「VirtualBoxで仮想マシンを作ったけど、画面が小さくて使いにくい…」
VirtualBoxで仮想マシンを使っていると、画面サイズが固定されていたり、ホストOSとファイルをやり取りできなかったりして不便に感じることがありますよね。マウスカーソルが仮想マシンから抜けられなくなることもあります。
実は、これらの問題はすべてGuest Additions(ゲストアディション)をインストールすることで解決できるんです。Guest Additionsは、VirtualBoxの仮想マシンを快適に使うための追加ソフトウェアパッケージで、画面の自動リサイズ、ファイル共有、クリップボード共有など、便利な機能を提供してくれます。
この記事では、Guest Additionsの基本から、インストール方法、主な機能、トラブルシューティングまで、初心者にも分かりやすく解説します。仮想マシンをもっと快適に使いたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
Guest Additionsとは?基本を理解しよう
まず、Guest Additionsがどんなものなのか理解しておきましょう。
Guest Additionsの概要
Guest Additions(ゲストアディション)は、VirtualBoxの仮想マシン内にインストールする追加ソフトウェアです。
VirtualBoxは、1台のコンピュータ上で複数のOSを同時に動かせる仮想化ソフトウェアです。このとき、実際のコンピュータ(物理マシン)のOSをホストOS、仮想マシン上で動くOSをゲストOSと呼びます。
Guest Additionsは、このゲストOS内にインストールして、ホストOSとゲストOSの連携を強化するためのツール集なんです。
なぜGuest Additionsが必要なのか
VirtualBoxだけでも仮想マシンは動きますが、以下のような制限があります。
- 画面サイズが固定されて変更できない
- マウスカーソルが仮想マシンから抜けにくい
- ファイルのやり取りが面倒
- 動作が遅い
- クリップボードが共有できない
Guest Additionsをインストールすると、これらの問題が解決され、仮想マシンが格段に使いやすくなりますよ。
Guest Additionsの提供元
Guest Additionsは、VirtualBoxと同じOracle社が提供しています。
VirtualBoxのバージョンに合わせたGuest Additionsが用意されているので、常に最新バージョンを使うことが推奨されます。
Guest Additionsの主な機能
Guest Additionsをインストールすると、どんなことができるようになるのか見ていきましょう。
機能1:画面の自動リサイズ
ビューモードの自動調整
ウィンドウのサイズを変更すると、仮想マシンの画面解像度が自動的に調整されます。
全画面表示にすれば、ゲストOSがモニターいっぱいに表示され、実機と同じような使い心地になるんです。
機能2:マウス統合
シームレスなマウス操作
Guest Additionsがないと、仮想マシン内でクリックすると、マウスカーソルが「キャプチャ」されて、外に出られなくなります。
Guest Additionsをインストールすると、マウスカーソルがホストOSと仮想マシンの間を自由に行き来できるようになります。特別なキー操作は不要です。
機能3:共有フォルダ
ホストOSとファイル共有
ホストOSのフォルダを、ゲストOSからアクセスできるようになります。
例えば、Windows(ホストOS)のドキュメントフォルダを、Linux(ゲストOS)からマウントして、ファイルを直接読み書きできます。USBメモリでコピーする必要がなくなるので、非常に便利ですよ。
機能4:クリップボード共有
コピー&ペーストが可能に
ホストOSでコピーしたテキストを、ゲストOSに貼り付けられるようになります。逆も可能です。
資料をコピーしたり、コマンドを貼り付けたりする作業が、シームレスにできます。
機能5:ドラッグ&ドロップ
ファイルの簡単な移動
ホストOSからゲストOSへ、またはその逆に、ファイルをドラッグ&ドロップで移動できます。
共有フォルダを設定しなくても、手軽にファイルをやり取りできるんです。
機能6:グラフィックスの高速化
3Dアクセラレーション
グラフィックス処理が高速化され、動作が滑らかになります。
特に、GUIを使うLinuxディストリビューション(UbuntuやFedoraなど)では、効果が顕著です。
機能7:時刻の同期
正確な時刻管理
ゲストOSの時刻が、ホストOSと自動的に同期されます。
仮想マシンは、一時停止したり、スナップショットから復元したりすると時刻がずれることがありますが、Guest Additionsがあれば自動的に修正されます。
機能8:シームレスモード
デスクトップの統合
ゲストOSのウィンドウを、ホストOSのデスクトップ上で個別に表示できます。
仮想マシンという枠を意識せず、まるで同じOS上で動いているかのように使えますよ。
Guest Additionsのインストール方法
それでは、実際にGuest Additionsをインストールする手順を見ていきましょう。
事前準備
Guest Additionsをインストールする前に、以下を確認してください。
仮想マシンが起動している
ゲストOSを起動しておきます。
ネットワーク接続(推奨)
一部のOSでは、インストール時に追加パッケージをダウンロードする必要があります。
