「Linuxを使ってみたいけど、インストールが難しそう…」
そんな心配をしていませんか?
実は、Ubuntuのインストールは思っているよりもとても簡単です。
この記事では、パソコン初心者の方でも安心してUbuntuをインストールできるよう、すべての手順を詳しく説明します。
Ubuntuってどんなもの?

Ubuntuは、Linuxという種類のオペレーティングシステム(OS)の一つです。
WindowsやmacOSと同じように、パソコンを動かすための基本ソフトです。
Ubuntuの特徴
完全に無料
- ダウンロードも使用も完全に無料
- ライセンス料金は一切かからない
- 商用利用も自由にできる
初心者にやさしい
- 画面操作がWindowsと似ている
- 日本語に完全対応
- インストールも簡単
安全で安定
- ウイルスに感染しにくい
- システムが安定していて壊れにくい
- 定期的にセキュリティ更新がある
カスタマイズ自由
- 見た目を自由に変更できる
- 必要なソフトだけをインストール
- 軽快に動作する
どんな人におすすめ?
こんな人にピッタリ
- プログラミングを学びたい人
- 古いパソコンを活用したい人
- Windowsに飽きた人
- サーバー管理を覚えたい人
- 無料でパソコンを使いたい人
多くの大学や企業でも使われているので、覚えておくと将来役に立ちます。
インストール前に必要な準備

Ubuntuをインストールする前に、必要なものを準備しましょう。
きちんと準備することで、スムーズにインストールできます。
必要なもの一覧
必須アイテム
- インストール先のパソコン
- メモリ:4GB以上(8GB推奨)
- ストレージ:25GB以上の空き容量
- CPU:2GHz以上のプロセッサ
- USBメモリ
- 容量:4GB以上(8GB推奨)
- USB 2.0以上対応
- データは消去されるので、空のものを用意
- インターネット接続
- 最新版のダウンロード用
- インストール中の更新用
あると便利なもの
- 外部ハードディスク(バックアップ用)
- LANケーブル(Wi-Fi設定が不安な場合)
- 筆記用具(設定内容をメモするため)
重要なバックアップ作業
なぜバックアップが必要?
Ubuntuをインストールすると、パソコンの中身が変更されます。大切なデータを失わないよう、必ずバックアップを取りましょう。
バックアップすべきもの
- 写真や動画
- 文書ファイル
- 音楽ファイル
- ブラウザのブックマーク
- メールのデータ
- その他の重要なファイル
バックアップの方法
- 外部ハードディスクにコピー
- クラウドストレージ(Google Drive、OneDriveなど)に保存
- DVDやBlu-rayに書き込み
システム要件の確認
最低要件
- プロセッサ:2GHz デュアルコア
- メモリ:4GB RAM
- ストレージ:25GB の空き容量
- グラフィック:VGA 画面解像度1024×768
推奨要件
- プロセッサ:2GHz クアッドコア以上
- メモリ:8GB RAM以上
- ストレージ:50GB以上の空き容量
- グラフィック:1920×1080解像度対応
古いパソコンでも動きますが、推奨要件を満たしていると快適に使えます。
UbuntuのISOファイルをダウンロードしよう

