パソコンでゲームやソフトをインストールしようとしたとき、「Microsoft Visual C++ ランタイムが必要です」というメッセージを見たことはありませんか。
「ランタイム」という言葉を聞いても、なんだかよくわからないですよね。でも実は、多くのWindowsアプリが正常に動くために必要な、とても重要な仕組みなんです。
この記事では、Visual C++ ランタイムとは何か、なぜ必要なのか、よくあるエラーと対処法まで、わかりやすく解説します。
Visual C++ ランタイムとは

プログラムを動かすための「部品箱」
Visual C++ ランタイム(Runtime)とは、Visual C++という開発ツールで作られたソフトを動かすために必要な「プログラム部品の集まり」のことです。
例えるなら、プラモデルを作るとき、完成品だけもらっても接着剤や塗料がないと完成しないのと同じ。ソフト本体があっても、それを動かすための「部品」がないと動かないんです。
正式には「ランタイムライブラリ」
正式名称は「Visual C++ Runtime Library(ランタイムライブラリ)」といいます。これは、以下のような機能を提供する共通プログラムの集まりです。
- メモリ管理:プログラムが使うメモリを確保・解放する
- 文字列処理:テキストを扱うための機能
- 数学計算:複雑な計算を行う機能
- ファイル入出力:ファイルの読み書き
- 標準C/C++関数:プログラミング言語の基本機能
DLLファイルとして提供される
Visual C++ ランタイムは、実際には「.dll」という拡張子のファイルとして提供されます。
主なファイル名:
msvcr100.dll(Visual C++ 2010用)msvcr120.dll(Visual C++ 2013用)vcruntime140.dll(Visual C++ 2015~2022用)msvcp140.dll(C++標準ライブラリ)
再頒布可能パッケージとの違い
「ランタイム」と「再頒布可能パッケージ」は同じもの?
結論から言うと、ほぼ同じものです。厳密には以下のような違いがあります。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| Visual C++ ランタイム | プログラムを動かすための実際のDLLファイル群 |
| Visual C++ 再頒布可能パッケージ | ランタイムを簡単にインストールするためのインストーラー |
パッケージの中身がランタイム
「再頒布可能パッケージ(Redistributable Package)」は、ランタイムDLLファイルをまとめてインストールするための「インストーラー」です。
[再頒布可能パッケージ]
↓ インストールすると
[ランタイム(DLLファイル群)]がパソコンに配置される
↓
ソフトがこのDLLを使って動く
呼び方はどちらでもOK
一般的には、どちらの呼び方でも問題ありません。
- 「Visual C++ ランタイムをインストールしてください」
- 「Visual C++ 再頒布可能パッケージをインストールしてください」
どちらも同じ意味として使われることが多いです。
Visual C++ ランタイムの役割
なぜランタイムが必要なのか
ソフトを開発するとき、開発者は「ゼロからすべてのプログラムを書く」のではなく、Microsoftが用意した「共通部品(ランタイム)」を利用します。
これにより、開発者は以下のメリットを得られます。
- 開発時間の短縮:よく使う機能は既に用意されている
- ファイルサイズの削減:共通部品を使うので、ソフト本体が小さくなる
- 動作の安定性:Microsoftが保証する品質の高い部品を使える
ランタイムがないとどうなるのか
Visual C++ ランタイムがインストールされていないと、以下のようなエラーが表示されます。
「MSVCP140.dllが見つかりません」
「VCRUNTIME140.dllがないため、プログラムを開始できません」
「このアプリケーションの実行には、Visual C++ランタイムが必要です」
つまり、ソフト本体はあるけど、それを動かすための「部品」がないため、起動できない状態になります。
どのソフトがVisual C++ ランタイムを使っているのか
多くのWindowsソフトが使用
Visual C++はWindowsアプリ開発の標準ツールなので、非常に多くのソフトが使用しています。
代表的なソフト
- ゲーム:Steam、Epic Gamesのゲーム、Blizzard Entertainment
- Adobe製品:Photoshop、Premiere Pro、After Effects
- Microsoft製品:Office関連ツール、OneDrive
- 動画編集ソフト:AviUtl、DaVinci Resolve
