「MacでWindowsを使いたい」「Linuxを試してみたい」でも、「Parallels Desktopは高すぎる」と思ったことはありませんか?
そんな方におすすめなのが、UTMという無料の仮想化アプリです。MacのパソコンでWindowsやLinux、さらには古いバージョンのmacOSまで動かせるんです。しかも、完全無料で使えます。
でも、「無料で本当に使える?」「Parallelsと何が違うの?」「難しくない?」といった疑問を持つ方も多いはず。特にApple Silicon(M1、M2、M3、M4チップ)搭載のMacをお持ちの方は、選択肢が限られているので気になりますよね。
この記事では、UTMの基本的な特徴から、インストール方法、実際の使い方まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
UTMとは?

まずは、UTMがどんなアプリケーションなのか理解しておきましょう。
基本情報
UTM(ユーティーエム)は、Mac専用の仮想化アプリケーションです。
UTMの意味:
正式名称は「UTM」で、これは「Emulate virtual machines on iOS/macOS」(iOS/macOSで仮想マシンをエミュレートする)というプロジェクトから来ています。
UTMを使えば、Mac上で別のオペレーティングシステムを動かすことができるんです。まるでMacの中に別のパソコンがあるような感覚ですね。
仮想化とは
仮想化とは、一台のコンピュータの中に、仮想的な別のコンピュータを作り出す技術です。
仮想化でできること:
- MacでWindowsを動かす
- MacでLinux(Ubuntu、Debianなど)を動かす
- 古いバージョンのmacOSを動かす
- 複数のOSを同時に動かす
実際に別のパソコンを買わなくても、いろいろなOSを試せるのが仮想化の魅力です。
オープンソースで完全無料
UTMは、オープンソースソフトウェアとして開発されています。
オープンソースのメリット:
- 完全無料で使える
- コミュニティによる開発で進化が速い
- ソースコードが公開されているので安全性が高い
- 多くの開発者が協力して改善している
商用の仮想化ソフトと違って、購入やサブスクリプションは一切不要です。
対応プラットフォーム
UTMは、MacとiOS(iPhone、iPad)で動作します。
対応デバイス:
- Mac:Intel チップ搭載Mac
- Mac:Apple Silicon(M1、M2、M3、M4)搭載Mac
- iPhone・iPad(iOS 11以降)
特に、Apple Silicon搭載Macでの動作に最適化されているのが大きな特徴です。
他の仮想化ソフトとの違い
UTMと他の仮想化ソフトウェアを比較してみましょう。
Parallels Desktopとの違い
Parallels Desktopは、最も有名なMac用仮想化ソフトです。
Parallels Desktop:
- 価格:年間約10,000円〜12,000円(サブスクリプション)
- 性能:非常に高性能で動作が速い
- 使いやすさ:初心者でも簡単に設定できる
- サポート:充実した公式サポート
- 統合機能:MacとWindowsのシームレスな連携
UTM:
- 価格:完全無料
- 性能:十分な性能だが、Parallelsよりはやや劣る
- 使いやすさ:やや設定が複雑
- サポート:コミュニティベースのサポート
- 統合機能:基本的な機能のみ
「とにかく簡単に、高速に使いたい」ならParallels、「無料で十分な性能があればいい」ならUTMという選択になります。
VMware Fusionとの違い
VMware Fusionも人気の仮想化ソフトです。
VMware Fusion:
- 価格:買い切り約15,000円、または年間サブスクリプション
- 企業向けの機能が充実
- Windows、Linuxに強い
UTM:
- 無料
- 個人利用に最適
- よりシンプルな構成
VMwareは企業向けの機能が多いので、個人で使うならUTMのほうがシンプルです。
VirtualBoxとの違い
VirtualBoxも無料の仮想化ソフトですが、重要な違いがあります。
VirtualBox:
- 無料(Oracle提供)
- Apple Silicon非対応(M1、M2、M3、M4チップで使えない)
- Intel Macでのみ動作
UTM:
- 無料
- Apple Silicon完全対応
- Intel Macでも使える
Apple Silicon搭載Macでは、UTMが唯一の無料選択肢と言えます。
UTMで動かせるOS
UTMでは、様々なオペレーティングシステムを動かせます。
Windows
Windowsの各バージョンを動かせます。
動作するバージョン:
- Windows 11(Apple Silicon版は要ARM版)
- Windows 10