インストールに必要なUbuntuのファイルをダウンロードします。これをISOファイルと呼びます。
ダウンロード手順
Step 1: 公式サイトにアクセス
- ブラウザでUbuntu公式サイト(ubuntu.com)を開く
- 「Download」をクリック
- 「Ubuntu Desktop」を選択
Step 2: バージョンを選択
- LTS版(推奨):Long Term Supportの略で、長期間サポートされる安定版
- 最新版:最新機能が使えるが、サポート期間が短い
初心者にはLTS版がおすすめです。
Step 3: ダウンロード実行
- 「Download」ボタンをクリック
- ファイルサイズは約3-4GB
- ダウンロード完了まで待機(回線速度により20分~1時間程度)
ダウンロードファイルの確認
- ファイル名:ubuntu-22.04.4-desktop-amd64.iso(例)
- サイズ:約3.5GB
- 場所:通常はダウンロードフォルダに保存
ファイルの整合性確認(上級者向け)
ダウンロードしたファイルが正しいかどうか確認したい場合は、ハッシュ値をチェックできます。
# Windowsの場合(PowerShell)
Get-FileHash ubuntu-22.04.4-desktop-amd64.iso -Algorithm SHA256
# macOSの場合(ターミナル)
shasum -a 256 ubuntu-22.04.4-desktop-amd64.iso
公式サイトに記載されているハッシュ値と一致すれば、正常にダウンロードできています。
ブート用USBを作成しよう
ダウンロードしたISOファイルを使って、インストール用のUSBメモリを作成します。
Windows環境での作成方法
Rufusを使った作成(おすすめ)
Step 1: Rufusをダウンロード
- Rufus公式サイト(rufus.ie)にアクセス
- 最新版をダウンロード
- インストール不要で使用可能
Step 2: USBメモリの準備
- USBメモリをパソコンに挿入
- 重要なデータがないことを確認
- フォーマットされるため、必要に応じてバックアップ
Step 3: Rufusでの設定
- Rufusを起動
- デバイス:USBメモリを選択
- ブートの種類:「ディスクまたはISOイメージ」を選択
- 「選択」ボタンでUbuntuのISOファイルを指定
- 他の設定はデフォルトのままでOK
- 「スタート」をクリック
Step 4: 作成完了まで待機
- 進行状況が表示される
- 約10-20分で完了
- 完了後、USBメモリは「Ubuntu」という名前になる
macOS環境での作成方法
balenaEtcherを使った作成
Step 1: balenaEtcherをダウンロード
- balenaEtcher公式サイト(balena.io/etcher)にアクセス
- macOS版をダウンロード
- ダウンロード後、アプリケーションフォルダに移動
Step 2: 作成手順
- USBメモリを挿入
- balenaEtcherを起動
- 「Flash from file」でISOファイルを選択
- 「Select target」でUSBメモリを選択
- 「Flash!」をクリック
- 管理者パスワードを入力
- 作成完了まで待機
Linux環境での作成方法
ddコマンドを使った作成
# USBメモリのデバイス名を確認
lsblk
# ISOファイルをUSBメモリに書き込み(/dev/sdbは例)
sudo dd if=ubuntu-22.04.4-desktop-amd64.iso of=/dev/sdb bs=4M status=progress
# 同期処理
sudo sync
注意: デバイス名を間違えると、他のドライブを破壊する可能性があります。必ず確認してから実行してください。
BIOSとブート順序の設定

作成したUSBメモリからパソコンを起動するため、BIOS(またはUEFI)の設定を変更します。
BIOSへのアクセス方法
一般的なキー
- Dell:F2またはF12
- HP:F10またはEsc
- Lenovo:F1またはF2
- ASUS:F2またはDel
- Acer:F2またはDel
手順
- パソコンの電源を切る
- USBメモリを挿入
- 電源を入れてすぐに該当キーを連打
- BIOS画面が表示される
ブート順序の変更
Step 1: ブート設定画面を探す
- 「Boot」タブ
- 「Boot Order」
- 「Boot Priority」 などの名前で表示される
Step 2: USBを最優先に設定
- USB Deviceまたは該当するUSBメモリを選択
- 一番上に移動(通常は+/-キーや矢印キーで移動)
- 設定を保存(通常はF10キー)
- 「Yes」で確定して再起動
セキュアブートの無効化(必要な場合)
一部のパソコンでは、セキュアブートを無効にする必要があります。
手順
- BIOS設定で「Security」タブを選択
- 「Secure Boot」を「Disabled」に変更
- 設定を保存して再起動
Ubuntuのインストール手順

いよいよUbuntuをインストールします。画面に表示される指示に従って進めていきましょう。
ライブセッションの起動
Step 1: USBから起動
- パソコンが再起動すると、Ubuntuの起動画面が表示される
- 「Try or Install Ubuntu」を選択
- Enterキーを押す
Step 2: 言語選択
- 言語一覧から「日本語」を選択
- 「Ubuntuを試す」か「Ubuntuをインストール」を選択
- 初心者は「Ubuntuを試す」で動作確認してからインストールがおすすめ
インストーラーの起動
Step 1: インストール開始
- デスクトップの「Ubuntuをインストール」アイコンをダブルクリック
- インストーラーが起動する
Step 2: 言語とキーボード設定
- 言語:「日本語」を選択
- キーボードレイアウト:「Japanese」を選択
- キーボードのテスト入力で確認
- 「続ける」をクリック
ソフトウェアとアップデート設定
Step 1: インストールタイプ選択
- 通常のインストール:一般的なソフトが含まれる(推奨)
- 最小インストール:基本的なソフトのみ
Step 2: その他のオプション
- 「Ubuntuのインストール中にアップデートをダウンロードする」:チェック推奨
- 「グラフィックスとWi-Fiハードウェアのサードパーティソフトウェアをインストールする」:チェック推奨
インストールタイプの選択
重要な選択画面
選択肢1: ディスクを削除してUbuntuをインストール
- 既存のOSを完全に置き換え
- 初心者におすすめ
- データはすべて消去される
選択肢2: Ubuntuを既存OSと並行してインストール
- デュアルブート環境を構築
- WindowsとUbuntuを使い分け可能
- 上級者向け
選択肢3: その他
- パーティションを手動で設定
- 上級者向け
初心者の方は「ディスクを削除してUbuntuをインストール」を選択することをおすすめします。
タイムゾーンの設定
手順
- 世界地図が表示される
- 日本をクリック、または「Tokyo」を選択
- 正しい時刻が表示されることを確認
- 「続ける」をクリック
ユーザーアカウントの作成
入力項目
- あなたの名前:フルネームを入力(表示用)
- コンピューターの名前:ネットワーク上での識別名
- ユーザー名:ログイン用の名前(英数字のみ)
- パスワード:安全なパスワードを設定
- パスワードの確認:同じパスワードを再入力
パスワードの注意点
- 8文字以上推奨
- 英数字と記号を組み合わせる
- 推測されにくいものにする
- 忘れないよう必ずメモする
ログインオプション
- 「自動的にログインする」:パスワード入力を省略
- 「ログイン時にパスワードを要求する」:セキュリティ重視
インストールの実行
Step 1: 設定内容の確認
- 今までの設定内容が表示される
- 間違いがないか確認
- 「インストール」をクリック
Step 2: 最終確認 「ディスクに変更を書き込みますか?」という確認画面が表示されます。
- 「続ける」をクリックでインストール開始
- この時点で取り消しはできません
Step 3: インストール進行
- プログレスバーでインストール状況を確認
- 所要時間:20分~1時間程度
- この間、パソコンの電源を切らないよう注意
インストール完了
完了メッセージ
「インストールが完了しました」と表示されたら、インストール成功です。
再起動の手順
- 「今すぐ再起動する」をクリック
- 「Press ENTER to continue」のメッセージが表示されたら、USBメモリを抜く
- Enterキーを押して再起動
インストール後の初期設定