- CADソフト:AutoCAD、SolidWorks
- その他:Discord、Skype、多くのユーティリティツール
基本的に、「Windowsで動くソフト」の大半がVisual C++ ランタイムを必要としていると考えて間違いありません。
ランタイムのバージョンと互換性
バージョンごとに異なるDLL
Visual C++ ランタイムは、Visual Studioのバージョンごとに異なるDLLファイルを使います。
| Visual Studioバージョン | 内部バージョン | DLLファイル名 |
|---|---|---|
| Visual Studio 2005 | 8.0 | msvcr80.dll, msvcp80.dll |
| Visual Studio 2008 | 9.0 | msvcr90.dll, msvcp90.dll |
| Visual Studio 2010 | 10.0 | msvcr100.dll, msvcp100.dll |
| Visual Studio 2012 | 11.0 | msvcr110.dll, msvcp110.dll |
| Visual Studio 2013 | 12.0 | msvcr120.dll, msvcp120.dll |
| Visual Studio 2015~2022 | 14.x | vcruntime140.dll, msvcp140.dll |
2015以降は統合されている
Visual Studio 2015、2017、2019、2022で開発されたソフトは、すべて同じランタイム(vcruntime140.dll)を共有しています。そのため、最新の「Visual C++ 2015-2022 再頒布可能パッケージ」をインストールすれば、2015年以降のすべてのソフトに対応できます。
複数バージョンの共存が可能
異なるバージョンのランタイムは、Side-by-Side(サイドバイサイド)という仕組みで、同じパソコン内に共存できます。
例えば:
- 2010年に開発されたソフト → Visual C++ 2010ランタイムが必要
- 2019年に開発されたソフト → Visual C++ 2015-2022ランタイムが必要
両方をインストールしても、互いに干渉せず、それぞれのソフトが正常に動作します。
ランタイムはどこにインストールされるのか
システムフォルダに配置される
Visual C++ ランタイムのDLLファイルは、以下の場所にインストールされます。
64ビット版Windows
- 64ビット用DLL:
C:\Windows\System32\ - 32ビット用DLL:
C:\Windows\SysWOW64\
Side-by-Sideフォルダ
複数バージョンのランタイムを管理するため、以下のフォルダにも配置されます。
C:\Windows\WinSxS\
このフォルダには、各バージョンのランタイムが個別に保存されており、ソフトが必要とするバージョンを自動的に読み込む仕組みになっています。
プログラム一覧にも表示される
「コントロールパネル」→「プログラムと機能」を開くと、以下のような名前でインストール済みのランタイムが表示されます。
Microsoft Visual C++ 2010 Redistributable - x86
Microsoft Visual C++ 2010 Redistributable - x64
Microsoft Visual C++ 2015-2022 Redistributable - x86
Microsoft Visual C++ 2015-2022 Redistributable - x64
よくあるランタイムエラーと原因
エラー1:「DLLが見つかりません」
このプログラムを開始できません。コンピューターに MSVCP140.dll がないため、プログラムを開始できません。
原因
必要なVisual C++ ランタイムがインストールされていない。
対処法
エラーメッセージに表示されているDLL名から、必要なバージョンを確認してインストールします。
msvcr100.dll→ Visual C++ 2010msvcr120.dll→ Visual C++ 2013vcruntime140.dllまたはmsvcp140.dll→ Visual C++ 2015-2022
エラー2:「Runtime Library Error」
Microsoft Visual C++ Runtime Library
Runtime Error!
Program: C:\...\program.exe
This application has requested the Runtime to terminate it in an unusual way.
