Ubuntuでソフトウェアのインストールやアンインストールを繰り返していると、「使われていない依存パッケージ」がどんどん蓄積されていきます。
これらは直接使っていないのにディスク容量を圧迫する「不要な依存関係」です。
この記事では、aptコマンドを使って不要な依存パッケージを安全に削除する方法を、Linux初心者向けにやさしく解説します。
不要な依存関係とは?

Ubuntuでは、あるソフトウェアをインストールするときに、それに必要なパッケージ(依存関係)も一緒に自動インストールされます。
しかし、元のソフトを削除しても依存パッケージは自動では消えないため、次のような問題が起こります:
- ディスク容量が無駄に消費される
- 古いパッケージが残ってセキュリティ的にも非推奨
- システムが徐々に重くなる可能性がある
例:
- 画像編集ソフト「GIMP」をインストールすると、GIMPに必要な何十もの依存ライブラリも一緒にインストールされます
- 後でGIMPをアンインストールしても、それらの依存ライブラリは自動では削除されない
- 結果として、使用していないパッケージがシステムに残り続ける
不要な依存パッケージを削除するコマンド

基本コマンド
sudo apt autoremove
このコマンドを実行すると、「もう使われていない自動インストールされたパッケージ」を削除してくれます。
実行例:
$ sudo apt autoremove
Reading package lists... Done
Building dependency tree... Done
The following packages will be REMOVED:
libfoo1 libbar2 libexample3 unused-package
0 upgraded, 0 newly installed, 4 to remove and 0 not upgraded.
After this operation, 47.5 MB disk space will be freed.
Do you want to continue? [Y/n]
「Y」を押すと、不要なライブラリが安全に削除されます。
より確実に実行する場合:
sudo apt update
sudo apt autoremove
最新のパッケージ情報を取得してから実行すると、より正確に不要パッケージを特定できます。
なぜautoremoveが必要なの?
- 自動インストールされた依存パッケージは「使われていない」と判断されると候補に入る
- 手動では追いきれないパッケージの整理ができる
- システムが軽くなる & 安定性アップ
- ディスク容量を節約できる(時には数百MBから数GB)
- 余計なパッケージがあることでアップデートに時間がかかることを防げる
autoremoveのタイミングは?
以下のタイミングで定期的に実行するのがおすすめです:
- ソフトウェアをアンインストールした直後
- 月に1〜2回のメンテナンス時
- 「容量不足」や「動作が重い」と感じたとき
- システムアップグレード(例:Ubuntu 20.04から22.04へ)の前後
注意点:削除前に一覧を確認しよう

sudo apt autoremove
を実行すると、削除対象のパッケージ一覧が表示されます。
Enterで実行する前に、重要なパッケージが含まれていないか確認しましょう。
確認だけして削除を保留する場合:
sudo apt --dry-run autoremove
--dry-run
オプションを付けると、実際には削除せずに「何が削除されるか」だけを表示してくれます。
自動で「はい」と応答する場合:
sudo apt autoremove -y
-y
オプションを付けると、確認メッセージに自動で「はい」と応答します。
スクリプトなどで使用する場合に便利です。
手動で削除対象を確認するには?
apt-mark showauto
このコマンドで「自動インストールされたパッケージ」が一覧表示されます。不要かどうかをチェックする参考になります。
自動マークされたパッケージを手動マークに変更する:
特定のパッケージをautoremove
から保護したい場合は:
sudo apt-mark manual パッケージ名
これで、そのパッケージはautoremove
の対象から除外されます。
よくあるQ&A

Q: autoremoveは安全ですか?
A: 基本的に安全です。apt システムは慎重に設計されており、使用中のパッケージを誤って削除することはありません。
ただし、実行前に削除リストを確認する習慣をつけると安心です。
Q: autoremoveで削除されたパッケージを元に戻せますか?
A: はい、必要ならsudo apt install パッケージ名
で再インストールできます。
Q: どれくらいの容量が節約できますか?
A: システムの使用状況によって異なりますが、数十MBから数GB程度です。
長期間実行していない場合や大きなアプリケーションを頻繁にインストール/アンインストールしている場合は、より大きな効果が期待できます。
関連コマンド

不要なパッケージと一緒にキャッシュも削除:
sudo apt autoremove --purge
--purge
オプションを追加すると、設定ファイルも含めて完全に削除します。
APTキャッシュと不要な依存関係を同時に削除:
sudo apt clean && sudo apt autoremove
これで、ダウンロードされたパッケージファイルと不要な依存関係の両方を削除できます。
まとめ
Ubuntuのapt autoremove
は、システムのクリーンアップに欠かせない便利コマンドです。
おさらい:不要な依存関係の削除手順
操作内容 | コマンド |
---|---|
不要な依存関係を自動削除 | sudo apt autoremove |
削除対象の確認のみ | sudo apt --dry-run autoremove |
自動インストールされた一覧表示 | apt-mark showauto |
キャッシュと不要依存関係の同時削除 | sudo apt clean && sudo apt autoremove |
ちょっとしたメンテナンスでも、長くUbuntuを快適に使うためにはとても重要です。
ぜひ定期的に実行して、軽くて整った環境を保ちましょう!
システムを長く使えば使うほど、この習慣の重要性を実感できるはずです。
特に容量が限られたSSDを使用している環境では、貴重なディスク容量を効率的に活用できます。
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