Ubuntuのインストールが完了したら、快適に使うための初期設定を行いましょう。
最初の起動とログイン
Step 1: 起動確認
- パソコンが再起動すると、Ubuntuのログイン画面が表示される
- 設定したユーザー名が表示されているかを確認
- パスワードを入力してログイン
Step 2: デスクトップの確認
- Ubuntuのデスクトップが表示される
- 左側にアプリケーションランチャーが表示
- 画面右上に設定メニューが表示
システムの更新
なぜ更新が必要?
- セキュリティの向上
- バグの修正
- 新機能の追加
更新方法1: 画面操作
- 左下の「アクティビティ」をクリック
- 「ソフトウェアの更新」を検索
- アプリを起動して「今すぐチェック」をクリック
- 利用可能な更新があれば「今すぐインストール」をクリック
更新方法2: コマンド(推奨)
Ctrl + Alt + T
でターミナルを開く- 以下のコマンドを実行
# パッケージリストの更新
sudo apt update
# システム全体の更新
sudo apt upgrade
# 再起動(必要な場合)
sudo reboot
日本語入力の設定
Step 1: 言語サポートの確認
- 設定アプリを開く
- 「地域と言語」を選択
- 入力ソースに「日本語(Mozc)」が含まれているか確認
Step 2: 日本語入力の有効化
- 画面右上の言語切り替えアイコンをクリック
- 「ja」(日本語)を選択
- 入力テストで日本語が入力できるか確認
Step 3: ショートカットの設定
Super + Space
:入力方式の切り替えCtrl + Shift
:言語の切り替え
必要なソフトウェアのインストール
ブラウザ
- Firefox:標準でインストール済み
- Google Chrome:公式サイトからダウンロード
# Google Chromeのインストール
wget -q -O - https://dl.google.com/linux/linux_signing_key.pub | sudo apt-key add -
sudo sh -c 'echo "deb [arch=amd64] https://dl.google.com/linux/chrome/deb/ stable main" >> /etc/apt/sources.list.d/google-chrome.list'
sudo apt update
sudo apt install google-chrome-stable
開発ツール
# Visual Studio Code
sudo snap install code --classic
# Git
sudo apt install git
# Node.js
sudo apt install nodejs npm
マルチメディア
# VLCメディアプレーヤー
sudo apt install vlc
# GIMP(画像編集)
sudo apt install gimp
# LibreOffice(オフィススイート)
sudo apt install libreoffice
システム設定の調整
ディスプレイ設定
- 設定アプリの「ディスプレイ」を開く
- 解像度を適切に設定
- 複数モニターの場合は配置を調整
電源管理
- 設定アプリの「電源」を開く
- 自動サスペンドの時間を設定
- 画面の明度を調整
プライバシー設定
- 設定アプリの「プライバシー」を開く
- 位置情報サービスの設定
- 使用統計情報の送信設定
よくある問題と解決方法