原因
- ランタイムライブラリが破損している
- ソフトとランタイムのバージョンが不整合
- メモリエラー
- 他のソフトとの競合
対処法
- Visual C++ ランタイムを修復または再インストール
- 問題のソフトを再インストール
- Windowsアップデートを実行
- クリーンブートで競合を確認
エラー3:「Assertion Failed」
Microsoft Visual C++ Runtime Library
Assertion failed!
Program: ...
File: ...
Line: ...
原因
プログラムの内部エラー。開発者が設定したチェック処理で異常が検出された。
対処法
- ソフトの開発元に報告
- ソフトを最新版にアップデート
- Visual C++ ランタイムを再インストール
- Windowsの互換モードで実行
エラー4:「Side-by-Side構成が正しくない」
サイド バイ サイド構成が正しくないため、アプリケーションを開始できませんでした。
原因
必要なランタイムのバージョンがシステムに存在しない、または破損している。
対処法
- イベントビューアーで詳細を確認
- エラーログに記載されているバージョンのランタイムをインストール
- 既存のランタイムを修復
ランタイムエラーの対処法(詳細)

対処法1:Visual C++ ランタイムを再インストール
手順:完全に削除してから再インストール
Win + Rで「appwiz.cpl」と入力してEnter- 「Microsoft Visual C++ 20XX Redistributable」を探す
- エラーが出ているバージョンをすべてアンインストール
- x86版とx64版の両方を削除
- PCを再起動
- Microsoft公式ダウンロードページから最新版をダウンロード
- x86版とx64版の両方をインストール
- PCを再起動
対処法2:ランタイムの修復機能を使う
手順:修復を実行
Win + Rで「appwiz.cpl」と入力- 「Microsoft Visual C++ 20XX Redistributable」を右クリック
- 「変更」→「修復」を選択
- 修復が完了したらPCを再起動
注意
すべてのバージョンに「修復」機能があるわけではありません。2012以降のバージョンで利用できます。
対処法3:クリーンブートで競合を確認
手順:不要なサービスを無効化
Win + Rで「msconfig」と入力- 「サービス」タブ→「Microsoftのサービスをすべて隠す」にチェック
- 「すべて無効」をクリック
- 「スタートアップ」タブ→「タスクマネージャーを開く」
- すべてのスタートアップ項目を無効化
- PCを再起動
- エラーが出なくなったら、サービスを1つずつ有効にして原因を特定
対処法4:Windowsのシステムファイルをチェック
手順:SFCコマンドを実行
Win + Xで「Windows PowerShell(管理者)」を選択- 以下のコマンドを実行:
sfc /scannow
- スキャンが完了したら、以下も実行:
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
- PCを再起動
対処法5:ソフトの互換モードで実行
手順:互換性の設定を変更
- 問題のソフトの実行ファイル(.exe)を右クリック
- 「プロパティ」→「互換性」タブ
- 「互換モードでこのプログラムを実行する」にチェック
- ドロップダウンから「Windows 7」または「Windows 8」を選択
- 「管理者としてこのプログラムを実行する」にもチェック
- 「適用」→「OK」
ランタイムに関するFAQ
Q1. Visual C++ ランタイムを削除しても大丈夫ですか?
基本的には削除しない方が良いです。削除すると、そのバージョンに依存しているソフトが動かなくなります。
Q2. たくさんのバージョンがインストールされていますが、整理できますか?
できません。各バージョンは独立しており、それぞれ異なるソフトが使用している可能性があります。すべて残しておくことをおすすめします。
Q3. 最新版だけインストールすれば、すべてのソフトが動きますか?
いいえ。古いバージョンで開発されたソフトは、そのバージョンのランタイムが必要です。2015以降のソフトについては、最新の「Visual C++ 2015-2022」で動作します。
Q4. x86版とx64版の両方が必要ですか?
はい。64ビット版のWindowsでも、32ビットソフト(x86)を動かすことがあるため、両方インストールしておく必要があります。
Q5. Windows Updateで自動的にインストールされますか?
