Ubuntuを起動したら画面が真っ暗なまま……NVIDIAのGPUを積んでいるPCでは、特によくある症状です。
原因のほとんどは「NVIDIAプロプライエタリドライバとLinuxカーネルの不整合」か「オープンソースドライバとの競合」です。
この記事では、起動できない状態からでも実行できる対処手順を、優先順位順に解説します。
なぜNVIDIAドライバでUbuntuが起動しなくなるのか
UbuntuにはNVIDIA GPU用のドライバが2種類存在します。
| ドライバ種別 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| オープンソース | nouveau(ヌーボー) | Ubuntu標準搭載。基本表示のみ対応 |
| プロプライエタリ | NVIDIAドライバ | 高性能。CUDAやゲームに必要 |
問題が起きやすいのは以下のような状況です。
- カーネルアップデート後:新しいカーネルに対応したNVIDIAドライバモジュールが未インストールのため、ドライバが読み込めなくなる
- NVIDIAドライバ導入直後:nouveauとNVIDIAドライバが競合し、どちらも正常に動作しなくなる
- CUDAインストール後:CUDAインストール時にNVIDIAドライバが上書き・変更される
- 不完全なドライバインストール:インストール中に中断するなどして、ドライバが壊れた状態になる
Ubuntuのバージョンとカーネルバージョンの確認方法については、Ubuntuのバージョンとカーネルを確認する方法を参照してください。
まず確認すべきこと:症状の切り分け
以下の症状がどれに当てはまるかで、対処法が変わります。
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| GRUBメニューの直後に黒画面になる | NVIDIAドライバの読み込み失敗 |
| ログイン画面は出るが操作できない | GDM(ディスプレイマネージャー)の問題 |
nvidia-smi でエラーが出る | ドライバとカーネルモジュールのバージョン不一致 |
| アップデート後から突然黒画面になった | カーネル更新によるドライバ不一致 |
起動時に Driver/library version mismatch が出る | ユーザー空間のドライバとカーネルモジュールのバージョンが異なる(再起動で解消することが多い) |
Driver/library version mismatch エラーについては、再起動するだけで解消するケースがほとんどです(Ubuntu Server公式ドキュメント「NVIDIA drivers installation」より)。
解決方法【優先順位順に試す】
方法1:nomodesetsオプションで起動してドライバを修正する
最初に試すべき方法です。
GRUB起動オプションに nomodeset(ノーモードセット)を追加すると、グラフィックドライバを使わずにUbuntuを起動できます。
手順:
- PC起動時に「GRUB」画面が表示されたら、Shiftキーを押し続けてGRUBメニューを表示させる
(BIOSがUEFIの場合はEscキー) - 「Ubuntu」を選択した状態で
eキー を押し、編集モードに入る linuxで始まる行を探し、quiet splashの末尾にnomodesetを追加する
変更前の例:
linux /boot/vmlinuz-... ro quiet splash $vt_handoff
変更後の例:
linux /boot/vmlinuz-... ro quiet splash nomodeset $vt_handoff
Ctrl + XまたはF10を押して起動する- Ubuntuが起動したら、以下の手順でNVIDIAドライバを再インストールする(方法2または方法3へ進む)
方法2:リカバリーモードからNVIDIAドライバを修正する
GRUBが表示される場合は、リカバリーモードからCUI(黒い画面のコマンド入力)に入って作業できます。
手順:
- GRUBメニューで 「Advanced options for Ubuntu」 を選択する
- 一覧から 「Ubuntu, with Linux ○.○.○-○-generic (recovery mode)」 を選択する
- リカバリーメニューが表示されたら 「root – Drop to root shell prompt」 を選択する
- 以下のコマンドで既存のNVIDIAドライバを完全に削除する
sudo apt purge nvidia-*
sudo apt autoremove
sudo apt autoclean
- 次のコマンドでシステムが推奨するNVIDIAドライバを自動的に判別・インストールする
sudo ubuntu-drivers autoinstall
ubuntu-drivers ツールはSecure Boot環境では署名済みドライバを優先してインストールするため、Secure Boot有効環境でも安全に利用できます(Ubuntu Server公式ドキュメントより)。
- インストールが完了したら再起動する
sudo reboot
方法3:TTY(仮想コンソール)からドライバを修正する
ログイン画面は表示されているが操作できない場合や、GUIが死んでいる場合に使えます。
手順:
Ctrl + Alt + F2(またはF3〜F6)を押してTTY画面に切り替える- ユーザー名とパスワードでログインする
- 既存のNVIDIAドライバを削除してから再インストールする
sudo apt purge nvidia-*
sudo apt autoremove
sudo apt update
sudo ubuntu-drivers autoinstall
sudo reboot
ターミナルの操作に不慣れな方は、Ubuntuでターミナルを起動する方法も参考にしてください。
方法4:nouveau(デフォルトドライバ)をブラックリストに登録してから再インストールする
NVIDIAプロプライエタリドライバとnouveauが競合している場合に有効です。
nouveauを無効化(ブラックリスト登録)してからNVIDIAドライバをインストールすることで、競合を防げます。
手順:
- TTYまたはリカバリーモードでログインする
- nouveauをブラックリストに登録する設定ファイルを作成する
sudo bash -c "echo blacklist nouveau > /etc/modprobe.d/blacklist-nvidia-nouveau.conf"
