「Unable to load user details」
GitHubやGitLab、GitHub Desktopなどを使っていると、突然このエラーメッセージに遭遇することがあります。ユーザー情報が読み込めないという意味ですが、原因は様々です。
この記事では、このエラーが発生する原因と、状況別の解決方法を分かりやすく解説していきます。
「Unable to load user details」エラーとは?

このエラーは、GitHubなどのサービスがユーザー情報を取得できないときに表示されるメッセージです。
エラーが表示される主な場面
GitHub Web UI
- プロフィールページにアクセスしたとき
- コラボレーターを追加しようとしたとき
- リポジトリの設定を変更しようとしたとき
GitHub Desktop
- アカウントにログインしようとしたとき
- リポジトリを同期しようとしたとき
- 認証情報の更新時
IDE(統合開発環境)
- IntelliJ IDEA、PyCharm、VS Codeなど
- GitHubとの連携機能を使用するとき
- Pull Requestを表示しようとしたとき
コマンドライン
git pushやgit pullの実行時- 認証が必要な操作を行うとき
エラーの主な原因
このエラーが発生する原因は、大きく分けて6つあります。
原因1:認証情報の問題
最も一般的な原因
- パスワード認証が廃止され、Personal Access Token(PAT)が必要
- トークンの有効期限が切れている
- トークンの権限(スコープ)が不足している
- 認証情報が古い、または間違っている
GitHubは2021年8月13日にパスワード認証を廃止しました。現在はPersonal Access Token(個人アクセストークン)による認証が必須です。
原因2:二要素認証(2FA)の設定期間中
GitHubで二要素認証(Two-Factor Authentication)の設定を要求されている期間中は、一部の機能が制限されます。
2FA登録期間中の制限
- コラボレーターの追加ができない
- 一部のAPI操作が制限される
- アカウント機能が一時的に不完全
原因3:ネットワーク接続の問題
接続エラー
- インターネット接続が不安定
- プロキシやVPNの設定が干渉している
- ファイアウォールがGitHubへのアクセスをブロック
- DNSの解決に失敗している
原因4:ブラウザのキャッシュやCookie
古いデータの蓄積
- ブラウザのキャッシュに古い認証情報が残っている
- Cookieが破損している
- ブラウザ拡張機能が干渉している
原因5:アカウントの状態
アカウント自体の問題
- アカウントが凍結または制限されている
- メール認証が完了していない
- プロフィール設定が非公開になっている
- 制裁対象国からのアクセス
原因6:サービス側の問題
GitHub/GitLabの障害
- サーバーのメンテナンス中
- 一時的なサービス障害
- API制限に達している
解決方法1:Personal Access Tokenの設定
最も効果的な解決方法は、Personal Access Token(PAT)を正しく設定することです。
ステップ1:Personal Access Tokenを作成
GitHubでの手順
- GitHubにログイン
- 右上のプロフィールアイコンをクリック
- Settings を選択
- 左サイドバーの Developer settings をクリック
- Personal access tokens → Tokens (classic) を選択
- Generate new token → Generate new token (classic) をクリック
トークンの設定
- Note:トークンの用途を記入(例:「Development Mac」)
- Expiration:有効期限を設定(推奨:90日)
- Select scopes:必要な権限にチェック
必要な権限(スコープ)
基本的な操作には以下をチェック:
- ✓ repo:リポジトリへのフルアクセス
- ✓ workflow:GitHub Actionsへのアクセス
- ✓ user:ユーザー情報の読み取り
- Generate token をクリック
- 表示されたトークンをコピー(重要:再表示できません)
ステップ2:トークンを保存
生成されたトークンは、必ずメモ帳やパスワードマネージャーに保存してください。
ghp_xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
このトークンは一度しか表示されません。ページを閉じると再表示できないので注意が必要です。
ステップ3:トークンを使用する
コマンドラインでの使用
次回 git push などを実行したとき、パスワードの入力を求められたら、パスワードの代わりにトークンを入力します。
Username: あなたのGitHubユーザー名
Password: ghp_xxxxxxxxxxxxxxxxxxxx(トークン)
認証情報をキャッシュする
毎回入力するのが面倒な場合は、認証情報をキャッシュできます。
Mac/Linuxの場合
git config --global credential.helper cache
Windowsの場合
git config --global credential.helper wincred
ステップ4:IDEで設定する(IntelliJ IDEA、PyCharmなど)
IntelliJ系IDEの場合
- Preferences/Settings を開く