- Windows 8.1
- Windows 7
- それ以前のバージョンも可能
ただし、Apple Silicon MacでWindowsを動かす場合は、ARM版のWindowsが必要です。一般的なx86版Windowsは、エミュレーションで動作するため速度が遅くなります。
Linux
Linuxディストリビューションは、ほぼすべて対応しています。
人気のディストリビューション:
- Ubuntu(最も人気)
- Debian
- Fedora
- Arch Linux
- CentOS
- Kali Linux(セキュリティテスト用)
- その他多数
Linuxは軽量なので、UTMでも快適に動作します。プログラミングの学習や開発環境として最適ですね。
古いmacOS
過去のmacOSも仮想マシンとして動かせます。
動作例:
- macOS Monterey
- macOS Big Sur
- macOS Catalina
- それ以前のバージョンも
古いソフトウェアの動作確認や、テスト環境として便利です。
その他のOS
さらに、以下のようなOSも動作可能です。
- FreeBSD
- OpenBSD
- MS-DOS
- ReactOS(Windowsクローン)
- Haiku(BeOSの後継)
レトロなOSを試してみるのも楽しいですよ。
UTMのメリット

UTMを使う利点をまとめました。
完全無料
何と言っても、完全無料で使えることが最大の魅力です。
商用の仮想化ソフトは年間1万円以上かかることも多いので、無料でこれだけの機能が使えるのは驚きです。個人利用なら、コスト面でUTMに勝るものはありません。
Apple Silicon完全対応
M1、M2、M3、M4チップ搭載Macで完全に動作します。
Apple Siliconは、従来のIntelチップとはアーキテクチャが異なるため、多くのソフトウェアが対応に苦労しています。でもUTMは、最初からApple Siliconを意識して開発されているので、ネイティブに動作するんです。
ARM版のLinuxやWindowsなら、非常に高速に動作します。
オープンソースで安全
ソースコードが公開されているので、セキュリティ面でも安心です。
多くの開発者の目によってチェックされているため、バックドアやマルウェアの心配がありません。商用ソフトでも、内部でどんな処理をしているか完全には分からないことがありますが、オープンソースなら透明性が高いんです。
学習に最適
プログラミングやサーバー管理を学びたい人に最適です。
学習用途の例:
- Linuxコマンドの練習
- サーバー構築の学習
- 開発環境の構築
- 古いソフトウェアの動作確認
- セキュリティツールの試用
失敗しても、仮想マシンを削除して作り直せばいいので、気軽に試せます。
複数のOSを同時実行
必要に応じて、複数の仮想マシンを同時に起動できます。
例えば、Windows、Ubuntu、Debianを同時に動かして、それぞれで作業することも可能です。ただし、メモリとCPUの負荷は高くなるので、Macのスペックには注意が必要ですね。
UTMのデメリット
良い点だけでなく、注意点もお伝えします。
設定がやや複雑
商用ソフトと比べると、初期設定が少し複雑です。
Parallels Desktopなら、ほぼ自動で設定してくれますが、UTMは手動で細かい設定をする必要があります。初心者には、最初のハードルがやや高いかもしれません。
ただし、一度設定してしまえば、あとは問題なく使えます。
性能は商用ソフトに劣る
Parallels Desktopなどの商用ソフトと比べると、実行速度はやや遅めです。
特に3Dグラフィックスを使うゲームや、動画編集など、高負荷な作業には向いていません。軽めの作業や、開発環境としてなら十分な性能です。
ゲームには不向き
Windowsゲームをプレイしたい場合、UTMは適していません。
仮想化環境では、グラフィック性能が制限されるため、最新の3Dゲームは快適に動作しません。ゲーム目的なら、Boot Camp(Intel Macのみ)や、Parallels Desktopを検討したほうが良いでしょう。
公式サポートがない
無料のオープンソースソフトなので、公式のカスタマーサポートはありません。
問題が起きたときは、コミュニティフォーラムやGitHubのissueで質問することになります。英語の情報が多いので、日本語での情報収集がやや難しいこともあります。
x86 Windowsの動作が遅い
Apple Silicon Macで、通常の(x86版)Windowsを動かす場合、エミュレーションが必要になるため動作が遅くなります。
ARM版のWindows 11なら高速に動作しますが、一般的なWindows 10の x86版は、かなり遅くなってしまうんです。日常的にWindowsを使いたい場合は、有料ソフトのほうが快適かもしれません。