一部のランタイムは、Windows Updateで配信されることがあります。ただし、すべてのバージョンが自動でインストールされるわけではないので、必要に応じて手動でインストールしてください。
Q6. ランタイムエラーが頻繁に出ます。どうすれば良いですか?
以下を順番に試してください。
- Visual C++ ランタイムを再インストール
- 問題のソフトを再インストール
- Windowsアップデートを実行
- システムファイルのチェック(sfc /scannow)
- メモリ診断ツールを実行
Q7. 開発者ではないのに、Visual C++ ランタイムが必要な理由は?
Visual C++ ランタイムは、ソフトを「開発する」ためではなく、「実行する」ために必要です。開発者でなくても、Visual C++で作られたソフトを使うなら必要になります。
Q8. ランタイムの容量はどれくらいですか?
1つのバージョンあたり、だいたい10~30MB程度です。複数バージョンをインストールしても、合計で100~200MB程度なので、最近のパソコンでは問題ない容量です。
ランタイムと開発環境の違い
Visual Studio(開発環境)とランタイムは別物
よく混同されがちですが、以下のように区別されます。
| 項目 | Visual Studio | Visual C++ ランタイム |
|---|---|---|
| 用途 | ソフトを開発する | ソフトを実行する |
| 対象者 | プログラマー | 一般ユーザー |
| 容量 | 数GB~十数GB | 数十MB |
| 必要性 | 開発する人だけ | ソフトを使う人全員 |
開発者向けの情報
もしあなたがプログラマーで、Visual C++でソフトを開発している場合、以下の点に注意してください。
- 静的リンクと動的リンク:ランタイムをソフトに組み込むか、外部DLLとして参照するか選択できます
- デバッグ版とリリース版:デバッグ用ランタイムは再頒布できません
- ユーザーへの配布:ソフトと一緒にランタイムのインストーラーを同梱することができます
ランタイムのバージョン確認方法
方法1:プログラムと機能で確認
Win + Rで「appwiz.cpl」と入力- インストール済みプログラムの一覧から「Microsoft Visual C++」を探す
- インストールされているバージョンとアーキテクチャ(x86/x64)を確認
方法2:DLLファイルを直接確認
- エクスプローラーで以下のフォルダを開く:
C:\Windows\System32\C:\Windows\SysWOW64\
- 以下のDLLファイルを検索:
msvcr*.dllmsvcp*.dllvcruntime*.dll
- ファイルを右クリック→「プロパティ」→「詳細」タブでバージョンを確認
方法3:PowerShellで一括確認
PowerShellを管理者として起動し、以下のコマンドを実行:
Get-ItemProperty HKLM:\Software\Wow6432Node\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Uninstall\* |
Where-Object {$_.DisplayName -like "*Visual C++*"} |
Select-Object DisplayName, DisplayVersion
インストール済みのすべてのVisual C++ ランタイムが一覧表示されます。
まとめ:Visual C++ ランタイムは必須コンポーネント
Visual C++ ランタイムは、Windowsでソフトを動かすために必要な「プログラム部品の集まり」です。
この記事のポイント
- ランタイム = ソフトを動かすための共通部品
- 再頒布可能パッケージ = ランタイムをインストールするためのツール
- バージョンごとに異なるDLLが必要
- 複数バージョンが共存できる
- 削除すると、そのバージョンに依存するソフトが動かなくなる
エラーが出たときの対処法
- エラーメッセージから必要なバージョンを確認
- Microsoft公式サイトから最新版をダウンロード
- x86版とx64版の両方をインストール
- PCを再起動
重要なポイント
- たくさんバージョンがあっても、すべて必要なので削除しない
- エラーが出たら、該当バージョンを再インストール
- 最新版をインストールしても、古いソフトは動かないことがある
Visual C++ ランタイムは地味な存在ですが、多くのWindowsソフトを支える重要な仕組みです。エラーが出たときは、慌てずに必要なバージョンをインストールすれば、ほとんどの問題は解決できますよ!

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