- Version Control → GitHub を選択
- 既存のアカウントがあれば、Re-Login をクリック
- Use Token を選択
- Personal Access Tokenを貼り付け
- Log In をクリック
VS Codeの場合
- 左下の歯車アイコンから Settings を開く
- 「GitHub」で検索
- GitHub: Git Authentication が有効になっているか確認
- VS Codeがブラウザを開いてGitHub認証を促すので、指示に従う
解決方法2:認証情報をリセットする
古い認証情報が残っていることが原因の場合、リセットが有効です。
Macでの認証情報削除
キーチェーンアクセスから削除
- Spotlight検索(Command + Space)で「キーチェーンアクセス」と入力
- 検索欄に「github」と入力
github.comの項目を見つける- 右クリックして 削除 を選択
- 確認ダイアログで 削除 をクリック
次回のGit操作時に、新しい認証情報の入力を求められます。
Windowsでの認証情報削除
資格情報マネージャーから削除
- スタートメニューから「資格情報マネージャー」を検索
- Windows 資格情報 をクリック
- 汎用資格情報 セクションを展開
git:https://github.comを探す- 右側の矢印をクリックして展開
- 削除 をクリック
Linuxでの認証情報削除
# 認証情報ヘルパーの確認
git config --global credential.helper
# キャッシュされた認証情報を削除
git credential-cache exit
# または、設定ファイルから直接削除
rm ~/.git-credentials
解決方法3:ブラウザのキャッシュとCookieをクリア
Webブラウザでエラーが発生している場合に有効です。
Chromeの場合
- 右上の ︙ メニューをクリック
- 設定 を選択
- プライバシーとセキュリティ をクリック
- 閲覧履歴データの削除 を選択
- 以下にチェック:
- ✓ Cookieと他のサイトデータ
- ✓ キャッシュされた画像とファイル
- 期間を 全期間 に設定
- データを削除 をクリック
Firefoxの場合
- 右上の ☰ メニューをクリック
- 設定 を選択
- プライバシーとセキュリティ をクリック
- Cookieとサイトデータ セクションで データを消去 をクリック
- 両方にチェックして 消去 をクリック
Safariの場合
- メニューバーの Safari → 環境設定 を選択
- プライバシー タブをクリック
- Webサイトデータを管理 をクリック
github.comを検索して 削除 をクリック
解決方法4:二要素認証(2FA)を完了する

2FA設定期間中にエラーが出ている場合は、設定を完了させましょう。
2FAの設定手順
- GitHubの Settings を開く
- Password and authentication を選択
- Two-factor authentication セクションを見つける
- Enable two-factor authentication をクリック
- 認証アプリ(Google Authenticator、Authyなど)をスキャン
- 6桁のコードを入力して確認
- リカバリーコードを保存
2FAの設定が完了すると、アカウント機能が正常に戻ります。
解決方法5:ネットワーク設定を確認する
プロキシやVPNの確認
プロキシやVPNを使用している場合、一時的に無効にして試してみましょう。
Gitのプロキシ設定を確認
# プロキシ設定を確認
git config --global http.proxy
git config --global https.proxy
# プロキシ設定を解除
git config --global --unset http.proxy
git config --global --unset https.proxy
DNSの問題を解決
DNSキャッシュをクリア
Macの場合
sudo dscacheutil -flushcache
sudo killall -HUP mDNSResponder
Windowsの場合
ipconfig /flushdns
Linuxの場合
sudo systemd-resolve --flush-caches
GitHubのIPアドレスに直接アクセス
DNSの問題を回避するため、hostsファイルに追加できます。
/etc/hosts(Mac/Linux)または C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts(Windows)に追加
140.82.121.3 github.com
140.82.121.4 api.github.com
解決方法6:GitHub Desktopの再インストール
GitHub Desktopでエラーが出ている場合、クリーンインストールが効果的です。
完全にアンインストール
Macの場合
- アプリケーションフォルダから GitHub Desktop を削除
- 以下のフォルダを削除:
rm -rf ~/Library/Application\ Support/GitHub\ Desktop
rm -rf ~/Library/Caches/com.github.GitHubClient
Windowsの場合
- コントロールパネルからアンインストール
- 以下のフォルダを削除:
%APPDATA%\GitHub Desktop