UTMのダウンロードとインストール

実際にUTMを入手してインストールする手順を見ていきましょう。
ダウンロード方法
UTMは2つの方法で入手できます。
方法1:公式サイトから無料ダウンロード
- ブラウザで「https://mac.getutm.app/」にアクセス
- 「Download」ボタンをクリック
- DMGファイルがダウンロードされます
この方法は完全無料です。
方法2:Mac App Storeから購入(任意の寄付)
- Mac App Storeを開く
- 「UTM」で検索
- 有料版(約1,200円)を購入
App Store版は開発者への寄付を兼ねています。機能は公式サイト版と同じですが、自動アップデートが便利です。余裕があれば、開発者を支援する意味でApp Store版を購入するのも良いでしょう。
インストール手順
公式サイトからダウンロードした場合の手順です。
手順:
- ダウンロードした「UTM.dmg」をダブルクリック
- DMGファイルがマウントされ、ウィンドウが開きます
- 「UTM」アイコンを「Applications」フォルダにドラッグ&ドロップ
- コピーが完了したらDMGファイルをイジェクト(取り出し)
- Launchpadまたはアプリケーションフォルダから「UTM」を起動
初回起動時に、「開発元を確認できません」という警告が出る場合があります。
警告の解除方法:
- アプリケーションフォルダでUTMアイコンを右クリック
- 「開く」を選択
- 警告ダイアログで「開く」をクリック
これで、UTMが起動します。
仮想マシンの作成(基本的な流れ)
UTMで新しい仮想マシンを作成する基本的な流れを説明します。
事前準備:OSのインストールメディア
仮想マシンを作る前に、インストールしたいOSのISOファイル(インストールディスク)を用意します。
入手先の例:
Ubuntu:
- https://ubuntu.com/download から無料ダウンロード
Debian:
- https://www.debian.org/ から無料ダウンロード
Windows 11(ARM版):
- Windows Insider Program経由で入手(やや複雑)
Windows 10:
- Microsoftの公式サイトから入手(ライセンスは別途必要)
ISOファイルは通常、数GB〜10GB程度のサイズなので、ダウンロードには時間がかかります。
新規仮想マシンの作成手順
基本手順:
- UTMを起動
- 「+」ボタンをクリックして新規作成
- 「Virtualize」(仮想化)または「Emulate」(エミュレート)を選択
- Apple Silicon Macで ARM版OSを動かす場合:Virtualize
- x86版OSを動かす場合:Emulate
- OSの種類を選択(Linux、Windows、macOSなど)
- ISOファイルを選択(「Browse」をクリックして、ダウンロードしたISOファイルを選ぶ)
- メモリ容量を設定(推奨:4GB〜8GB)
- ストレージ容量を設定(推奨:20GB〜50GB)
- 「Save」をクリックして作成完了
これで、仮想マシンが作成されます。
仮想マシンの起動とOSインストール
起動手順:
- UTMのリストから作成した仮想マシンを選択
- 「▶」(再生ボタン)をクリックして起動
- 仮想マシンのウィンドウが開き、OSのインストーラーが起動します
- 画面の指示に従って、OSをインストール
- インストール完了後、再起動
OSのインストールには、通常10分〜30分程度かかります。
基本的な使い方
仮想マシンを作成した後の基本操作です。
仮想マシンの起動と停止
起動:
- UTMのリストから仮想マシンを選択→「▶」ボタンをクリック
停止:
- 仮想マシン内でシャットダウン操作を実行
- または、UTMのツールバーから「電源」ボタンをクリック
強制終了は避けて、できるだけ正常にシャットダウンしましょう。
フルスクリーン表示
仮想マシンを全画面で表示できます。
方法:
- 仮想マシンウィンドウの右上にある「フルスクリーン」ボタンをクリック
- または、macOSのフルスクリーンショートカット(Control + Command + F)
フルスクリーンを解除するには、Escキーを押すか、画面上部のメニューバーから操作します。
ファイル共有
MacとゲストOS(仮想マシンのOS)の間でファイルを共有する方法はいくつかあります。
方法1:共有フォルダ機能
- UTMの設定で共有フォルダを設定
- ゲストOS側でマウント(設定がやや複雑)
方法2:ネットワーク経由
- クラウドストレージ(Google Drive、Dropboxなど)を使う
- 最も簡単で確実
方法3:USBドライブ
- USBメモリを仮想マシンに接続
- UTMのメニューから「USB」→デバイスを選択
スナップショット機能