管理者権限
インストールには、管理者権限(Windowsなら管理者、Linuxならroot権限)が必要です。
Windows ゲストOSへのインストール
Windowsが仮想マシン内で動いている場合の手順です。
ステップ1:Guest Additionsのイメージをマウント
仮想マシンのウィンドウで、メニューバーから「デバイス」→「Guest Additions CDイメージの挿入」を選択します。
これにより、Guest AdditionsのISOイメージが、仮想マシンの仮想CD/DVDドライブにマウントされます。
ステップ2:自動実行
Windowsの場合、通常は自動実行が起動して、インストーラーが開始されます。
自動実行が起動しない場合は、エクスプローラーでCD/DVDドライブを開いて、「VBoxWindowsAdditions.exe」を手動で実行してください。
ステップ3:インストールウィザードに従う
インストールウィザードが表示されるので、「Next」をクリックして進めます。
通常は、すべてデフォルトの設定で問題ありません。
ステップ4:デバイスドライバのインストール許可
途中で「デバイスソフトウェアのインストール」の確認が表示されたら、「インストール」を選択してください。
複数回表示される場合があります。すべて許可しましょう。
ステップ5:再起動
インストールが完了すると、再起動を求められます。
「Reboot now」を選択して、仮想マシンを再起動してください。
ステップ6:確認
再起動後、ウィンドウをリサイズすると、自動的に画面解像度が変わるか確認しましょう。
マウスカーソルが自由に移動できることも確認してください。
Linux ゲストOSへのインストール
Linux(Ubuntu、Fedora、CentOSなど)が仮想マシン内で動いている場合の手順です。
ステップ1:Guest Additionsのイメージをマウント
Windowsの場合と同じく、「デバイス」→「Guest Additions CDイメージの挿入」を選択します。
ステップ2:必要なパッケージをインストール
ターミナルを開いて、以下のコマンドを実行します。
Ubuntu/Debian系の場合
sudo apt update
sudo apt install build-essential dkms linux-headers-$(uname -r)
Fedora/RHEL系の場合
sudo dnf install gcc make kernel-devel kernel-headers dkms
これらは、Guest Additionsのビルドに必要な開発ツールとカーネルヘッダーです。
ステップ3:マウントポイントを確認
多くのLinuxディストリビューションでは、CD/DVDが自動的にマウントされます。
通常、/media/ユーザー名/VBox_GAs_X.X.X(Xはバージョン番号)といったパスにマウントされています。
ステップ4:インストールスクリプトを実行
ターミナルで、マウントされたディレクトリに移動して、インストールスクリプトを実行します。
cd /media/$(whoami)/VBox_GAs_*
sudo ./VBoxLinuxAdditions.run
インストールが開始され、各モジュールがビルド・インストールされます。
ステップ5:再起動
インストール完了後、仮想マシンを再起動します。
sudo reboot
ステップ6:確認
再起動後、画面のリサイズやマウス統合が機能しているか確認してください。
macOS ゲストOSへのインストール
macOSを仮想マシンで動かすことは、Appleのライセンス規約により制限されています。
正式には、Apple製のハードウェア上でのみ許可されているため、一般的なPCでのmacOS仮想化は推奨されません。
共有フォルダの設定方法
Guest Additionsをインストールしたら、共有フォルダを設定してみましょう。
ホストOS側での設定
ステップ1:共有フォルダの追加
仮想マシンの設定画面を開きます(仮想マシンが停止している状態で)。
「共有フォルダ」の項目を選択します。
ステップ2:フォルダを追加
右側の「フォルダの追加」アイコン(+マーク)をクリックします。
以下の項目を設定してください。
- フォルダのパス:ホストOS上の共有したいフォルダを選択
- フォルダ名:ゲストOS上で表示される名前(任意)
- 自動マウント:チェックを入れる(推奨)
- 永続化する:チェックを入れる(再起動後も有効)
ステップ3:OK
設定を保存して、仮想マシンを起動します。
Windows ゲストOSでのアクセス
Windowsゲストの場合、共有フォルダは自動的にネットワークドライブとしてマウントされます。
エクスプローラーで確認
エクスプローラーを開いて、「ネットワーク」または「PC」を見ると、\\VBOXSVR\フォルダ名という形式でアクセスできます。
また、ドライブレターが割り当てられている場合もあります。
Linux ゲストOSでのアクセス
Linuxゲストの場合、共有フォルダは/media/sf_フォルダ名にマウントされます。
アクセス権限の設定
デフォルトでは、vboxsfグループに属するユーザーのみがアクセスできます。
自分のユーザーをこのグループに追加してください。
sudo usermod -aG vboxsf $USER
その後、ログアウトして再ログインすると、共有フォルダにアクセスできるようになりますよ。
Guest Additionsのアップデート
