VirtualBoxとの違いは?
A: どちらも仮想化ソフトですが、VMwareの方が全体的にパフォーマンスと安定性が高い傾向にあります。VirtualBoxは完全無料でオープンソースです。
まとめ
VMwareのインストール方法について解説しました。
重要なポイントをおさらいしましょう。
- VMwareは一台のパソコンで複数のOSを動かせる仮想化ソフト
- 個人利用ならWorkstation Player(無料版)で十分
- システム要件を満たしているか事前確認が必要
- 公式サイトからダウンロード(アカウント登録必要)
- インストールは10分程度で完了
- 仮想化支援機能の有効化が必須
- VMware Toolsのインストールで快適性が向上
VMwareを使えば、Windowsで開発環境を構築したり、別のOSを試したり、様々なことができます。
この記事の手順に従えば、初心者の方でも安全にVMwareをインストールできるはずです。ぜひ挑戦してみてください!

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