「Thunderbirdでメールを受信したら、スマホで見られなくなった…」
POPメールを使っている場合、Thunderbirdでメールを受信すると、サーバーから削除されてしまうことがあります。
でも大丈夫です!「サーバーにメッセージのコピーを残す」設定をオンにすれば、PCでもスマホでも同じメールを見られるようになります。
この記事では、Thunderbirdでサーバーにメールを残す設定方法と、複数デバイスでの運用のコツを詳しく解説していきます。
「サーバーにメールを残す」設定とは

まず、この設定がどういう意味なのか理解しておきましょう。
メールの保存場所
メールは、受信する前はメールサーバーという場所に保存されています。
メールサーバーとは:
メールを預かる「郵便局」のようなもの。
あなた宛のメールは、ここに一時的に保管されます。
POPとIMAPの違い
メールの受信方式には、主に2種類あります。
POP(Post Office Protocol):
- メールをサーバーからダウンロードする方式
- ダウンロード後、サーバーからメールを削除する(設定で変更可能)
- メールは主にパソコン内に保存される
IMAP(Internet Message Access Protocol):
- メールはサーバー上に保存されたまま
- 複数のデバイスで同期される
- どのデバイスで見ても、同じ状態
なぜ「サーバーに残す」設定が必要?
POP方式のデフォルト動作:
- Thunderbirdがメールをダウンロード
- サーバーから自動的に削除される
- 他のデバイス(スマホなど)では見られなくなる
「サーバーに残す」設定をオンにすると:
- Thunderbirdがメールをダウンロード
- サーバーにもコピーが残る
- 他のデバイスでも受信できる
サーバーにメールを残す設定方法
Thunderbirdで「サーバーにメッセージのコピーを残す」設定を有効にする手順です。
基本設定の手順
手順:
- Thunderbirdのメニューから「アカウント設定」を開く
- 左側のアカウント一覧から、設定したいPOPアカウントを選択
- 「サーバー設定」をクリック
- 「サーバー設定」セクションを確認
- 「サーバーにメッセージを残す」にチェックを入れる
- 「OK」をクリックして保存
これで、受信したメールがサーバーに残るようになります。
詳細設定:保存期間の指定
メールをいつまでサーバーに残すか、細かく設定できます。
手順:
- 「サーバーにメッセージを残す」にチェックを入れた状態で、さらに以下のオプションが表示される
- 設定できる項目:
「ダウンロードしてから○日が経過したメッセージは削除する」
- チェックを入れて、日数を指定(例:14日、30日)
- 指定した日数が経過したメールは、サーバーから自動削除される
- サーバー容量を節約できる
「削除済みメッセージを削除する」
- Thunderbirdで削除したメールは、サーバーからも削除される
- チェックを入れると、不要なメールがサーバーに残らない
推奨設定
複数デバイスで使う場合:
- ☑ サーバーにメッセージを残す
- ☑ ダウンロードしてから30日が経過したメッセージは削除する
- ☑ 削除済みメッセージを削除する
この設定なら、1ヶ月間はどのデバイスでもメールを確認でき、古いメールは自動的に整理されます。
サーバーにメールを残すメリット
この設定を有効にすると、どんな利点があるのでしょうか。
メリット1:複数デバイスで同じメールを見られる
使用シーン:
- 会社のPCでThunderbirdでメールを確認
- 帰宅後、自宅のPCでも同じメールを見られる
- 外出先でスマホからも確認できる
サーバーにメールが残っているため、すべてのデバイスで受信可能です。
メリット2:データ消失のリスク軽減
もしもの時の保険:
- PCが故障しても、サーバーにメールが残っている
- 他のデバイスで再度ダウンロードできる
- バックアップの役割を果たす
メリット3:移行やセットアップが楽
新しいPCに乗り換える時:
- 新しいPCにThunderbirdをインストール
- メールアカウントを設定
- サーバーに残っているメールを再度ダウンロード
わざわざ古いPCからメールデータを移行する必要がありません。
メリット4:誤削除からの復旧が可能
Thunderbirdでメールを誤って削除しても、サーバーにコピーが残っていれば、他のデバイスで確認できます。
サーバーにメールを残すデメリット
便利な設定ですが、注意すべき点もあります。
デメリット1:サーバー容量の圧迫
メールサーバーには、保存できる容量に制限があります。
容量の目安:
- 無料メールサービス:数GB~15GB程度
- 有料サービス:数十GB~無制限
メールを残し続けると、容量がいっぱいになり、新しいメールが受信できなくなる可能性があります。
デメリット2:受信に時間がかかる
新しいデバイスでメールアカウントを設定すると、サーバーに残っているすべてのメールをダウンロードしようとします。
数千通のメールが残っている場合、初回の受信に時間がかかります。
デメリット3:重複受信の可能性
複数のデバイスで同じPOPアカウントを設定している場合、同じメールを何度もダウンロードすることがあります。
注意点:
各デバイスが独立してメールを管理するため、1つのデバイスで削除しても、他のデバイスには残ったままになります。
デメリット4:管理が複雑
どのメールをどこで読んだのか、どこで削除したのかが分からなくなりやすいです。
IMAPとの比較:どちらが良い?