sudo bash -c "echo options nouveau modeset=0 >> /etc/modprobe.d/blacklist-nvidia-nouveau.conf"
- initramfs(起動時のファイルシステム)を更新して設定を反映させる
sudo update-initramfs -u
- 再起動する
sudo reboot
- 再起動後にNVIDIAドライバをインストールする
sudo ubuntu-drivers autoinstall
sudo reboot
方法5:古いカーネルで起動してからドライバを再インストールする
カーネルアップデートが原因の場合、一時的に古いカーネルで起動することで問題を回避できます。
手順:
- GRUB画面で 「Advanced options for Ubuntu」 を選択する
- 一覧から 1つ前のカーネルバージョン を選択して起動する(
recovery modeではない通常起動) - 正常に起動できた場合、以下のコマンドでNVIDIAドライバを再インストールする
sudo apt update
sudo ubuntu-drivers autoinstall
sudo reboot
現在インストールされているカーネルバージョンとドライバの確認は、Ubuntuのバージョンとカーネルを確認する方法を参考にしてください。
方法6:GPUを確認してドライババージョンを手動指定してインストールする
ubuntu-drivers autoinstall で解決しない場合、GPUに合わせてドライババージョンを手動で指定します。
手順:
- TTYまたはリカバリーモードでログインする
- 搭載しているGPUと推奨ドライバを確認する
ubuntu-drivers devices
出力例(GeForce RTX 3080の場合):
model : GA102 [GeForce RTX 3080]
driver : nvidia-driver-570 - distro non-free
recommended driver : nvidia-driver-470 - distro non-free
recommendedと表示されているドライバ(上記の例ならnvidia-driver-470)をインストールする
sudo apt install nvidia-driver-470
sudo reboot
バージョン番号は ubuntu-drivers devices の出力結果に従って変更してください。
方法7:ドライバの動作を nvidia-smi で確認する
ドライバを再インストールした後、以下のコマンドでドライバが正常に動作しているかを確認します。
nvidia-smi
正常な場合は以下のようにGPU情報が表示されます。
+-----------------------------------------------------------------------------+
| NVIDIA-SMI 535.xx.xx Driver Version: 535.xx.xx CUDA Version: 12.x |
|---...
以下のエラーが表示された場合は、ドライバが正常に読み込まれていません。
NVIDIA-SMI has failed because it couldn't communicate with the NVIDIA driver.
このエラーが出た場合は、上記の方法1〜6をもう一度試してください。
解決しない場合のチェックポイント
以下の点を確認してください。
ディスプレイの接続先を確認する
NVIDIAドライバのインストール後は、映像出力がオンボードグラフィック(マザーボード)の端子からGPU本体の端子に切り替わることがあります。
ドライバのインストール後にモニターケーブルをGPU側の端子に挿し替えてから再起動してください。
aptコマンドの正しい使い方を確認する
UbuntuのaptコマンドとはFを参照すると、パッケージ操作の基本が確認できます。
Secure Bootの影響
一部の環境では、Secure Boot(セキュアブート)が有効になっているとドライバモジュールの署名が必要です。
BIOS/UEFI設定でSecure Bootを一時的に無効化するか、ubuntu-drivers autoinstall を使用することで署名済みドライバが自動選択されます。
ドライバを手動インストール(.runファイル)した場合
NVIDIA公式サイトからダウンロードした .run ファイルで手動インストールした場合、カーネルアップデートのたびにドライバが無効化されます。
この場合は .run ファイルを再実行するか、apt 経由でのインストールに切り替えることを推奨します。
まとめ
UbuntuがNVIDIAドライバで起動しない場合、原因のほとんどは「nouveauとの競合」「カーネルとドライバのバージョン不一致」のどちらかです。
まずは nomodesetsオプションで起動(方法1) を試し、起動できた状態で sudo apt purge nvidia-* の後に sudo ubuntu-drivers autoinstall を実行するのが最も確実な対処です。Driver/library version mismatch エラーは再起動だけで解消するケースが多いので、まず再起動を試してください。
Ubuntuの新規インストール直後にこの問題が起きた場合は、Ubuntuのインストール方法を完全ガイドも合わせて参考にしてください。
参考情報源
- Ubuntu Server公式ドキュメント「NVIDIA drivers installation」(最終更新:2025年12月15日)
- Ubuntu Community Help Wiki「NvidiaDriversInstallation」
- NVIDIA公式「Ubuntu — NVIDIA Driver Installation Guide」
- NVIDIA Developer Forums「Black screen immediately after Grub menu – GeForce 4060 – Ubuntu 24.04.1」(2025年2月)
- NVIDIA Developer Forums「Driver failed to load on Ubuntu 24 LTS」(2025年2月)


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