仮想マシンの状態を保存できます。
スナップショットの作成:
- 仮想マシンを起動
- UTMのツールバーから「スナップショット」アイコンをクリック
- 名前を付けて保存
後から、保存した状態に戻せるので、実験的な作業をする前にスナップショットを取っておくと安心です。
おすすめの用途
UTMが特に活躍する場面をご紹介します。
プログラミング学習
Linux環境で開発を学びたい人に最適です。
学習用途:
- Python、Ruby、PHPなどの言語学習
- Webサーバー構築の練習
- Docker、Kubernetesの学習
- データベース管理の練習
MacにLinuxをインストールすることで、本格的な開発環境が無料で手に入ります。
レトロコンピューティング
古いOSや懐かしいソフトウェアを動かすことができます。
楽しみ方:
- Windows 95/98を動かして当時のゲームを楽しむ
- 古いバージョンのmacOSを体験
- MS-DOSで昔のソフトを動かす
ノスタルジーに浸れるだけでなく、コンピュータの歴史を学ぶこともできますね。
セキュリティテスト環境
Kali Linuxなどを使って、セキュリティの学習ができます。
仮想マシン内で実験できるので、Macに影響を与えずに安全にテストできます。ただし、セキュリティツールは学習目的でのみ使用してください。
Windowsソフトの動作確認
たまにしか使わないWindowsソフトの動作確認に便利です。
使用例:
- Windows専用の業務ソフトを使う
- Internet Explorerでのウェブサイト表示確認
- Windows版のソフトウェアの動作テスト
日常的に使う場合は有料ソフトのほうが快適ですが、たまに使う程度ならUTMで十分です。
システム要件とパフォーマンス
UTMを快適に使うための推奨環境です。
最小要件
必要なスペック:
- macOS 11(Big Sur)以降
- 8GBのRAM(メモリ)
- 20GB以上の空きストレージ
- Intel Core i5以上、またはApple Silicon(M1以降)
最小要件でも動作しますが、快適さには欠けます。
推奨要件
快適に使うには:
- macOS 12(Monterey)以降
- 16GB以上のRAM
- 50GB以上の空きストレージ
- Intel Core i7以上、またはApple Silicon M1以降
特にメモリは重要です。仮想マシンに4GB割り当てる場合、Mac全体で最低8GBは必要ですが、16GB以上あると余裕を持って使えます。
Apple Silicon vs Intel
Apple Silicon Mac(M1、M2、M3、M4):
- ARM版OSの動作が非常に高速
- 電力効率が良い
- x86エミュレーションはやや遅い
Intel Mac:
- x86版Windowsがネイティブに動作
- 古いソフトウェアの互換性が高い
- 発熱しやすい
Apple Silicon Macのほうが、全体的なパフォーマンスと電力効率に優れています。
トラブルシューティング
よくある問題と解決方法です。
仮想マシンが起動しない
対処法:
- Macを再起動
- UTMを最新版にアップデート
- 仮想マシンの設定を確認(メモリやCPUの割り当てを減らしてみる)
- ISOファイルが破損していないか確認
動作が遅い
対処法:
- 仮想マシンに割り当てるメモリを増やす(ただしMacのメモリが十分にある場合)
- 他のアプリを閉じてMacのリソースを確保
- ストレージの空き容量を増やす
- VirtualizationではなくEmulationを使っている場合、可能ならVirtualizationに変更
キーボードやマウスが反応しない
対処法:
- 仮想マシンのウィンドウをクリックしてフォーカスを合わせる
- Command + Tabでウィンドウを切り替えてみる
- UTMの設定で入力デバイスの設定を確認
まとめ
UTM(Mac用仮想化アプリ)は、無料で使える優れた仮想化ソフトウェアです。
この記事のポイント:
- UTMはMac専用の無料仮想化アプリ
- Windows、Linux、古いmacOSなど様々なOSを動かせる
- Apple Silicon完全対応で、ARM版OSなら高速動作
- 完全無料で、オープンソースなので安全
- Parallels Desktopより性能は劣るが、個人利用には十分
- プログラミング学習や開発環境構築に最適
- ゲームや高負荷な作業には不向き
- 初期設定はやや複雑だが、一度設定すれば使いやすい
- 推奨環境は16GB RAM以上
「MacでWindowsやLinuxを試してみたい」「開発環境を作りたい」「でもお金はかけたくない」という方は、まずUTMを試してみることをおすすめします。
無料とは思えないほどの機能が揃っているので、きっと満足できるはずです。この記事を参考に、UTMで新しいOS体験を楽しんでください!
