Ubuntuでセキュアブートを無効化する完全ガイド【BIOS設定からリスク対策まで】

Linux

Ubuntuをインストールしたけど、NVIDIAのドライバーがインストールできない。VirtualBoxが起動しない。外部のカーネルモジュールが読み込めない。

こういったトラブルの多くは、「セキュアブート」という機能が原因で発生しています。

この記事では、Ubuntuでセキュアブートを無効化する方法を、初心者の方にも分かりやすく解説します。BIOS設定の手順から、無効化に伴うセキュリティリスク、そして代替案まで、すべてカバーします。

作業前にバックアップを取ってから始めましょう。

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  1. セキュアブートとは?なぜUbuntuで問題になるのか
    1. セキュアブートの基本
    2. なぜ無効化が必要なのか
    3. セキュアブートを無効化するデメリット
  2. セキュアブートを無効化する前の準備
    1. 準備1:データのバックアップ
    2. 準備2:管理者権限の確認
    3. 準備3:パソコンメーカーの確認
  3. 【手順】セキュアブートを無効化する方法
    1. ステップ1:BIOSセットアップ画面に入る
    2. ステップ2:セキュアブート設定を探す
    3. ステップ3:セキュアブートを無効化
    4. ステップ4:設定を保存して終了
    5. ステップ5:Ubuntuで無効化を確認
  4. メーカー別の詳しい手順
    1. Dell製パソコンの場合
    2. HP製パソコンの場合
    3. Lenovo製パソコンの場合
    4. ASUS製パソコンの場合
  5. セキュアブートを無効化せずに問題を解決する方法
    1. MOK(Machine Owner Key)を使う方法
    2. Ubuntuの署名付きドライバーを使う
  6. よくあるトラブルと解決方法
    1. トラブル1:BIOS画面にセキュアブートの項目がない
    2. トラブル2:セキュアブートを無効化しても問題が解決しない
    3. トラブル3:設定を保存したのに再起動後も有効のまま
  7. セキュアブート無効化後のセキュリティ対策
    1. 対策1:信頼できるソースからのみソフトウェアをインストール
    2. 対策2:ファイアウォールを有効にする
    3. 対策3:システムを常に最新に保つ
    4. 対策4:アンチウイルスソフトの検討
  8. 必要がなくなったら再び有効化を
  9. まとめ:セキュアブート無効化の手順とポイント

セキュアブートとは?なぜUbuntuで問題になるのか

セキュアブートの基本

セキュアブート(Secure Boot)とは、パソコンの起動時に、信頼できるソフトウェアだけを実行させる仕組みです。

簡単に言うと:

パソコンが起動する時、「このプログラムは安全だよ」という証明書(デジタル署名)がついているものだけを動かす機能です。

目的:

悪意のあるプログラムやウイルスが、パソコンの起動プロセスに侵入するのを防ぐためです。

なぜ無効化が必要なのか

Ubuntuでセキュアブートを無効化する主な理由は以下の通りです。

理由1:サードパーティ製ドライバーの問題

NVIDIAやAMDのグラフィックドライバーなど、メーカーが提供する独自ドライバーは、Microsoftの署名を持っていないことがあります。

実例:

グラフィック性能を最大限に引き出すためにNVIDIAの最新ドライバーをインストールしようとしても、セキュアブートが有効だとインストールできません。

理由2:カーネルモジュールの制限

VirtualBox、VMware、Dockerなど、カーネルモジュール(Linuxの中核部分を拡張する機能)を使うソフトウェアが動かないことがあります。

理由3:カスタムカーネルの使用

独自にカスタマイズしたLinuxカーネルを使いたい場合、セキュアブートが障害になります。

セキュアブートを無効化するデメリット

無効化する前に、リスクも理解しておきましょう。

セキュリティレベルの低下:

  • ブートキット(起動プロセスに潜むマルウェア)への対策が弱くなる
  • 署名されていない悪意のあるプログラムも起動可能になる

ただし:

個人のパソコンで、信頼できるソースからのみソフトウェアをインストールする限り、実際のリスクは限定的です。企業や組織のパソコンでは、セキュリティポリシーに従って判断してください。

セキュアブートを無効化する前の準備

実際の作業に入る前に、以下を確認しましょう。

準備1:データのバックアップ

BIOS設定を変更する前に、重要なデータはバックアップを取っておきましょう。通常、BIOS設定の変更でデータが消えることはありませんが、万が一に備えることが大切です。