「サーバーに残す」設定を使うより、IMAPに切り替えた方が良い場合もあります。
POPとIMAPの比較表
項目 | POP(サーバーに残す) | IMAP |
---|---|---|
メールの保存場所 | 主にPC内(コピーをサーバーに) | サーバー上 |
複数デバイス対応 | △(同期しない) | ○(完全同期) |
サーバー容量 | △(古いメールを削除すれば節約可) | △(常にサーバー上) |
オフライン閲覧 | ○(PC内に保存) | ○(キャッシュ機能) |
既読・未読の同期 | ✕ | ○ |
フォルダ構成の同期 | ✕ | ○ |
セットアップの簡単さ | ○ | ○ |
POPが適している場合
- 1台のPCでしか使わない
- サーバー容量を節約したい
- メールをローカルに完全保存したい
- インターネット接続が不安定な環境
IMAPが適している場合
- 複数のデバイスで使う(PC、スマホ、タブレット)
- どこでも同じ状態でメールを見たい
- 既読・未読を同期したい
- フォルダ整理を共有したい
移行を検討すべきサイン
以下に当てはまる場合、POPからIMAPへの切り替えを検討しましょう:
- 複数のデバイスで頻繁にメールを確認する
- メールの管理が煩雑になっている
- サーバー容量に余裕がある
サーバー容量の確認と管理
サーバーにメールを残す場合、容量管理が重要です。
サーバー容量の確認方法
Gmail:
- ブラウザでGmail(https://mail.google.com/)にアクセス
- 画面下部に「○ GB / 15 GB を使用中」と表示される
- または、Google One(https://one.google.com/storage)で確認
Yahoo!メール:
- ブラウザでYahoo!メール(https://mail.yahoo.co.jp/)にアクセス
- 設定画面で容量を確認
その他のメールサービス:
Webメール画面にログインして、設定やアカウント情報から確認できます。
容量が足りなくなった時の対処法
対処法1:古いメールをThunderbirdで削除
- Thunderbirdで古いメール(1年以上前など)を選択
- Deleteキーで削除
- 削除済みフォルダを右クリック→「削除済みトレイを空にする」
- サーバーからも削除される(「削除済みメッセージを削除する」設定がオンの場合)
対処法2:大きな添付ファイル付きメールを整理
添付ファイル付きのメールは容量を圧迫します。
- Thunderbirdで添付ファイル付きメールを検索(検索条件で指定可能)
- 添付ファイルをPCに保存
- 元のメールを削除
対処法3:保存期間を短くする
「ダウンロードしてから○日が経過したメッセージは削除する」の日数を短くします(例:30日→14日)。
対処法4:Webメールで直接削除
- ブラウザでWebメール画面にアクセス
- 不要なメールを一括削除
- ゴミ箱を空にする
複数デバイスでの運用のコツ
POPで「サーバーに残す」設定を使う場合の、効率的な運用方法です。
コツ1:メインデバイスを決める
推奨構成:
- メインPC:Thunderbird(POPでサーバーに残す設定)
- サブデバイス(スマホ、タブレット):Webメールまたはメールアプリ(IMAPまたはWebアクセス)
メインPCでメールを管理し、外出先ではサブデバイスで確認するだけにすると混乱が減ります。
コツ2:整理はメインデバイスだけで行う
メールの削除やフォルダ整理は、メインデバイス(PC)でのみ行います。
サブデバイスでは「閲覧のみ」にすることで、管理がシンプルになります。
コツ3:重要なメールはローカルフォルダに保存
Thunderbirdの「ローカルフォルダ」に重要なメールを移動すれば、サーバー容量を節約しつつ、PCには完全に保存できます。
手順:
- 保存したいメールをドラッグ
- 左側の「ローカルフォルダ」にドロップ
ローカルフォルダに移動したメールは、サーバーから削除され、PC内にのみ保存されます。
コツ4:定期的なメンテナンス
月に1回程度:
- サーバー容量を確認
- 不要なメールを削除
- 添付ファイルを整理
習慣化することで、容量不足を防げます。
トラブルシューティング
「サーバーに残す」設定でよくある問題と解決法です。
トラブル1:サーバーにメールが残らない
症状:
設定しているのに、他のデバイスでメールが受信できない