VirtualBoxをアップデートしたら、Guest Additionsもアップデートするのが推奨されます。
アップデートの手順
ステップ1:古いGuest Additionsの削除(Windowsの場合)
Windowsの「プログラムと機能」から、「Oracle VM VirtualBox Guest Additions」をアンインストールします。
Linuxの場合は、特に削除の必要はありません。上書きインストールできます。
ステップ2:新しいGuest Additionsをインストール
前述のインストール手順と同じ方法で、新しいバージョンをインストールしてください。
VirtualBoxのバージョンに合ったGuest Additionsが自動的に提供されます。
ステップ3:再起動
インストール後、仮想マシンを再起動します。
トラブルシューティング
Guest Additionsに関する問題と解決策です。
問題1:Guest Additionsのインストールが失敗する
Linuxの場合の原因
- カーネルヘッダーがインストールされていない
- 開発ツール(gcc、makeなど)がない
対処法
前述の「必要なパッケージをインストール」を再度実行してください。
問題2:画面リサイズが機能しない
原因
- Guest Additionsが正しくインストールされていない
- 再起動していない
- グラフィックスコントローラの設定が適切でない
対処法
- 仮想マシンを再起動
- Guest Additionsを再インストール
- 仮想マシンの設定で、「ディスプレイ」→「グラフィックスコントローラ」を「VMSVGA」または「VBoxVGA」に変更
問題3:共有フォルダが見えない
Linuxの場合
vboxsfグループに追加されているか確認してください。
groups
出力にvboxsfが含まれていない場合は、前述のusermodコマンドを実行して、再ログインします。
Windowsの場合
共有フォルダの設定で「自動マウント」にチェックが入っているか確認してください。
問題4:クリップボード共有が機能しない
対処法
仮想マシンの設定で、「一般」→「高度」→「クリップボードの共有」が「双方向」になっているか確認してください。
また、Guest Additionsが正しくインストールされているか再確認しましょう。
問題5:3Dアクセラレーションが有効にならない
対処法
仮想マシンの設定で、「ディスプレイ」→「3Dアクセラレーションを有効化」にチェックを入れてください。
ビデオメモリも128MB以上に設定することをおすすめします。
Guest Additionsのアンインストール
不要になった場合や、問題が発生した場合のアンインストール方法です。
Windowsでのアンインストール
「コントロールパネル」→「プログラムと機能」から、「Oracle VM VirtualBox Guest Additions」を選択して、「アンインストール」をクリックします。
Linuxでのアンインストール
Guest Additionsがインストールされたディレクトリ(通常は/opt/VBoxGuestAdditions-X.X.X)に、アンインストールスクリプトがあります。
sudo /opt/VBoxGuestAdditions-X.X.X/uninstall.sh
よくある質問と回答
Guest Additionsは必須?
必須ではありませんが、仮想マシンを快適に使うためには強く推奨されます。
VirtualBox以外の仮想化ソフトでも使える?
いいえ、Guest AdditionsはVirtualBox専用です。VMwareには「VMware Tools」、Hyper-Vには「統合サービス」という同様のツールがあります。
Guest AdditionsのバージョンとVirtualBoxのバージョンは合わせるべき?
はい、基本的には同じバージョンにすることが推奨されます。バージョンが違うと、一部の機能が正しく動作しないことがあります。
共有フォルダとドラッグ&ドロップ、どちらを使うべき?
用途によります。頻繁にファイルをやり取りするなら共有フォルダが便利です。たまに1つ2つのファイルを移動するだけなら、ドラッグ&ドロップが手軽ですよ。
Guest Additionsをインストールすると動作が遅くなる?
逆です。Guest Additionsをインストールすることで、グラフィックス処理などが高速化され、動作が速くなります。
まとめ:Guest Additionsで仮想マシンを快適に
VirtualBoxのGuest Additionsについて詳しく解説しました。
重要なポイントをおさらい
- Guest Additionsは仮想マシンを快適に使うための必須ツール
- 画面リサイズ、マウス統合、ファイル共有など便利な機能が満載
- インストールは「デバイス」メニューから簡単にできる
- Linuxの場合は、事前に開発ツールのインストールが必要
- VirtualBoxのバージョンに合わせてアップデートする
- 共有フォルダを設定すれば、ファイルのやり取りが簡単に
Guest Additionsは、VirtualBoxを使う上で欠かせないツールです。インストールするだけで、仮想マシンの使い勝手が劇的に向上します。
この記事を参考に、ぜひGuest Additionsをインストールして、快適な仮想環境を構築してくださいね!

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