インストール中や使用中に遭遇する可能性がある問題と、その解決方法を紹介します。
インストール時の問題
問題1: USBから起動できない
原因と解決方法
- BIOS設定でUSBが最優先になっていない → ブート順序を再確認
- セキュアブートが有効 → BIOSでセキュアブートを無効化
- USBメモリの作成に失敗 → 別のツールで再作成
問題2: インストール中にフリーズする
原因と解決方法
- ハードウェアの互換性問題 → nomodeset起動オプションを試す
- メモリ不足 → 不要なプログラムを終了、メモリ増設を検討
- ディスクの不具合 → ディスクチェックを実行
問題3: グラフィックが正しく表示されない
解決方法
- インストール時に「safe graphics mode」を選択
- インストール後にグラフィックドライバーを更新
# グラフィックドライバーの確認
ubuntu-drivers devices
# 推奨ドライバーのインストール
sudo ubuntu-drivers autoinstall
起動時の問題
問題1: ログインできない
原因と解決方法
- パスワードの入力間違い → Caps Lockの確認、キーボードレイアウト確認
- アカウントの問題 → ゲストセッションでログイン後、アカウント設定を確認
問題2: 画面が真っ黒になる
解決方法
Ctrl + Alt + F1
でコンソールに切り替え- ログイン後、グラフィック関連の設定を確認
sudo systemctl restart gdm3
でディスプレイマネージャーを再起動
一般的な使用中の問題
問題1: Wi-Fiに接続できない
解決方法
# ネットワークカードの確認
lspci | grep -i network
# Wi-Fiドライバーの状態確認
sudo lshw -C network
# NetworkManagerの再起動
sudo systemctl restart NetworkManager
問題2: 日本語入力ができない
解決方法
- 入力メソッドの設定を確認
- Mozcの再インストール
# Mozcの再インストール
sudo apt remove ibus-mozc
sudo apt install ibus-mozc
ibus-daemon -drx
問題3: ソフトウェアがインストールできない
解決方法
# パッケージデータベースの修復
sudo apt update --fix-missing
sudo apt install -f
# キャッシュのクリア
sudo apt clean
sudo apt autoclean
セキュリティと保守

Ubuntuを安全に使い続けるためのセキュリティ設定と保守方法を説明します。
ファイアウォールの設定
UFW(Uncomplicated Firewall)の有効化
# ファイアウォールの状態確認
sudo ufw status
# ファイアウォールの有効化
sudo ufw enable
# 基本的なルール設定
sudo ufw default deny incoming
sudo ufw default allow outgoing
自動更新の設定
Unattended Upgradesの設定
# 自動更新パッケージのインストール
sudo apt install unattended-upgrades
# 設定ファイルの編集
sudo dpkg-reconfigure unattended-upgrades
定期的なメンテナンス
週次メンテナンス
# システム更新
sudo apt update && sudo apt upgrade
# 不要なパッケージの削除
sudo apt autoremove
# システムのクリーンアップ
sudo apt autoclean
月次メンテナンス
# ディスク使用量の確認
df -h
# ログファイルのクリーンアップ
sudo journalctl --vacuum-time=30d
# システムの健康状態チェック
sudo fsck -f /dev/sda1
より快適に使うためのヒント
Ubuntuをより効率的に使うためのコツを紹介します。
便利なショートカット
ウィンドウ操作
Super
:アクティビティ画面を開くSuper + A
:アプリケーション一覧を表示Alt + Tab
:ウィンドウ切り替えSuper + ↑
:ウィンドウを最大化Super + ←/→
:ウィンドウを画面左右に配置
ターミナル操作
Ctrl + Alt + T
:ターミナルを開くCtrl + Shift + N
:新しいターミナルウィンドウCtrl + Shift + T
:新しいタブを開く
カスタマイズとテーマ
GNOME Tweaksのインストール
sudo apt install gnome-tweaks
人気のテーマとアイコン
# Papirus アイコンテーマ
sudo add-apt-repository ppa:papirus/papirus
sudo apt update
sudo apt install papirus-icon-theme
# Yaru テーマ(Ubuntu標準の改良版)
sudo apt install yaru-theme-gtk yaru-theme-icon
開発環境の構築
プログラミング言語の環境構築
# Python開発環境
sudo apt install python3-pip python3-venv
# Java開発環境
sudo apt install default-jdk
# Docker
sudo apt install docker.io
sudo usermod -aG docker $USER
まとめ
この記事の手順に従って、Ubuntuのインストールが完了したはずです。
振り返り:完了した作業
- Ubuntuの基本知識を理解
- インストール前の準備(バックアップ、USB作成)
- BIOS設定とブート順序の変更
- Ubuntuのインストール実行
- 初期設定とソフトウェアのインストール
- トラブルシューティングの知識習得
初心者におすすめの次のステップ
- コマンドライン操作の基本を覚える
- パッケージ管理(apt)の使い方を学ぶ
- テキストエディタ(nano、vim)の使い方を覚える
- プログラミング言語の学習を始める
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