%LOCALAPPDATA%\GitHubDesktop
最新版をインストール
- GitHub Desktop公式サイトから最新版をダウンロード
- インストーラーを実行
- 新しいPersonal Access Tokenでログイン
解決方法7:GitコマンドでUser情報を設定
認証情報が正しく設定されていない場合の対処法です。
User情報を確認
git config --list
出力に以下が含まれているか確認:
user.name=あなたの名前
user.email=あなたのメールアドレス
User情報を設定
# グローバル設定(すべてのリポジトリに適用)
git config --global user.name "あなたの名前"
git config --global user.email "あなたのメールアドレス"
# ローカル設定(現在のリポジトリのみ)
git config user.name "あなたの名前"
git config user.email "あなたのメールアドレス"
重要:メールアドレスはGitHubに登録したものを使用
GitHubのメールアドレスと一致していないと、コミットが正しく認識されません。
トラブルシューティング:それでも解決しない場合
エラーメッセージの詳細を確認
より詳しいエラー情報を取得します。
# 詳細なログを表示
GIT_TRACE=1 GIT_CURL_VERBOSE=1 git push origin main
GitHubのステータスを確認
GitHub側で障害が発生していないか確認しましょう。
- GitHub Status
- Twitterで「#GitHub」を検索
サーバー障害の場合は、復旧を待つしかありません。
アカウントの状態を確認
確認すべきこと
- GitHubにログインできるか
- メール認証が完了しているか
- アカウントが凍結されていないか
- プロフィールが公開設定になっているか
アカウントが凍結されている場合
GitHubサポートに問い合わせる必要があります。
SSH認証に切り替える
HTTPS認証で問題が続く場合、SSH認証に切り替えるのも一つの方法です。
SSHキーを生成
ssh-keygen -t ed25519 -C "あなたのメールアドレス"
公開鍵をGitHubに登録
- 公開鍵をコピー
cat ~/.ssh/id_ed25519.pub
- GitHub → Settings → SSH and GPG keys
- New SSH key をクリック
- 公開鍵を貼り付けて保存
リモートURLをSSHに変更
# 現在のリモートURL確認
git remote -v
# HTTPSからSSHに変更
git remote set-url origin git@github.com:ユーザー名/リポジトリ名.git
予防策:エラーを防ぐためのベストプラクティス
1. Personal Access Tokenを定期的に更新
トークンには有効期限を設定し、期限切れになる前に更新しましょう。
おすすめの設定
- 有効期限:90日
- カレンダーにリマインダーを設定
- 複数のトークンを用途別に作成
2. 認証情報を安全に管理
パスワードマネージャーの使用
- 1Password、LastPass、Bitwardenなど
- トークンを暗号化して保存
- 複数デバイスで同期
3. 2FAは必ず有効にする
セキュリティのために二要素認証は必須です。
メリット
- アカウントの安全性が大幅に向上
- 不正アクセスを防げる
- GitHubの推奨設定
4. 定期的にログを確認
# 最近の認証エラーを確認
git log --all --oneline | head -20
5. IDEのGitプラグインを最新に保つ
古いバージョンでは認証エラーが発生しやすくなります。
まとめ:エラー解決のチェックリスト
「Unable to load user details」エラーに遭遇したら、次の順番で確認していきましょう。
基本チェック
- [ ] GitHubのステータスページで障害情報を確認
- [ ] インターネット接続を確認
- [ ] 他のGitHub機能が正常に動作するか確認
認証関連
- [ ] Personal Access Tokenを作成・更新
- [ ] トークンの権限(スコープ)が適切か確認
- [ ] パスワードではなくトークンを使用しているか確認
- [ ] 認証情報をキャッシュから削除して再設定
ブラウザ関連
- [ ] ブラウザのキャッシュとCookieをクリア
- [ ] 別のブラウザやシークレットモードで試す
- [ ] ブラウザ拡張機能を無効にして試す
ネットワーク関連
- [ ] プロキシやVPNを一時的に無効化
- [ ] DNSキャッシュをクリア
- [ ] ファイアウォール設定を確認
アカウント関連
- [ ] 二要素認証の設定が完了しているか確認
- [ ] メール認証が完了しているか確認
- [ ] アカウントが凍結されていないか確認
ツール関連
- [ ] GitHub DesktopやIDEを最新版に更新
- [ ] Gitのバージョンを確認・更新
- [ ] 必要に応じて再インストール
最終手段
- [ ] SSH認証に切り替える
- [ ] GitHubサポートに問い合わせ
このエラーは、ほとんどの場合、認証情報の問題で発生します。まずはPersonal Access Tokenの設定を見直すことから始めましょう。
あなたのGitHub開発環境がスムーズに動作することを願っています!

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