準備2:管理者権限の確認

セキュアブートの設定変更には、BIOSへのアクセスが必要です。パソコンが会社や学校のものである場合、管理者に相談してください。

準備3:パソコンメーカーの確認

メーカーによってBIOSへのアクセス方法が異なります。パソコンのメーカー名とモデル名を確認しておきましょう。

【手順】セキュアブートを無効化する方法

それでは、実際の手順を見ていきましょう。

ステップ1:BIOSセットアップ画面に入る

パソコンの電源を入れた直後に、特定のキーを連打します。

メーカー別のBIOS起動キー:

  • Dell:F2キー
  • HP:F10キー、またはEscキー
  • Lenovo:F1キー、またはF2キー
  • ASUS:F2キー、またはDeleteキー
  • Acer:F2キー、またはDeleteキー
  • MSI:Deleteキー
  • 自作PC(マザーボード):Deleteキー、またはF2キー

やり方:

  1. パソコンを再起動する
  2. メーカーロゴが表示されたら、すぐに該当のキーを連打
  3. BIOS/UEFIセットアップ画面が表示される

うまくいかない場合:

  • キーを押すタイミングが遅い可能性があります。再起動してもっと早くから連打してみましょう
  • 別のキーを試してみましょう(F12やEscなど)
  • パソコンのマニュアルを確認しましょう

ステップ2:セキュアブート設定を探す

BIOS画面に入ったら、セキュアブートの設定項目を探します。

よくある場所:

  • 「Security」タブ
  • 「Boot」タブ
  • 「Authentication」メニュー
  • 「Secure Boot」という名前の独立したメニュー

表示名のバリエーション:

  • Secure Boot
  • Secure Boot Control
  • UEFI Secure Boot
  • OS Secure Boot

キーボードの矢印キーで移動し、EnterキーまたはF10キーで項目を開きます。

ステップ3:セキュアブートを無効化

セキュアブートの項目を見つけたら、無効化します。

手順:

  1. 「Secure Boot」の項目を選択
  2. EnterキーまたはF10キーを押す
  3. 「Enabled」から「Disabled」に変更
  4. Enterキーで確定

画面例:

Secure Boot: [Enabled]  ← これを選択
  ↓
Secure Boot: [Disabled] ← こう変更

ステップ4:設定を保存して終了

変更した設定を保存します。

一般的な方法:

  • F10キーを押す
  • 「Save & Exit」または「Save Changes and Exit」を選択
  • 「Yes」を選んで確定

設定を保存すると、パソコンが再起動します。

ステップ5:Ubuntuで無効化を確認

Ubuntuが起動したら、セキュアブートが本当に無効化されたか確認しましょう。

確認方法:

  1. ターミナルを開く(Ctrl + Alt + T)
  2. 以下のコマンドを入力
mokutil --sb-state

結果の見方:

  • 「SecureBoot disabled」と表示される → 無効化成功
  • 「SecureBoot enabled」と表示される → まだ有効(再度BIOS設定を確認)

メーカー別の詳しい手順

主要なパソコンメーカーごとに、より詳しい手順を紹介します。

Dell製パソコンの場合

手順:

  1. F2キーを連打してBIOSに入る
  2. 左側のメニューから「Secure Boot」を選択
  3. 「Secure Boot Enable」のチェックを外す
  4. 「Apply」をクリック
  5. 「Exit」をクリック

HP製パソコンの場合

手順:

  1. F10キーを連打してBIOSに入る
  2. 「Security」タブに移動
  3. 「Secure Boot Configuration」を選択
  4. 「Secure Boot」を「Disabled」に変更
  5. F10キーを押して保存

Lenovo製パソコンの場合

手順:

  1. F1またはF2キーを連打してBIOSに入る
  2. 「Security」タブに移動
  3. 「Secure Boot」を選択
  4. 「Disabled」に変更
  5. F10キーを押して保存

ASUS製パソコンの場合

手順:

  1. F2またはDeleteキーを連打してBIOSに入る
  2. 「Boot」タブまたは「Security」タブに移動
  3. 「Secure Boot」を見つける
  4. 「OS Type」を「Other OS」に変更(これでセキュアブートが無効になる)
  5. F10キーを押して保存

セキュアブートを無効化せずに問題を解決する方法

セキュリティを保ちながら問題を解決したい場合は、以下の方法もあります。

MOK(Machine Owner Key)を使う方法

MOKとは、自分で署名を管理する仕組みです。セキュアブートを有効にしたまま、必要なドライバーやモジュールを使えるようにします。

メリット:

  • セキュアブートのセキュリティ保護を維持できる
  • 必要なドライバーやモジュールだけを許可できる

手順の概要:

  1. ドライバーやモジュールをインストール
  2. MOK登録プロセスが自動的に始まる
  3. 再起動時にMOK管理画面が表示される
  4. パスワードを入力して署名を登録

注意点:

この方法は少し複雑です。詳しくは、使用しているドライバーの公式ドキュメントを参照してください。

Ubuntuの署名付きドライバーを使う

UbuntuはNVIDIAドライバーなど、一部のドライバーに独自の署名を付けて提供しています。

手順:

  1. Ubuntuの「ソフトウェアとアップデート」を開く
  2. 「追加のドライバー」タブを選択
  3. 署名付きのドライバーを選んでインストール

これならセキュアブートを有効にしたまま使えます。

よくあるトラブルと解決方法

トラブル1:BIOS画面にセキュアブートの項目がない

原因:

古いパソコンや、UEFIモードではなくレガシーBIOSモードになっている可能性があります。

確認方法:

Ubuntuのターミナルで以下を実行

[ -d /sys/firmware/efi ] && echo "UEFI" || echo "BIOS"

「BIOS」と表示された場合、そもそもセキュアブートは使われていません。

トラブル2:セキュアブートを無効化しても問題が解決しない

考えられる原因:

  • 別の原因でドライバーがインストールできていない
  • カーネルモジュールの依存関係の問題

対処法:

  1. ドライバーのインストールログを確認
  2. 必要なパッケージがインストールされているか確認
  3. カーネルのバージョンとドライバーの互換性を確認

トラブル3:設定を保存したのに再起動後も有効のまま

原因:

BIOSにパスワードが設定されている場合、正しいパスワードを入力しないと設定が保存されないことがあります。

対処法:

  • BIOSのパスワードを確認
  • 「Save & Exit」を確実に実行
  • CMOS電池の残量を確認(古いパソコンの場合)

セキュアブート無効化後のセキュリティ対策

セキュアブートを無効化した後も、セキュリティを保つための対策があります。

対策1:信頼できるソースからのみソフトウェアをインストール

  • 公式リポジトリを使う
  • 信頼できる開発者のPPAのみを追加
  • 不明なスクリプトを実行しない

対策2:ファイアウォールを有効にする

Ubuntuには「UFW」という簡単なファイアウォールが標準で含まれています。

有効化方法:

sudo ufw enable

対策3:システムを常に最新に保つ

定期的にアップデートを実行しましょう。

sudo apt update
sudo apt upgrade

対策4:アンチウイルスソフトの検討

個人使用であれば必須ではありませんが、ClamAVなどのアンチウイルスソフトも選択肢です。

必要がなくなったら再び有効化を

グラフィックドライバーのインストールなど、一時的な作業が終わったら、セキュアブートを再び有効化することを検討しましょう。

再有効化の手順:

  1. BIOSセットアップ画面に入る
  2. セキュアブートの項目を探す
  3. 「Disabled」から「Enabled」に変更
  4. 設定を保存して終了

注意点:

再有効化すると、署名のないドライバーやモジュールが再び動かなくなります。必要なドライバーが正しく動いているか確認してから有効化しましょう。

まとめ:セキュアブート無効化の手順とポイント

Ubuntuでセキュアブートを無効化する手順をおさらいします。

基本的な流れ:

  1. パソコンを再起動してBIOS画面に入る(F2やDeleteキーなど)
  2. 「Security」または「Boot」タブでセキュアブート設定を探す
  3. 「Enabled」を「Disabled」に変更
  4. F10キーで保存して終了
  5. Ubuntuでmokutil --sb-stateコマンドで確認

覚えておきたいポイント:

  • セキュアブートは起動時のセキュリティ機能
  • 無効化すると一部のドライバーやモジュールが使えるようになる
  • セキュリティレベルは若干下がるが、個人使用なら大きな問題はない
  • MOKを使えばセキュアブートを有効にしたまま問題解決できることもある
  • 作業後は再有効化も検討する

こんな時にセキュアブートの無効化が必要:

  • NVIDIAやAMDのグラフィックドライバーをインストールしたい
  • VirtualBoxやVMwareを使いたい
  • カスタムカーネルモジュールを読み込みたい
  • 外部デバイスのドライバーをインストールしたい

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