原因と対処法:
原因1:設定が保存されていない
- 「OK」ボタンを押して設定を保存したか確認
- Thunderbirdを再起動して再度確認
原因2:別の設定が優先されている
- 「削除済みメッセージを削除する」がオンになっていると、削除したメールはサーバーからも消える
- 誤って削除していないか確認
原因3:サーバー側の制限
- 一部のメールサーバーは、POPでの受信後に強制的にメールを削除する設定になっている
- メールサービスのWebサイトで設定を確認
トラブル2:同じメールを何度もダウンロードする
症状:
既に受信したメールが、再度ダウンロードされる
対処法:
原因:受信済みメールの管理情報が壊れている
- Thunderbirdを終了
- プロファイルフォルダを開く
- 該当アカウントの「popstate.dat」ファイルを削除
- Thunderbirdを再起動
注意:
popstate.datを削除すると、サーバーに残っているすべてのメールを再度ダウンロードしようとします。
トラブル3:「サーバーに残す」設定が見つからない
症状:
アカウント設定に「サーバーにメッセージを残す」という項目がない
原因:
そのアカウントはIMAPで設定されている
確認方法:
- 「アカウント設定」→該当アカウントを選択
- 「サーバー設定」でサーバーの種類を確認
- 「IMAPメールサーバー」と表示されている場合は、IMAP設定
IMAPでは、自動的にサーバーにメールが残るため、この設定は不要です。
トラブル4:容量オーバーで新着メールが受信できない
症状:
「メールボックスの容量が超過しています」というエラー
対処法:
- Webメールにアクセス
- 不要なメールを削除
- ゴミ箱を空にする
- Thunderbirdで再度受信
よくある質問
Q. IMAPに切り替えると、今までのメールは消える?
A. Thunderbird内のメールは残りますが、同期はされません。
POPで受信したメールは、ローカルフォルダに保存されているため消えません。
ただし、IMAPに切り替えた後は、POPで受信した過去のメールはサーバーと同期されず、Thunderbird内にのみ存在します。
Q. スマホで削除したメールが、PCでは残っている
A. POPでは同期しないため、これは正常な動作です。
各デバイスが独立してメールを管理するため、1つのデバイスで削除しても他には反映されません。
完全に同期させたい場合は、IMAPに切り替えましょう。
Q. 「○日経過したら削除」設定で、何日が適切?
A. 30日程度がバランスが良いです。
- 14日:短期間で整理、容量節約重視
- 30日:バランス型(推奨)
- 60日以上:長期保存、容量に余裕がある場合
自分のメールの見返し頻度に応じて調整してください。
Q. サーバーからメールを削除しても、Thunderbird内には残る?
A. はい、残ります。
Thunderbirdは既にダウンロードしたメールをPC内に保存しているため、サーバーから削除されても影響ありません。
Q. 複数のPCで同じPOPアカウントを使う場合の注意点は?
A. メールが分散して管理が複雑になります。
- PC-Aでダウンロードしたメールは、PC-Bでは受信済み扱いにならない
- 両方のPCに別々のメールが溜まる
- 統合的な管理が難しい
複数PCで使う場合は、IMAPへの切り替えを強くおすすめします。
まとめ:サーバーに残す設定で複数デバイス運用を快適に
Thunderbirdの「サーバーにメッセージを残す」設定を活用すれば、POPでも複数デバイスでメールを確認できます。
設定のポイント:
- 「サーバーにメッセージを残す」にチェック
- 保存期間を30日程度に設定(容量節約)
- 「削除済みメッセージを削除する」にもチェック(整理を自動化)
メリット:
- PCでもスマホでもメールを確認できる
- データ消失のリスク軽減
- 新しいデバイスへの移行が簡単
注意点:
- サーバー容量の管理が必要
- 既読・未読は同期しない
- 複数デバイスでの管理が複雑
IMAPへの切り替えも検討:
- 複数デバイスで頻繁に使う→IMAP推奨
- 1台のPCメイン→POPでも十分
- 完全な同期が必要→IMAP一択
POPとIMAPにはそれぞれ特徴があるため、自分の使い方に合った方式を選びましょう。
この記事を参考に、快適なメール環境を構築してくださいね!
コメント